No.571198

超次元ゲイムネプテューヌ 未知なる魔神

さん

いまさらですが、黒閃の騎士並びに希望と絶望のウロボロスを見直した時、とてつもなく矛盾ばかりだなと思い書き直すことにしました。
ハーメルン共同でやっています。よろしければ応援よろしくお願いします。

2013-04-29 18:42:32 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1269   閲覧ユーザー数:1224

暗黒が空を支配するのが、よく見える丘に『誰か』がいた。

全てを拒絶するような真っ白い純白のコートで自身を隠すように羽織ったその人物は、まるでこの世界から孤立しているように見える。

風が吹き、コートが今にも空に羽ばたいてしまいそうに煽られる。

『誰か』は、浪々と足を進ませ、神々しい神殿の様な場所へ進んでいく。

 

「…………はぁ」

 

中は嵐が過ぎ去ったかのような惨状であり、『誰か』は頭を抱えて溜息を付く。

耳を澄ませば、金属と金属がぶつかり合う不協和音が聞こえ、目を凝らせば四色の閃光が争うようにぶつかっている。

人を超えた人外存在の争い、刀が煌めき、槍が刺衝に飛び、大剣が振り下ろされ、斧が破砕する。

『誰か』は、睨むようにその蹂躙を見つめる。もし仮に、四つ色の閃光が別々に争えば分らないが、この争いは白、緑、黒が紫だけを狙った一方的な戦いだった。

 

『―――っ!』

 

機械的な、そして重厚な鎧を身に纏った黒は、空間を移動しながら紫に連続の斬撃を与える。

機械的な、そして騎士のような鎧を身に纏った緑は、一瞬で紫との距離を詰め槍の連撃を与える。

機械的な、そして妖精のような鎧を身に纏った白は、上空に飛びその外形とは思えないほどの大地を震わせるほどの強烈な一撃を繰り出す。

 

『ぐっ………』

 

所々に紫電を散らす鎧を纏った紫は、滴る血で大地を汚しながら一歩、一歩また下がっていく。

 

『ネプテューヌ、あなたはここでリタイヤだわ』

『悪く思わないでくださいまし、相手を考えればあなたは一番厄介な存在ですので』

『ようやく、テメェの譫言を聞かずに済むぜ』

 

長い年月をいがみ合ってきた結果の衝突。

個々の実力では、互いに戦ってきても決着なんて付かない。故にこの場だけ協力をして一色減らすーーーという魂胆だろうか?

 

「………どうしよ」

 

正に絶体絶命。『誰か』からすれば、別にここで彼女が、消えようが、消えまいが、それでも世界は回ってくれるので問題なんてない。

『誰か』は、少しだけ昔の経験を思い出し、考える。

ここは前とは違い、自分の見てきた系統が一部だが一緒になっている。

今ここで紫が消えれば、紫の妹はどうなるのか、その結果にどんな未来が繋がっていくのか、自分の知らない未知の未来か、既知の未来なのか。―――そうして考えた挙句。

 

「―――邪魔するよ」

『!?!?!?』

 

一瞬だ。炎を象ったような太刀を顕現させ、白を切り裂き、黒の腹部に拳を捩じり込み、緑に蹴りを放つ。

突然の奇襲にまともな対処が取れなかった彼女たちは、無様に地面に転がる。

 

「――っ、誰!?」

「焼き斬れーーー『煉獄ヲ裁断スル切ッ先』」

 

『誰か』にその在り来たりな問いを答える気は、一切ない。

柄に埋め込まれた紅蓮の宝玉から、竜の如くうねりを上げた灼熱は、更なる追い打ちをしかける。

だが、そんな火炎如きで彼女たちが何もできず燃やされるほど無能ではない。

背後にある翼からブーストを吹かし、危なしげに灼熱の業火から逃げる。

 

「ッーー貴方」

「落ちろ」

「えっ…?――――!!!!!」

 

怪我人だろうとお構いなく『誰か』は、無慈悲に彼女を蹴って神殿から落とす。

穴がなければ、開ける予定だったが、運よく彼女たちの戦いで空いていた。

 

「じゃ、帰ろう」

 

炎で近づくことが出来ず黒が『誰か』に向かって何か叫んでいるが、聞こえてなさそうな反応で、『誰か』は炎の中で消えた。

 

 

――――今度も頑張ってね。

 

 

そんな、言葉を残して。

 


 
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