No.557169

真・恋姫†無双~絆創公~ 小劇場其ノ六

今後のやりたい事の為に新キャラ追加。多分キャラ説明でなんとなく解りそうな……

2013-03-20 12:39:15 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1285   閲覧ユーザー数:1151

小劇場其ノ六

 

 どーも皆さん。御存知ですかぁ? 役員のアキラでぇございまぁす……

 

 僕、パイは作れませぇん……

 

 とまあ、冗談はさて置いて。僕達の世界からやってきてしまった九頭竜事件の解決のために、皆さんと協力していこうと息巻いていました。出来るだけこの世界に影響が出ないように、慎重にと。

 しかし、影響とは出てしまうものなんですねー。それも変な形で。

 色んな所で、九頭竜の手下だと名乗る賊が現れ始めたんです。

 皆さんは張遼さんの決戦の日までの間、各自鍛練を重ねたり対策を講じるようにしたかったみたいですが、この思わぬ事態に色々奔走していました。

 ですが、そう名乗っていた奴らを捕らえてみれば、全員九頭竜とは全く関係無い人間なんです。

 しかもこれが面白いことに、彼らの容姿はかなり似通っているんです。

 大体が三人のチーム編成で、主軸はヒゲの生えた男、それに付き従う太った男と背の低いが一人ずつ。何でなのか、解散したはずの黄巾党の象徴である黄色の布を頭に巻いているんです。

 “世の中には似た人間が三人はいる”とは良く言いますが、これは流石に多すぎます。どこに需要があるっていうんですか!?

 そんなこんなで、巷の噂に乗じてよからぬ動きを見せようとする輩の対応に、皆さん日々追われる事となりました。

 

 今回もそうでした。

 関羽さんと張飛さん、そして北郷一刀さんと僕の四人は、九頭竜の手下と名乗る賊を邑外れにある森の中で追い詰めました。

 みすぼらしい茶色の布で頭と身体を覆った人影は全部でやっぱり三人で、何と言うかここまで来ると呆れるしかありません。

 僕らは軽く肩で息をしながら、一応は警戒して相手を睨みつけました。

「貴様ら! もう逃げ場は無いぞ!!」

「大人しく降参するのだ!!」

 関羽さんと張飛さんは得物を構えながら、声を張り上げます。

 見た目は美少女でも、やはりお二人は百戦錬磨の武将。味方だと解っていても、その声に含まれる覇気で僕の方が土下座で許しを請う体勢になりそうです。

 恐らく北郷一刀さんも同じなんでしょう。一瞬身をすくめていました。

 しかし、そんな中であるにも関わらず、追い詰められているハズの三人の口元は笑みを浮かべていました。

 そこから漂っている不気味な余裕に、こちらの方に不安が走りました。

「何がオカシイのだ!?」

「犯した罪の愚かさに自嘲したか!?」

 よぎる悪寒を払拭するように、お二人は怒気を一層強めて叫びました。

「違えよ……追い詰められたのは、テメェラの方だ!!!!」

 三人の内、真ん中に陣取っていた男が今度は声を張り上げました。すると、高い場所にある周りの茂みから新たな賊が出てきたのです!

 その数、ざっと見ても百人はいるでしょう。下品な笑いを浮かべてこちらを見下ろしていました。

 と、見下ろしていたと判断してみて、僕らの置かれている状況が理解できました。

 僕らがいる場所の形状は、例えればちょうどすり鉢の底の部分で、敵の集団は弓兵で安全な場所で狙い撃ちを出来るという構図。

 僕らは既に敵の手中にいたという訳です。

「くそっ! 迂闊だった!!」

 北郷一刀さんが一番悔しそうに叫びました。

 無理もないでしょう、今回の一件で誰よりも皆さんの身を案じていたのはこの人です。

 それなのに、こんな簡単に敵の罠に嵌められたんですから……

「申し訳ございません、ご主人様! 私が賊を追う事に気を取られていなければ……!」

「お兄ちゃん、ごめんなさいなのだ……」

「いや、二人のせいじゃない! 俺がもっとしっかりしていれば……!」

 三人とも互いを庇い、自分を卑下していました。やはりこの三人の繋がりは、想像以上に強いものなんでしょう。

「ハッ! 仲が宜しいことで……最後のお別れは済んだか?」

 などと感動に浸っている場合じゃありませんでした。この状況を打破する策を考えなければ……

 しかし、今の僕の手持ちのアイテムには、この賊全員を倒せる能力のある物がありません……

「ご主人様! 我々の後ろにお下がり下さいっ!!」

「お兄ちゃんは鈴々たちが守るのだっ!!」

「愛紗……鈴々……!」

 関羽さんと張飛さんは僕ら二人を庇いながら臨戦態勢に入りました。

 二人の言葉の中に僕が入っていなかったのは少し切なくなりましたが、まあ聞かなかったことにしましょう。

 それに、いざという時には僕を身代わりにしてでも皆さんを……

 

「野郎ども!! かかれぇ!!!!」

 

 -ガサガサァッ!!-

 

「ドワアアアアアア!!!?」

 

「…………なっ!?」

 

 それは一瞬の出来事でした。

 僕らは、そして首謀者である悪党三人も、目を疑いました。

 掛け声と同時に弓兵たちは、身動きが取れなくなっていたんです。

 その全員が、古臭い罠に掛かった獣のように、空中で幾つもの網の中で必死にもがいていました。

 一番混乱しているのは敵方でしょう。僕らもですが、それ以上にあの三人の男達がキョロキョロ上を見回しています。

「オイ! なんだこりゃ!? 聞いてねえぞ!! 俺らを騙しやがったな!?」

「ち、違う!! 俺らはこんなこと…………」

 

 

「オヤオヤ……これは大量にかかりましたねぇ……?」

 

 唐突に響いてきた聞き慣れない男の声に、また全員がキョロキョロと見回しました。

 いや、違う……これは僕が聞き覚えのある声だ!

 この声は……

 

「…………もしかして、リンダか!?」

 

「まったく……せっかく仕掛けた罠に、無駄なモノがかかりましたねぇ……」

 さっきまで弓兵が構えていた茂みの奥から、めんどくさそうな口調の声が近付いてきました。

 僕らの右手の方向の茂みから現れたその姿、黒のロングコートに長めの金髪、鋭い目つきで不敵な笑みを浮かべた男は、僕が良く知る人物でした。

「リンダじゃないか!! こっちに来ていたのか!?」

「すいませんが先輩、再会を喜ぶ前にまずはコイツらをどうにかしましょう……」

 不意の来客を懐かしむ僕を一切見ずに、リンダは三人の悪党をその眼光で威嚇する。

 そうだ……今だったら、コイツら……

「関羽さん! 張飛さん! この隙に早く……」

「先輩、それには及びませんよ。そろそろ来る頃でしょうから……」

「は? 来るって何が……」

「噂をすれば……ホラ」

 

 -シュバッ!!-

 

 ニヤリと笑うリンダの後ろから、勢い良く二つの影が飛び出しました。

 影はその勢いのまま、僕らの目の前を通り過ぎて、悪党三人組の方へ向かいました。 

 

 -ドガッ!!-

 

「……グハアッ!?」

 

 影が三人の中を通り過ぎた瞬間に鈍い音がして、短い呻き声と共に悪党達はその場に倒れ込みました。

 その三人の奥には、また新しく二人の人物が立っていました。

 

「あっ、急所に当てちゃった!!」

 倒れた男達の方を見て、悪戯っぽい笑顔で朗らかにそう話したのは、ショートヘアで半袖ワイシャツの上にベスト、ハーフパンツといった如何にも快活な印象を与える可愛らしい少女。

「オイオイ……気を失わせるだけで良いんだ。何も急所を狙う必要は無いだろう?」

 長槍を持って呆れた様子で話しかけている女性は、頭の後ろで軽くまとめた艶やかな黒髪ロングヘアーを風に揺らしています。

 切れ長の眼と長い睫に代表される整った顔立ち、そして身に纏う黒のパンツスーツが、それらの美しさを一層引き立てて凛とした印象を漂わせていました。

 その二人も、やっぱり僕の良く知る人物でした。

「クルミちゃんにアオイさん! 君達も来てくれたのか!?」

「やっほー! 元気してた?」

「お久しぶりです、アキラさん。我々、助太刀に来ました!」

 一人はニコニコと手を振り、もう一人は綺麗な角度で一礼をしました。

「いやー、まさか君達三人が来てくれるとはねー!」

 

「あ、あの、アキラさん……この人達って……?」

 ああっと! 僕一人が舞い上がって、危うく北郷一刀さん達を置いてけぼりにする所でした。

 

 

「ご紹介します。僕と主任の仲間であり、皆さんの新しい助っ人です!!」

 

 

 

 

 

-続く-


 
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