まえがき コメントありがとうございます。最近あったかくてついついお昼寝したくなっているsyukaです。さて、祝融と美以ら南蛮勢を仲間に迎え入れた一刀たち。蜀陣営の女子率がグンと上がりましたね。南蛮兵が大量にいるので、あれはカウントしていいのかとどうでもいいことを悶々と考えています。それではごゆっくりしていってください。
「ふぁぁ~~~。ん~~?」
ここは・・・私のお部屋ではないですね。そういえば、昨日は薔薇ちゃんと一緒に北郷さんのお部屋にお邪魔させていただいていたのでした。薔薇ちゃんはまだ北郷さんと眠っていますね~。先日よりは体調もよろしいですし、少しお城の周りをお散歩してきましょう。
「行ってきます~。」
私はお二人を起こさないようにお部屋を出ました。・・・この劉弁の行動が一刀を奔走させることになるとは夢にも思わなかったであろう。
・・・
今日はお外も天気が良くて心地良いですね~。お散歩にはちょうど良いです。
「おや、劉弁様じゃねえですか。おはようございます。」
「おはようございます。あなたは確かこちらの将の・・・」
「馬鉄ってんだ。ん?劉弁様が起きてるっつうことは兄貴と劉協様も起きてるっつうことかい?」
「兄貴?」
「あぁ。一刀の兄貴だよ。」
「北郷さんはまだ薔薇ちゃんとお休みしてますよ~。私は朝のお散歩ですね。今日はお外が暖かいので体調も良いんです。」
「護衛も付けないで大丈夫かい?」
「お城の周りだけですので心配ありませんよ~。」
「う~む、まぁいいか。護衛が必要なときはいつでも呼んでくれよ。」
「はい~。」
てくてく。
「行っちまった。・・・なんか危ういぜ。何か万が一のことがあっちゃいけねえし、こっそり見張っとくか。」
・・・
「ん、んんーーー!!」
もう朝なのね・・・。一刀はまだ夢の中、姉様はいない。・・・!?いない!?
「一刀!!姉様がいないわ!!」
「むにゅ・・・。」
「起きなさい!!」
「痛!?」
あ、思わず頬を叩いてしまったわ。
「な、何事!?」
「姉様がいないのよ!!」
「え!?」
一刀が部屋をキョロキョロして、唖然としているわ。
「・・・大変だ!!」
「だからそう言ってるじゃない・・・。」
これから姉様を探す慌ただしい一日が始まった。とりあえず城の敷地内を探してみることにした。
「いつの間にいなくなったんだろうね?」
「姉様は妹の私でも、たまに何を考えてるか分からないことがあるから・・・久しぶりに外に出れるから、散歩にでも行ってるんじゃないかしら。」
「ご主人様に劉協様?」
「愛紗、いいところに。」
「どうなされたのですか?」
・・・
「朝起きたら姉様がいなかったのよ。愛紗、見てないかしら?」
「見てないですね。私の部隊の者たちにも捜索するよう通達しておきますので、ご安心ください。」
「俺たちも探してみるから、見つかったら報告お願いね。」
「分かりました。」
私たちは朝の鍛錬に勤しむ愛紗に別れを告げ、厨房へと向かった。
・・・
俺は劉弁様を見張るよう尾行しているのだが、予想以上に動く子だな。服、食物、装飾品、はたまた絵画と見ては移動し、見ては移動しを繰り返している。おっ、ようやく立ち止まった。その隣には恋ちゃんとねねちゃんじゃねぇか。
「(じーーーーーっ。)」
「恋殿、後で朝食を摂れるのですから桃まんは食後でも・・・」
「桃まんは、別腹。」
「これは何ですか?とても甘え香りで良いですね~。」
「これは桃まんよ。饅頭の中に桃の果実と果汁が入っているの。ん?そう言えば見ない顔ね。服装を見る限り、お城のお客様?」
「はい。先日から北郷さんのもとでお世話になっているんですよ~。」
「あらあら・・・ところで、呂布様はいつもので良いですか?」
「(こくっ)彼女のも、一つ追加。」
「分かりました。」
恋ちゃんは桃まん屋の姉ちゃんから桃まんを五つ受け取り、ねねちゃんと劉弁様にひとつずつ渡した。恋ちゃんが桃まん三つに抑えたのは少し驚きだな。
「良いんですか?」
「(こくっ)皆で食べると美味しい。」
「恋殿、これを食べたら城に戻りますぞ。」
「(こくっ)」
ようやく城に戻るか。とりあえずは一安心だな。
「蒼、こそこそと何をしているのです?」
「おわっ!?な、なんだ、姐さんか・・・。」
「なんだとは何ですか。ますます怪しいですね・・・。」
「劉弁様が散歩するって本人から聞いたから心配で見張ってたんだよ。」
「そうですか。あなたがついに幼女に手を出すのではと心配しましたよ。」
「姐さんが俺をどう思っているかが凄く気になるが・・・兄貴はどうなんだよ?流琉ちゃんや鈴々も幼女だろ。」
「ご主人様なら皆を愛してくださるからいいの!」
「へいへい。」
俺たちは恋ちゃんたちが城に戻っていくのを確認し、少し後ろからついていった。
・・・
俺は薔薇と一緒に厨房まで来ていた。とりあえず、愛紗と別れてから劉弁様を見てないあたり、城を抜け出て市に行っているのかもしれない。
「ご主人様に薔薇様、おはようございます。」
「月、丁度いいところにいたわ。姉様を見てない?」
「劉弁様ですか?今朝は見てないですね。どうかされたのですか?」
「朝起きたら劉弁様がいなかったんだよ。昨日は俺の部屋で寝てたはずなんだけどなぁ・・・。」
「ご主人様のお部屋ですか・・・。(ちょっと・・・いえ、かなり羨ましいですね。)」
「ん?どうかした?」
「いえ、何でもありません。こちらには来ていないので、市の方に出たのではないのでしょうか。」
「分かったわ。ありがとうね、月。」
「いえいえ。もうすぐ朝食の準備ができますので、早く見つけてきてくださいね。」
「おう。」
俺たちは城を後にし、市へと向かった。劉弁様と入れ違いになったとは気づかずに・・・。
・・・
「蒼にい様、こんな朝っぱらからどこをほっつき歩いてたの?」
「朝の開口一番に・・・まぁいい。少し市の警邏だ。」
「ふ~ん。」
「聞いておいてそんな反応かよ・・・。」
ようやく城に戻って来れた。恋ちゃんと劉弁様はどちらものんびりとしているから、えらく時間がかかったように感じるぜ。
「みんな、おはよ~。」
「桃香様、しゃんとしてください。あ~、また寝癖を付けたままで・・・ご主人様。・・・ご主人様?」
「ん?一刀?おらんな。まだ寝とるんやないか?」
「いや、今朝方に劉協様と城内を歩いているところで会話したからな。そういえば劉弁様を探していると言っていたな。」
「せやけど、劉弁様ならそこにおるで。」
「・・・少し探してくる。」
「ちょい待ち。それで愛紗まで入れ違いになったら元も子もあらへんで。ここは戻ってくるんを待つほうが吉や。」
「しかし・・・。」
「星と紫苑が警邏に出とるから一緒に戻ってくるかもしれんやんか。」
「う、うむ・・・。」
愛紗の姐さんが納得していない顔をしているな。ここは俺が探してきたほうがいいか?
「よし!焔耶、お館様たちを探しにゆくぞ!」
「え!?何故私も!?」
「つべこべ言わずについて来い!」
「ちょっ、引っ張らないでください!あっ、アッーーーーーー!!」
「ほれ、桔梗たちが探しに行ったことやし、愛紗は大人しく待っとき。」
「あれは連行されたと言ったほうが正しいような気がするのだが・・・。」
「細かいことは気にしたらあかんで。」
焔耶の姉御は大丈夫だろうか?少し涙目だったぞ?
「けれど、私たちも心配ですね・・・。誰かいませんか?」
「徐庶様、どうされたのですか?」
「ご主人様の姿が見えなくて、探してきてくれませんか?恐らく市を散策されていると思いますので。」
「分かりました。では、私の隊の子たちにも伝えておきますのでご安心ください。恵、美香、行くわよ。」
「先に見つけた人は黒あんみつのくず餅、奢りね!」
「乗った!!お先に~。」
「あっ、二人とも・・・もう。では、失礼します。」
あれま。いつの間にか兄貴たちの捜索になっちまった。・・・兄貴たちを見張っといたほうがよかったかもしれねーぜ。
・・・
俺たちは城を出て北側は見て回ったが、見つからなかった。薔薇の表情も心配の色を隠せずになっている。
「姉様・・・大変なことに巻き込まれていなければ良いのだけど。」
「きっと大丈夫だよ。だから、見つかるまで頑張ろう。次は西側を探そうか。」
「え、えぇ。」
う~ん、すぐに見つかると踏んでいたんだけどなぁ。俺たちはひとまず西側へ移動し聴きこみ調査を開始した。
「北郷様、いらっしゃい。今日はお幾つご所望ですか?今、角煮が出来立てですのでおすすめですよ。」
「いや、今日は客じゃなくて。ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
「えぇ、構いませんよ。」
「俺の隣にいるこの子によく似た子を見なかったかな?今朝から姿を見なくて探してるんだ。」
「いえ、すみませんが見ていませんね。ですが、先ほど北郷様を探しているたちが来ましたよ。」
「へっ、俺?」
「はい。何でも城になかなか戻ってこないので探していると。」
「あちゃー、俺まで探されてるのか・・・。ここは一度、城に戻っておいたほうが・・・。いや、誰か兵の子達をさがして・・・」
「あーーー!!隊長発見!!」
「・・・ん?」
声のした方に振り向いてみれば、俺を指差す美香がいた。
「美香、ちょうどいいところに・・・。」
「隊長、早くお城に戻ってください!将のみなさんが心配していますよ。」
「けど、劉弁様がまだ見つからなくて・・・。」
「? 劉弁様ならお庭で朝食をいただいてましたよ?」
「・・・。」
「一刀、戻りましょう。姉様がいたのなら問題ないわ。・・・はぁ。」
「そ、そうだな・・・。」
もしかして、市に行ってなくてずっと城の中にいたのか?ま、まぁ。劉弁様が無事ということが分かっただけで結果オーライということにしよう。
「それなら早く戻ろうか。そういえば、まだ俺たちまだ朝ごはん食べてないしね。」
「そうね。私も結構歩いたからお腹が空いたわ。」
「美香、俺のことって美香以外に誰か探してたりする?」
「うちの子たち全員と厳顔様、それに魏延様です。」
「・・・一刻も早く俺が見つかったって報告してね。」
「了解です。」
美香は俺に敬礼すると、市へ駆け出し雑踏の中へと消えていった。
・・・
俺と薔薇が城に戻り、庭に向かってみれば美味しそうに朝食を食べている劉弁様がちょこんと椅子に座っていた。
「姉様!朝からどこに言っていたのですか!心配したんですよ!!」
「みゅ?そらちゃん、おふぁよ~(もきゅもきゅ)」
「おはようございます。それと、話すなら食べ物を飲み込んでからにしてください。」
「(もきゅもきゅ・・・ごくん)どうしたの?何か疲れてる?」
「えぇ、疲れてます。朝起きたら姉様が一刀の部屋にいなかったので、一刀と市まで姉様を探しに行ったんですよ。」
「あら~、それはごめんなさい。」
ぺこっと頭を下げた劉弁様の姿に思わず脱力してしまった。いや、別に怒ってたりはしてなかったんだけど、何とも言えない安堵感を感じた。
「それで、劉弁様はどこに行っておられたのですか?」
「今日はお日さまが心地よかったので、お外にお散歩に行っていたんですよ~。そしたら市で呂布さんと会って、桃まんというものをご馳走していただきました。とても美味しかったです~♪」
ほにゃっと笑む劉弁様を微笑ましく思いながらも、二度目の脱力感を味わう俺。さっきまでの心配もどこか遠くに飛んでいってしまった。
「姉様、次から外出するのでしたら、せめて私か一刀に一言伝えてからにしてください。」
「二人とも気持ちよさそうに眠っていましたので、起こすのを躊躇ったんですよ~。薔薇ちゃんなんか北郷さんにくっついて、それは気持ちよさそうに・・・」
「わーーー!!わーーー!!姉様、それ以上は言わないでください!!//」
「ふふっ♪」
うーむ、あの薔薇が押されている・・・。劉弁様、色々と手ごわいな。ぽわんぽわんとしている掴みどころのない雲のような、それでいてふわふわで甘い綿菓子のような方だ。
「その、北郷さん、よろしいですか?」
「はい?」
「食後、城内と市の案内をお願いしても良いですか?まだ勝手が分からないので、色々と教えていただけないかと思いまして~。」
「えぇ、分かりました。私でよければご案内しましょう。」
「一刀!私も行くからね!」
「はいはい。」
「ご主人様!私も行くよ!!」
「桃香はまずその寝癖を直してからな。」
「はーい。」
この日は四人で市をのんびり回った。それはひと波乱起きる前の前日。
翌日、五胡が成都に向けて進軍してきたと報告が来ることになるとは皆、露ほどにも思っていなかった・・・。
あとがき 読んでいただきありがとうございます。今回はいつもの半分の量でお送りしました。少しでも劉弁様のぽわぽわ感が伝われば良いなと思います。さて、次回は五胡の大軍が押し寄せてきます。一刀たちの運命やいかに!! 次回 第七節:西楚覇王と覇龍と漢女大乱舞 戦場を染めるは桜屍と鮮血と桜吹雪 でお会いしましょう。
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何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に大陸の平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。