No.57900

北郷一刀争奪戦勃発?(ばれんたいんでー争奪戦)後編

叢 剣さん

なんとかネタ切れの中作り上げました、以外と長くなってしまいました。
今後はバレンタインアフターをかこうかと思います、無論ひとりひとり書きますよ、それのほかにリクエスト募集してます。

2009-02-14 00:12:56 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:17246   閲覧ユーザー数:12335

 ひと騒動もふた騒動もあった後、数日が経過しバレンタインデー当日を迎えた。

 この日が来るまで、廊下ですれ違う時も何となく避けられているようで、会議の時もどこか余所余所しい態度を取られていた。

「・・・・・・ほんとに今日で終わるのかな?」

 終わらない場合は蜀にでも遊びに行こうかと思いつつ、扉に手を掛けようとした瞬間に扉が開き、角が一刀の顔面を直撃した。

「っぅ・・・・・・・・」

 声にならない痛みで床を転がりまわっている。

「一刀?大丈夫?」

「だ、大丈夫・・・・・こんな朝早くから、どうしたんだ?シャオ」

「も~今日が何の日か分かってて行ってるの?」

「今日?・・・・・・・あぁ・・・・・・バレンタインデーのこと?」

 倒れたまま返事を返す。

「そうよ、妃の私が何もしないなんて、思ってたの?」

 返事をしながら上にのしかかって、耳に息を吹きかけてきた。

「うっ・・・・・・そろそろ、どいてくれないか?」

「も~、こういうときは雰囲気に流されないんだから、でも、そう言うところも魅力だけど♪」

「ん?その廊下にある物は?」

「これを一番に渡したかったから、きたんだよ♪」

 小さな包みながら、高貴な感じがあふれる包みに包まれたものだった。

「はい、“ばれんたいんでーぷれぜんと”」

 その包みは所々に歪な箇所があり、職人の腕によるものでないことは確かである。

「この包み・・・・・シャオが作ったのか?」

 その問いかけに顔を赤く染めることで答えていた。

「ありがとう、大事にするよ」

 そのお礼か、軽く頬に唇を寄せる。

「か、一刀・・・・・うれしい♪」

 我慢できなくなったのか、抱きついてきた。

「しゃ、シャオ・・・・・・・こんなに手をボロボロにして・・・・・ありがとう、俺のために」

 手には包帯が大量にまかれており、綺麗だった手は包帯で見えないようになっている。

「夫のためだから、これくらい当然でしょ?」

 いつもとは違い、その顔は真っ赤で幸せな雰囲気が出ていた。

 何かの気配に気づいたのか、急に後ろを振り返る。

「一刀、私はこれから用事があるから、またね?」

「あ、あぁ」

 結局、風のように出現し、嵐のように去って行った。

「ん?なんか入ってる・・・・・・」

 取り出したものは、緑色をした飴玉のようなモノだった。

「ん・・・・もらったものだからな」

 口に入れた瞬間に、この行動を後悔することになった。

「ぐはっ!なんで・・・・・味見したのか・・・・・でも・・・・・」

 根気を振り絞り、一刀は飲み込んだ。

「はぁ、はぁ・・・・・なんとか、なったな」

 ようやく飲み込んだものの、そのことに体力を使ったのか、肩で息をしていた。

 体力が回復してから、すぐに朝食をとり執務室へ向かう。

「ふぅ・・・・・今日も、がんば・・・・・・」

 執務机の上には山のように積まれた大量の贈り物が乗っていた、一つ一つに名前が書かれている、どれもこれも侍女であった。

「こ、こんなにもらってもなぁ・・・・・」

 とりあえず、執務机の上にあったすべての物を別の机へとうごかす。

「なんとか・・・・・スペースはできたか」

 ようやく動かし終わり、一息つくと控えめに扉がノックされた。

「か、一刀様?い、い今、だ大丈夫・・・・・・ですか?」

「あぁ、亞莎、大丈夫だよ入っておいで」

 恐る恐る部屋に入ってくる。

「し、しし失礼します!」

 深々と頭を下げ入ってくる。

「あ、ああああの!こ、これを」

 控え目に包まれた何かを袖の中から差し出した。

「亞莎、それは俺じゃなくて、プレゼントの山だよ」

「すみません、すみません」

 すごいスピードで、プレゼントの山に頭を下げている。

「いつもかけてる眼鏡は?」

「そ、その、いきなり小蓮様がとって行かれまして・・・・」

 確実に妨害行為であろうと思いはしたが、あえて口にすることはなかった。

「あ、あの、こ、こここここれを」

 握っていたものを一刀に差し出す。

「これは?」

「ば、ばば、“ばれんたいんぷれぜんと”です」

 言っている途中から、恥ずかしいのか袖で完全に顔を隠してしまっている。

「亞莎、顔を見せて」

「は、はい」

 その言葉の通りに袖を少し下げ、顔をのぞかせた。

「ありがとう、すごくうれしいよ」

 満面の笑みで返すと、亞莎は顔をいつもよりも真っ赤にしそのまま動きが止まった。

「亞莎?」

「・・・・・・・・は、はい!」

「大丈夫か?風邪ひいたりとかしていない?」

 何も意図もなく、おもむろに額と額をくっつけた。

「かかか!一刀様!」

「んー熱はないみたいだね、よかった、眼鏡をつけてない亞莎もかわいいね」

「し、ししし失礼します!」

 慌てて出て行ったのか、閉まった扉に一度衝突してから心配する一刀を寄せ付けぬまま、出て行った。

「は、はずかしいです~」

 大きな声で亞莎の声が聞こえたのは秘密にしておこう。

 

 少し時間をおき、休憩に入り中庭に出て行こうとしたとき

「あの~何で剣を首にあててるのですか?思春さん」

 出て、少し歩いたころからいつもとは違うオーラを纏った誰かが付いてきていることに気づいていたのだが、確認ができなかった。

「いいからじっとしていろ」

 動かずにいるとどこからか、小さな包みを取り出し、それをポケットの中に詰め込んだ。

「・・・・・・“ばれんたいんぷれぜんと”だ、だが、勘違いするなよ・・・・・何もお前のことが好きなわけではな・・・・・」

「あ~思春が一刀さんに“ぷれぜんと”あげてる~」

「の、穏!こ、これは・・・そういうものでは!」

「うふふ・・・いいんですよ~隠さなくても、二日前に市のほうの店でじっくりと品さ・・・・」

「そ、そそそれ以上言うなぁ!」

 一刀をを放り出し、穏に飛びかかっていくが、すべてかわされている。

「思春もやっぱり・・・・もごもご!」

「お、お前は!少しは・・・・・何もない」

「少しは何ですか?」

「・・・・・何もない!私はこれで失礼する」

「あらあら、もう行かれるんですか?」

「することはすんだ」

「そうですか、じゃあ、私が一刀さんを貰って行きますね~」

 そのまま振り返ることなく、思春は去って行ってしまった。

「一刀さん、これを」

 すぐに何かの包みを取り出す。

「これは・・・・・もしかして、バレンタインプレゼント?」

「そうです、どうぞ」

 すぐに包みを差し出してくる。

「ありがとう、穏」

「いえいえ~一刀さんにはお世話になってますから~」

 そう言いながら体を摺り寄せてくる。

「の、穏?ここではちょっと」

「あん、もう、一刀さん、我慢できません」

「えぇ!そんなこと言われても、まだ色々しないといけないし」

「・・・・・・・私に、我慢しろって言うんですか?」

「我慢しろって言うか、今はさすがにダメだよ、まだ昼も過ぎてないのに」

「む~一刀さんらしくないです」

 いつものにこやかな表情と違い、憮然とした表情をしているが、何かを閃いたのかすぐに体を離した。

「それじゃあ、夜を楽しみにしてますね~」

 それはある意味、明日の執務に差し支えるので、しっかりと執務をしておけという宣言でもあった。

「え・・・・・あ、ちょ!穏!」

 結局その言葉が届くことはなく、穏は去って行ったしまった。

「ははっ・・・・・執務、がんばんないとな・・・・」

 いろいろ考えていると、自分の執務室まで来たのはいいが、なぜか扉があいている。

「ん?だれかいるのか?」

「はうあ!か、一刀様!」

「明命?どうかしたの?」

「い、いえ、お猫様が、入って行かれたのを・・・・」

「みゃ~ん」

 タイミング悪く、猫が入ってくる。

「・・・・・・明命」

「ご、ごめんなさい・・・・・・本当は、これを机の上に置いて行こうと・・・・」

 手に握っていたのは意外と大きな包みであった。

「“ばれんたいんぷれぜんと”というのですか?それを持ってまいりました。」

「そっか、ありがとう、明命」

「か、一刀様・・・・・」

「ほほ~う、明命やりおるのう」

 突然扉が開き、祭が入ってきた。

「北郷、お主に“ぷれぜんと”だ・・・・・・そうだのう、只、渡すのも楽しくないからのう、明命にはできんことをしてみるか」

 突然、上着をはだけると胸の中心あたりで腕で服をとめ、片手でプレゼントを胸に挟める。

「ほれ、北郷、お前に“ぷれぜんと”じゃ、受け取れ」

「う、受け取れって・・・・・」

「何を戸惑っておる、いつも閨を共にするときは揉みしだいてくるではないか」

「そ、そうだけど・・・・・」

 ちらりと後ろへ視線を移すと、明命が祭の胸をにらんでいた。

「どうした?ほれほれ」

 挟んだまま胸を上下に揺らす、その官能的な動きに思わず手が伸びる。

「だ、だめです!」

「はっ!お、俺は」

 大きな明命の声に気を取り戻したのか、手を引いた。

「ええい!明命、邪魔するでない!」

「いいえ、そんな、色仕掛けで一刀様に受取っていただこうなんて、卑怯です!」

「卑怯?これがか?」

 肩をすくめるようにすると、それと共に胸も一緒に揺れる。

「生まれ持った素質で卑怯などと戯言を言うとは思わなかったぞ、明命」

 二人の間では激しい火花が飛び散っている。

「二人とも、落ち着いて」

「「落ち着いていられるか(いられません)!」」

「す、すみません・・・・・」

 二人の怒声に思わず縮みあがってしまった。

「北郷・・・・他の者の“ぷれぜんと”は受け取って儂の“ぷれぜんと”は受け取ってくれぬのじゃな、そうか、あの時に言った儂が魅力だったというのは嘘なのだな?」

 突然、祭が悲しそうな顔をする。

「あ!猫がじゃれあっておる!」

「え!?」

 すかさず明命が後ろを向く、その隙に一刀の腕をつかみ自らの胸のプレゼントのところへ持っていく。

「はうあ!さ、祭さま!」

「ん?おぉ・・・・そんなに揉むな、揉むならもっとしっかり揉んでくれ」

「い、いや、もんでないから!」

 明命の冷たい視線を感じつつ、なんとかプレゼントを握ったまま祭の胸から腕を抜き取った、天国なのか地獄なのかよく分からなかった。

「ふふふ・・・・・よかったぞ、北郷」

「そ、それはどうも」

「う・・・・・・・・、それでは一刀様」

 二人は牽制し合いながらも一緒に出て行った。

 

 

その後は、何事もなく執務をこなすことができた。

「あぁ、もうこんな時間か」

 外を見ると、すでに陽は傾いていた。

「さて、今日は結構進んだし、今日は切り上げ・・・・」

 机の上を片づけていると、扉がノックされた。

「はい、どうぞ」

「か、一刀?」

「蓮華?どうかしたのか」

「どうもしてないけど・・・・ちょっと、話をしたくて」

「そうか・・・・・そうだな、最近はあまり話してなかったからな」

「ごめなさい、色々と悩ませたみたいで」

「ん?まぁいいよ、今日のためだったんだろ?」

 声に出すことはなく、頷くだけであったがその顔はすでに赤くなっていた。

「その、一刀・・・・これを」

 差し出したのは、木の箱であった。

「ありがとう、蓮華」

「い、いえ、いつもお世話になってるから、これくらいは」

「見るのは後ででもいい?一応みんなの分が部屋にあるから、一緒に見ようかと思ってたんだけど」

「それでいいわ、条件は平等じゃないといけないから」

「条件?」

「あ、いえ、なんでもないわ、なんでも」

「そうか、ならいいんだけど」

 先ほど気づいたが、誰かに見られているような気がしてならない。

「・・・・・蓮華、お礼はいつかす・・・・・」

 扉が開いた瞬間、時が止まった。

「一刀」

「雪蓮・・・・・・な、なんでそんな恰好してるんだよ!」

「は、恥ずかしいから、部屋に入れてくれる?」

 なぜか雪蓮は裸にリボンを巻きつけ、もちろん大事な場所を隠してはいるが、それ以外の場所は丸見えである。

 その姿を見て、一刀は見とれると同時に生唾を飲み込んだ。

「なんか、思い出したくないけど、裸に下着一枚の筋肉ダルマが、“天の国では自分の体にリボンを巻いて自分をプレゼントするらしいわよ~ご主人様もきっと喜んでくれるから、ぐふぐふ~”あ~思い出して気持ち悪い」

「な、何なんだ、その稀珍な生物は」

「で、どうなの?」

「な、なにが?」

「受け取ってくれるの?」

 よく見ると、胸の谷間の間に小さい包みがあるのが確認できた。

「姉様!そ、それは・・・・・」

「どう?かわいいでしょ?」

 振り向くと、胸が上下に動き、今にもリボンが外れてもおかしくない。

「かわいいとかの問題ではなく!そんな恰好をして恥ずかしくはないのですか!」

「恥ずかしいわよ、でも、一刀のためだから」

 少し、頬を赤く染めて上目使いで一刀を見上げてくる。

「うっ・・・・・・」

 すでに一刀の理性の壁はベルリンの壁のように崩壊寸前であった。

「一刀・・・・・受け取って、私のすべてを」

「姉様!か、一刀・・・・わ、私は、あなたにだったら、何をされても・・・・」

 すでに理性の壁は自ら瓦解を始めている。

「ご、ごめん!きょ、今日は・・・・・・!」

「一刀、せめて・・・・・・」

 腕をつかむと、祭がそうしたように胸の間にある包みを握らせた。

「それだけは、受け取ってね」

 受け取ると、一刀はそのまま逃げるように、自分の部屋に帰って行った。

「あれ?部屋の明かりがついてる」

 若干嫌な予感がしたが、入らないわけには行けないので入ってすぐに鍵をかけられた。

「北郷・・・・いや、一刀待っていたぞ」

「め、冥琳?」

「あぁ、どうした早くこっちを向いてくれ」

 恐る恐る振り向くと、そこには予想もしなかった冥琳の姿があった。

「料理長に頼んで買ったものなのだが、似合っているか?」

「に、似合っているもなにも・・・・・」

 そこに立っていたのは、裸にフリルのついた淡い桃色をしたエプロンのみを装備した冥琳の姿であった。

 そして、やはりというか豊かな胸の谷間に小さな包みを挟んでいる。

「似合ってるけど・・・・・どうしてそんな恰好を」

「この雑誌に載っていてな」

 手に持っている物は阿蘇阿蘇と書かれた、ファッション雑誌のようなもので、その中に男が喜ぶ服装という欄の一番上に裸に調理時の前掛けと書かれていた。

「こういうのを見ると、シたくなるか?」

「うっ・・・・・・・」

図星なのか、そのまま黙り込んでしまった。

「いいぞ、か、一刀が望むのなら・・・・・私のすべてを・・・・・・・“ぷれぜんと”しよう」

 手を握ると、それを自分の胸に押し当てる。

「あっ・・・・」

「どうした?いつものように揉んでくれないのか?」

 もうすでに理性の壁の厚さは風が吹いただけで崩れてしまいそうに抉り取られてしまっていた。

「・・・・・冥琳!」

 耐えきれなくなり、そのまま寝台に押し倒す。

「そんなにがっつくな、時間は・・・・・はぁ、時間切れか」

 急にやられたような表情になり、そのまま寝台に突っ伏した。

 入口の方を見てみると、穏、思春、明命、小蓮、亞莎、祭、蓮華、雪蓮が立っていた。

「さすがは周公瑾といったとこかしら」

「まさか、冥琳がこの様な大胆な策を仕掛けてくるとは思ってもいなかった」

「ふむ、これだけは一本取られるわけにはいかんのでな」

「ふふふ、だれでも考えることは一緒ということですか、なら、みんなでしちゃえばいいんですよ、だいぶ溜まってらしゃるから大丈夫ですよね?」

 全員が寝台にのり、一刀に覆いかぶさってくる。

「「「「「「「「「今日は寝せませんよ」」」」」」」」」

 ある意味での悲鳴が部屋から響きわたるのに時間はかからなかった。

 

 

 その後、数日間一刀は執務を休んだ。

 仕事を始めた時、左手の薬指以外の指には何故か色とりどりの指輪が付けられていた。

 全員からのプレゼントは結局一致していて全員が全員、指輪であった、おそらく何か料理のようなものをやるよりも、自分が一刀にプレゼントしたという形を残したかったんだと思う

「なぜ、左手の薬指に私のをつけないのよ~」

 酒の席で雪蓮にそのことについて絡まれると、考えることなく口にした。

「俺はみんなを愛しているんだ、みんなが居るから、俺はみんなを同じくらい愛せるんだ、だから誰か一人ってことはないから、それに、毎日指輪の場所は動かしてるよ、ずっと同じ位置だと左手の薬指に近いほどいいっておもうだろ?だから、毎日指輪の位置を変えてるよ」

 そのことを聞くと、雪蓮は一刀に抱きつくことで自分のことを思ってくれている事を再確認した。

「そう、色々と考えてくれているのね一刀」

「皆に、ちゃんとお礼はするから」

「ほう・・・・・お礼をするときはもちろん、お礼をする相手の渡した指輪を左の薬指にはめてくるんであろうな?」

 お礼がどのような事かは、全く分からないが一刀がそんなに嫌がることはしないと分かっているため、カマを掛けてみる祭、それを興味がないふりをして思春が聞き耳を立てている。

「もちろん、お礼の日だけだけどね」

 

 

 バレンタインアフターに続く・・・・・のか?

 


 
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