episode136 新たなる可能性の扉
(・・・・)
その頃海に落ちた一夏は意識が薄れる中海面を見る。
(あぁ・・・俺はまた・・・守れないのか・・・)
薄っすらとであるが、海面の上では戦闘が繰り広げられていた。
しかし一夏と白式は少しずつ海底へと沈んでいって、光が薄れる。
(いっつも・・・迷惑掛けてばかりだ。俺の勝手で・・・こんな事に・・・)
そのまま無意識に左手を握り締める。
しかしそんな事をして何かが変わる事は無い。
(・・・悔しい・・・悔しい)
一夏はどんどん光が無くなっていく太陽に右腕を伸ばした。
その手には砕け散った刀身が残る雪片零式が握られていた。
しかし遂に雪片零式は具現維持限界となって消える。
(みんなを・・・守るって・・・そう決めたって言うのに・・・何もできないのか)
目の隅で白式のエネルギー残量がもう風前の灯であった。
(・・・千冬姉・・・・・・箒・・・)
二人の顔を思い浮かべて、一夏の視界は暗くなった。
このまま・・・諦めちゃうの?
(・・・・?)
すると一夏は声を聞く。
こんな所で・・・君は諦めるの?
(この・・・声は・・・)
その声に聞き覚えがあった。
諦めたら・・・駄目だよ
(・・・・)
すると視界が明るくなり、景色が見えた。
(・・・・)
そこは白い砂浜の浜辺であり、波の音が穏やかに響いていた。
(ここは・・・)
その景色も見覚えがあった。それもそのはずだ。何せ以前もここに居た・・・福音に落とされた・・・あの時に・・・
(・・・・)
君が望んでいたのは・・・こんなものじゃないはず・・・
(・・・・)
一夏が後ろを向くと、そこには白い髪の少女が立っていた。
前は仲間を守りたいと言った。けど、今は守りたい者が居る。命に換えてでも、守りたい・・・大切な人が・・・
(・・・・)
なのに・・・君はこんな所で諦めるの?大切な人を残して・・・
(・・・そんなわけ・・・無いだろ)
一夏は左手を握り締める。
(千冬姉だけじゃない・・・彼女を・・・箒を・・・守りたい)
・・・・
(こんな所で・・・諦めて・・・たまるか)
ならば・・・
(・・・・?)
と、後ろからさっきの女の子とは違う声がして振り向くと、夕日の浜辺の景色になり、地平線の向こうに落ちる夕日をバックに一人の女性が立っていた。
それは以前白い女の子と一緒に出てきた白い鎧を纏った女性であった。
ならば・・・あなたに改めて・・・もう一度問いましょう。あなたは・・・更なる力を・・・欲しますか?
(・・・あぁ。出来るのなら、そうしたい)
以前のように・・・仲間達を守る為に?
(それもある。だが、今は新しく理由がある)
・・・・
(仲間や・・・大切な人を守るだけじゃない。この世界を・・・守る為に)
・・・・
(だから、力が欲しい。仲間を・・・世界を・・・全てを守る・・・力が欲しい)
そうですか。それがあなたが辿り着いた・・・・・・答えですね
(・・・・)
それが・・・真実であるか否やでも・・・力を求めると言うのですね
(・・・あぁ。そうだ)
決意を瞳に宿し、一夏は答えた。
でも、ほんまにそれでいいんかな
(・・・?)
すると先ほどの二人とは違う声がして、一夏が振り向く。
さっきの景色とは異なり、大空の真ん中のようなものになっていた。
一夏の目の前には一人の女性が立っていた。
自分より年上で日系の女性で、黒っぽいグレーの瞳を持ち、茶色の髪を背中まで伸ばしており、前髪の左側に髪留めをしていた。黒に金のラインが入ったスカートとインナーが一体化した服の上に白いジャケットを羽織り、腰には金色のパーツに黒い布が太股の中央辺りまで伸びた腰布をつけて黒い靴を履いていた。。
(あなたは?)
私は・・・まぁ新しく現れたってところやな
(新しく・・・?)
でも、力が手に入るっちゅうても、それが正しい答えとは限らんよ?
(それは・・・)
その言葉に一夏は言葉を詰まらせる。
力だけを求めても・・・何の意味も無い。それはかつてのラウラと同じ過ちを生むだけだ。
まぁ、今の君は守りたい人の為に力を欲するんやろうな。分からんでも無いで
(何で関西弁?)
一夏は一瞬そう思った。
とか言うてもなぁ。力を必要以上に得ようとした者はろくなもんにならんで
(・・・・)
まぁ君はその輩の中に入っておらんけどな。適度に新しい力を求めようとする
(適度に力を・・・)
それでも君が求めるっちゅうんなら、私は別に止めへんで
(・・・・)
君がその答えを導き出したんなら、きっと間違い何て無いんやろうな
(・・・・)
なら、君は君の道を・・・道を外れる事無く・・・歩むんやで。守るべき者の為に・・・
(あぁ。守ってみせるさ。みんなも・・・この世界を・・・)
なら、迷う必要なんて・・・無いよね
と、一夏の後ろに白い女の子が立っていた。
(・・・そうだな)
一夏は後ろを向いて白い女の子を見る。
(俺はもう・・・迷わない)
その表情は以前の時には見られなかった、ハッキリとした意志が現れていた。
なら、行かなきゃね
白い女の子は一夏の手を取る。
すると手から光が溢れ出て来て、周囲の景色も光り輝く。
あなたが守ろうとする、世界に・・・
すると一夏は白式を纏い、白式は全体に赤いラインが全身を走っていく。
あなたが守ろうとする、仲間達に・・・
白式は白く輝き出し、一夏はゆっくりと目を閉じる。
そして・・・大切な人を守る為に・・・
次の瞬間全てが白く包まれ、光を放った。
リインフォースは左腕のアームドアーマーVNを突き出してレギナを超振動で粉砕する。
『はあぁぁぁぁぁ!!』
直後に右腕のビームトンファーを展開してレギナを真っ二つにする。
『後ろだ!』
『っ!』
隼人の警告にリインフォースはすぐに振り向くとビームファンを持って接近してくるレギナに蹴りを入れて吹き飛ばす。
そのままアルテミスを周囲に展開して飛ばし、レギナにぶつけて爆発させた。
直後に右腕にアームドアーマーBSを展開して装着すると、そのまま砲身を展開してフィンの間でビームを発生させて放ち、少し湾曲するビームがレギナを二体切り裂いた。
『・・・っ』
『隼人!?』
隼人はくぐもった声を出してリインフォースは驚く。
『だ、大丈夫だ。少し目眩をしただけだ。俺の事は気にせず・・・戦え』
『ですが!』
『それより、来るぞ』
『っ!』
リインフォースは前方からレギナが接近してくるが、とっさに背中のアームドアーマーDEのスラスターを噴射して飛び上がってかわす。
直後に左腕のアームドアーマーVNを獅子の牙のように展開して下に向かって飛び出して振り下ろし、レギナを切り裂くと同時に粉砕した。
すぐに右腕のアームドアーマーBSを放ってレギナを二体撃ち抜く。
『これ以上の戦闘は隼人への負担が大きすぎます!』
『かもな。さすがに・・・限界が見えてきたな』
『・・・・』
『まぁ、大半を撃破出来れば・・・問題は――――』
と、隼人が言おうとした瞬間だった。
『『っ!?』』
すると海の中より眩い光が放たれた。
『何だ、この光は!?』
『・・・この反応・・・まさか』
それによって海が大きく凹む様に押し広げられ、中央には人影があった。
『あれは・・・織斑・・・?』
『・・・一夏?・・・それに白式が・・・』
隼人はその白式の姿とエネルギー反応を見てから一つの確信を得る。
『なるほど・・・そういうことか』
『どういう事ですか?』
少し状況が理解できないリインフォースは隼人に聞く。
『あいつ・・・遂に新たな扉を開いたようだな』
『新たな・・・扉?』
『あぁ。この世界でも未だ誰も成し得てない・・・未知の領域のだ』
すると光が弾き飛ばされると、中央に白式を纏った一夏が浮いていた・・・・・・新たなる姿を得て・・・
『同時に歴史的瞬間だ。こんな事滅多に無い。まさに奇跡だな』
『・・・・』
『新たなる可能性の形・・・そうだ。これこそが・・・IS史上初の・・・・・・『第三形態移行(サードシフト)』だ!』
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トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ!