No.56454

北郷一刀争奪戦勃発?(ばれんたいんでー争奪戦)嵐の向う先編

叢 剣さん

呉の皆さんより避けられる一刀を書きました、まだまだ焦らします

2009-02-06 23:30:12 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:15519   閲覧ユーザー数:11804

「ここ最近、みんなに避けられてる気がする・・・・・本当に蜀に旅行に行っちゃおうかな?」

 いろいろと呟きながら政務室へと向かう途中で、偶然、穏とすれ違った。

「穏、聞きたいことがあるんだが・・・・」

「か、一刀さん、ど、どうしたんですか?」

「いや、政務のことで聴きたいことがあるんだけど・・・・」

 なぜか、一刀が一歩近付くと穏が一歩下がり、ついに穏は走り去って行った。

「ごめんなさい~」

「あんな態度取られるとさすがにキツイな・・・・」

 肩を落とし、廊下を歩いていると祭の部屋がわずかに開き、その中で難しそうに悩む祭の姿が見えた。

「う~む、やはり難しいのう・・・・・しかし、妥協するわけにはいかん」

 部屋が軽くノックされて、来客が来たことに気付く、最近はノックが習慣づき始めていた。

「祭さん、今大丈夫?」

「北郷か?しばし待て!」

 何か慌てたように、中から物を片付けるような音が聞こえてくる。

「よいぞ」

「失礼します・・・・・珍しいね、祭さんが焦って片付けするなんて」

「色々と、散らかって、おってな」

 よほど疲れたのか、肩で息をしている。

「それで、何の用じゃ?」

「いや、最近、みんな俺を避けてるみたいだな・・・って祭さん!」

「すまん、急用を思い出した」

 無理やりに押し出されて、そのままの勢いで扉を閉め、鍵をかけられた。

「ちょ!祭さん!」

「急用があるんじゃ!着替えていかねばならんのだ!」

 結局、そのまま退散するしかなかった。

「うむぅ・・・・・祭さんにも避けられるなんて・・・・そうだ!シャオなら!」

 そう思い、小蓮の部屋へと向かうと、部屋の前には武装した侍女が待機していた。

「シャオはいる?」

「おられますが、御遣い様は通すなと言われています」

「なんで?」

「詳しくはわかりませんが、絶対に通すなと、無理やり通ろうとしたときは、攻撃もやむなしといわれていますが?」

「し、失礼しました~」

 軽く後ろを振り向くと、矢をつがえ、狙われていた。

「本気・・・・・って、きくまでもねぇ!」

 さすがに刃は付いていないが、直撃すればそれなりに痛い。

 ようやくシャオの部屋から退散すると、ちょうどそこは亞莎の部屋の前だった。

「亞莎?いる?」

「か、一刀様!い、いかがなさいました?」

「いや、用ってこともないんだけど・・・・・」

「なんか最近、みんなから避けられてるような気がするんだけど」

「き、き気のせいですよ」

「そうなのかな?」

「そうですよ、きっと・・・・・あぁ!今日は穏様にお話を聞きに行く日でした・・・・も、申し訳ありませんが、また後日にしていただけますか?」

 何を焦っているのか、珍しく一刀の背中を押して部屋から出そうとしている。

「・・・・・・・」

 結局、亞莎の部屋からも追い出されてしまった。

「はぁ、おれが何したって言うんだ」

 顔をあげ、廊下の先を見ると思春がこっちへ向ってきていた。

「お~い!思春!」

「何か・・・・・!北郷っ!」

 完全にしかしに入れることもせず、来た道を引き返して行った。

「うわ・・・・・・一番傷つく」

 傷心のまま、中庭に行くとなぜか猫が摺り寄ってきた。

「慰めてくれるのか?」

「にゃ~」

 珍しく、一刀のまえで寝っ転がると、腹を見せて触ることを催促してくる。

「わかった、わかった、ココがいいのか?」

 気持ちいいのか目を細め、なすがままになっている。

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・明命も触る?」

「はうあ!気づかれてしまいました・・・・・お猫様が・・・・」

 必死に誘惑と戦っているのか、たまに頭を振っている。

「だめです、今日のところは・・・・一刀様、すみません!」

 そう言うと、つかみかけていた手をすり抜けてどこかへと走り去ってしまった。

「にゃにゃにゃ~」

「お前にも、笑われるのか・・・・・はぁ・・・・」

 さらに傷を深くした一刀は、自室へと帰ろうとしていた。

「・・・・・・だそうだが、準備できるか?」

「えぇ、してみます」

「そうか、頼む」

 意外なところから冥琳が出てきた。

「冥琳?調理場から出てくるなんて珍しいな」

「北郷、お前は私をなんだと思っている?私だってたまに小腹が空くこともある」

「じゃあ、おれも同じものを頼ん・・・・・」

「それは駄目だ!」

 異常なまで否定され、一刀はびっくりした。

「もう余りの食材がないそうだからな!さっさと部屋で待機しておいた方がいいぞ!ほらほら!」

 背中を押され、だいぶ離れたところで押すのをやめると、急用を思い出したと言ってそのまま去って行ってしまった。

「はぁ・・・・・・」

「はぁぁ・・・・・」

「ん?どうした、蓮華?そんな大きな溜息なんかついて」

「あぁ、一刀か・・・・実は・・・・・!な、何で一刀がこんなところに」

「こんな所って、ここを通らないと俺の部屋に行けないのは知っているだろ?」

「あぁ、忘れていたわ」

「なんか悩みがあるのか?俺でよかったら聞いてあげるけど?」

 少し顔を近づけると顔を真っ赤に染め、押し黙ってしまった。

「いい、今は相談することなどない!」

 語気を荒げると、そのまま何処かへ行ってしまった。

「あぁ・・・・はぁ・・・・嫌われているのかな?」

 完全に気落ちしてしまったように、部屋までもう少しというところで雪蓮と出会った。

「あら、一刀、どうかしたの?」

「雪蓮か、ちょっと色々あってね」

「そうなの?・・・・・・!ご、ごめん、私も急用が・・・・」

「雪蓮!まって!」

 運よく、雪蓮の手を捕まえることができた。

「どうして逃げるんだ?」

「逃げてないわ、ちょっと用を思い出しただけよ」

「じゃあ、何で俺に会う前から急いでないんだよ」

「そ、それは・・・・・一刀の顔を見て思い出したからよ」

 手を振りほどくと、急いだように走り去ってしまった。

「なんか、悪いことしちゃったかな?」

 

 

 

小さき風は刻一刻と力をつけ始めている、一つ一つが旋風へ変貌するのも時間の問題であろう、その先に待ち受けるのは目的地までの広大な平原、この平原で旋風は力をつけ、竜巻へと変貌し、ついには嵐へと至る

 


 
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