君たちは覚えているのだろうか?12年前の悲劇を。12年前に海鳴市を、嫌、次元世界を巻き込んだあの事件を。
そして、悲劇は繰り返される。
12年の時を経て、今、12の遺産を巡る死闘が始まる。
*
フェニックスネスト コマンドルーム
「謎のエネルギー発生現象?」
「そうだ。ここ数日、海鳴市で謎のエネルギー反応が偶発的に観測されている。しかもこれは、12年前にも海鳴市で観測されたエネルギー反応と酷似している事が分かった」
「12年前に海鳴市で発生した原因不明のエネルギー発生現象か・・・」
「今でもこの未知のエネルギー反応に関しては調査中だが、怪獣が発生させていると言う説がある。万が一に備えて、俺達も出るぞ。GUYS,sally go!」
「「「「「G.I.G.!」」」」」
*
海鳴市
この街は、神奈川県湘南海岸沿いにあり、夏には海水浴が楽しめる街である。この街の特徴の一つに、やはり、世界有数の大企業であるバニングス財団と、月村財閥の事があげられるだろう。3、40年前までは、ただの漁村にすぎなかったこの街は、バニングス財団と月村財閥の共同開発により、今日に至るのである。当時を知る者は海鳴市を、「バニングスと月村が作り上げた街」とも言う者がいるらしい。
しかし、この海鳴市は、12年前は、謎のミステリースポッドと呼ばれる時期があった。だが、その真実を知る者は少ない。嫌、地球の歴史は、その出来事を記載できなかった。
*
海鳴市 市街地
「こちら龍星、今のところエネルギー反応なし」
『こちらフェニックスネスト、了解、引き続き調査を続行せよ』
「了解」
龍星は通信を切ると、車を道路脇に駐車させた。
「(にしても、今回のエネルギー発生現象がもしマイナスエネルギーが関係しているとしても、矛盾する点がいくつもある。本来マイナスエネルギーはダークマター同様、怪獣の闘争本能を刺激する一種のアドレナリンだ。では、このエネルギー発生現象は何が原因だ?分からん。・・・ま、兎に角調べるか)」
龍星はエンジンを始動させると、再び海鳴市のパトロールを再開した。
*
海鳴市 郊外
その頃、プレシアは、海鳴市で偶発的に発生している魔力放出現象を調査していた。
「この魔力数値・・・間違いないわ」
プレシアは、小型スパコン(形状は一般的なノートPC)を閉じると、その場を去っていった。
そして、その背中には、罪人の重荷があった。
*
海鳴市 公園
その頃、一通り調査を終えた龍星は、公園で休息をとりつつ、ここまでの調査結果を纏めていた。
「(12年前に海鳴市で偶発的に発生したエネルギー発生現象。内一回は次元境界線の歪曲も確認されている。さらにその半年後に海鳴市近海に発生した謎のエネルギーフィールド・・・これらの関係性は一体なんだ・・・)」
そんな事を考えながら、右手に持ったアンパンを一口食べようとした、その時
「混沌-狂い世界-」
「!!」
突然、龍星の周囲が漆黒の闇に包まれた。嫌、龍星は漆黒の空間に招かれたと言うべきだろう。
「これは、一体・・・」
「フフフ・・・慌てるな。ここは我の能力で作り上げた異次元だ」
唐突に聞こえる声、龍星は周囲を見渡すと、そこに、白いひげを生やした白髪の老人がいた。
龍星はその老人を警戒し、この空間の主の名をすぐに割り出した。
「貴様は・・・這いよる混沌ニャルラトホテプ!何の用だ!」
「ふっふっふっ・・・何、この混沌を楽しんでおるだけだ」
「今回の事件も貴様か!」
「嫌、此度の事件は我とは何の接点もないぞ」
「?・・・どういう事だ?」
ニャルラトホテプは深く息を吸う動作を見せると、ゆっくり口を開いた。
「12年前の忌まわしい過去を引きずるものに出会えば分かるぞ・・・と、もうすぐ始まるか・・・クク」
「?何が可笑しい!」
龍星は、不気味な笑みを浮かべるニャルラトホテプを怒鳴るが、ニャルラトホテプは表情を崩さなかった。
「何・・・精々頑張るのだな・・・-狂い世界-解除」
「!!」
ニャルラトホテプの言葉と共に、龍星の周りを覆っていた漆黒の闇は晴れ、元の公園に戻っていた。
「ニャルラトホテプ・・・お前は何を知っておる・・・」
【PI!PI!】
突然、龍星のメモリーディスプレイから着信音が鳴り響き、龍星はディスプレイを開いた。
「こちら龍星」
『龍星!緊急事態だ!海鳴河川敷公園に小型怪獣が出現した!直に向ってくれ!俺達もすぐに急行する!』
「G.I.G.!」
龍星は通信を切ると、直様右手を翳し、レックスアイを取り出した。
「くそ!一体全体何が起きているというんだ!デュア!」
龍星はレックスアイを装着すると、一瞬にして光となり、そのまま現地に向かった。
*
海鳴市 郊外
同じ頃、プレシアは河川敷公園で検出された魔力反応を確かめるべく、現場に急行していた。
「(私は償わなければならない!それが、罪を犯した私の宿命!だからこそ!行かねばならない!)」
その時、プレシアのペンダントに繋がれている赤いY字の鉱石が輝き、プレシアを光に包むと、その光はものすごいスピードで一直線に飛んだ。
*
海鳴河川敷公園
その頃、いち早く現場に着いた美鈴は、市民の避難誘導を行っていた。
「早く避難してください!ここは危険です!焦らずに避難してください!」
美鈴の誘導に従い、市民は避難場所に誘導され、怪獣出現の僅か10分後に避難完了がした。
「良し、後は奴を倒すだけ・・・」
美鈴は避難誘導を終えると、避難先とは逆の方向に目をやった。そこには
巨大化したオオトカゲがいた。
「こいつ・・・どう見てもただのオオトカゲが巨大化したようにしか見えないんだけど・・・やるしかない!」
そう言うと、美鈴は構えを取り、気を腕に集中させた。
「はあぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・」
深呼吸の要領で気を整え、右手にスペルカードを持つと、巨大オオトカゲ目がけて突撃した。
「たあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
勢いよく突っ込むと、美鈴は右手に持ったスペルカードを翳した。
「華符-採光蓮華掌-!」
その声と同時に、虹色の米粒型の光弾の雨がオオトカゲを襲った!
「グギャァァァァァァァァァァァァァ!」
弾幕の直撃を受けたオオトカゲの動きが鈍ると同時に、美鈴は正拳突きを喰らわせた。
「とぉりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「グェアァァァァァァァァ!」
美鈴の正拳突きをもろに受けたオオトカゲは吹っ飛び、川に落ちた。
「ぐぅぅぅぅぅ・・・・・」
「まだ生きてる・・・ならば!」
美鈴はもう一撃を喰らわせようと、再び構えをとろうとした、その時
『その子を殺してはダメェ!』
「!!何!」
突然、頭から声が響いてきた。それと同時に、美鈴とオオトカゲの間に、紅く光る球体が出現した。
「あれは一体・・・」
光が収まると、そこには、ネクストがいた。
「もう一人の・・・ウルトラマン!?」
驚く美鈴をよそに、ネクストは、オオトカゲの方を向くと、右手を胸に当て、足元に魔法陣を出現させて、右手に紫色の魔力光を集中させた。
『ジュエルシード、シリアルⅦ、封印!』
その声と同時に、オオトカゲの身体から蒼い菱形の鉱石が取り出され、トカゲは元の大きさに戻っていった。
「な・・・本当にトカゲが大きくなっただけだったなんて・・・それにしても・・・」
美鈴はネクストの右手に目を向けた。右手には先程取り出された蒼い鉱石があるが、ネクストはそれを、胸のエナジーコアに取り込んだ。
「!!と、取り込んだ!?あの鉱石は一体・・・!!」
その時、地面から大きな揺れが起きた。地盤が緩み、そこから怪獣が出現した。
「ガオォォォォォォン!」
地面から現れたのは、地底怪獣テレスドンだった。
「な!今度こそ本物の怪獣ですか!」
美鈴は驚きつつも、スペルカードを構え応戦の用意をした。ネクストも同様に構えを取り、テレスドンに攻撃態勢をとった。
「ガオォォォォォォン!ガオォォォォォォン!」
テレスドンは先手を取ろうと、口から溶岩熱線を吐いた。
「ハァッ!」
「ディア!」
二人はそれを避けると、交互から攻撃を開始した。
「虹符-採光の風鈴-!」
「ディアァァァァァァァァァァ!」
美鈴は弾幕を、ネクストはエルボーカッターを放ち、テレスドンに集中攻撃をかけるが、テレスドンは全くの無傷だった。
「やはり怪獣には弾幕は効きませんか・・・」
「ムゥ・・・グッ!」
その時、ネクストの体に異変が起こった。胸のエナジーコアが点滅を始めたのだ。それに気づいた美鈴は、気を足に集中させた。
「これではウルトラマンが・・・くっ・・・やるしかない!」
美鈴が覚悟を決め、テレスドンに突っ込もうとした、その時!
『ジュウゥゥゥアァァァァァァァァァァァァ!』
雄叫びと共に、レックスカッターが美鈴をかすめていき、テレスドンの腹部に突き刺さった。
「これは・・・レックスカッター!まさか・・・」
美鈴はカッターの飛んできた方向を見ると、そこには、ウルトラセブンレックスがいた。
「(あの時のウルトラマンも一緒とはな・・・だが、今はテレスドンを倒すのが先決だ!)」
そう思うと、レックスはウルトラ念力で突き刺さったレックスカッターを呼び戻し、頭部に取り付けると、レックスブレスレットをミラー状に変形させると、光の屈折を用いて、太陽光線をネクストのエナジーコアに照射した。
「(これで奴を倒せるぐらいのエネルギーになる筈だ)」
レックスの気転で、ネクストのエナジーコアの点滅が収まった。
ネクストは立ち上がると、腕をクロスさせ、力を解放した。
「ハアァァァァァァ・・・・・・・・・・・・・・・・ディア!」
ネクストの雄叫びと同時に、体が巨大化し、黒かった筋繊維状がコバルトブルーに変色した。
それは、絆という光が生み出した蒼
それは、守る為の力
その名は・・・
ジュネッスブルー
「な・・・」
「(姿が変わっただと・・・まさか・・・あいつが・・・)」
「シュア!」
ジュネッスブルーに変化したネクストは、スピーディな動きでテレスドンを圧倒した。
「ガオォォォォォォン!ガオォォォォォォン!」
「(!今が好機!ゆくぞ!)」
レックスはその隙にプロテクターから太陽エネルギー―を吸収すると、そのエネルギーを両腕に蓄積させると、腕をL字に組み、必殺のレックスショットを放った。
「!ディア!」
それに気づいたネクストは、直様テレスドンから離れた。
「ギャオォォォォォォォォォォォォォン!」
レックスショットの直撃を受けたテレスドンは、断末魔の雄叫びを上げながら爆死した。
「何とか勝てた・・・でも」
美鈴は、レックスとネクストの方を向いた。だが、ネクストは光となって、その場から消えてしまった。
「(消えた・・・奴は一体・・・何者なんだ)」
そう思いながら、レックスは体を縮小させると、龍星の姿に戻った。
美鈴は龍星に戻ったのを見ると、直に龍星に駆け寄った。
「龍星さん・・・」
「あの謎のウルトラマンに関しては後で隊長に話す。それよりも、どうやら来たようだ」
龍星は何か言いかけたが、上空に見えたヴァイスリッターを観て、口に出すのをやめた。
だが、これは始まりに過ぎない・・・これが、全次元世界存亡をかけた戦いの序曲だという事に・・・
*
???????
漆黒の闇に包まれた謎の空間。その奥には、巨大な「何か」が座っていた。
「復活の時は近い・・・かつて・・・『王』によってこの地に封印されて幾万年・・・今こそ・・・蒼き星を我が手に・・・」
「何か」の声は、その空間一体に聞こえるように呟いた。
続く
次回予告
予測された通りに事は起きた。遂に奴らが動き始めた。どうやら俺でもウルトラ一族と異次元人の因縁からは逃れなれないらしい。だが、武人として適に背中を見せるわけにもいかないからな。
次回「異次元人再び」
俺の飲む地球のコーヒーは苦い
作者の補足説明
ピカリーノ1234「ども、では今回の話の補足説明と行きますか。まずはこれ」
○ジュネッスブルーについて
ピカリーノ1234「これは完全にオリジナルだが、私からしたら、恐らくジュネッスは適能者ごとに色が違うのではないかという解釈を思いついたので、それを設定に加えたという事だ。次」
○ネクストのオリジナル能力について
ピカリーノ1234「ネクスト、ネクサスがノアの不完全態という設定があったので、恐らくネクサス、ネクストにも固有の能力があるのではないかと思ってこの能力を追加しました。最も本当はプレシアが魔導師であるため、不完全態のネクストでも魔法が使えるのではないかと思いついただけなんですけど。次」
○今作からの次回予告
ピカリーノ1234「だいぶボトムズを意識しました。高橋監督ほどではありませんが。因みにレックスのイメージCVである大塚明夫さんはデビュー作である機甲猟兵メロウリンクで次回予告を担当していました。ラスト」
○今回のニャル様の外見
ピカリーノ1234「映画『マジンガーZ対暗黒大将軍』で、兜剣造博士が変装した預言者の老人が元ネタです。それではこれで。ご閲覧、ありがとうございました!」
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