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ALO~閃姫Next after~ EP1 新生アインクラッド

本郷 刃さん

『閃姫After』の後半部、『閃姫Next』のEP1です。
前回までのが空白期間だとすれば、今回のはALO終了からGGOまでの期間にあたります。

それでは、どうぞ・・・。

2013-04-17 10:30:32 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:12917   閲覧ユーザー数:11699

 

 

 

 

 

 

 

 

 

EP1 新生アインクラッド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトSide

 

ALOに実装されることになった新生『アインクラッド』、俺達はゲートを潜り、その街へと足を踏み入れた…。

 

『始まりの街』

 

あの日、全てが始まったあの『始まりの日』。俺達はこの場所でデスゲームの始まりを告げられた。

俺はその日、クラインを、他のプレイヤー達を見捨てる形でこの街から出ていった。

心の弱さ、感じる重圧に耐えられなくなり、他のβテスターと共に先へと進んだ。

もしもあの時『覇気』を使うことが出来たのなら、結末はもっと違うものになっていたのでは?

だがそれではアスナや、他のみんなとの出会いも違っていたのかもしれない。

結局のところ何が正しいのかは俺にも分からない、だがそれで良いと思う。

現在(いま)』という仲間達との時間が大事なのだから…。

 

 

そして周囲を見てみると、アインクラッドの中を早速探索しにいくプレイヤー達がいる中、

俺と同じように街の広場で空を見上げる者達がいる、勿論アスナ達もだ。

全員が『SAO生還者(サバイバー)』なのは間違いない、皆あの日を思い出しているのだろう。

俺は隣に立つアスナの手を握り、そのアスナは俺を見ると微笑みながら握り返してくれた。

その空気が震撼するように、他のみんなも同時に空を見上げるのをやめ、それぞれが動き出す。

 

「なんか、みんなして感傷に浸ったな…」

「ふふ、そうだね」

 

俺が苦笑してそう呟けば、アスナは笑顔のまま返事をしてくれた。

周りにいるハクヤ達も集まり、そして離れて俺達の様子を見ていたリーファとレコン、

それにシルフ領主であるサクヤ、ケットシー領主のアリシャ・ルー、サラマンダー将軍のユージーンも歩み寄ってくる。

 

「やはり考えることがあるものなんだね…」

「それはまぁ、全ての始まりだったからな。俺も含めて、みんな思うところがある」

 

サクヤの申し訳なさそうな言葉に俺はそう答える。

おそらく彼女は、いやアリシャも将軍も、俺達に遠慮しているのかもしれない。

ま、そう思ってくれているだけありがたい。

 

「気にしないでいい……それにいまは、このアインクラッドを攻略したくて疼いている」

「アハハ、やっぱりキミは凄いネェ~」

「だがその気持ちは俺でも分かるな」

 

ニヤリと笑って言えば、アリシャと将軍もそう笑いながら言った。

その言葉に周囲のみんなも早く行動しようと言ってくる。

 

「それじゃあ、行くか!」

「「「「「「「「「「おぉ!」」」」」」」」」」

 

俺達はそれぞれに、アインクラッドの探索へと乗り出した。

 

 

 

俺とアスナとユイは3人で始まりの街を周っていた。

他のみんなもそれぞれに行動している、俺達のように街の中を周る者、

フィールドに出てモンスターと戦いに行く者、次の村や街を目指す者などなど。

まぁほとんどが後者の2つなのだが…。

 

「『黒鉄宮』にはさすがに『生命の碑』はなかったな」

「シンカーさんがギルド『MTD(MMOトゥデイ)』をまたここに置くんだって、意気込んでたね」

「そうですね…あ、あそこ! 地下水路の入り口がありますよ!」

「うわ、マジかよ…って、さすがにまだ封鎖されてるな」

 

まずは黒鉄宮を覗いてみることになり、生命の碑と牢獄エリアがなくなっていたりした。

アスナはシンカーさんの様子を思い出しながら笑っており、ユイがあの地下水路の入り口を見つけたりした。

このゲームはALOだから、生命の碑もPKによる牢獄も必要がない。

ハラスメントコードによる強制転移などはあるけど。

そういえば、俺は始まりの街にはあまり思い入れがないな…。

それこそ時間をトータルしても1日と少し程度か、狩りを終えた後の確認、一種の懺悔とも取れる時間がほとんどか…。

 

「キリトくん、どうかしたの?」

「ちょっとした考え事だよ…ほら、次に行こう」

 

少しだけ気になった様子を見せたアスナに大丈夫だと答え、俺達はまた道を歩き出した。

 

 

 

「ふっ!」

「はぁ!」

 

俺とアスナはそれぞれに剣を振るう。

俺はルナリオに作ってもらった紅を基調としている黒の剣を片手に持ち、

アスナはリズに作ってもらった蒼色の剣で、猪型のモンスター〈フレンジーボア〉を倒した。

SAOのモンスターが一部引き継がれる形となり、

やはり最初のモンスターがコイツだったことに俺達は妙に可笑しくなって笑みが零れる。

 

「パパもママもさすがです♪」

「ありがとう、ユイちゃん」

「相手は雑魚だけどな」

「手際の良さがさすがなんです」

 

アスナはユイの言葉を素直に聞き入れ、俺は相手が相手なので苦笑したが、

愛娘は雑魚に対しても手際良く倒したことが凄いと言った。

まぁSAOでは無駄の無い動きをするように技術を身に着けていたからな。

 

「だけどソードスキルの実装は嬉しいよね♪ やっぱり慣れ親しんだ剣技が使えるの、は!」

 

そう言いながらアスナは初歩的なソードスキル《リニアー》を発動し、ボアを斬り裂いた。

いつ見ても彼女の剣を振るう様は美しい、

と言えば彼女は決まって「キリトくんが剣を振るってる時だって綺麗だよ」と返してくる。

良くも悪くも俺の剣の流れは綺麗とか流麗だと言われるものだ、

悪い気はしないけど……それこそが【舞撃】の異名の由来である。

 

「そうだ、面白いものみせてやるよ……ふっ、はっ!」

 

もう1本の紫色の剣を持ち、俺は二刀流のOSS(オリジナル・ソードスキル)《エンド・リボルバー》を発動し、

2体のボアを同時に消し飛ばした。

それを見ていたアスナとユイは呆然とした後、笑顔を浮かべて俺の傍に寄ってきた。

 

「キリトくん、今のって《エンド・リボルバー》だよね? 《二刀流》の?」

「ああ、OSSにして組み込んだ。ちなみに《二刀流》スキルだったもの全部OSSにして習得した」

「パパ凄いです!」

 

アスナが興奮気味に俺に訊ねるので俺がちゃんと説明するとユイも大興奮してそう言った。

SAO時代に使われていたソードスキル全てと一部のサポート系スキルがこのALOに引き継がれたが、

ユニークスキルは排除されていた。

それを考慮して、俺はユニークスキルであった《二刀流》のスキルを全てOSSにしたのだ、今回はそのお披露目である。

 

「ま、俺自身に余程の事がない限りはこの二刀流OSSは使わないよ。基本的には片手直剣スタイルでいくからな」

「ということは、パパとママの2人で二刀流なんですね♪」

 

二刀流の基本封印を伝えるとユイがそんなことを言った、それに俺とアスナは顔を合わせて笑顔を浮かべる。

俺とアスナの剣を合わせて二刀流か……まったく、上手いことを…。

 

「わたしとキリトくんで二刀流……二刀一対、一心同体……えへへ~//////♪」

「お~い、アスナ~…駄目だ、トリップしてやがる」

「ママ、このままだとパパに襲われちゃいますよ?」

 

変な思考を始めるアスナの気を取り戻そうとしたが反応がなく、ユイがそんなことを口走った。

 

「あのなぁユイ、いくらアスナでもそんな…」

「待って、まだ心の準備がっ//////!」

「「……………」」

「……はっ/////////!?」

 

ようやく意識が戻ってきたアスナ、俺とユイはその反応に沈黙し、彼女は真っ赤なまま顔を俯かせた。

あ~、なんだ、その~…。

 

「後々、な…///?」

「は、はい…//////」

 

さすがの俺も照れながら言うしかなく、彼女は彼女で完全に茹蛸だ。

そしてユイ、気を利かせてどこかに行こうとしなくていいから…。

 

 

 

そんなやり取りのあと、俺達は再び始まりの街へと戻った。

一度みんなと集合ということになっている。

街の中央広場の噴水近くには既にみんなが集まっていた。

 

「キリト、アスナちゃん、ユイちゃん。そっちはどうだった?」

「なんか懐かしい感じがしたよ」

「わたしは楽しかったよ♪」

「ユイも楽しかったです♪」

 

シャインが訊ねてきたので俺達は順番に感想を話す、他のみんなも表情は楽しそうである。

かつての1層の時とは全然違うと思うが、それは当然のことなので考えないでおこう。

その時、ハクヤが俺達に黒いパンを差し出してきた。見れば他のみんなも持っている。

このパンは…、

 

「まさかこのパンがあるとは思ってなかったんだけどさ、見つけたから折角だしみんなで食ってみようということになった」

 

俺とアスナは顔を見合わせてからぷっと笑い、このパンがなんなのかを知らないリーファとレコンは首を傾げている。

ユイは知っているからか困ったような顔つき、パンがどういうものかを知っているので反応に困っているのだ。

そんな3人を放っておいて、俺達はパンに噛り付いて飲み込むと……、

 

「「「「「「「「「「不味い!」」」」」」」」」」

そう言って笑う。3人は反応に困っている。

 

「美味しくないのに食べるの?」

「う、う~ん?」

 

リーファとレコンは訳が分からないという感じだが、ユイはなんとなく分かったようで、

元の大きさに戻ると俺からパンを受け取りそれを食べて…、

 

「不味いです♪」

 

楽しそうにそう言った。

 

「えっと、どういうことなの?」

「この不味いのがSAO最初の味なんすよ、定番っす」

 

リーファの問いかけにルナリオは楽しそうに答える。

そう言われたリーファもレコンもパンを食べて素直な感想で不味いと言った。

それと同時に、俺達はいまが本当に幸せな生活だと改めて実感できるのであった。

このあと俺達は何人かで別れる形でフィールドに出て、狩りや探索を行う事になり、

久しぶりのアインクラッド第1層を満喫した。

 

キリトSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

え~、長らくお待たせいたしました・・・『ALO~閃姫Next after~』のスタートです。

 

物語の始まりは『ALO~閃光の妖精姫~』終了直後からとなっています。

 

上手くGGOまでの空白期間を書く事ができればなと思っております。

 

ちなみにですが、ウチのキリトは早い段階でOSSに《二刀流》を組み込めています・・・ま、戦いの天才ですからねw

 

次回は新生アインクラッド第1層ボス攻略話しです。

 

それではまた・・・。

 

 

 

 

 


 
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