No.56902

北郷一刀争奪戦勃発?(ばれんたいんでー争奪戦)嵐の被害編

叢 剣さん

焦らし企画はここまでですというか、ネタが切れました、あとは2月14日まで投稿しないので、あまり期待はせずに待っていてください。

2009-02-08 23:43:55 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:15395   閲覧ユーザー数:11457

 それは、数日前から起きていた、最初のほうは何も問題がなかったのだが、徐々に問題が表面化していた。

 

「陸遜様!いかがいたしましょう」

「え~適当にしておいてください、今ちょっと手が離せないんです~」

「で、ですが!」

「もう、良いって言っているでしょ?」

 その声はいつもののんびりしている声ではなく、どこか押し迫ったような声であった。

「はっ!」

 兵士Aは陸遜のいつもと違う雰囲気に気づき、巻き込まれる前に退散しようとしたその時だった。

「待ちなさい、あなたなら私から何かを貰ったら嬉しいですか?」

「り、陸遜様から頂けるのであれば、私はどんなものでも・・・・・」

「そんなこと聞いてません!もういいです、出て行ってください」

「け、結局、どのよう・・・・・・」

「いいから出て行きなさい」

 全く聞いたことのないドスの聞いた声は部屋に居たすべての兵士を震え上がらせ、すべての兵士が出て行ったことに気付くことはなかった。

 

「はぁ・・・・・」

「黄蓋様、いかがなさいましたか?」

「気にせんでいい、所詮は儂の悩みだ」

「ですが、私が悩んでいた時に、聞いていただいたのは黄蓋様でした、私も何か黄蓋様のお力になれればと・・・・・」

 その自ら率いる部隊の兵にそこまで言われては相談しないといけないと思ったのか、重い口を開いた。

「例えばだ、年が離れた女性がとある男を好きになったとする、しかし、その男の周りには若い女がたくさんおるとしよう」

 兵士は祭の言葉に相槌を打ち、真剣に聞き入っている。

「その男を年が離れた女性が引きつけようとしておるのだが、どうすればよいかということだ」

「・・・・・・・実際の所、無理じゃないですか?年が離れている上に、若い女性が周りにいるわけでしょ?」

「話にならん!お前ら、全員遠当100本、連続50以上あてるまでやめるなよ!」

 恐怖の教練を言い残すとその場を立ち去った。

「・・・・勝ち目が無いことぐらい分かっておるわ、しかし、今回は相手が誰であろうと引くわけにはいかんのだ」

 

「孫尚香様、いかがいたしましょう」

「今忙しいから後にして」

「ですが・・・・・」

「後にしてって言ってるでしょ!」

「しかし、御使い様からの依頼なのですが」

 その名を聞くと目の色が変わったように振り向いた。

「一刀の用ってなんなの?」

「その、なんといえばいいんでしょうか、最近の呉の内部が混乱し始めているように感じることについての考え」

 混乱の原因が自らにあることには全く考えていないようであった。

「そんなの無視して!」

「ですが・・・・・・」

「いいから!分からないって書いて送りなさい!」

「わかりました」

「わかったなら早く出て行って!」

 本当に怒っていることに気づいたのか、侍女はいつもの優雅なたち振る舞いを忘れ、いそいそと出て行った。

 

「失礼します、呂蒙様!」

 作業の休憩中に部屋に入ってきたのは、確かどこぞかの部隊の隊長であった。

「どうしたんですか?」

「いえ、なんといえばいいんでしょうか・・・・・分不相応の事だとは分かっております」

「何ですか?言ってください」

「私と、今度の休みに市に降りてはいただけませんか」

 明らかにデートへのお誘いだが、亞莎の頭の中で考えられていたことは、“ばれんたいんでー”で、いつ一刀に“ぷれぜんと”を渡すかであった。

「ご、ごめんなさい、その日は予定が入っていて」

「天の御遣い様ですか?」

「そ、そうです」

 赤くなっているであろう自らの顔を長い袖で隠す。

「そうですか・・・・では、そのつ・・・・」

「し、しつこいですそろそろ、出て行ってもらえますか?やることがありますので」

 そう言い放つと、すぐに踵を返し作業を開始したことに腹を立てたのか、肩をつかもうとした瞬間であった。

「触らないでください!」

 拒絶による激しい一撃が部隊長の下腹部を一閃、空いたままの扉を通りこし壁に激突しそのまま気を失った。

気を失ったままのどこぞかの部隊長は放置されて、偶然通りかかった衛生兵に救護室へと連れて行かれた。

 

「甘寧将軍」

「どうした」

「何をそんなに苛立っておられるのですか?」

「なっ!何も苛立っておらん!」

 それを見た水軍の兵士たちはニヤニヤと笑っている。

「お、お前ら!笑うな!」

「だ、だって、頭の顔がおかし・・・・・ひっ!」

 顔をあげたそこには剣をもち、鬼のような形相をした思春の姿を見た。

「何か言ったか?」

「イエ、ナニモイッテマセン、イツモノ甘寧将軍デス」

「そうか、ならば良い」

 部下の言葉が片言になっていたが、そのようなところに気にするような場合ではない。

 

「見張りに集中できません・・・・・・」

「周泰様!教練のご相手を願えますか?」

「はい、今行きます」

 少し時間がたち、相手の要望通りに屋外、特に森での防衛であった。

「手加減はしませんよ」

「お願いします」

 明命が森に消えて数刻後、様子をうかがってみるとそこには何故か一刀の姿があった。

「なぜ、一刀様がここ・・・・・」

 しかし、よく見るとそれは一刀を模したかかしであった。

「あれは使えそうですね・・・・全員捕獲して持って帰りましょう」

 少し身を乗り出した時に立てた音で、位置を察知されてしまったのか多数の兵士がこちらへと進行してくる。

「甘いです」

 しかし、次々兵士は昏倒し、一人づつ簀巻きにされた揚句、木に吊るされている。

「結局、全員捕えられましたか・・・・・・では、この一刀様のかかしはもらっていきますよ」

 喜々とかかしを抱き上げると、そのまま城の方へ戻ってしまった。

「俺達は完全に忘れられているよな?」

 簀巻きにされた兵士たちが帰ってきたのはだいぶ後だった。

 

「はぁ~」

「周瑜様、いつもとは違う溜息ですね」

「ん?そんなことはないぞ、いつもの私だからな」

 しかし、返答は上の空のような返事しか返ってこない。

「お体に何か触ることがありましたか?」

「いや?何もなかったが」

 いつもなら次々と片づけていく書簡が最近になって極端に作業が遅くなっていた。

「ふぅ、これでもないな」

 先ほどまで書いていた書簡を間違えたのか修正を入れ始めた。

「周瑜さま、本当に何もないのですか?」

「あぁ、気にしないでくれ」

 沿う言葉を区切って再び溜息、気にしない方が難しいというもので、気にしすぎて他の物の作業速度まで落ちている。

「あ、あのう・・・・・」

「どうした」

「今日はもうお休みになったらいかかでしょうか」

「・・・・・しかし、よいのか?」

「周瑜様、今日はお休みください」

「そうか・・・・・言葉に甘えさせてもらう」

 周瑜が席をはずすと、その場すべてにため息があふれた。

「どうする?この書簡」

 そこには山のように積まれた書簡があった。

 

「だめだ、その日は受け入れられない」

「ですが、孫権様この日以外は難しいと言ってきています」

「どうであろうと、この日は無理だ」

 大切な会談の日が“ばれんたいんでー”とかぶってしまったことにより、珍しく蓮華が駄々をこねている。

「いい加減にしてください!」

「この日だけは無理だと言っているのだ!」

「なぜですか?」

「それを言うことはできない」

 なぜだめなのか、それをひた隠しにする理由があった、その理由はいつぞや聞いてしまった侍女たちにもかなり人気を博している一刀のことであった、今回この事がバレテしまっては、自分が渡すときの障害になると思ったのか、絶対に口にすることはなかった。

「では、御遣い様に行ってもらうしかないですね・・・・」

「それはダメだ!」

 先ほどをはるかに凌駕する剣幕で一刀が行くことを拒否する。

「汝が行けばよいであろう、私はその日忙しいのだ」

 どうしても、行かないと、一刀は行かせないと延々と続くいたちごっこに、交渉役の兵士は頭を抱えていた。

 

「うぼらっ!」

 雪華から受け取った料理を口にした兵士は奇妙な声をあげてその場に倒れた。

「おっかしいわね・・・・・うまくいったと思ったんだけどな」

 皿に盛られているどす黒い何かを次々と兵士に食べさしている。

「お、美・・・・がふっ!」

 無理をした発言をすることなく倒れていく兵士たち、中には泡を吹いている者さえいる。

「調味料とかは間違えていないと思うんだけどな」

 兵士たちが倒れているのを考えることなく、一刀に渡す料理の思案だけを行っている。

「・・・・・・っ!」

 声を出すことなく、新しい兵士が崩れ落ちた。

「・・・・・・駄目ね、じゃあ、次はこれ」

 次に出された皿に盛られているのは、なぜだか微妙に発光している。

「・・・・あべしっ!」

 口を押さえ、数歩歩いたところまで行ったがそこで力尽きた。

「ん~何がダメだったんだろうな?」

 料理をそのままにし、調理場へと戻っていく。

「これを・・・・・どうしろと・・・・・」

 残された兵士は極僅かであった。

 

 

竜巻へと至りし風は各地に深い爪痕を残しながら前進を続ける、一度も迷うことはなく、一直線に進んでいる、その被害を拡大させながらもその歩みは遅くなるどころか、徐々に加速している、あとは目的地へとつくだけである。

 


 
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