No.577839

KVP:8匹目

あらすじの前に少々連絡が。先々週クリエイタープロフィールのほうに、
今週からは2週間ごとの投稿になる事を書いたのですが、こちらのほうへ書くのを忘れてしまいました。すみません。

さて今回は、場面は変わって華琳達の街から始まります。
はてさてカズトは追いつく事が出来るのだろうか、それでは、どうぞ

2013-05-19 11:13:18 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:643   閲覧ユーザー数:599

:広間

 「――以上が本日の最終報告になります」

 そう言って、春蘭は卓の椅子に着いた。

 あれから華琳達は街の居城へと戻ってきていた。

 あの穴を見つけてからは何事も起きず、順調に作業を進めて街へ戻って来れた。未だ現場には残し

てきた200人の兵士と秋蘭が周辺の見張りを行っているが、定時の連絡でも商人が近くを通った事

ぐらいの物しか入ってきていない。

 周辺の閉鎖が終わり次第帰ってくるよう言ってあるので、明日の朝までには帰ってくるだろう。

 「しかし華琳様、あれほどの穴、一体どうやって開いたのでしょうか」

 そして今、帰ってきてすぐに開かれた緊急会議を終えたところである。

 誰しもが、疑問に思っていることを春蘭が華琳に問うと、華琳は首を振った。

 「分からないわ。帰ってきて直ぐに書物や、町人の噂話なんかをあさったけれど、一致するものは

無かったし、町人はあの穴の存在自体知らなかったわ。もしかしたら、本当に星が落ちたのかも知れ

ないわね、春蘭?」

 「か、華琳様!」

 「ふふっ、冗談よ。まあ何にせよ、今の私達の力じゃあんな大きい穴を埋めることはできないでき

ないし、せいぜい有効活用出来るようにしましょう」

 「どのような?」

 「そうね、例えば―――」

 「きゃああああああああああああああああ!!!」

 「な!?」

 「春蘭行くわよ!」

 「はっ!」

 突然響いた悲鳴に一瞬驚いた二人だったが、華琳のほうが一瞬早く動き出した。

 そして扉から勢いよく飛び出し、悲鳴がした方向へと駆けていった。

 

:森

 「よし、此処で最後だな」

 秋蘭は森で穴の周辺の封鎖工作を行っていた。

 簡易なものであったが木で柵を作って囲み、周囲の村々への連絡に行っていた兵もほとんどが帰っ

て来ていた。

 街道も近くには通っていないようで、残り数人の兵が戻り次第街へ戻ろうとしていた。

 そのとき、秋蘭の後ろの茂みがガサリと音をたてた。

 「ッ!」

 反射的に弓を構えて振り向き、茂みをじっと睨み付ける。

 しばらくガサガサと音を立てていたがそれは不意にやみ、カサリとそれは顔を除かせた。

 「ッ!・・・・・・兎?」

 引いた弓を放ってしまいそうになったが、確認するとそれは野兎だ。

 秋蘭は張っていた気を抜き、弓を下ろした。

 「ふう、私も幾らか緊張していたのだな。そら、追いかけたりしないから早く行け」

 そう言うと兎は茂みに身を戻した。

 「夏侯淵様、残りの兵が戻ってきました」

 そこへ丁度兵からの報告が入った。

 「うむ、では街へと戻る!そろそろ日が沈む、少しばかり駆け足で戻るぞ!」

 「「「応!」」」

 そう言い放つと、秋蘭達は森を抜けて街へと戻っていったのであった。

 

 

 

 

 

 「ピギィッ」

 「・・・・・・」グジュルグジュル

 茂みの中では、先ほどの兎が見るも無残な姿になっており、その身を白い蛇――チェストバスタ

ーが食らっていた。

 

:廊下

 華琳と春蘭は悲鳴のした現場へと来ていた。

 二人が着いた時にはすでに数人の侍女や兵士が来ており、薄い人だかりが出来ていた。

 「ええい、どけぇい!道を開けよ!」

 そう春蘭が一喝すると、人だかりが割れた。

 見ると、一人の侍女がうずくまって泣いている。

 「一体何があったの?」

 「曹操様!いえ、それが自分にも何がなんだか」

 そばの詰め所にいた兵に問いかけてみるが、彼も誰一人さっぱりわからないようだ。

 華琳はその侍女に駆け寄り、事情を聞くことにした。

 「大丈夫?何があったの?」

 「うぐっひぐっ、そ、曹操様・・・」

 ガタガタと震えながらも、必死に答えようとするが、やはりショックが大きかったのだろう、声が

出せないでいる。

 しかし、手が持ち上がり、その指が廊下の手すりの外の庭の一点を捉えたとき、集まっていた者達

全員が息を呑んだ。

 そこにあったのは

 「人?そこの貴方!そこで一体何を・・・!」

 「?あれは庭師の者では?って華琳様!?」

 華琳は春蘭の制止を振り切り、手すりを乗り越えて庭へ出た。

 そこにいたのは庭師と思われる男性だった。何故か仰向けに倒れており、動かないでいる。

 その庭師のそばへ駆け寄ると、華琳は立ちすくんだ。

 「・・・ッ!春蘭!」

 「は!」

 「城内に警戒網を敷け!侍女も兵士も最低3人での行動を義務付け、業務を終了させてそれぞれ部

屋にこもるように!それと城門を一刻も早く閉めなさい!」

 「は、はい!よしお前達、聞いたな。侍女は侍女長に言って通常の業務を終了、兵もだ。それと兵

士は――――」

 春蘭は各所に連絡するようその場にいた者たちに命令し、春蘭自身はその場に残り華琳の傍へとつ

いた。

 「華琳様!各所への通達終わりました。一体どうなさっ・・・!?」

 「・・・・・・」

 「華琳様、これは・・・」

 庭師は倒れていた、周りに真っ赤な花が咲いたように血飛沫を飛ばせて。

 


 
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