第1章ー壱話『未知』
ーーー『陳留』《一刀》
その日は朝から何やら騒がしい。
賊の報告を受け出発の準備を進めているわけだが。
「また…か。」
誰に言うでもなく、彼-『北郷一刀』は呟く。
見知らぬ場所で『曹操』を名乗る少女に助けられ、
半信半疑なまま過ごしていたが、ここ最近
舞い込んでくる賊の報告、それを聞いて思うのは
「やっぱり、アレしかないよな。」
それは、三國志に置いて乱世の始まりの狼煙。
「『黄巾党』か。」
「ちょっと、あんたこんな所で何サボってるのよ。」
声の方を見れば猫耳フードを被った少女がいた。
「ちょっと、考え事だよ。」
「変態のくせに、スケベな事以外考える事があったの?」
「何気に、酷くないか?」
「私は気にしてないわ。」
「俺が気にするわ!」
「それより、そろそろ出発するわよ。」
「はぁ、分かったよ。」
そう行って後ろについていく。
これから来る乱世を感じながらも、一先ずは
目先の事に集中することにした。
《和輝》
ゴロン...ドサッ、ゴン。
「っっってぇぇ。」
頭を抱えて目を醒ます。
その事で自分が転がり落ちた事を理解する。
そして涙目になりながら、ふと違和感に気付く。
「俺、ベッドなんて持ってないよな。」
そして、目線を動かして思う。
(ここは、何処だ?)
そこは石造りの壁に囲まれた部屋だった。
(拉致られた?にしてはおかしい。)
拘束されず見張りも見当たらない。
(それに…)
すぐ横の壁には合口造りの愛刀が立て掛けてある。
理解し難い状況の中、戸が開き誰かが入ってきて、
とっさに刀を手に取る。
「あっ、起きたんだ!御飯食べる?」
入ってきた少女のその一言でまた混乱する。
「直ぐできるから?お皿出してもらえないかな?」
と笑顔で訪ねてくる。
とりあえず、敵意は感じないので、釈然としない
ながらも朝食の準備を手伝う事にした。
「ところで、お兄さんは何で邑の近くで寝てたの?」
少女が唐突に聞いてくる。もちろん、そんな事は
身に覚えもなく、
「俺にもさっぱり分からんな。昨日は自分の部屋
で寝た筈だが。」
「ふ~ん、じゃあ、名前は?」
少し思案して、
「橘…橘 和輝(たちばな かずき)だ。」
と答える。
『立華』と言えない事に自分の弱さを感じながらも
元々の姓の『橘』を使った。
「ん~、変わった名前だね。偽名って風には
感じないけど…、字と真名は?」
「そんなものはないな、というか、字はともかく、
真名って何だ?」
そう、率直に答えると何やら驚いていた。
「字も真名も無いどころか、真名の事を
知らないって、お兄さん何者?」
「強いて言えば、任侠者だよ、てか、
姐(あね)さんは名乗ってくれないのかい?」
「あぁ、そうだね。あたしは、
姓は徐、名は晃、字は公明だよ。」
「・・・・へっ?」
今度は俺が、間抜け顔を晒す番だった。
あとがき
知らないうちにたくさんの方が読んでくださり、
感謝と共に申し訳なさと恥ずかしさでいっぱいです。
(^-^;
さて、今回から外史に入りましたが、悩んだ末、
一番キャラが難しそうな魏√を敢えて選んでみました。
読んでくださる皆様をがっかりさせない様に頑張って
参ります。
コメントや意見等もありましたら逐次目を通したい
と思いますので、未熟な自分を支えてください。
では、また次回お会いしましょう。
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今回から外史に入ります。(^-^;
作者未熟なため、キャラ崩壊や時系列が
おかしかったりしますがご了承しました。
(オリキャラも出ます(・・;))