No.568552

恋姫異聞録165 番外編【弓の女王】後編

絶影さん

たいへん遅くなりました。ごめんなさいm(__)m

ラジオやらなんやらやっていたら、更新が全然できなくて焦りました
本当にごめんなさい、次はもっと早く更新致します><

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2013-04-21 20:27:29 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:6313   閲覧ユーザー数:4976

 

 

 

昭が向かうのは屋敷の奥。薄暗い通路を進み、秋蘭の父に言われた通り幾つかの部屋を抜ければ

開け放たれた戸から香の煙が薫ゆり、通路へと微かに流れ昭の鼻をくすぐる

 

【伽羅・・・】

 

つい口にした鼻をくすぐる伽羅の香りは、人に安らぎと癒しを与える

高級で、香の王とも呼ばれるこの天然香木の伽羅は、最も女性が好み広く使われている物

 

皆は、通常ならばこの香りに気がついた時、香木の高価さと香りからこう思うはずだ

流行り物が好きな女性らしい女性なのだろうと

 

だが、昭は違った。今まで幾人もの人物と出会い、眼を見て心を読み取った経験が訴え警鐘を鳴らす

この香りは鎮静、溶鉱炉のように一瞬で骨をも溶かす激情を抑えるものだ

夏侯の人間を侮るな、春蘭と秋蘭の二人を思い出せ。あれ以上の熱を持つ者が奥に居る

 

【どうした、入って来い】

 

姿の見えぬ、部屋の外に居るというのにも関わらず、まるで此方が見えているかのように声をかけられた昭は、少しだけ驚く

そして、一度小さく深呼吸して開け放たれた戸をくぐり、部屋へと足を踏み入れた

 

部屋の中は薄暗く、かすかに開いた窓から日が差し込み、部屋を満たす香の煙を映す

珍しい木張りの床、幾つも置かれた造形の素晴らしい香炉

 

そんな中、部屋の中央に置かれた人二人分はあろうかと言う寝台に吊るされた薄布に映し出される人影が動く

 

【・・・季興か?】

 

影は、横たえた躯をゆっくりと起こし、少々驚いたように戸惑うように春蘭に似た声で曹騰の字、季興を口にする

 

【何故、お前が此処に来た。私が呼んだのは秋蘭の男だ】

 

声に対し、昭は静かに跪く。名乗り、自分は貴女が呼んだ人間であると告げるためまずは礼を取ることが先だと

だが影からは、炉から溢れる鉄のように紅紅とした感情がどろりと顔を出す

 

【私が何度望んでも此処へは来なかった癖に、こんな時に私の元に訪れるのか!?卑怯者め、私を何度も利用して!】

 

【ッ!?】

 

【貴様が子を隠すのも私は何も言わず手を貸した。一族の者と結ばれるのもだ。だというのに、私の元へは一度も来てくれなかった

私は、ただ手を握りたかっただけだ。言葉を交わしたかっただけだ。貴様の職も理解している抱きしめてもらおうなどと思っていない

微かに温もりが感じられれば良かっただけなのに。それすら許さず、再び私の孫を寄越せと、息子の妻にと言うのか】

 

ぎゅっと布団を握り締める手。溢れ出す感情を吐き出すその姿に昭は違うと、自分は曹騰様では無いと伝えようとしたが

薄布の奥で頬を濡らす秋蘭の祖母の顔に、昭は言葉を飲み込む

 

そして、確かに瞳が自分と交差したのにも関わらず、何も疑問を抱かぬ様子に光を失っていると悟っていた

 

【・・・私に、貴様の息子を見せてどうする。血の繋がりは無いとはいえ息子には変わりがない。気がついて居るだろう?

だから貴様が来たのだろう?私は、感情のまま貴様の息子を殺してしまうだろう。聡い貴様のことだ、この香で解るだろう?

募った想いは憎しみに変わった。愛しさは妬みと恨みに変わった。今は、それを抑えるので精一杯だ】

 

ボタボタと頬から流れ落ちる大粒の涙

 

【帰ってくれ、もう私はこれ以上抑えることが出来無い。こんなに憎くとも、こんなに恨んで居ても、それでも私は貴方が好きなのだから

きっと、季興を・・・騰を傷つけてしまったら、私は私を許せないから】

 

吐き出す感情、激昂に近い想い人への思い。殺してしまいたいほどの憎愛。それでも殺すことなど、怒りのまま全てを捨てて無くしてしまうなど出来ない

それ程に愛してしまっているのだと秋蘭の祖母は、曹騰への思いを口にする

 

【匂いで解る。跪いたままなのだろう?お願いだから、此処から立ち去ってくれ。私の腕が、悪さをしないうちに・・・】

 

昭の眼に追えぬほど自然で流れるような腕の動き、薄布を揺らすことも、煙を切ることもなく、気がつけば番えられた矢の先端が昭の額を狙う

明らかに見えては居ない。だが、寝台に座ったまま軽い音と共に弓を限界まで引き絞る姿

 

涙が止まり、躯から流れ出す殺気に昭は、あることに気がついた。これは香で作り上げられた結界、縄張りなのだと

部屋に充満する香りの中、昭の香りだけはっきりと、まるで真っ白な紙の上に落ちた墨のように秋蘭の祖母の鼻は存在を嗅ぎとる

 

そして、昭はもう一つ気がついてしまう。だからこそだろう、昭は立ち上がり唇をきゅっと引き結び、前へと進む。矢が番えられた弓の元へと

 

【なっ?く、来るなっ!足を撃ち抜くぞ、二度と歩けぬように腱を断ち切って・・・】

 

弓を握り締める手に昭はそっと手を重ねて弓を降ろす。すると、部屋に満ちていた殺気は急に削げ落ち、引き絞った弦は緩み矢が布団へと落ちていた

同じくして、先ほどと同じように涙が溢れんばかりに零れ落ちる

 

【狡い、騰は何時も狡い。私が撃てない事を知っている。憎さよりも、貴方への想いが大きいことも】

 

此処まで近くに来られては、私は自分を抑える事は出来無い。そう言うと、秋蘭の祖母は、目の前に居る昭を抱きしめた

まるで子供のように泣きじゃくる姿は、まるで春蘭のようで、昭は自然と春蘭にするように頭を優しく撫でていた

 

【な、撫でるな。何時も子供扱いをする。私はもう子供では・・・】

 

頭を撫でられ、頬を赤く染める秋蘭の祖母は、急に真顔に、そして昭の手を取り何度も何度も厚く巻かれた包帯を撫でていた

 

【騰じゃない・・・?】

 

【はい、曹昭と申します。ご無礼をお許し下さい】

 

【声が、違う。だが、そんな、私が間違うはず!】

 

目の前で抱きしめていた男が違う人間だと解った瞬間、昭を突き飛ばし、瞬時に弓を持ち矢を番えて構え

そして、今度は無言で矢を二発放ち、地面に転がった昭の袖を地面に縫いつけた

 

【匂いが同じ、どういう事だ?いいや、そんな事はどうでも良い。何故、黙っていた!いいや、答えずとも良い、死ね!!】

 

手から離れる矢は地面に突き刺さる。昭は、袖が地面に縫い付けられると同時に即座に後転し回避していた

千切れる袖をそのままに、身体を立ち上がらせる。避けられたのは偶然ではない、口を引き結んだ時に既に覚悟と予測をつけていた

 

春蘭と似た感情の揺らぎ、弓を構える姿は秋蘭の姿そのもの。ならば、激昂し次に冷静に額を狙う

だからこそ、突き飛ばされた瞬間から後ろに転がり回避することを狙った

 

だが、これは賭けでもあった。昭の身体能力から言えば、下手をすれば避けられずに身体を貫いていたのかもしれないからだ

 

そこまでして、何故、昭は秋蘭の祖母を、夏侯嬰を抱きしめよう等と思ったのか。それは、あることに気がついたから

 

【避けた?馬鹿な、貴様、騰と同じ眼まで持っているのか!?】

 

【はい、曹騰様から授かりし龍佐の眼にございます】

 

【私の眼から読み取ったか、光を失った眼からも読み取れるとはな】

 

【いいえ、秋蘭と同じ弓の構え、ならば狙うは額と予測を付けました】

 

命を落とすところであったというのにも関わらず、平然とした言葉で返す昭に夏侯嬰は言葉を無くしてしまった

この豪胆さ、そして拱手を此処にきて取る姿に理解する。わざと曹騰の真似をしていると

 

ただでさえ匂いや仕草が似ているというのにと、次の矢を番えながら夏侯嬰の顔は歪む

抑えられぬ愛憎が再び湧き出し欺かれたことへの怒りへと変わっていく

 

怒りは殺気となり、殺気は研ぎ澄まされた剣を連想させる。向けられる冷たい刃の切っ先

触れれば瞬時に二つに切り裂かれてしまいそうな圧力に、昭は拱手を解くと奥歯を思い切り噛み締め脳裏に妻と子の姿を思い起こす

 

【ぬ!?】

 

数多の戦場を駆け賊を討伐し続けた夏侯嬰は、突き飛ばした時、力も能力も無いと感じ、普通の男だと判断していた

だが、その普通の男から発せられる気迫は尋常ではない。剣を連想させる夏侯嬰の殺気は確かに鋭く、普通の者が当てられれば卒倒するだろう

 

しかし目の前の昭から発せられる気迫は違う、まるで分厚い盾。城壁のように堅牢で重く夏侯嬰に圧し掛かる

 

【盾の気迫まで・・・お前は、本当に違うのか?騰では無いのか?】

 

【違います。ですが、私が此処に来た意味がわかりました】

 

【どういう意味だ、何を言っている】

 

【貴女に殺されるわけにはいかない、俺には守らねばならぬ者が居るのだから】

 

そういって、右腕を前へ突き出し番えられた矢の切っ先に合わせ、腰を落とし夏侯嬰を見据えた

右腕を犠牲に、突撃をするつもりだと香の揺らぎから感じた夏侯嬰は舌打ちを一つ

 

昭は突き飛ばされると同時に、夏侯嬰の側にあった矢筒を奪い、地面には矢がばらまかれていた

 

【一矢で命を取れぬと思っているのか】

 

【この腕は私の命も同じ。秋蘭に捧げた右腕は、必ず貴女の矢を抑えこむ】

 

【解らぬ事ばかり、もう良い、終わりにしよう】

 

冷たく、まるで虫を殺すかのように冷淡に矢を放つ夏侯嬰

狙いは額、一撃で命を刈り取る矢

 

【うおおおおおおおおっ!!】

 

終わった、そう放った矢の手応えに感じた夏侯嬰であったが、辺に響くのは金属音

 

【なにっ!?】

 

武器を携帯している様子は無かった。金属の匂いなど己が持つ矢の鏃のみ。娶る為に来た妻の実家に武器を持ち込むなど無い

昭が夏侯嬰の矢を防げる物など何も無かったはずだった

 

身体を抑えられ、寝台に押し付けられ、首に当てられる冷たい感触に夏侯嬰は、只々驚き光を失った眼が見開いていた

 

【そうか、鏃を握ったか。私から矢筒を奪った後、殺気に対向するようにして気迫を放ったのは、鏃を抜いた事を誤魔化すため】

 

【鏃を三つ、ですが貫かれて掌は血だらけです。後で叱られてしまう】

 

【で、殺すのか?私は、お前たちを認める事は出来無いからな】

 

【いいえ、私に課せられた事は達成されました】

 

首に押し付けた鏃を手放し、血だらけの右手を包帯で巻き直して止血し昭は微笑む

 

【・・・騰の真似をしていたのはそういう事か】

 

【はい、認めて頂けたでしょうか】

 

【まったく、本当に騰らしい。お前が自分の息子だと、私に認めさせたかったと言うことか】

 

【それが、どういう意味か貴女様ならばご理解いただけるかと】

 

ため息を吐き、首に鏃を突きつけた事を詫びて頭を下げる昭に夏侯嬰は、何を言っているのかと髪を掻き上げればふとあることに気がついた

 

 

 

 

 

 

 

【騰の息子で秋蘭を娶るというなら】

 

【はい、私は貴女様の孫になります】

 

【孫、私の孫。騰の息子で、私の・・・】

 

少し呆然とした表情で手を伸ばし、昭の頬を何度も撫でる夏侯嬰

曹騰の意図を昭の行動から汲み取り、そして曹騰が此処に顔を出さないことを考えた

 

昔からの不和があったのは確かだ、だが自分の息子の婚約に顔も出さぬのは何故なのか

 

【貴女様の気持ちと同じだからこそ此処に来れなかった。同じだからこそ、来るのを恐れた】

 

【何を今更、お前は知るまい。騰は、他の女と一度結ばれたのだ】

 

【知りません。其れが望んだことなのかも、望まずにそうなったのかも】

 

首を振り、頬を撫でる手に自分の手を重ねる昭は、己の心を全て込めるかのように一言一言を静かに重く口にする

昭の言葉に、少しだけ顔を俯かせる夏侯嬰は、撫でる手を止めていた

 

【秋蘭は、貴女に良く似ています。あの凍るような殺気、一瞬で表情を戻した鋼の精神】

 

【鋼などではない、脆く弱い心だ。騰の事で今も心がこうも揺れ動く】

 

【はい、弱さも似ています。秋蘭は、私が居ないと不安で泣いてしまう】

 

【あれが泣く姿を見せたのか】

 

少々驚く夏侯嬰は、顔を昭に近づけ眼を細め、かろうじて見える面影に曹騰の姿を見ていた

 

【曹騰様は、私が秋蘭と結ばれることにとても喜んで居ました。まるで自分の事のように】

 

【・・・・・・そうか、そういう意味か】

 

【私は、秋蘭を妻に。貴女に似た秋蘭を娶ります】

 

お前を今でも愛している。俺は、お前と結ばれることは無かったが、お前に似た孫娘に自分の息子を嫁がせる

曹騰の意図を汲み取った夏侯嬰は、軽く微笑み曹騰の名をつぶやいて昭の身体を引き寄せ愛おしそうに抱きしめていた

 

【騰は、私に合った時、私がどういう反応をするか解っていたのだな】

 

【だと思います。貴女の思いを自分の代わりに全て受けきって欲しいと】

 

【勝手なやつだ、私が殺してしまっていたらどうするつもりだったのだ】

 

【本気でしたら、私の腕は貫かれて居ます】

 

抱きしめた腕を放し、包帯で止血された手を優しく撫でる夏侯嬰は、眉根を寄せていた

 

【すまない、頭に血が上ると冷静な判断が出来ぬ時がある。孫達にも受け継がれている、気をつける事だ】

 

【はい、良く知っています】

 

【そうだな、話は聞いている。あの娘、曹操と共に育ったのだからな】

 

ふと初めて柔らかい笑を見せる夏侯嬰は、昭の頬を触り、手探りで頭へと手を延ばすとゆっくり

昭がしたようにして優しく撫でていた。まるで孫と言うよりも、自分の息子にするかのように

愛する人との間に生まれた、自分の愛息子に愛情を注ぐように何度も、何度も頭を撫でていた

 

【昭!!】

 

【無事かっ!?】

 

部屋から聞こえた昭の声と音に駆けつけた秋蘭と春蘭は、祖母に撫でられる昭をみて事態が飲み込めず少しだけ呆けた表情をしていたが

秋蘭の眼に昭の手から滲む血が映り、秋蘭は地面に落ちた矢を拾い無言で祖母へと走った

 

【・・・・・・】

 

【待て秋蘭っ!】

 

身体からは冷たい殺気が溢れ、握りしめた矢を振りかぶり祖母へと突き刺さそうとする秋蘭は、間に入った昭に立ち止まる

 

【退け】

 

静かに怒りの篭る声で昭を睨みつける秋蘭。祖母である夏侯嬰は、秋蘭の此れほどに殺気立った姿を初めて見たのだろう

そして、先ほどの昭とのやり取りを思い出して恥ずかしさに自嘲していた

 

【今日はお願いに来たんだろう?争いに来たんじゃない】

 

【手を出したのは、昭からでは無いはずだ】

 

【そうだな、でもそれだけ秋蘭の事を愛しているんだ、大事なんだよ】

 

睨む秋蘭を抱き寄せ、背中をポンポンと叩けば秋蘭の表情は強張ったものから頬を紅く染めた優しいものへと変わっていた

そして、手に握った矢はバラバラと地面に落ち、昭の首筋に顔を摺り寄せていた

 

【なんとも、まるで自分の事を見せられているようだ】

 

【申し訳ありません】

 

【良い、二人の婚姻を認めよう。ただ、1つだけ私の願いを聞き届けてくれるか?】

 

落ち着きを取り戻した秋蘭と、後ろで胸をなでおろす春蘭を確認した昭は、ゆっくり夏侯嬰へと振り向けば

夏侯嬰は、何処かつきものが落ちたような表情になっていた

 

【私の前に、騰を連れてきてくれ。一言、言ってやらねば気がすまぬ】

 

【そ、それは】

 

後ろで一安心してた春蘭は、ひどく驚いた顔をしてた。彼女達もまた、小さい頃から二人の事を聴いていたから無理はない

秋蘭も同様に、昭の服をきゅっと握りしめ顔を強張らしていた

 

【大丈夫だ、何もせぬよ。昭と言ったか、此奴が私の濁った心を全て受け止めてくれた】

 

祖母の言葉に昭を見る二人は、同時にため息を吐く。二人の顔合わせは上手くいったのだと

その証拠に祖母は、普段とはまるで別人のように晴れやかな顔を見せていたのだから

 

【分かりました。私が責任を持って、曹騰様をお連れいたしましょう】

 

【ああ、その前に、私の曾孫に会わせてくれぬか?さぞかし秋蘭とお前に似た可愛らしい子なのだろう】

 

その後、夏侯嬰は涼風を抱きしめ、かろうじて見える目で涼風の顔を脳裏に焼き付けるように顔を近づけては、溢れるような笑顔で頬を寄せていた

約束をした昭は、秋蘭と春蘭の力を借り、曹騰を夏侯邸へと連れて行こうとしたが、帰った時には屋敷が要塞のようになっており

曹騰は、部屋に篭っていた。恐らく、自分を連れてこいと言い出すことを予測していたのだろう

 

だが、事情を知った華琳が【御爺様っ!子供のような振る舞いはお止めなさい!!】と首を掴んで屋敷の外へと連れ出していた

 

孫に言われ、無理やり放り出された曹騰は、渋々、昭と秋蘭、春蘭に夏侯嬰の元へと連れて行かれ

道中、顔が引きつり、強張る曹騰に昭は驚いていた

 

今まで、曹騰という人物は常に落ち着き鎧のような心を持ち、一声で大勢の民を其れこそ帝を凌駕する発言力で皆を導いて居たと言うのに

目の前の曹騰は、唯の男。それも、まるで初恋の相手に会いに行くかのように、顔を少し赤らめてさえいたのだから

 

ようやくのことで夏侯邸へと着けば、曹騰は急に身だしなみを整えて昭に導かれるまま胸を張り堂々と夏侯嬰の元へと赴き

曹騰の匂いを感じ、涙を流す夏侯嬰を待たせてすまないと優しく抱きしめていた

 

恐らく、これが曹騰なりの格好の付け方というやつなのだろう

 

和解した二人は、常に寄り添うようにして日々を過ごすようになり

昭の腕の話もその時に聞き夏侯嬰は、益々、昭に信頼を置くようになっていた

 

そして・・・曹騰の最後の時、側で看取って居たのは夏侯嬰であった

片時も離れず、まるで失っていた時を取り戻すかのように寄り添っていた二人は、遂に死と言う運命に再び引き裂かれようとしていた

 

【先に行って待っている。今度は、お前の側から離れない。約束しよう】

 

【ああ、騰は私に嘘を吐かない。待っていてくれ、私が逝くその時まで】

 

眠るように、幸せな笑を浮かべる曹騰は、愛する女に看取られながら旅立っていくことが出来た

送る夏侯嬰もまた、最後の時に側に居たのが自分であったことが嬉しかったのだろう、涙することは無く、優しく微笑んで送ることができていた

 

それからと言うもの、婿に来た昭をまるで曹騰の代わりのように可愛がるようになっていた

彼女が言うには【あちらに行った時、お前の成長を報告出来ないのは困る】との事らしいが、どうみても寂しさを埋めているようにしか見えない

 

言い訳としては、華琳の成長や業績は必ずや天に届く程のモノになるだろうが、昭は違うと言うことだ

 

「だから、自分が見ていないと報告が出来無いって事らしいですよー」

 

「・・・ただ単に、曹騰に似てる彼を代わりにしてるだけじゃない」

 

「そうとも言えますねー。お話からして、夏侯嬰様は寂しがりのようですから」

 

呆れながら髪を掻きあげる雪蓮は、そういえば春蘭も同じような特徴があるように思えた

あまり一人で居る所を見たことが無く、普段は兵の前でしっかり者のように振舞ってはいるが、家にいる時は抜けた所をよく見かける

華琳が急にいなくなれば泣き出すであろうし、近くに昭が居れば抱きついて泣き崩れて居るであろう。ようは子供っぽい部分を残して居るのだ

 

立ち上がった昭に手を引かれ、夏侯嬰の後を秋蘭の父母が着いて屋敷へと入って逝く姿をみて、七乃と雪蓮は邪魔にならぬよう身を潜めた

 

「隠れてることはバレてるのに、身を潜めるってのも変よね」

 

「後から幾らでも紹介していだだけるでしょうし、今は先にお嬢様に」

 

心配したように眉を寄せる七乃の目線の先、少しだけ空けた麩から見える美羽の姿は、ガチガチに緊張し顔が強ばっていた

正座をし、膝に乗せた両拳は震え、心を落ち着かせるために眼を瞑って入るが、肩が小刻みに震えていた

 

「大丈夫、今のお嬢様なら必ず認めて頂けるはずです・・・」

 

そう、美羽が此れほどまでに緊張する理由とは、夏侯の名を授けられた自分が祖父母達、そして夏侯嬰に認められるかということだ

父や秋蘭に夏侯の名を名乗ることを認められたとは言え、家長である曾祖母に認められねば真に夏侯を名乗ることなど出来はしない

 

此処で認められることが出来ねば、美羽は夏侯を名乗ることが出来無い

昭や秋蘭に認められ、曾祖母が死した後に名乗れば良いと言われた所で今の美羽は、そんな筋の通らぬことは決して出来はしない

いや、出来無いようになってしまった。彼女は生き方を変えてしまったのだから

 

「そうか、話は聞いていたが、涼風の姉か」

 

「はい、是非お会いになって頂けませんか」

 

「無論だ、だが解っているな。夏侯の名に値せぬならば」

 

微笑む昭に手を引かれ屋敷の中を案内される夏侯嬰は、鼻をヒクヒクと動かし、何かを感じたのか首を少しだけかしげていた

 

「お前たちはそこで待て」

 

「しかし、母上様」

 

「案ずるな、昭が居る」

 

心配する娘夫婦をその場に留まらせ、不思議そうな顔をしたまま夏侯嬰は、昭に引かれるまま美羽の待つ部屋へと足を踏み入れた

 

 

 

 

 

 

瞬間、布擦れの音と静かに重ねられる手、拱手の様子が雰囲気だけで伝わり夏侯嬰は腰を降ろし自然と返礼をしていた

 

「お初にお目にかかります。妾は、いえ私は袁術と申します」

 

「夏侯嬰だ」

 

「まずは、夏侯昭様に私を養子として迎えて頂いた事、夏侯を名乗ることを貴女様に伺わなかった事をお詫び致します」

 

「良い。昭は、騰と同じく自由だ。秋蘭以外に縛る事は出来ぬ。養子をとることも、戦に出ることもだ」

 

深く頭を下げる美羽は、顔を上げて次の言葉を出そうとしたが、夏侯嬰の白く濁った瞳に真っ直ぐ見つめられ硬直していた

口の中がカラカラになる、震えて次の言葉が出てこない、祭や雪蓮の前で命をかけて礼を取った時とは違う

 

「・・・」

 

もし此処で認められなかったら自分の今までの、そして此れからの生き方が全て台無しになってしまう

それほどまでに、父の姿や妹、魏と言う国が夏侯と言う名が大切になっていた美羽は、失敗が脳裏に浮かび恐怖に心を喰われていた

 

「どうした、何も語らぬのか。用が無いならば、私は此処から去る」

 

隣で座る昭の肩に手を置き、立ち上がる夏侯嬰は、見えぬ眼で美羽を見据え小さくため息を吐いた

 

「残念だ」

 

落胆する夏侯嬰が美羽に背を向けた瞬間

 

「ちょっと待ちなさいっ!」

 

「だ、だめですよ雪蓮さんっ!!」

 

奥の部屋で様子を伺っていた雪蓮が麩を勢い良く開けて、止める七乃を振り切りずかずかと部屋の中へ

そして、夏侯嬰の元へと向かうかと思えば、ガチガチに固まった美羽の前で止まり、腰を降ろした

 

「このままで良いの?美羽にとって、夏侯の名は大事なんじゃないの?」

 

「雪蓮さん・・・」

 

「私にアレだけの言葉を、あんなに凄い覚悟で命を賭けて話してくれたのは、貴女が彼を誇りに思っていたからじゃないのっ!?」

 

胸ぐらを掴み、固まる美羽を引き寄せる雪蓮は、瞳を細めて睨みつけていた

 

「今更、怖がってどうするのよ。こんな事、私の前で命で償おうとしたことに比べれば軽いことよ!そうでしょうっ!!」

 

「・・・」

 

「死ぬわけじゃない、今日ダメだったら明日また挑戦すれば良い、祭の前で見せてくれたじゃない諦めたりしない姿を!!」

 

いつしか細められた瞳は、涙でにじみ頬から一筋の涙がこぼれていた

 

「アレは嘘じゃないって、もう一度わたしに見せて。私が尊敬した貴女の姿を」

 

雪蓮の瞳に映る自分の歪んだ姿に美羽の拳の震えは止まる

 

【貴女は何者にも縛られない雲の娘、大空を羽ばたく美しい翼でしょう!?】

 

力強い真名の叫びに、肩の震えが止まる

 

瞳には力が宿り、目の前で瞳を濡らす雪蓮を一度、強く抱きしめると美羽は、立ち上がり夏侯嬰の前へと立つ

 

「曾祖母様、どうか妾を夏侯の者としてお認め下さい」

 

余計な言葉など不要。唯、心の底からの叫びを。願いを。素直に言葉にするだけ

だが、その言葉には力がある、覚悟がある、あの時、雪蓮や祭の前で見せた強さがそこにはあった

 

「そうか」

 

その姿を、言葉を、肌で感じたのだろう夏侯嬰は、優しく微笑み手を伸ばして美羽の頬を、輪郭を涼風の時のように撫でて

自分の元へと引き込んで包み込むように抱きしめていた

 

「名は、夏侯の名は何と言う、袁家の娘」

 

「名を夏侯覇、真名を美羽と申します」

 

「そうか、昭の娘は、私の曾孫は美羽と言うか」

 

曾孫との言葉が美羽の耳に入った時、自然と見あげれば父の笑が目に入った

よくやったと、言葉でなく柔らかな表情だけで伝わる。緊張は暖かさに、恐怖は喜びに

美羽は、溢れる感情のままに己の曾祖母を抱きしめ返していた。小さな手で、力いっぱいに曾祖母の服を握りしめて

 

「よく覚えておきなさい、その娘は私の義姉妹になるんだからね!」

 

「ちょ、どうしたんですかさっきからっ!?」

 

どう?上手く行ったでしょうとばかりに胸を張り、美羽を自慢する雪蓮に違和感を覚えた七乃は驚き

前から公言していたとはいえ、突拍子もなく義姉妹等と言う雪蓮を抑えるように間に入っていた

 

「・・・酒だな酔うておる」

 

「お酒?お酒って、もしかして」

 

鼻をヒクヒクさせる夏侯嬰は、先ほどの匂い、酒と雪蓮のつけている丹桂の香油の香りに合点がいったと頷いた

見れば、七乃と雪蓮の居た部屋には酒瓶が転がっていた。それも、美羽の魏での呼び名【蜂王】の名が刻んである酒瓶

 

「しぇ、雪蓮。もしやその白酒を呑んだのか?」

 

「んー?美味しかったわよこれ。こんなに強烈な白酒は初めて」

 

「馬鹿者っ!それは曾祖母様に差し上げる為に用意した特別製じゃっ!!」

 

そう、隣の部屋で隠れて見ていた雪蓮は、何故か自分の部屋に置かれていた酒を呑みながら様子を伺っていたのだ

美羽の様子に気が気でない七乃は気がつくこと無く、雪蓮はアルコール度数60以上の白酒をガブ飲みしていた

 

「瓶は全部で10はあったはず」

 

「あー、ゴメンあと半分しか無いわ」

 

隣の部屋に残った酒瓶を一つ持ち上げ、プラプラと振る雪蓮

 

「水で割って飲む酒を、そのまま・・・阿呆っ!」

 

「阿呆ですって?怖がって縮こまってた美羽の方が阿呆でしょうー」

 

よほど酒が雪蓮に合っていたのか、それとも美羽の緊張を見ながら自分も緊張してしまい、度数の高い酒をがぶ飲みしたせいか

彼女には珍しく酒がまわり顔を赤らめてふらふらとしたかとおもえば、その場に腰をぺたんと着けていた

 

「ひっく・・・うふ、これ美味しぃ」

 

「返さぬか!」

 

涙目で雪蓮から残り半分の酒を奪い取り、七乃は額に血管を浮き上がらせて雪蓮を隣へと引きずり麩を締め、何やら静かに怒りの声をあげていた

 

「白乾児か、良い匂いだ。美羽が作ったのか?」

 

「はい、じゃが此れでは曾祖母様に差し上げる事が出来ませぬ」

 

肩を落とし、袖で涙を拭う美羽は、普段とは違いとても歳相応の娘に見えた

昭は、そんな美羽を慰めようと手を伸ばした時、部屋に秋蘭が少々厳しい表情で入ってきた

 

「昭、悪いが城壁で舞ってもらえるか。華琳様を慕う者達が集まったのは良いが、思想がそれぞれにある者達だ。諍いが始まったらしい」

 

「稟と桂花は、場所を用意出来なかったのか?」

 

「いや、場所は出来た。だが、誘導する前に些細な事でぶつかったらしい」

 

「そうか、こんな事でわざわざ華琳を出すなんて出来無いしな。俺達に統率力が無いなんて思われる」

 

頷き、部屋から出ようとした所で昭は腕を掴まれた。まるで万力にでも締められているかのように昭の身体は止まり動かない

驚き、振り返れば、夏侯嬰が美羽の持つ酒瓶を取り、一息に飲み干していた

 

「あっ!」

 

「うむ、美味だ。美羽は、酒を作るのが上手のだな」

 

「は、はい。酒だけではなく、野菜や米、それから蜂蜜に」

 

「では、後でそれらを頂こう。まずは私が、お前の曾祖母はどういう人間かを知るが良い」

 

立ち上がる夏侯嬰は、昭の頭をくしゃくしゃと撫でて美羽の手を取る。そして、昭に一言

「案内せい、城壁には私が行こう」そう言って、夏侯嬰は秋蘭の父母を率いて城壁へと向かった

 

手を引かれるまま、おっかなびっくりで夏侯嬰の隣を歩く美羽は、いつの間にか眼を閉じてまるで嵐の前の静けさのような

夏侯嬰の雰囲気に喉を鳴らしていた

 

「怖いかい?大丈夫、お祖父ちゃんが付いているからね」

 

「う、うむ」

 

城壁を登りながら隣で美羽の手を取る秋蘭の父。城壁の最上段へ登った時には、夏侯嬰は美羽から手を放し

導き手である昭からも手を放して、城壁の縁まで真っ直ぐ、まるで見えて居るかのように歩いて行った

 

「私が何故、母上様を恐れるか解るかい?もちろん、自分の母上様であるという事もあるけど、一番は違うんだよ」

 

優しい声で、本当に涼風を扱うように美羽に接する秋蘭の父は、わざわざ腰を曲げて美羽と同じ目線になっていた

 

「母上様は、本当に怖い人なんだ。弓を使わせたら特にね」

 

美羽と同じように喉を鳴らし、見上げる先には夏侯嬰の背中。自分たちが乗ってきた軒車から降ろした大型の弓を手に

喧騒と言うよりも、もはや狂騒になりつつ有る兵達を見下ろし、矢筒から弓を一つ抜き取った

 

「へっ?」

 

瞬間、警備隊の静止を振り切り殴り合いを始め、武器を抜こうとした男の剣を貫き、男は地面に縫い付けられていた

 

「剣を鞘ごと射抜いた!」

 

驚く美羽が、言葉を全て吐き終える前に、鋼を幾重にも束ねられた弓をしならせ、無数の矢を放ち

拳や武器を振り上げる男達を一人残らず地面に縫いつけていた

 

男たちは、全員が仰向けに地面に縫い付けられ、見上げる先は弓を限界にまで引き絞り、まるで氷のような殺気を撒き散らす女の姿

 

「此処で死にたくば私が殺してやろう。戦に出る必要など無い」

 

閉じていた瞼がゆっくり開けば、白く濁った眼が男たちを凝視し、まるで魂を握りしめられたような感覚が男たちを襲う

 

「ただ屍を積み上げるだけならば犬畜生に劣る。王の為、集うたならば志は同じ、死す時を間違ってはならぬ」

 

静かに、重く、ゆっくりと語る夏侯嬰の言葉に、男たちはいつの間にか惹きこまれ、それぞれに先程まで諍いを起こしていた

相手に顔を合わせ、すまないと謝罪をしていた

 

「解ったか・・・解ったのならば、立ていっ!!」

 

突然に響き渡る怒号、そして春蘭以上の気迫に男たちは卒倒しそうになりながらも、身体を震わせ直立不動に立ち上がる

後ろで見ていた秋蘭の父も同様に背筋を伸ばし、気をつけの状態で汗をダラダラと流していた

 

「み、見てごらん。アレが、北方の騎馬民族と戦い続け、目の光を失いながらも僅かな手勢で万の敵を滅ぼした君の曾祖母」

 

「う、うむ。まるで・・・」

 

「一言で惹き込み、身体を芯から震え上がらせる姿は女王そのもの。母上様は、敵から【弓の女王】って呼ばれていたのさ」

 

吹き出した汗をボタボタと落とす秋蘭の父の隣で、女王と呼ばれるそのままの姿に美羽は言葉を無くしていれば

軍師の指示で動く兵たちを見た後、夏侯嬰はふらりとその場に崩れた

 

「曾祖母様っ!」

 

「大丈夫だ、少々疲れた」

 

とっさに支えた昭の腕の中で、夏侯嬰はニッコリ微笑んで美羽に手を伸ばし、美羽は夏侯嬰の手を握りしめた

 

「見えぬからな、音と匂い、肌で感じる風で矢を撃つ。流石にこの人数の音を聞き分け矢を撃つのは難儀であった」

 

どうだ、お前の曾祖母たる人間は、お前が胸を張れるような人物か?と先ほどの美羽のように問うていた

夏侯嬰は、曾孫である美羽を一人の人間として対等に見ていたのだ。美羽からあれほどの覚悟と思いを受けた

ならば、自分はそれに値する人間かどうか見定め、その上で名を名乗れと言っていたのだ

 

「はい、曾祖母様の凄まじき弓、そして気迫、戦場の将としての姿を心に刻みました」

 

「ならば良い、戦が終わった時にまた会おう」

 

「何処に行かれるのじゃ?」

 

抱き上げられ、少し疲れた様子の夏侯嬰の手を名残惜しそうに話す美羽は、来たばかりの夏侯嬰が何処かに行こうとしていることに驚いていたが

秋蘭の父母はすぐに理解したのだろう、城壁を急いで降りて屋敷へと戻ってい行った

 

「美羽、御祖母様は、先ほどの兵に着いて行くつもりだ」

 

「着いて・・・曾祖母様は、優し過ぎるようじゃ」

 

そう、城壁から見れば二手に別れ、用意された場所へと行くのだろう。その片方に着いて行き、兵の面倒を見ようとしているのだ

 

「優しいわけではない。眼が見えぬ者が、戦前に側に居ても邪魔になるだけだ」

 

そんな事は無いと首を振る美羽だが、夏侯嬰はそれを肌で感じて優しい所が昭と似ていると笑っていた

 

「妾の作った物をお送りいたします。どうか食してくださいまし」

 

「うむ、是非そうさせて貰おう。昭よ、華琳殿には、顔を出せずすまぬと伝えておいてくれ」

 

秋蘭の父母が引いてきた軒車に乗り込み、城を後にする自分の曾祖母を城門の前まで見送りながら、美羽は隣に立つ昭の手を握った

 

「父様、早く戦が終わると良いの」

 

「御祖母様が気に入ったのか?」

 

「うむ、妾は曾祖母様に色々な事を教えていただきたいのじゃ!将として戦っていたこと、弓術、夏侯の名を嬰の名を継いだ事」

 

「それはきっと、御祖母様も同じだよ。美羽の事をもっと知りたいって思ってるはずだ」

 

「そうかの?そうであったら嬉しいの!ならば父様、妾のお願いを聞いてたも」

 

夕日の落ちる中、遠くなる軒車を見送りながら、昭は美羽の願いを

戦で死なず、必ず勝って、再び曾祖母と会わせてほしいと言う願いを、頭を撫でながら返事をするのであった

 

 

 


 
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