No.558256

超次元ゲイムネプテューヌ 魔法を司る者

ユキさん

若社長のもとへとやって来た一行。
そこで話されたのはラステイションの大陸行事、総合技術博覧会についてであった。

2013-03-23 14:39:39 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:770   閲覧ユーザー数:744

第8話 若社長の企み

 

 

「ココがこの前、モンスター退治の時に会った社長さん...シアンの会社?」

 

ねぷが可愛らしく「うーん」と考え込んでいるのを俺は横目で見て「可愛い」と呟きつつ、各方向からの三つの殺気にびくびくしていた。

 

場所はこの前のクエストでお世話になった若社長の会社であるパッセ工場というところ。

周りにはたくさんの機械が置かれていた。

辺りを見回していると、一人の少女がこちらに向かって声をかけてきた。

 

「お、来たか。....別に会社なんて立派なもんじゃねーよ。ただの町工場」

 

と、そこまで言ってシアンと思われる人物は俺の顔と隣のノワールの顔を見て「なるほど」と言った。

 

「何がなるほどなんだ?」

 

俺はシアンにそれを尋ねると彼女は俺とノワールの顔を指差し

 

「お前達、付き合ってるだろう!!(ビシッ!)」

 

「「「「違うぅぅぅぅぅぅぅ!!!」」」」

 

俺以外の女子が何故かその場で叫んだ。

ノワールだけは顔を真っ赤にして叫んでましたけど。

 

「はは...俺はソウジ。で、こっちがノワールだ」

 

俺は残念ながら彼女ではないノワールを紹介し、シアンにここで何を作っているか聞いてみた。

 

「調理器具からミサイルまで何でも作ってるぜ?それよりこっちだ。ここじゃ落ち着いて話も出来ないだろう」

 

それに促され俺達はシアンの背を追うことにした。

 

 

「ただいまー。好きなとこに座ってくれよ!ここ、俺の家だから!!」

 

「へー、じゃあわたしカウンター席とったーっ!

 でも仕事場の隣がレストランなんていいなー。....っていうか、頼み放題だよ!?」

 

と、ねぷの言うとおり仕事場の隣にレストランがあったんだ。

見た感じ定食屋といったところだろう。

昔なじみのところがとても良い雰囲気をかもし出してるように見えた。

 

「自分の家で頼み放題しても仕方ないだろ。工場の稼ぎだけじゃ苦しいからな。

 母さんがここを片手間でやってくれてるんだ」

 

「この辺りは、ま...なんていうか。

 アヴニールのせいで中小にまで仕事が回ってこなくなってるからな....」

 

「やっぱりアヴニールは悪い会社なんだ!シアンも街の人も、それで困ってるんでしょ?」

 

ねぷが眉を吊り上げ怒りを表す。

ねぷは人一倍正義感が強いからな...

 

「悪いなんてもんじゃない!

 仕事を全部とり上げて自分だけどんどんデカくなるバケモノみたいな会社さ!!」

 

「どういうわけか女神様も、それに仕える協会も。アブニールの悪行には見て見ぬふりだ」

 

「放っておいたら大陸中があの会社に乗っ取られるに決まってる!!」

 

シアンが必死な形相でそれを語っていると、

どれだけ苦しい状況なのかが素人の俺でも分かってくる。

 

「やっぱり、わたしの思ったとおりだよ!

 アヴニールを倒さなきゃラステイションに平和は訪れないよ!?」

 

そこでコンパが困った顔でこう言った。

 

「でも、どうするです?やっつけようと思ってやっつけられるものじゃないですし....

 そもそもどうやって戦えばいいか分からないです」

 

確かに俺達の考えた策じゃ裏方を抑えるだけで、

アヴニール自体を完全に止めることは出来ないかもしれない。

 

「...俺達だって、ただ黙って潰されたりなんかしないさ!

 今年は待ちに待った総合技術博覧会の年だしな!」

 

「....そうごう、ギジュツ....博覧会?それってなんです。お祭りでもあるんですか?」

 

頭の大量の疑問符を浮かべ首を傾げるこんぱ。

俺とねぷとノワールも「なにそれ?」といった感じになる。

 

「そっか、三人とノワールは記憶喪失だったから...ラステイションは一応初心者だしね。

 ...面倒だと思うけど、一から説明してあげて。

 あ、かくかくしかじかとかナシよ?分かんないから」

 

「....まー世界観説明はRPGの醍醐味と言うか。決して避けては通れない道というか。

 退屈かもしれないが覚悟して聞いてくれ!」

 

RPG? 何で今ここでそんな単語が出てくるんだ?

と俺の疑問は完全に無視した形でシアンが話をし始めた。

 

「ラステイションでは四年に一度総合技術博覧会っていうのがあって、

 いろんな会社が決められたジャンルで展示を行う催しがあるんだ」

 

「目的は技術交流らしいが、それだけじゃない!

 出展したモノの中で、最も優れた展示品には女神様から直々にトロフィーが送られるんだよ!!」

 

「トロフィーが送られるの?スゴイわね!...でも、トロフィーでアヴニールをやっつけるわけ?」

 

トロフィーで殴ってやっつける?

俺は思わずノワールがトロフィーを持ってアヴニールの会社に乗り込んでいくところを想像して吹きそうになった。

ノワールは今頃自分が失敗したのに気付いたのか顔を真っ赤にし「違う違うの~!」と何故か俺に必死に訴えてきた。

 

「違う違う、重要なのは女神様の方だ。博覧会に出展してアヴニールの鼻を明かす!

 さらに女神様に会って、直談判しようってことさ!!」

 

「なるほどです!でもそのためには、

 シアンさんがとってもとってもがんばらないといけないとダメですよ?」

 

ノワールが赤面暴走状態になってしまったため、その天然をいかしてコンパが話に納得する。

こんぱの天然っぷりには俺の場合あきれを通り越して「可愛い」が来てしまう。

 

「それもそうだが、何事にも先立つものは必要だ。

 やっと本題に入るけど。今日来てもらったのはその話をするためなんだよ」

 

そこでねぷがピンっときたのかシアンの顔を見て真剣な表情で

 

「借金の保証人なんか絶対しないよー!」

 

と、言ったので俺は思わずこけそうになった。

 

「はははっ!先立つ物って言ってもお金じゃねーよ!

 資材や道具を運ぼうにもモンスターの脅威は増すばかり...」

 

「ネジ一本だって命がけだ!それで、これからもこまめに仕事を頼むだろうからよろしくって事さ」

 

「そういうことか。少し見えてきたな。

 博覧会の準備を、モンスターに邪魔されないよう手伝ってほしいってところか?」

 

「わたし達にとっては適任かもしれないわ」

 

「そういうことだ!

 なんだ、やっぱりソウジとノワールは付き合ってるんじゃないか!?息あってるし」

 

シアンのからかったような言葉にまた、女子一同が「違うぅぅぅぅぅぅぅ!!!」と全力否定した。

 

「はいはい。たまにムリ言うかもしれないが、なにとぞ頼む!」

 

シアンはそう言うと俺達パーティー全員に握手をし、仕事場に戻っていくのであった。

 

「さて、俺達も今日は仕事が入ってるんだし、ささっと行こうぜ?」

 

「「仕事??」」

 

ねぷとコンパが二人同時に声を上げる。

そう言えば、内容があれだからこいつ等には言ってなかったけな。

 

「来たら分かるわよ。ね?アイエフ?」

 

「そうね。聞くより見た方がいいわ」

 

ノワールとアイエフにもそう言われ、ねぷとコンパはさらに疑問符を浮かべていた。

そんな状態のねぷとコンパを見かねた俺は二人の手をとり、無理やり店から出して街中を歩こうとした。

 

「ちょいまち!あんたが先頭で行ったらどう考えてもまた迷うでしょ?」

 

出口から出ようとしたところでアイエフにすんでのところでその進行を止められる。

 

「え?ソウジって方向音痴なの?」

 

と、ノワール。

 

「いや、分からん」

 

そんな会話を聞きアイエフは額に手を当て一人深いため息をついていた。

もしかして俺のせいなのか?

 

 


 
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