「君と出会えた」
僕は、気づけば下ばかりを見ている。
僕が僕自身の言葉を語れなくなったのはいつのことだろうか。
言葉を失い、記憶を失った僕はただの畜生だ。
喪失してしまうほどに、あの頃の僕は苦しかったの?
人であることを拒否してしまったほどに。
僕は気体よりも軽い固体になりたいんだ。
もっと軽く、軽く、軽く。
嘘だよ。
例えば真っ青なビー玉の海にもぐった時。
僕は存在の軽さに耐え切れず、肺の空気を吐き出すんだ。
ほら、空が遠くなった。
彼はどうして踏まれても踏まれても立ち上がるのだろうね。
誰も褒めやしないよ。
誰も君の存在を気に留めたりしないんだ。
ねえ、靴のかかと。
君が潰れればその靴はさようなら。
そんなことを気にしているの?
そんなことで自分を守っているの?
ああ、彼はきっと存在意義を全うするんだね。
君は勇者だ。
僕は僕で僕を踏みつけておきながら、たちなおることをためらう。
最低だ。
でもね、気づいたんだよ。
下しか見えない僕だから、君と出会えた。
君の視点はさらに下だ。
でも、君だから得たものが、たくさんあったのだろう。
教えてくれるかい?
僕は踏まれても立ち上がるよ。
背筋を伸ばして。
他人という靴へらのおかげで。
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「僕は、気づけば下ばかりを見ている」
詩です。