(2F、食堂の隣の通路)
一行は黄色の鍵で開けた食堂の扉から、隣の通路に躍り出て、入り組んだ通路を走り抜けていた。走り抜けている範囲で、この通路には扉が無く、どうやら“突き当たり”に1個だけ扉があるケースだと、海斗は走りながら考えていた。
その予想は的中していた。通路の一番奥に扉が1つだけあった。
海斗:この扉の先の部屋か!
リン:とにかく入ってみましょう
海斗は扉を調べ、施錠されてない事を確認してから、その、“他とは違うちょっと豪華な観音開きの扉”を開けてみた。
そこはかなり広い部屋であり、部屋の種類は“バー&ゲームコーナー“だった。
(2F、バー&ゲームコーナー)
L字型カウンターの奥には酒類が沢山置かれており、L字型のテーブルに沿って、固定式の丸椅子が数個設置されていた。扉の右横には、椅子と丸テーブルが2組置かれており、ちょっと奥にジュークボックスも置かれていた。そして一番左奥には、大型筐体のTVゲームが1台、椅子が3つ置かれていた。
そして、この部屋には、ハクが3人、ネルが3人、テトが3人の、計9名が存在していた。ハク達はL字型のバーカウンターに座っており、ネル達は大型筐体のTVゲームの前の椅子に座っていて、テト達はジュークボックスの前のテーブルの横の椅子に座っていた。
海斗:う・・・一気に3人分来たのか・・・
ミク:ミク~、なんか迫力ありますね
ルカ:部屋が広いから、良かったですね
めぐみ:確かに3セットで同じ人物がいるピョンから、ある意味凄いピョン・・・
リン:しかし今回は、3人セットが3組で、分かれているみたいですね
レン:って事は、ルールも違うか、1セットずつ解決か・・・
そのとき、L字型バーカウンターの隅に置いてあった、小型ラジオから、またもやノイズ混じりの声が聞こえてきた。先ほどの男性の声である。
テル:ようこそ遊技施設へ。ここではルールを少し変更しているから、良く聞いておくように。見ての通り、3人で3組のセットになっている。君たちは、ここでは、一組ずつ解決して貰う。但しここの3人の仲間は全員言い当てないと、君たちの仲間にはならない。
海斗:リンレンの時とほぼ同じか
テル:そして、本物を言い当てるルールだが、今回だけは質問ではない。1回だけ、彼女たちに“何かをする”指示を与え、その一連の行動を見て、本物を言い当てるのだ
海斗:何!?
テル:その“何か“だが、彼女たち3人とそれぞれの偽物がいるエリアで理解できるだろう。ハクはバーカウンター、ネルはTVゲーム、テトはジュークボックス。つまり、”何か”は、それぞれのエリアにあるものを使う事に限定される。例えば、ハクにお酒を飲ませる、ネルにゲームをプレイさせる、テトに音楽を聴いて貰う、そういう事だ
めぐみ:随分、今回は凝ったルールにしたピョンね
レン:しかし、ルールとしては、かなり難しい部類ですよ。行動のクセとか知らないと、識別出来ないし
テル:では、健闘を祈る。ここが終われば、宝玉の守護者であり、我らの主が、最後の相手をしてくれるだろう
海斗:残りは・・・メイコか!!!!
ガーーーー、プツン
ラジオからの声は、ノイズ音だけになったあと、消えてしまった。ラジオはもう動いていない。
めぐみ:海斗、大丈夫ピョンか?
海斗:だ、大丈夫だ。確かに彼女達3人との“直接のイベント”は皆無だ。むしろこういうルールの方がこちらもやりやすい
ミク:でも、この3人のクセを熟知するには、あまりにも短い時間だったミクよ?
海斗:蛇の部屋での彼女たちの会話から、ヒントは得られると思っている
ルカ:で、最初は誰にします?
海斗:まずはハクだ。あの3人でもボス格だったし、個性がはっきりしていた
リン:ハクさんと言えば、“ウワバミ”並の酒好きで、召還師でもありましたね
海斗:他にも1つ、決め手の“イベント”があった。それを絡めてみよう
レン:ありましたっけ、そんなの?
海斗は、ハク達がいるバーカウンターの奥に移動し、海斗自身が“バーテンダー”になるシチュエーションを作るようだった。
(バーカウンター)
めぐみ:ピョン! 海斗、なにやってるピョン!
海斗:まあ、任せて置いてよ。あ、ハクだけど、ちゃんと胸にNo.が書かれたバッジをしているから
ミク:わ、わかったミク
海斗:では、ハクさん達、俺がバーテンダーになります。俺達が蛇の部屋に入ったときにしていた“あなた達の酒盛り”で、あなたが他の二人相手に話していた“話”に沿う、カクテルを一杯、注文してください。注文通りのモノを作って、ちゃんとアナタに飲ませて上げますから、真剣に
ミク:ミク~、海斗さんって、バーテンダーの経験もあったんだ・・・
めぐみ:お手並み拝見としましょうピョンか
No.1のハク:バーテンさん、“ラスト・キッス”を頂戴
海斗:・・・・かしこまりました
海斗は、ラム酒とブランデーとレモンジュースを必要量、シェーカーに入れてシェークした後、カクテルグラスに注いで、No.1のハクの前のテーブルに置いてあった“コースター”の上に置いた。
コトッ
海斗:お待たせしました
No.1のハクは、それを一口飲み、バーテンの海斗に呟いた。
No.1のハク:はぁ~・・・男なんて・・・・
次にNo.2のハクが注文をした。
No.2のハク:バーテンさん、“キール“を頂戴
海斗:・・・・かしこまりました
海斗は、カシス・リキュールを入れたワイングラスに、ワインを注ぎ、軽くステアした。その後、No.2のハクの前のテーブルに置いてあった“コースター”の上に置いた。
コトッ
海斗:お待たせしました
No.2のハクは、それを一口飲み、バーテンの海斗に呟いた。
No.2のハク:お友達の前途を祝して、乾杯!
次にNo.3のハクが注文をした。
No.3のハク:バーテンさん、“ホット・バタード・ラム“を頂戴
海斗:・・・・かしこまりました
海斗は、取っ手のついたグラスにラム酒と角砂糖を入れ、熱湯を注ぎ、その上にバターを浮かべ、その後、No.3のハクの前のテーブルに置いてあった“コースター”の上に置いた。
コトッ
海斗:お待たせしました
No.3のハクは、それを一口飲み、バーテンの海斗に呟いた。
No.3のハク:ちょっと風邪気味なのよね・・・。これ飲んで早く治そ・・・
その始終を見ていためぐみは、不安だらけになって、海斗に文句を言った。
めぐみ:ちょっと! これじゃ、区別できないピョン! 単に違うカクテルを作って飲んで貰っただけピョン!
海斗:それと、彼女たちが飲んだ後に呟いた内容が、答えなんだよね
ミク:ミク?
海斗はバーカウンターから出てきて、ハク達の前に立ち、おもむろに説明を始めた。
海斗:キメセリフを言う前に、説明する。No.1のハクが頼んだ“ラスト・キッス”は、失恋の時によく飲まれるカクテルだ。つまり、話していた話が“コイバナ”であることを意味している。No.2のハクが頼んだ“キール”は、祝いの席に飲まれることが多いカクテル。つまり、何らかの“祝い事”の話をしていたことを意味する。最後のハクが注文した“ホット・バタード・ラム”は風邪気味の時に体を温めるためによく飲まれるカクテル。つまり、“風邪を引いている”ことが話だったと言っているのだ
リン:? ただそれだけでしょ?
海斗:俺達が来たときに、彼女たちが話していた酒の肴の話は、“ハクのコイバナ”、しかも、ハク自身があんまり語りたくないそぶりをしていた位なので、失恋か何かだったと思う
海斗はしっかと、No.1のハクを指さして言った。
海斗:「君が本物だ」
シュン!
No.2とNo.3のハクは消えてしまった。どうやら正解だったようだ。しかし本物のハクもその場に膝を落としてしまい、海斗達にも反応しなかった。
海斗:なるほど、3人全部正解しないとダメというのは、こういうコトか。じゃあ、次はネルだ
一行は、TVゲームのエリアへ移動した。
(TVゲームエリア)
めぐみ:次はネルピョンね~
ミク:ミク~、TVゲームに絡めるイベントってあったミクか?
海斗:うーん、“アレ“が関係していると思うけど、自信ないんだよね。めぐみ、アレってわかるよね?
めぐみ:わかるピョンけど、実際ここで使えるか、博打ピョンね。でも、あなたがやらないとだめピョンよね?
海斗:うむ、やってみよう!
海斗は3人のネルがいる場所の前まで行き、ネル達に話し出した。
海斗:俺がこのゲームのインストラクターとする。ネル達、良く聞いて欲しい。このTVゲーム、いや、アーケードゲームが非常に難しい事にする。でも君たちはどうしてもこのゲームをクリアーしたい。君たちなら、“どうするか“、その行動だけ言葉で教えて欲しい
No.1のネルが自信満々に答えた。
No.1のネル:せっかくいるんだから頼むわよ! アナタに頼んで、ディップスイッチ(難易度調節などのコントロール装置)をいじってもらって、簡単な設定に変えて貰う!
No.2のネルが鼻息を荒くして答えた。
No.2のネル:それは、勿論、正攻法ですよ! 100円硬貨を積み上げて、財力でクリアーする! ズルはダメです!
No.3のネルは、不気味にニヤリと笑って答えた。
No.3のネル:それはもう、基盤とか入っている“箱”の鍵を開けて、中身を思いっきり“工作”して、自機を無敵にしちゃうでしょう!
めぐみ:あー、なるほど、こりゃはっきり答えが出たピョンね
レン:そうだね。確かに彼女たちの酒の席でも、そんな話、出てきたね
海斗は自信満々に、No.3のネルを指さした。
海斗:ネルは何かを改造したり手を加える“工作”が好きだ。当然、こういう場合でも人に頼らずに自分で工作して切り抜けるだろう。だから、No.3のネル、「君が本物だ」!
シューーー
No.1,2のネルは消え失せ、No.3のネルが、その場に倒れ込んだ。先ほどと同じ反応だ。
海斗:次を急ごう!
一行は最後のエリア“ジュークボックス”に急いだ。
(ジュークボックス)
海斗:さて、残りはテトか。“無口”って個性を武器にするのはムリだろうし、この3人、そもそも全員、無口だろうな
ミク:そうミクね
めぐみ:私の記憶では、テトと私たちのイベントって、ほとんどなかったように思えるピョン・・・
海斗も今回は難題である事を危惧していた。メイコの前の最後の一人。さて、“テト”を区別する事は出来るのだろうか・・・。
海斗:俺達とのイベントで区別する事はほぼ出来ない。かといって一般的な事で区別するのはほぼ不可能・・・
ルカ:お酒の席でのテトさんの行動は・・・、一緒に飲んでいたのと、あんまり私たちと闘いたくない事の意思表示をしただけですね
海斗:・・・・テトは、ハクとネルと一緒に飲んでいたか・・・・ん?
海斗は何かに気づいたようだ。
海斗:俺達は知らないのかも知れないけど、テトってもしかして・・・・
めぐみ:え? え? どういう事ピョン?
海斗:・・・いいだろう、今回は情報も少ないし、この“予想”に賭けてみることにしよう
めぐみ:ちょ! どういうことか説明するピョン!
海斗:俺も確証が持てないけど、“結果”が出るまで、俺に任せてくれないか?
ミク:わかったミク
ルカ:そうしますわ
リン:頼むね
レン:頑張ってくれ!
めぐみ:う゛゛゛゛゛゛、わかったピョン、とにかくやってみるピョン
海斗:OK! じゃあ、行くよ
海斗はジュークボックスの前に座っているテト達に向いて、“行動“を説明した。
海斗:テト達、緊張しないでね。君たちが無口なのは知っているけど、それを承知で頼みたいことがある。このジュークボックスで、君たちに1曲ずつ、歌をプレゼントしたいと思っているから、曲名を教えて欲しいんだ。でも、これは強制ではないよ。いやなら、黙ったままでいい。自分の自由意志で答えてね
めぐみ:ちょ! だからテトは無口だって!
No.1のテト:・・・・・・・・・
No.2のテト:・・・・・・・・・
めぐみ:ほら! 言わんこっちゃない! 1回しか指示できないピョンよ! どうすr
No.3のテト:・・・・“おちゃめ機能”をお願い・・・・・
海斗:了解
海斗はジュークボックスを1回、足でサイドキックして起動させ、No.31の曲“おちゃめ機能”をかけた。
ジュークボックス:~♪
No.3のテト:♪♪♪
そして、曲が終わった。
めぐみ:・・・え!?
ミク:テトが話しているミク・・・・
海斗:やっぱり。みんな、俺達がいるときはテトは1回も話さなかったけど、彼女はハクやネル達と飲んでいて、ネルの話ではハクとかの酒のツマミになる話題で盛り上がっていたそうだ。つまり、俺達が来る前は、テトはハク達と“話していた”んだよ。要するに、彼女は極度の“人見知り”。ハクやネルなどの“ごく近い間柄”の人とは話せるけど、知らない人とは基本的に話さないわけだ
めぐみ:な、なるほどピョン・・
海斗:でも、曲をプレゼントする、って事で優しく接した今、テトは一時的に心を開いてくれた。つまり、偽物を作ったここの守護者でも知らなかった“テトの真実”を唯一持っている「本物」を遂に区別することができたってわけだ!
海斗はNo.3のテトを指さした。
海斗:「君が本物だ」!
シューーーン、パァァァァァ!!!!!
部屋全体が輝いて、本物のハク、本物のネル、本物のテトの3人が、ようやっと意識を取り戻した。またL字型のバーカウンターの上に、“紅蓮の鍵”が出現した。海斗はその鍵を取って、ポケットに入れた。
ハク:いたた・・・・あれ、皆さん?
ネル:あーーー、もしかして助けてくれた?
テト:(≧▽≦)☆
海斗:そうなんだけど、時間が惜しい。詳しくは移動中にミクから聞いてくれ。次で仲間救出は最後なんだ。最後はメイコだ
ハク:わかりました。急ぎましょう!
こうして一行は、海斗が持っている“紅蓮の鍵”でL字型バーカウンターの後ろの勝手口を開けて、奥の通路に出た。
(2F、勝手口裏の通路)
一行は通路を走り抜けていた。途中には扉が1つも無かった。
海斗:待ってろ! メイコ!
通路の一番奥には“螺旋階段“が置かれており、上り専用だった。
めぐみ:これで屋上に行けってことピョン!
海斗:わかりやすくて感謝したいよ
一行は一気に螺旋階段をかけのぼり、一番上の“屋上”に出た。
(屋上)
そこには、二人のメイコが立っていた。そして、屋上に設置されていたスピーカーから、ノイズ混じりで、また新しい女性の声が聞こえてきた。
ミキ:遂に最後まで来たわね。ここが正真正銘、仲間探しの最後。私は羊の館の守護者の最後、ミキ。この二人のメイコのうち、どちらかが本物だ
海斗:今回はこちらの声が聞こえるんだろ! とっととルールを教えろ!
ミキ:宜しい。最後は、君、つまり、海斗とメイコの間でしか知らない質問を1回だけ行うことが出来る。そうして貰った“回答”から、本物のメイコを当てなさい。成功なら、君たちは全員クリアーした事になるから、全員で、我々3人の守護者と闘うことが出来る。しかし、失敗したら、これまでと同じルールなので、絶縁されたメイコ抜きで闘う事になる
海斗:メイコと俺の間のイベントなら、結構あるぜ!
ミキ:言い忘れていたが、ここの偽物は最高級品故に、非常に微妙な答えしかしない。ソレをよく理解して、行動するように。では健闘を祈る
こうしてスピーカーからは何も聞こえなくなった。
海斗:これで最後だ! 虎の部屋でのとっておきのイベントを質問すれば、オールクリアーだ!
めぐみ:でも、ちょっと待つピョン。今回の偽物は最高級品ピョンよ? つまり、そのイベントでも、見分けが付かない事を言ってくると思うピョン
海斗:う・・・うむ・・・
ルカ:・・・・・・偽物と本物で、決定的に違う答えが出てくる質問でないと、危険ですね
海斗:・・・・・・・なるほど、最後は正攻法ではダメってことか。わかった。それなら、アレがある! 今回も俺だけの作戦でいいか?
めぐみ:コレで最後ピョン、頑張るピョン
ミク:やっちゃってくださいミク
海斗:では
海斗は二人のメイコの前に立って、最後の質問をしたのだった。
海斗:メイコ、最後になってごめん。でも、必ず救い出すから安心してくれ。では、質問だ。俺と君とは虎の部屋で闘ったけど、その前にしたことを含めて、何で戦闘後から馬の部屋の手前までの期間、君は俺の恋人になったのか。説明してくれ
少し沈黙の時間が過ぎた後、No.1のメイコが語りだした。
No.1のメイコ:アナタがくすねた私の隠し薬酒を、ルール変更のお詫びでとして、私に飲ませた後の私との戦闘で、私をくどく言葉を何度もかけてきて、先ほど飲んだ“自分に酔う薬”の効果もあって、アナタを完全に好きになって、私の負けにまでさせて、それ以来、ずっと好きのままになった
No.2のメイコ:どこから持ってきたかわからない美味しい酒を、ルール変更のお詫びとして、アナタが私にくれて、私は飲みました。その後、アナタと戦闘になったけど、私が組んだ時に、アナタからの告白があって、私も嬉しくなって、一発でアナタに惚れて、私の負けにまでして、それ以来、ずっと私はアナタのことが好きになっている
ミク:あー、これは簡単ミクね。本物は1ミクね
ルカ:確かそういう作戦でしたものね
めぐみ:私は詳しくは知らないピョンけど、No.2は詳しく話してないし、これは簡単ピョンね
しかし、何を思ったのか、海斗はNo.2のメイコの方を向いた。
ミク:ミク! 海斗さん! そっちは違うミク!
海斗:偽物、最後に引っかかったな! 俺の質問は“第3者”が見た事実ではない。メイコが知っていて、今でもそう思っている“内容”を話すことだったんだ。事実はNo.1が言ったとおりだ。しかし、本物のメイコはその事実を知らない。知っている内容はNo.2のメイコが語った内容の方だ!
海斗はNo.2のメイコを指さした。
海斗:「君が本物だ」!
パァァァア
No.1のメイコが消えて、遂に最後の関門も突破し、仲間を全員救助する事に成功した・・・・・はずだった。
メイコは立ったまま、ボロボロ泣いていた。
海斗:メ、メイコ?
そのときスピーカーから、あの声がまた聞こえてきた。
ミキ:我らが何の策も無く、こんな関門を作ったと思うか?
海斗:何!
ミキ:ここの本物のメイコは、隣の偽物メイコが言った言葉、そしてお前の説明の声を聞くことが出来るようにして、ここに設置した
海斗:!!!
ミキ:つまり、君が“メイコが知らない真実”を、本物のメイコに教えてしまったのだよ。本当の事実とまで言ってしまったのだ。もう“取り返し”はつくまい
メイコの体は真っ黒の影のように変化していった。
メイコ:そんな・・・・作戦を使って・・・・私のココロをもてあそんで・・・・本当に好きだから行動したんじゃ・・・なかったのね・・・・
海斗:ま、待ってくれ! 馬の部屋でわかっただろ!? 今は君を心から・・・
メイコ:ダメ! もう遅い!
「あなたなんて、“大っ嫌い!!!!!“」
シューーーン!
真っ黒の影になったメイコは、消えてしまった。
海斗:ミキ!!!! 約束が違うぞ!
ミキ:いーや、これは私たちが仕掛けた削除装置が発動したんじゃない。メイコが自分から、君たちから離れる事を決めたのだ。そして自分の意志でこの館からザッピングした。我々はきっかけを作っただけ。その原因を作ったのは、海斗、君だ!
海斗:う・・・・
ミキ:このケースは初めてだ。我々でも、お前達がこの館から出られたとして、その後、メイコを仲間に戻せるのか、正直解らない。だが、これで君たちへの“絆の試練”は終わった。戦闘ステージに案内しよう
ミキはこういうと、屋上のエリアに歪みを与え、なにか、広めの場所に変化させた。
(庭、ヘリポート)
そこは、館に隣接された、今まで行くことが出来なかった“庭”で、そこには、円形のマークが塗装されたマークがあった。つまりヘリポートである。
そしてそのヘリポートの円形の横に、女性一人、女の子一人、スーツの男性一人が立っていた。
ミキ:ようこそ、館の最後へ。私がここの守護者の主のミキだ
ユキ:私は従者の一人、ユキ
テル:同じく、テル
ミキ:それでは、シミュレーションRPG対戦をしようでは・・・・・ん?
海斗だけがうなだれて、完全に戦意喪失状態になっていた。
ミキ:一人、最初から除外されそうな仲間がそちらにいるようだが、こちらも甘くない。そういう輩にも問答無用で攻撃するが?
めぐみ:こうなった“歯車”を作って置いて、よくも・・・・。海斗! とにかく正気に返るピョン!
海斗:・・・・・・・・・
心、ここにあらず状態だった。
ミク:ミク~、私たち、これからどうなっちゃうミク!?
(続く)
CAST
工藤海斗:KAITO
0:00の子の宝玉の守護者&案内天使・ミク:初音ミク
1:00の丑(牛)の宝玉の守護者・ルカ:巡音ルカ
2:00の寅(虎)の宝玉の守護者・メイコ:MEIKO
3:00のうさぎ(兎)の宝玉の守護者・めぐみ:GUMI
4:00の辰(龍)の宝玉の双子の守護者・リン:鏡音リン
4:00の辰(龍)の宝玉の双子の守護者・レン:鏡音レン
5:00の巳(蛇)の宝玉の守護者達・ハク:弱音ハク
5:00の巳(蛇)の宝玉の守護者達・ネル:亞北ネル
5:00の巳(蛇)の宝玉の守護者達・テト:重音テト
6:00の午(馬)の宝玉の守護者・学歩:神威がくぽ
7:00の未(羊)の宝玉の守護者達・従者・ユキ:歌愛ユキ
7:00の未(羊)の宝玉の守護者達・従者・テル:氷山キヨテル
7:00の未(羊)の宝玉の守護者達・主・ミキ:miki
ジャッジのヒーゲ:とある髭のリングアナウンサー
その他:エキストラの皆さん
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○ボーカロイド小説シリーズ第11作目の” 十二支・幻想奇譚 ボカロ界からの脱出!“シリーズの第7話です。
○私の小説シリーズでは、“KAITOにーさん”が初の“主役”を勝ち取った作品です。
○内容は、まぁ、にーさんの代表曲のように、卑怯というか、何というか…。久々に脱出物です。
○なにやら不思議な空間に飛ばされたKAITOにーさん、どうなるのでしょうか?
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