静まり返った東方仗助と虹村億泰の転入初日の夜
東方仗助はただいま居候になることになった従姉、刑部絃子の家の前で扉と険しい顔つきのまま睨めっこをしていた、なぜすぐにドアを開けて家の中に入らないのかというとそれには大変、大きな理由がある、
(…転校初日から問題起こしたの多分ばれてんだろうな~~ッ、それにそれだけじゃねぇッ!何だか『嫌な予感』ってぇのが直感的にこのドアの先から漂ってきやがるぜッ!!)
そう、彼には予感があった、刑部絃子の制裁は覚悟している、彼女は自分が今日から通うことになった矢神高校の物理教師をしているため本日の仗助がやらかした問題など既に耳に入りカンカンに怒っていることだろう、だが、それだけではない…
なにやら、自分が知っている人物がいそうな気がしてならないのだ、そう、例えば帽子を被っていて厳つい顔つきの無敵のスタンド使い、口癖はやれやれだぜ…とか言ってそうな人物
彼が居るとすればこの扉を開けたとたんに間違いなく、オラオララッシュが飛んでくるだろう、恐ろしい事この上ない
「さぁて、今日はやっぱ億泰が借りてるアパートに泊めてもらうとする…」
「…こんなとこで何をしてるんだい?仗助くん」
そういって踵を返し、同居人の刑部絃子の住む部屋から立ち去ろうとした矢先の事であった。なにやら背後から物騒で固いモデルガンのようなものを押し付けられ、聞いたことのある声色で仗助は耳元で囁かれる
なにやらついでに寒気や悪感が背筋を襲うがそんなチャチなもんじぁ断じてない、もっと恐ろしいものの片鱗を味わったような感覚であった
ギギギギ、と気まずそうに首だけ後ろに回す仗助、まぁここまでくれば大体、誰が自分にモデルガンを押し付けているのか把握できる
「絃子…さんじゃあないっスかぁ~…やだなぁ~そんな恐いもの突きつけてどうしたんッスかぁ~~…」
「ふーん、成程、しらばっくれるんだね君は…ほら、ドアを早く開けたまえ、どうやら君に逢いたい人が待っているようだぞ?」
「いえいえ~~、遠慮させてもらいますよ~ッ!俺これから億泰のとこ行かなきゃなんねぇ…」
「いいから、開けろ?ドゥー・ユー・アンダスタン?理解したか?」
ガチャリと更に物騒な音を立ててモデルガンを仗助に押し付け、氷の様なイカレたスマイルを浮かべる刑部絃子、徹底的に追い込まれた仗助の背中は冷や汗がダラダラ状態である
ここまで来るともはや逃げの一手はない、行けるとこまで逝くしかないのだ
「…ハイ…ワカリマシタ…」
ぎこちない返答と動作で少しずつ絃子の家の扉を開いてゆく仗助、この後自分に待っている展開が最悪であると悟りながら彼はゆっくりとその時を覚悟していた……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ゆっくりと開いてゆく玄関の先には、196センチの長身はあるだろう大男の姿が立っていた彼は帽子と厚手のコートを身に着けており、冷静沈着な面持ちの中になにやら不気味な静けさのようなものを醸し出している
彼の名前は空条承太郎、奇妙であるが仗助の甥にあたる人物である、ちなみに仗助よりも一回り以上年上だ
そんな、仗助の甥にあたる彼は今回、仗助と億泰の転入を裏から色々と用意してくれた功労者のような者である、そんな、承太郎がここにわざわざ足を運んで来たという事は今朝の転入早々起こした問題が耳に入ったからだろう。
そんな、承太郎は玄関から入ってきた仗助に静かに質問を投げかける
「…仗助、テメーが初日にやらかした事…わかってるな?」
「ハイッ!髪の事でブちぎれました、スイマセンッ!!」
即答で答えて頭を下げ承太郎に謝る仗助、承太郎は無言のまま帽子を深くかぶり鷹の様に鋭い眼差しを仗助へと向ける、なにやらもの言わぬとこがこの時の仗助には余計に物騒にみえて仕方がなかった
だが、そんな承太郎が黙ったところにそれを見ていた絃子は何を思ったのかそんな仗助の後頭部にうしろから容赦なくモデルガンを発砲した
「…ウギャーッ! 痛ッてぇ~!!いきなり何するんスかッ!!」
「この愚弟がッ!!お前のせいで承太郎さんに学校側から苦情が殺到したんだぞ、土下座だ土下座!!」
そういって、承太郎に頭を下げる仗助に向い文句があるのかと言わんばかりの威圧感でモデルガンの弾を満タンに補充し始める刑部絃子、それを真近で見ていた仗助は苦笑いを浮かべすかさず綺麗な土下座を承太郎に向って下げた
恐い、恐すぎる、いつ承太郎からのスタンド、無敵のスタープラチナの鉄拳が飛んでくるかわからないのだ、おまけに刑部絃子からのモデルガンが後方から自分の頭を狙っているこれほど物騒な環境が果たしてあるだろうか…
そんな、仗助に承太郎は静かな口調でこう語り始めた
「質問だ…俺の拳で殴られるか? 絃子のモデルガンにやられるか? 仗助、あててみな」
承太郎の眼は本気だった、とりあえず、こっちに迷惑かけた分、一発殴らせろとそんな感じの雰囲気を明らかに仗助に対して醸し出していた
「ひ、ひと思いにスタープラチナッスか?…」
NO! NO! NO! NO! NO!
「…絃子…さんのモデルガンっスか?…」
NO! NO! NO! NO! NO!
「…り…りょうほーッスかあああ~」
YES! YES! YES! YES! YES!
「もしかしなくてもオラオラですかーッ!!」
「YES! YES! YES! 『OH MYGOD』ね、おめでとう仗助君」
モデルガンのリロード音と共に満面の笑みを溢して、まるで死刑宣告のように仗助にそう告げる刑部絃子、その日、刑部絃子の家から、東方仗助の響き渡るような酷い悲鳴が夜の街にへと響き渡るのであった。
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まぁ、なんやかんやとそれからしばらく日が経ち、ようやく学校に順応してきた億泰と仗助、彼らは昼休みの屋上でのんびりと昼食のパンをかじりながら転入初日の夜に絃子の家に現れた承太郎について話をしていた
「――――ッてな感じでよォ、家に帰ったらオラオラとモデルガンのフルコースだったんだよ~~ッ…」
「なんつーかオメーも災難だったったなーッ!!」
能天気に仗助の話を聞きながらゲラゲラと笑う億泰、仗助にとってみれば笑い事ではないまったくもって最悪って言っていいほどの悪夢であったのだ。もう二度とあのフルコースは味わいたくないものである。
ちなみに同居人の従姉である刑部絃子は自分や承太郎が所謂、能力者『スタンド使い』であることは知っている、そこらへんは承太郎の計らいで事前にそういった情報を仗助と同居人になってもらう際に確認させたからだろう
しかしながらなぜ承太郎が絃子の家まで足を運んできたのかそのことがイマイチよくわからない、制裁だけなら正直絃子だけで済む筈なのだ、どうもそこらへんが気にかかる、億泰はそのことについて仗助に訪ねてみた
「でもよォ…仗助、承太郎さんがわざわざお前のとこに足を運んだってぇのがイマイチ気にかかるぜ俺はよォ~」
「そのことなんだがなァ、億泰、最近、ここら辺で謎の女性失踪事件が多発してるってぇ話をよォ~!ついでにその日、承太郎さんから説明されたんだ…」
「…失踪事件? なんだそりぁ! おい…もしかして…」
「…ああ、杜王町であった杉本鈴美が言っていた奴がもしかしたらこの町に流れて潜伏してるかもしれねーっていう話だ…確証はねーけどな~~」
仗助はそういって手に持っていたカレーパンを口に運びモグモグと食べる、今の話がそうであるならその失踪事件の犯人もついでに探すという話になってくる。仗助は塚本天満との接点が段々と遠くなるような気がしてならなかった
なんとも学校で物騒な話をしているものである、恐らく承太郎はここら周辺の調査を兼ねてたまたま刑部絃子の家に足を運んできたのだろう、しかも、運悪く仗助が問題を起こした転入初日に…
まったくもってついてないと仗助は億泰に愚痴の様な言葉をついでに溢していた、ちょうど昼食のパンも食べ終わりその場から立ち上がるふたり、踵を返し屋上扉まで歩いてゆく途中それと同時に次の受けることになってる授業について、ふと思い出したように仗助は億泰に話し始めた
「そういや、次の授業ソフトボールだったよな」
「体育かよ~~ッ!かったりーな~~ッ!」
そう言って他愛ない会話をしながら校舎の中に入ってゆく二人、そしてしばらくして閉まる屋上扉…
そんなタイミングを見計らってか物陰から現れる謎の人影、
校舎の中にへと消えてゆく彼ら二人の後ろ姿を謎の人影がジッと見ていたことに仗助と億泰は全然気づいていないのであった…
………TO BE CONTINUED
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S市杜王町に住む東方仗助、虹村億泰はある日を境に空条承太郎からある高校に転入し、スタンド使いの捜査を頼まれることになる、杜王町から離れての高校生活に不安を抱える仗助はそこで一つの出会いを果たしてしまった、そうそれはスタンド使い同士が引き合うような運命のように…
ラブコメにジョジョという無茶な設定ではありますが楽しんでいただけたらなとおもいます