No.576422

呪術師の復讐編

第二章です。この話し始めてみる人はプロローグと第一章を見てください。

2013-05-14 23:32:00 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:292   閲覧ユーザー数:292

呪術師の復讐編

 

第二章    

 

吸血鬼現る

 

シャルルは村長の自宅をでて村中をその俊敏さを生かして駆けていた。しかし、刻々と辺りが暗闇に支配される。何か事件の手掛かりを見つけ出すにはあまりにも条件が悪い。

 

「くそ。暗くてわからない・・・今日は満月ではないの?なんで月が出ていないのよ」

 

そうシャルルの言ったことは事実だった。昨日まで真ん丸とまでいかない形で天に浮いていた月が今日は出ていない。出てもいい時間帯なのに、雲に隠れているわけでもないのに・・・

「隊長」

 

暗闇の中から山城の声が響く、しかし、真っ暗になってまだ目が慣れていないせいか、どこに山城がいるか分からない。

 

「どこにいるのやまし・・・ろ」

 

その時、背筋が凍りそうなくらいの気配を感じた。

「後ろに何か・・・いる」

 

恐る恐る後ろを振り向いたが、そこに誰もいなかった。

「なに、この気配」

 

シャルルの体から尋常でないくらいの汗が流れ出てくる。その体を軽くたたく山城の手の感覚を感じるのに少し掛かった。

 

「隊長大丈夫ですか?もう暗いですから村長の家に行きましょう。泊めてくれ・・・」

 

しかし、シャルルは山城の言葉を遮って言った。

 

「山城目を閉じて感覚を研ぎ澄ませてみなさい」

 

シャルルは山城に命令した。突然の命令だったのだが山城は文句を言わずに目を閉じて感覚を研ぎ澄ませた。

 

「!!」

 

山城もシャルルが感じ取った感覚を実感した。

「山城、どう?」

 

「はい、事態は最悪のようですね」

 

シャルルの顔は血の気がなく青ざめていた。

「と・・・いうことは・・・」

 

「はい。この殺気に近い感覚。間違いありません。犯人は吸血鬼のようです」

 

「・・・そう」

 

シャルルはうつむいたまま山城の言葉を耳で聞き、頭で受け止め理解するのに少し時間がかかった。

更に山城は衝撃的発言をする。

 

「この気配は吸血鬼の中でも最強クラスですね・・・」

 

「最強クラス?」

 

「はい、伯爵クラスです」

 

「伯爵クラス?それと吸血鬼、どう違うというの?」

 

山城は村長の家までの帰り道で伯爵の恐ろしさを語る。

 

「吸血鬼には階級制度があるのです。伯爵はそのトップに値する地位であり、獲得した吸血鬼は同族から尊敬されるのです。もちろん下級の吸血鬼ですら、ただの人間では勝ち目はないでしょう。伯爵クラスの吸血鬼はそういった地位の低いクラスの吸血鬼に命令を出してターゲットを確実に捕獲して、獲物の血を一滴も残さず吸い付くし、殺すのです」

 

「でも、本では伯爵クラスの吸血鬼はもちろん、吸血鬼は『流血の荒野』で死滅したはず・・・」

 

山城は首を横に振り真剣なまなざしでこちらを向く。

 

「本がすべて真実を語っていると思われるのは大きな間違いです。実は戦いの最中に戦場から光の柱が現れたのです。その光は月から放出されていたと諸説あります」

 

「月?」

 

シャルルは天を見上げたが・・・先ほどと同様、月は天に昇っていない。

 

「月から放出された光に触れた吸血鬼たちは身を焼かれ次々死に絶えました。伯爵は弱りましたが死ぬ一歩手前で突然姿を消したのです。それを確認したのは私のご先祖様だったのです・・・」

 

シャルルは驚いた表情をした。しかし、月明かりがない真っ暗な道中では相手の表情をうかがうのなんか当然できない。山城はシャルルに構わず話を続けた。

 

「当時私のご先祖様は吸血鬼討滅隊の副隊長をしていたのです。戦いが始まってから二、三時間で勝敗は目に見えていました。人間側は吸血鬼を殺すどころか傷つけることすらできなかったのです。討滅隊の隊員たちは死を覚悟したそうです。その時、戦場に巨大な魔方陣が展開したそうです。その中にいた吸血鬼と隊員たちは次の瞬間月から放たれた光で身を滅ぼしました。その中にいた伯爵だけは生き残りました。だが、体全体に大きなやけどを覆った伯爵の体は自己回復できないほどの傷を受けたのです」

 

「そして、戦場から姿を消したと・・・」

 

「お察しの通りです。伯爵は今もこの星のどこかで生きていると思います」

 

シャルルは先ほど背筋がぞっとしたことを思い出した。その時、携えていたサクリファイスが突如語り始めた。

 

「マスター、先ほど泉で感じ取った残像気配は恐らく吸血鬼で間違いありません。彼らが動き出したということは・・・破滅の始まりを意味しているのかもしれません」

 

サクリファイスが言った言葉の意味を理解したシャルルは先ほどと比べ物がないほどの身震いをした。

 

「じゃ・・・私たちは死ぬのかしら・・」

 

山城は完全弱腰のシャルルを見て言った。

 

「まだ諦めてはいけません。諦めたらそこで負けです」

 

「そうですマスター。私が付いています。マスターに降りかかる最悪は私が振り払っていきますから、諦めないでください・・・」

 

 

二人の気遣いに感謝しつつ気持ちを落ち着かせて村長の自宅へ急ぐ。

 

そして、サイハテ村の入り口付近までたどり着く事が出来た。

 

「でも山城、よく暗闇の中で村まで着いたわね」

 

山城は「ああ」という態度をとりながら種明かしする。

山城は懐から矢印が模られている鉱物を取り出した。

 

「これは…何?」

 

「これは迷い人を正しき道へ導く『導きの磁石』矢印の先に私の進むべき道を示してくれるのです」

 

サクリファイスはまた光った。

 

「その鉱石があるから山城殿は迷わずに進めるのです」

 

「サクリファイスの言う通りです。これは迷いを断ち切る、私の大切なものです」

 

「へえ、すごいのを持っているのね・・・」

 

シャルルはサクリファイスの輝きで山城の導きの磁石を見ている。

 

「何を言っているのですか隊長。貴方にはサクリファイスがあるでしょ」

 

サクリファイスは自分の名が呼ばれたので少し光ったがすぐに暗くなり眠りについた。

 

「そうね、この剣は私の一番大事なものなのよね・・・」

 

「その通りです」

 

シャルルはサクリファイスに手を当てた。それと同時にサクリファイスがシャルルの行動に答えるかのように、ほんの少し輝いた。

 

「よし、腕が鳴るわ、吸血鬼はこの私とサクリファイスで討ち滅ぼして見せる」

 

シャルルは先ほどと違いもう体の震えは無かった。それどころかいつものようにやる気に満ち溢れている。

 

『ぐうーーー』

 

暗闇の中に勇気を取り戻した少女の腹はエネルギー補給を要請しているらしい。

「ははは、いつもどうりの隊長に戻って安心しました。これでいつ敵に襲われても大丈夫でしょう」

 

「なによ、からかわないでよ・・・ふん」

 

「村長が御馳走を用意しているみたいです。早くいきましょう」

 

山城はシャルルに言うと村長宅へ向きを変えた。

シャルルは月が出ていなくてよかったと考えていた。こんな赤面している姿を年上の部下に見られたら、肴のおかずとして利要されるからだ。

 

その日の夕食は村長の召使が二人の警護団に御馳走を用意してくれた。それらをものすごい速さで食べまくる姿を見た村長のピエールはワイングラスを片手に笑いながら言った。

 

「ははは、良い食べっぷりだな。これなら事件解決も早そうだ」

 

などと陽気に語っている。今まで村長一人でこの殺人事件を解決しようと必死になっていたが進展しなかったことを村人のある一部では役立たずなどと罵っている。その重荷を共有する者がいるのといないのとでは全く違うのだから。

 

シャルルはテーブルに用意された食べ物を飢えた野獣のようにバクバクバクバクと食べていた。山城は口では言わなかったがこう思った。

 

(はあ、隊長には女性としての上品さが欠けている。この事件が無事すんだら食事の作法ぐらい教えた方が良いでしょうね・・・)

 

シャルルは満足そうな表情をしてグラスに注がれていた飲み物を飲みほした。

シャルルは両手を前で合わせて「御馳走様でした」と満足げに言った。

それを聞いた召使は頭を下げて「お粗末さまでした」と返して来た。

ふとシャルルは召使にこう聞いた。

 

「ねえ、あなたの名前を聞かせてくれない。その方が何かと便利ですから」

 

召使は食器を下げていた動作を止めてシャルルの方を向き名乗った。

 

「失礼しました。私の名前はクレハ。ピエール様の専属召使です」

 

名乗った後は先ほど中断した食器の片づけに取り掛かる。

山城はクレハが調理場へ行った後村長に尋ねた。

 

「クレハさんはいつから使用人として働いているのですか」

 

村長はしばらく黙った。

 

「何か訳ありなのですか?」

 

村長は言うか言わないか考えている様子だったが決心したらしく語ってくれた。

 

「あの子は村はずれにある泉のほとりで倒れていたのを保護したのです」

 

「そんなことがあったのですか」

 

「もしかして山賊にでも襲われたのかしら?」

 

「それが・・・クレハには以前の記憶がないらしいのです」

 

『!!』

 

記憶喪失になっているものが身近にいないから驚いてしまった。

 

「すると、今までの記憶がないということなのですか?」

 

「はい、自分の名前と通常の暮らしに支障が出ないくらいまでの記憶はあるらしいです。しかし、それ以外の記憶はなかったのです。そこで私が身元引受人ということで彼女を引き取ったのです」

 

「そうでしたか・・・」

 

シャルルはふと疑問に思った。

 

「記憶喪失の人間を使用人として利用するのはどうかと思いますけど」

 

「た…隊長」

 

山城は隊長の失言に反応した。

村長は反応せずに椅子から立ち上がった。

 

「もちろん、他者から見れば記憶の無い娘を使用人として利用するのを反対するのは当然だと思います。私だって記憶を取り戻すために時間を費やしてほしいのですが・・・彼女が働いていたいと聞き分けないので家の手伝いをしながら記憶を取り戻せればいいなと考えたわけです」

 

「どうしてクレハさんは働きたいと思ったのかしら?」

 

山城は隊長の疑問に答える。

 

「恐らく、動き回っている間はそちらの方に集中する事が出来て、記憶が無いという現実から目を背けたいのだと思います」

 

「・・・なるほど」

 

村長は外を見てある異変に気付く。

 

「今日は満月ではありませんでしたっけ」

 

先程二人が疑問に思ったことを口にした村長。二人は夕食をとるという目的が勝ってしまったため記憶の奥の奥へと追いやってしまったのだ。

 

「そうでした。月が出ていなかった」

 

「はあ、夕食のことばかり考えていたからという理由は通用しないかも・・・」

 

その時、

 

「きゃああ」

 

クレハの悲鳴が屋敷に響く。

 

「クレハの悲鳴」

 

「隊長」

 

「分かっている」

 

シャルルは大広間を出て猛スピードでクレハの元に駆ける。

 

長い廊下が続いたがスピードを落とすことなくクレハのいる調理場へ駆け付ける事が出来た。そこにはクレハの頭を鷲掴みにしている男がいた。

 

「男、今すぐその子を離しなさい。そうすれば命の保証はしてあげる」

 

しかし、男は聞く耳を持たない。

不審に思ったシャルルは再度警告した。

すると男はこちら側に顔を向けた。

シャルルは目を見開いて驚いた。

男には生気を感じないからだ。

目は光を無くして白く曇っている。

 

「なにこいつ・・・」

 

山城が少し遅れて駆けつけたが、瞬時に状況を把握した。

 

「隊長そいつはグールです」

 

「グール??」

 

本でグールについて記載されていた。グールとは吸血鬼が血を吸った生き物を意のままに操ることができる死人のことだ。操れる人数は吸血鬼自体が強ければ強いほど多くを従わせることができる。だが大抵は二、三人が限界だろう。

 

村長は少し遅れてきた。村長が乗っているのは木製の車いすだ。どうやら自動で動く車椅子のようだ。

 

「!!あれはセドリック。なぜ、奴がクレハを襲っている?」

 

「村長。あの人は知り合いですか?」

 

村長は頷いた。

 

「山城。どうすればいい。クレハさんを救うには・・・どうすれば」

 

「・・・・」

 

シャルルは思いもよらぬ言葉を聞いた。

 

「隊長。グールを切り殺してください。彼はもう絶命しています。私たちが出来るのは彼の肉体を永遠の眠りへと導くことだけです。そうすればセドリックという若者の魂を鎮める事が出来るでしょう」

 

『!!』

 

シャルルと村長は山城の言葉を聞いて驚いた。

シャルルはサクリファイスをセドリックに向けながら山城に尋ねた。

 

「それしか方法がないのね…山城」

 

「残念ながら・・・」

 

「そう」

 

シャルルはサクリファイスを構えてセドリックに飛びかかろうとしたが、村長がそれを阻止する。

 

「待ってください。セドリックを殺さないでください」

シャルルと山城にそういった。

 

「彼には奥さんと幼い子供がいるのです。彼が死ねば家族が悲しみます」

 

山城は村長にこういった。

 

「残念ながら先ほども言ったように、彼はもうすでに亡くなっています。魂は恐らくこの地にはもういません。それに肉体は吸血鬼の忠実なおもちゃとして命令を実行する。現にクレハさんが襲われています」

 

「・・・」

 

村長は目をつぶって山城の言葉を黙って聞く。

 

「これ以上彼に恥を駆けてはいけません。この意味お分かりになりますか」

 

「・・・」

 

「人として最も恥ずべき行為に及んでいる彼の肉体を眠らせるには生きている私たちが引導を渡さねばならない。それが私たちにできる彼への弔いとなります」

 

シャルルはクレハを掴んでいる腕を切り取りにかかったがセドリックのグールはそれを俊敏に避けてクレハを抱え込むようにして外へ出て行った。

 

「くっ」

 

 

シャルルは猛スピードで後を追う。

山城もそれを見て後を追う。

 

その場に取り残された村長は黙った彼らが走り去るのを見ることしかできなかった。

 

シャルルはセドリックを追ったがさすがに月が出ない山道を駆けるのは非常に危険で相手を取り逃がしそこから、迷子になりやすい。

案の定と見失ったシャルル。自分が何処にいるのかもわからない。

 

「くそ…こんなに暗いとどこに逃げたか分からない・・こんなことしている間にクレハさんは死ぬかもしれないのに」

 

シャルルは自分自身の無力さに苛立ち近くにあった木を蹴り倒した。

 

そこに少し遅れて山城が駆け付けた。

 

「隊長、苛立っていても何も始まりませんよ」

 

「そんなの分かっているわよ」

 

山城は懐から導きの磁石を取り出して掌の上に置いた。すると矢印の先が動き始めてあるところで止まった。

 

「こちらですよ隊長。本当に救いたいのでしたら、頭を冷やしてください。冷静な判断をしないとこちらがやられてしまいます」

 

シャルルは山城が言った言葉の意味を理解し少し落ち着かせた。すると、今まで頭に溜まっていた血が循環した。するとサクリファイスが輝き始めた。

 

「マスター。先ほどから月が輝いていないことは存じていると思います。以前にもこのような現象が起きたことがあったのです。そうあの流血の荒野が集結するきっかけとなったあの日の巨大な魔方陣。そしてその光が草原を焼き、荒れた荒野を作り出したのです」

 

「もしかしたら、またあのようなことが起こるというのですか」

 

「恐らく」

 

「・・・」

 

シャルルは二人に言った。

 

「いまはクレハさんの救出が先です。余計な詮索は人質の死へとつながります。迅速に救出しなければ・・・」

 

山城はシャルルが言った言葉の重さを改めて考えた。

 

「確かに、今は一刻もクレハさんを救出しなければいけません。私たちが来て死者を出したとなっては恥ですから」

 

「そうよ、さあ行くわよ。山城サクリファイス」

 

サクリファイスは輝き「了解、マスター」と返事した。

 

「分かりました隊長殿」

 

山城は導きの磁石を片手に持ち暗い道を進。

シャルルは後ろを追う。

 

十分くらい歩くと見慣れた場所に到着した。

シャルルたちが初めに降りた泉のほとりだ。だが、周囲は暗く視界が全くきかない。

 

「山城。本当にここで良いの?」

 

「間違いありません。導きの磁石はここを指しております」

 

シャルルは目を細めて注意深くあたりを見渡した。

 

すると泉の中心に何やら人影があった。

 

「山城。あれは・・・なに」

 

山城は返答できなかった。そこには人間が聖水を持っていない時にあっていけない生物が泉の上に浮いていた。

 

「あれが・・・・吸血鬼」

 

山城は答えなかったので代わりにサクリファイスが返答した。

 

「はい、マスター。あそこにいるのは正真正銘の吸血鬼です」

 

シャルルはサクリファイスを鞘から抜こうとしたが・・・

 

抜けなかった。

 

「う・・そ」

 

いつの間にか吸血鬼がシャルルの剣、サクリファイスを片手で抑えていた。

山城は吸血鬼に向かって銃を向けた。

 

「隊長から離れろ」

 

すると吸血鬼は不気味に笑みを浮かべた。

 

「ねえ、そんな玩具で僕をどうするきだい?」

 

「山城。刺激するな。この吸血鬼には殺気を感じられない」

 

山城は「はっ」と気づいた。

 

「確かに、あそこで感じた感覚はこの吸血鬼から感じられない」

 

吸血鬼はサクリファイスから手を離した。

 

「よかった。話が分かる人が来てくれて。そうでなかったら、この泉が真っ赤な血で覆われるところでしたよ」

 

と言って、先ほどいたところに移動した。

 

「・・・クレハさんをどうする気?」

 

「あの子は君たちを呼ぶための人質。話が済めば返してあげる」

 

「それは、本当だな・・・」

 

「僕は人間ではないのでね。約束を破りはしない」

 

山城は吸血鬼に言い放った。

 

「話とはなんだ、それにお前たちがあの村・・・」

 

「黙れ」

 

吸血鬼がそういうと山城の口に植物のツタが絡まり口を塞いだ。

 

「!!」

 

「山城」

 

「僕は彼女に用があるのだよ。山城君。少し黙っててもらう」

 

「貴様」

 

シャルルはまたサクリファイスを抜こうとした。その時、吸血鬼はものすごい眼差しでこちらを見た。

 

「あれ、僕さっき言ったよね、話に来ただけだと。もし、話を聞いてくれなかった場合は・・・・・・・

殺すと」

 

シャルルはサクリファイスから手を離した。

 

「そう、素直な子は殺したりしないよ」

 

吸血鬼はニコリと笑った。

 

「話って何」

 

「君たちはあの村で起きた事件を解決するために派遣されたのだろ?」

 

「そうよ」

 

「その犯人捜しを僕も手伝う」

 

 

「・・・・・・はっ」

 

吸血鬼が余りにも意外なことを言ってきたのでシャルルは目を丸くしていた。

 

「なんで、だって、犯人は吸血鬼で、さっきのグールだってあなたが殺した・・・」

 

「ああ、さっき君たちをここへ導かせた人間の男は僕が暗示をかけてそうするように仕向けたのさ」

 

「じゃあ・・・」

 

「ごめんね、こうでもしないと話を聞いてもらえないと思ったから」

 

吸血鬼は指を鳴らした。すると山城の口を覆っていたツタが離れていく。

 

「大丈夫。山城」

 

「御心配なく。大丈夫です隊長」

 

「話を聞いてくれたから、さっきの男と女は返すよ」

 

するとツタに絡まった二人がシャルルたちの目の前に置かれた。

 

「・・・吸血鬼教えて、何故あなたが犯人を追っているのかを」

 

吸血鬼は泉の近くにあった岩の上に上り座った。

 

「理由は簡単。その犯人に用があるからさ」

 

「・・・分かったわ、一緒に犯人を捕まえよう!!・・・ええっと」

 

シャルルは彼の名前が分からず言葉が出ない。

 

「僕の名前は『ウル・ブラッドレイ』ウルと呼んでくれていい」

 

「分かったわ。よろしくウル」

 

「ああ、よろしくねシャルルに山城君」

 

「・・・」

 

山城はウルのことをにらみつけていた。

 

「どうしたの。山城」

 

「・・・いいえ。なんでもありま・・・」

 

「ああ、山城君は僕の父伯爵に恨みがあるのさ」

 

「・・・黙れウル。余計なことを言うな。隊長を巻き込むな」

 

「残念だけどそれは出来ない。そこの隊長さんにも関係がある」

 

「私?」

 

「そう。とりあえずこの話はあとで君たちのねぐらにしようとしている村長の家に行こう」

 

 

 

こうして吸血鬼のウルがシャルルたちと共に サイハテ村を襲った犯人を捜すため共に行動することになった。ウルの真の目的は次回明らかになる。

 

 

次回  吸血鬼ウルの目指すもの

 

愛する家族を失うつらさを彼は知っている

 

 

 

 

最近寒暖差に体がボロボロになってきている作者のサブノックです。ここまで読んでいただきありがとうございます。皆さんも体調管理に気負つけてください

 

次回は新キャラが出ますよ…たぶん

次回お楽しみに・・・あれ何であなたがここに・・・・

へっ?最近ペースダウンしすぎ・・・もっとまじめに書け・・・

仕方ないでしょうが、学校の課題がテンコ盛りなんだから・・

それでも書くのが、作家だろうがって・・・

・・・・はい、すみません…精進します

 

 

女の人…怖い

 

あっ、いいえ何も言っていません…本当です…見逃してください

 

作者サブノックに何が・・・この続きも次の話の最後に書いていこうと思います・・・

生きていたらの話ですけどね^^

 


 
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