No.578198

武装神姫「tw×in」 第二十八話

風麦梟さん

Twin ride×新ルール=

ようやく、題名が意味を成してくるようになりました。

2013-05-20 09:26:38 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:382   閲覧ユーザー数:376

 

ツインライド。

前に、一回にライド出来るのは一人ずつだと言った時、ミルートは過去の産物になると言っていた。

この言葉が示す通りなら、つまり、

「簡潔に説明すると、1人のマスターが神姫二人にライドしてバトルするんだ」

「そんなの出来るのかよ」

「出来るようにしたから言ってるんだよ」

東太へ即答したミルートはツインワンを造る機械のついた筐体へと近づいた。

よく見れば、前は片方は普通のライドシステムだったが、今はどちらにも妙な機械がついていた。

「原理はツインワンを逆にしたようなものさ。二人の神姫を一人にしたように、1人で二人の神姫を扱う……あれ? ちょっと違うかな?」

まぁともかく、とミルートは筐体の機械へ触れた。

「ただ一つ問題は、一つの筐体に入れる神姫の数は四人まで、つまりツインライドバトルは1人対1人でしか出来ないんだよ。充分な気もするけど、若干もの足りなくもあるよね」

けど本来の1人対1人は一対一だったのに対して、お互いもう一人をしかも同時に操るというのだから、充分凄いことだと思う。

「ただねー、なかなか思った通りにはいかないものなんだよ」

ふぅ、と息を吐いた。

「二人の神姫を同時に扱うってことは、片方ずつの目で違った物を見て両手で同時に違う物を書くような行いでね。そんなこと、出来る?」

オレも真南も東太も首を横に振った。昔遊びで両手書きはしたことあるけど、利き手じゃない方は訊ねないと分からないような絵になっていた。

「そんなの、本当に出来るのかよ」

「だから出来るようにしたって言ってるじゃないか」

またもや即答された。

「わざわざそんなことする必要は無いんだよ。確かにそれが理想の形だけど、宗哉みたいな戦法ならその必要はないじゃん?」

オレみたいな戦法か……確かに、基本は指示を出すだけだから移動攻撃は皆任せで、作戦を伝えておけばもう一人とのコンビネーションも可能だ。

「そうか、そういう動かし方もあるんだね」

「ま百聞は一見にしかずだよね、宗哉と東太、やってみなよ」

「おぅ、宗哉、バトルだ」

「うん、お手柔らかにね」

さて、誰で行こうか……でも、コナユキは昨日沢山やったし。

それに……うん。

「よし、ルミア、エンル、良いかな」

「はい!」

「任せて下さい!」

「じゃあ俺はヒリンと……」

『いい加減先輩の言うことを聞きなさい!』

「……」

鞄の中から聞こえたカレンの声。

それは、バトルに誘いでもしたら一気に矛先の向く怒り意外なにものでもなかった。

「えっと……ミズナ、東太とライドしてあげて?」

「……コナユキ、東太とライド出来るかな?」

「……ルーフェで良いかな?」

「うぅ……情けが逆に悲しいぜ……」

 

 

「とりあえず指定した武装と武器を持たせて、機械にある2つの穴に入れれば準備OKだよ」

 

 

 

……妙な感覚があった。

普段のライドバトルも、自分のものでない身体を自分で扱い、他人の目が見ている景色を見るという普通でない感覚。

その感覚が、単純に倍になった……のとも、違う。

形容は出来ないけど、ただ一つ言えるのは……単純に、ライドバトルより倍大変な筈。

なるほど、コレが―――

 

 

 

 

 

 

Twin Ride on!!

 

 

まず見えた景色は、神姫実験場、フィールドの全景。次に向こう側、東太がどちらもライドした二人の神姫、ヒリンとミズナ。

そして首を横に向けると、武装に身を包んだルミアが見えた。

ルミアが見える、ということは今オレがライドしてるのは、

『エンル、聞こえる?』

「はい、聞こえますよ、マスター」

「あれ?」

エンルへと声を送っていると、隣に立つルミアが首を傾げた。

『? どうしたのルミア』

「どうかしましたかルミアさん?」

「やっぱり、マスターの声が聞こえました!」

『オレの声が?』

「はい! でも、エンルさんにも声は聞こえてるんですよね?」

「はい、これはいったいどういうことでしょう……」

その時、

『それはツインライドの能力だよ』

上空からミルートの声が聞こえた。

『どちらも無事ツインライドに成功したようだね』

コレがそうなのか……でも今オレが見てる景色はエンルの視点によるものだ。これではトレーニング用筐体とあまり変わりがない。

『じゃあ動作チェックと行くよ。宗哉と東太、目をつぶって考えるんだ。移り変わる。移動する。視点を変更する。そういう感じを頭の中で考えて』

オレはゆっくりと目を瞑った。視界は瞼に遮られ黒く染まる。

故に思考しやすく、オレは頭の中で考えた。

移り変われ。と。

すると、カチン、と音が鳴った。

何かと思い目を開けてみると、目の前にエンルがいた。

『え……コレは……』

確認のため視点を下げて両手を前に出すと、予想の通りルミアのアーム武装がそこにあった。

ならコレは今、ルミアの視点か。

『ルミア、聞こえる?』

「はい!」

「あ、本当です。マスターがルミアさんに呼び掛けた声が私にも聞こえました。」

なるほど、二人にライドしているからこういうことが起こるんだ。

再びエンルへ視点を戻してみても、やはり同じように声は聞こえていたらしい。

「これはとても便利ですねマスター、遠くや姿が見えなくても言葉が届くなんて…」

『そう上手くはいかないんだよね。これが』

エンルの声を遮ってミルートの声が響いた。

『2人共、どっちか一人を相手の方へ移動させて』

ヒリン達がいる方か。

『どっちが行く?』

「では、私が行きます」

自ら立候補したエンルからルミアへ視点を移し、エンルがヒリンのいる場所へ、こちらにはミズナがやって来た。

『その距離から、声が聞こえるかやってみて』

この距離では向こうの声は届かないから、声での確認は出来ないな。なら。

『エンル聞こえる? 聞こえたら武器を振るって』

しかし、エンルが武器を出す気配は無かった。

「エンルさん、聞こえてないんでしょうか」

『そうみたいだね』

「こっちもさっぱりです」

ミズナ達もそのようだ。

『やっぱりね、じゃあそこから少しずつお互い前に歩いて、聞こえる位置まで行ってみて』

まずは二十歩で試すが、返答無し。

そこからしばらく近付いては通信を試みていると、

「あ、聞こえました。聞こえましたよマスター!」

ある位置に来たところで、エンルは武器を振って届いたことを教えた。けど、

『ふむ……ざっと23.0 ハンドガンの最大射程くらいだね』

この距離だと普通にエンルの声を聞くことが出来た。

『こんな感じで、ちょっと長めな糸電話レベルな機能なんだよ。遠い場合は、視点を変えて個々に指示するしかないね』

そこまで便利な機能ではなかったが、使い方によっては役に立つかもしれない。

『それじゃ次ね、まずは四人共、中央に集まって』

言われたように、四人がフィールドの中央に集まる。

『ツインライドシステムの新機能その2、武器の交換使用』

交換使用?

『お互いにさっき言った武器を相手に渡してみて』

エンルは小剣、ルミアはロッドを持ち、お互い相手の空いた手へと置いて、完全に手放した。本来なら他神姫に使われないようにすぐ消えてしまうのだが、

「あれ? 消えませんよ」

「普通に使えますね」

手に残るロッドを見てきょとんと目を丸くするエンルと、受け取った小剣を振りたくるルミア。

『お互いの神姫の場合のみ、相手の持つ武器を使うことが出来るんだよ』

ただし、とミルートは言葉を続ける。

『これも色々と規制があってね。まず渡す場合は一通ではなく交換が必須。次に、ビット又は武装と一体化している武器は渡すことが出来ない』

ルミアのナックルやヒリンのバズーカだ。

『後交換した銃器が弾切れした場合、リロード出来るのは本来持っていた方のみ。最後に、2つある武器の片方だけを交換することは出来ない』

前でヒリンがダブルナイフの片方を渡そうと試みるが、ミズナの手に触れた瞬間消えてしまった。

『規制は多いけど、最大一人で6種類の武器が使えるって考えればいいよね』

そうか、そういう考え方もある。

『で、コレが一番重要。ツインライドバトルの勝利条件は、もちろん相手の体力をゼロにすること。ただし、体力は二人共通。だから正々堂々戦っても二人で一人をボコってもOKってこと』

体力が二人共通か。ライドしてる人が1人だからかな?

『まぁこれくらいだね。試しに戦ってみてよ、体力はコッチで勝手に3000にしといたから。じゃ、アナウンス出すよ』

そういえばまだ開始のアナウンス出てなかったな。

エンル達とヒリン達は一定の間を開けて立った。

エンルの前にミズナ、ルミアの前にヒリンが立ち。

 

 

Ready…………Go!

 

 

 
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