No.55731

君と出会えた【詩】

ヒマワリさん

「僕は、気づけば下ばかりを見ている」
詩です。

2009-02-02 22:11:13 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:598   閲覧ユーザー数:578

「君と出会えた」

 

 

 

僕は、気づけば下ばかりを見ている。

 

 

 

僕が僕自身の言葉を語れなくなったのはいつのことだろうか。

言葉を失い、記憶を失った僕はただの畜生だ。

喪失してしまうほどに、あの頃の僕は苦しかったの?

人であることを拒否してしまったほどに。

 

僕は気体よりも軽い固体になりたいんだ。

 

 

もっと軽く、軽く、軽く。

 

 

嘘だよ。

 

例えば真っ青なビー玉の海にもぐった時。

僕は存在の軽さに耐え切れず、肺の空気を吐き出すんだ。

 

ほら、空が遠くなった。

 

 

彼はどうして踏まれても踏まれても立ち上がるのだろうね。

 

誰も褒めやしないよ。

誰も君の存在を気に留めたりしないんだ。

 

 

ねえ、靴のかかと。

 

 

君が潰れればその靴はさようなら。

そんなことを気にしているの?

 

そんなことで自分を守っているの?

 

ああ、彼はきっと存在意義を全うするんだね。

 

君は勇者だ。

 

 

僕は僕で僕を踏みつけておきながら、たちなおることをためらう。

 

最低だ。

でもね、気づいたんだよ。

 

下しか見えない僕だから、君と出会えた。

 

 

君の視点はさらに下だ。

でも、君だから得たものが、たくさんあったのだろう。

 

教えてくれるかい?

 

 

僕は踏まれても立ち上がるよ。

背筋を伸ばして。

他人という靴へらのおかげで。


 
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