袁紹SIDE
洛陽から黒い煙が上がっていますわ。
都が、
皇帝陛下が居られる皇宮が、
赤く燃え上がっている。
誰がこんな真似を……。
「どうすんだよ、コレ!早く消さないと…」
「無理だよ!城ごと全部燃えてるんだよ?消すどころか城に入ることもままならないよ」
後ろが二人が騒いでる声もほど遠くから聞こえてるように思えた時、皇宮が一番高い場所から崩れていき、その崩れる音はまるで天が怒鳴っているようでしたわ。
わたくしのせいだとでも言うのですの?
この眼の前の惨状がわたくしのせいであるとでも?
否。
わたくしのせいではありませんわ。
やったのはわたくしではありません。
洛陽を燃やしたのは間違いなくあの田舎娘、董卓。
そして北郷一刀……。
あの不遜で傲慢な男がよくもわたくしが居て相応しき場所を…こうも呆気無く壊してしまうなんて……!
「とにかく、城門を開けます!中にまだ人が居るかもしれません!」
「許しませんわ……」
「…え?」
よくも……よくもここまでやってくれましたわね。
「ここまですると、わたくしが諦めるとでもお思いですの?」
「姫」
「追いかけますわよ」
わたくしの夢をここまで踏み躙ってくれて、明日の朝日が見れるなど贅沢な思いをしている輩が居るのならば大間違いですわ。
「わたくしの都ですわ。あの田舎娘も、あのブ男でもなく、このわたくしが手に入れるべき都でしたのよ!それをこんな風にしてただで済むと思っていますの!」
熱に耐えられず鉄でできた城の大門が軋み、やがて前に向かって倒れると、中はまるで火の地獄のように赤く染まっていましたわ。
いいですわよ。
もう名誉など、利など関係ありませんわ。
例えで地獄の底でも、あなたにこの怨念をぶつけてやりますわよ!
「報告します!」
「こんな時になんだよ!」
「後ろから、劉備軍が我々を追いかけています」
「はぁ?前は逃げたって言ってたじゃん。なんで帰ってくるんだよ」
「…猪々子さん、斗詩さん、あなた達に命じます。今すぐ劉備軍を壊滅させてきなさい」
「え?」
「姫!」
思い返せば、あの女がニコニコと私の言う通り動いていた頃から何もかもズレてきたのですわ。
「劉備の首を私の前に持って来なさい」
「考えなおしてください、姫。今は洛陽の火をどうやって止めるかを考えないと……」
「もう洛陽なんてどうでも宜しいのですわ!いいからあなた達はわたくしの言う通りに動いてればいいのですわよ!」
「……!!」
劉備だけでは終わりませんわ。
劉備軍を潰した後には華琳さん、そして彼女らと一緒にわたくしを侮辱した美羽さんの客将の首もいただきますわよ。
わたくしの高潔な願望を汚した罪、たったそれだけで償えると思っては大間違いですわ。
今に見ておきなさい。
再び出会った時が、あなたの命日ですわ、北郷一刀!
桃香SIDE
「どういうこと?」
私は朱里ちゃんに訪ねました。
「実は、桃香さまや他の皆さんに知らせず、袁紹軍の中に間者たちを潜ませていました」
軍議での騒ぎの後、帰ってきた私は直ぐに全軍の後退を命じました。
周りの袁紹軍だらけ。だけど既に袁紹軍の動きが分かった以上脱出できる時は今だけでした。
周りの袁紹軍の攻撃も覚悟して脱出を敢行したのですけど、どういうわけが袁紹軍はこちらの動きを見ても止めようとする動きを見せませんでした。それどころか、こちらと共に後退を始めていました。
「今や袁紹軍内でも袁紹さんに従えない将兵たちが多くありました。しかも今回軍議で行われた北郷さんが袁紹さんを逆賊として見なしたことで、袁紹さんへの不信が加速したのです」
「だから、今この状況はその間者たちの働きによったものだというのか」
「いいえ、私が命じたことは、単に軍議でのことをより早く袁紹軍全軍に広めるように命じただけです」
「それだけで、本当にこれだけの数が袁紹を裏切ったというのか」
愛紗ちゃんは怒り半分、呆れ半分な顔でそう言いました。
「袁紹が連れてきた兵の数が多いのは、袁紹が集めた兵以外にも、袁家を支える袁家の実権を握っている元老たちの私兵があったからだ。後衛にあった兵たちはその私兵たちというわけだな。状況が不利に行けば、自分たちの損を抑えるために袁紹を裏切るように事前に命じられていたのだろ。何せ、この連合軍で見た袁紹の姿はとても当主を任せて良いものではなかったからな」
「恐らく星さんの言う通りでしょう。つまり袁紹さんにまだ連れて行っている半分ほどの兵が、現在袁紹さんが操られる兵の全部です。しかもその練度は虎牢関での失態を見れば明らかなもの。今の袁紹軍なら例え数では劣勢な董卓軍でも容易に勝てるでしょう」
「……」
結局、袁紹さんに付いていった兵士たちは、皆死ぬことになるでしょう。
私があの場で袁紹さんを説得できていれば……。
「……桃香さま」
「うん?どうしたの、雛里ちゃん」
その時、黙っていた雛里ちゃんが口を開けました。
「私は、今私たちが袁紹さんを追い掛けるべきだと思います」
「はわ?」
「何を言っているんだ、雛里。やっとあいつらの手から抜けだしたばかりだぞ」
「どうして、私が行かなきゃいけないというの、雛里ちゃん」
私は雛里ちゃんに訪ねました。
一旦聞くとあり得ない考えでしたけど、それを聞き捨てられなかったのは、きっと私のどこかに雛里ちゃんが言ったのと同じ行動を考えていたせいだと思います。
「今ここに残っている袁紹軍の人たちは、皆冀州に残っている元老たちの私兵です。しかし袁紹さんの命に逆らうことが出来ない、袁紹さんに付いていった人たちは本来が普通の民たちで、この連合軍には徴兵され、たかが数ヶ月の訓練を受け槍を持たされ、戦場に立たされた人たちばかりです。だからこそ、桃香さまが注目すべきは、後衛に引き上げているここの袁紹軍ではなく、袁紹さんに付いていった兵たちの方です」
「どういうことだ」
「はわわ、雛里ちゃん、それってつまり…」
「…雛里ちゃん、雛里ちゃんは私にあの人たちが助けられると思う?」
袁紹軍の兵士さんたちを助ける。
この期に及んで、そんなことを言う。
だけど、確かに思います。あのままあの人たちを死なせるわけには行かない。
「これは、あくまでも私の勝手な解釈ですけど、今は1万も満たない兵でこの軍に参戦した桃香さまに、北郷さんが三つの州を任せると言ったのは、単に餞別というわけではないと思います。これは桃香さまへ出す北郷さんの新しい試験です」
試験……。
「今は平原という小さな県の治めるだけの桃香さまが河北ほぼ全地に至る地域を治めるには、その力があまりにも微弱過ぎます。例え皇帝より授かった勅書があったとしても、袁家の残った元老たちが簡単に実権を渡すわけがありません。そんな時、桃香さまが彼らに対して使える力は、軍事力でもなく、財力でもなく、桃香さまの人徳です」
「私の人徳?」
「はい、今あの洛陽に向かって進軍している兵たちは、誰が見ても捨て駒です。そんな彼らの大半が冀州、幽州の人達です。彼らを袁紹さんの手から取り返し、桃香さまの傘下に入れれば、桃香さまは兵士と人望を同時に得ることができます」
「しかし、どうやって袁紹の軍をこちらが取り入れるというのだ。袁紹が指一つ動かしても、奴らは我々に槍を向けるぞ」
「いや、愛紗、忘れたのか。こちらには皇帝より授かった勅書がある。袁紹の近くの兵士たちは、袁紹への忠誠心も低ければ逆賊の兵士であることに絶望さえ覚えるだろう。奴らに小さな逃げ口でも与えてくれれば、彼らは波のように桃香さまの前に集まってくるだろう」
「勅書と言えど、玉璽も押してない品物だぞ」
「一般兵士たちはそんなことは知らない。要はは名分がこちらにあるということを示せばいいのだ」
星ちゃんと雛里ちゃんの話を合わせると…
もしかしたら……
「…危険な策です。無理をして取る必要のないものです」
「危険なことは重々承知だよ、朱里ちゃん。でもその危険は、寧ろこれから立ち向かうことになる危険よりはずっと安全だよ。北郷さんがほぼ作ってくれた状況。私たちは手を添えることだけすれば良い。大事なのは、実行に移すほどの勇気があるかどうか」
「……」
朱里ちゃんは考えこんで、私の方を見ました。
「危険に比べて、得るものが大きいのは確かです。ですが、これは北郷さんが私たちにそう出来るような時間を与えてくれる時に出来ることです。もし、北郷さんが、袁紹さんとその兵士たちを諸共殲滅するつもりでいるなら、私たちが行った所で袁紹軍と一緒に董卓軍によって無駄な被害を受ける可能性さえもあります」
「…一刀さんが策が何か判るかな」
「判りません。普通の人ならやらない策を平然と打つ人ですから」
「……それなら」
私は、一刀さんを信じる方を選ぶよ。
一刀さんなら、私がしたいことが何なのか判ってくれるって。
「軍を反転。今から私たちは袁紹軍を追い掛けるよ」
私が皆に告げた時、後ろから兵士さんが一人こちらに来ました。
「申し上げます」
「どうした。何か変わったことでもあったのか」
「はっ、曹操軍の将たちが劉備さまに出会いたいと訪れました」
「曹操さんが…?」
今はゆっくり話をしている間はないのだけど……。
「取り敢えず、会ってみましょう。どうやら曹操さんが万が一の状況に備えて、私たちを援護するために部隊を移動させていたみたいですし」
「…それなら仕方ないね」
兵士さんに通すように言うと、初めて見る曹操軍の将の二人が訪れました。
「曹操軍の武将と李典というで」
「于禁なの。宜しくお願いするの」
「劉玄徳です。援護に来てくれてありがとう」
二人に向けて礼をいうと二人は慌てた顔で共に頭を下げました。
「それで、我が軍にはどんな用件だ」
愛紗ちゃんがそう尋ねると、腰に工具をいっぱい持ってる娘が答えました。
「大将からの伝令やで。後個人的な用が一つとな」
「では、伝令の方を先に…」
「何も大将は今から洛陽に向かうつもりらしいで。それをこっちにも知らせといてとな」
「曹操軍も?」
私たちと同じことを考えているのかな。
それとも……。
「あの、実は私たちもこれから袁紹軍を追いかけるつもりです」
「え?どうして?今やっと逃げてきたばかりなのに」
「一刀さんが洛陽で何をするつもりか判りませんけど、何があるにしても袁紹軍もただでは済みません。もう一度降伏を願い、叶わなければ兵士たちだけでも助けるつもりです」
「……」
曹操軍の二人は互いを見ながら頷きました。
「良し、んじゃあうちらも一緒に行動するで」
「何?曹操軍に戻るのではないのか」
「曹操さまからは、劉備軍の援護するようにと命じられてるの。劉備軍が洛陽に行くのなら、一緒に行動するの」
「ありがとうございます。雛里ちゃん、構わないよね」
「特に問題はないかと」
これで洛陽に向かう話は済みました。
「それと、個人的な用件というのは…」
「あ、ここに凪ちゃんがいるんやろ。ここには居ないようだけど、合わせてくれへん?」
「あぁ…」
凪ちゃんは…
「楽進なら、今頃アイツ、北郷のところにいるだろう」
「何やて」
「じゃあ、今凪ちゃんも洛陽に?!」
「多分そうだろう」
「…早く洛陽に向かおう。袁紹さんを止めるためにも、一刀さんと凪ちゃんを探すためにも」
「…ウチらの軍はいつ言っても問題ないで」
「分かった。皆、軍を反転、洛陽に向かうよ」
「「「「御意!」」」」
そうやって、私たちは洛陽に向かうため、逃げてきた道を戻って行きました。
華琳SIDE
「華琳さまだけで洛陽にですか?」
「危険です、華琳さま!」
真桜と沙和を行かせた後、私は洛陽には私一人だけ向かうと皆に告げた。
「危険なことは重々承知しているわ」
「ならば何故…!」
「彼を見つけるためよ」
彼は今洛陽に向かっている、もしくはもう到着しているはずよ。
劉備軍を去ると言った彼を、今回洛陽で見失ってしまえば、今度はまたどこでいつ会うか既約できないわ。
逃さない。
この戦の末に私が得るものは、
名誉でも、漢王朝での地位でもなく、
ただあなた一人だけで良い。
「北郷を…それが華琳さまが単身で向かうのとどう関係が…」
「個人的な用件よ。軍を動かす必要はないわ」
「なら、せめて季衣を連れて行ってください」
「既に大半の将を外に出してるわ。春蘭と季衣、桂花には万が一の時に軍の指揮をお願いするわ」
「どうして行かれるつもりですか」
桂花が半分諦めた顔でそう言った。
「今アイツの側には流琉も凪もいるけど、二人とも彼を私の前に連れ戻すには足りないわ。むしろ二人が彼に連れて行かれる可能性が高い」
「それはそうですが…」
「彼女らを失うのが惜しいわけではない。あなたにもわかるでしょう?」
「……」
「この軍はもう彼を失っては前に進めないわ」
この連合軍にて、私たちは何も出来なかった。
むしろ始まる前よりも後退した。
劉玄徳は快く彼を離した。
だけど、曹孟徳の理想には彼という歯車が必要不可欠よ。
「もし華琳さまが行っても、アイツが戻って来なかったらどうするつもりですか」
「……」
……彼は必ず戻ってくる。
「私が天に背こうと、」
振り返なければ、振り返させてやるわ。
「天が私に背くことは許さないわ」
流琉SIDE
「洛陽に火をつけたのは袁紹…?どういうことですか?」
「そうだ」
その時、遠くから爆発音が連鎖的に聞こえて来ました。
「始まったな。そろそろ動くぞ」
「まだ時間はあるじゃないですか。その前に私にもわかるように説明してください」
「…随分と暢気な事を言う。そのうちここは火の海になるだろう。怖くないのか?」
「兄様と一緒なら火の海だろうと地獄の底だろうと怖いことなんかありません」
「……」
私がそう言うと兄様はほんの少し驚いた顔をしましたが、すぐに無表情に戻り私の頭を撫でました。
「……」
体の成長を自覚したのはいいですけど、兄様はまだ私に対して子供扱いなようがして少し不満が出ます。
「言ってくれることは嬉しいが、お前に一から説明できるほど時間がない。下りながら説明しよう」
「降りる?」
「ここがどんな部屋かわかるか?」
私が周りを見回す限り、結構高そうな装飾品がありますけど、数は少なく床には何かがあったのか運ばれた跡が残っています。
皇帝陛下は宮廷にあるものも民たちに渡したといっていました。おそらくその残りでしょう。
「どんな部屋なんですか」
「ここは皇帝の私室だ。そして皇帝がいる個室には、万が一のための備えが用意されてある」
そう言いながら兄様はまだ部屋に残ってあったある石像の頭をくるっと横に回しました。
そしたらその横の壁がぐぐぐと音を立てながら後ろに下がり、秘密通路が現れました。
通路の入口から見ると、下に続く階段が底が見えないほど続いていました。
「うわぁ……」
「さて、行くぞ」
「あ、はい」
私は杖をついている兄様を前から支えるつもり先に階段を降りようとしました。
でも、兄様の杖が私の道を塞ぎました。
そして自分が先に階段に足を踏み入れるのでした。
「こういう時には作法と言うものがあるのだ」
「作法ってなんですか。強がり言って階段から転んでも知りませ…」
でも、私は兄様が先に一、二段降りた後、振り向いては杖をついてない手をてのひらを上にして私に伸ばすのを見て口を止めました。
「お手を、お嬢」
「……」
…さっきの子供扱いしているって話、取り消したほうが良さそうです。
・・・
・・
・
「それで、結局どうやって袁紹さんに罪を擦り付けるんですか?」
階段を下りながら、私はさっきの話を続きを兄様に訪ねました。
「今董卓軍が何人か知っているか、流琉」
「はい?…さっき洛陽に残ってるのはせいぜい数百人と…」
「それは洛陽にある兵の数だ。今董卓が持っている兵の数、すなわち約『十万』の兵がそれを成すだろう」
「十ま…!」
それだけの兵があるのに、どうして戦わずにこんなことをするのですか?
「まあ、『兵』というのは語弊があるな。正確には助力者だ」
「助力者?」
「なぜ洛陽の民たちを他のところに避難させるのではなく、全国にばらまく方法を選んだのか。十万の民と約一万と董卓軍を董卓と皇帝の名の元にばら撒いた。それはすなわち董卓が約十一万の『斥候』を放ったというわけになる」
「……あ」
「もしその洛陽の民たちに袁紹が洛陽に火をつけたと伝えさせたら…あっという間にその噂をすべての民が知ることになるだろう」
最初からそれを狙っての避難計画だったのですか…。
「でも、そんな嘘が通るでしょうか。そもそも袁紹さんが洛陽を燃やす理由なんてありませんよね?」
「動機など事実がわからない時に論理の歯車を無理やり合わせるためのものに過ぎない。事実が明らかであれば、動機は自然と生まれる」
皇朝の権力は今やないことも同然ですけど、でも民たちからの皇帝への思いはまだ残っています。
いえ、ある意味民たちの思いこそが皇帝陛下の権力の源、と言うべきでしょうか。
「それじゃ、本当にそうするんですか?」
「既に策は成っている。董卓と皇帝の真心が通ったのであれば、民たちも快く彼女らの願い通りに動いてくれるだろう」
やがて兄様の杖が最後の階段を打つ頃、私の目にはある異様な物が入りました。
「コレってなんですか?」
球体のソレは、何かの機械でしょうか。
とても不思議な感じを出す何かでした。
「これが俺たちの避難装置」
「避難装置…」
「流琉、俺が最初にどうやってこの世界に来たのか教えてなかったな」
「え?…流星に乗ってきたのじゃないんですか?」
「……冗談だと受け入れよう」
まあ、冗談です。
「じゃあ、アレですか?流星の代わりにこれに乗ってきたのですか?」
「半分は合ってる」
「半分?」
「俺がこのタイムマシーンを乗ったのは合ってる。でも陳留に落ちる時には俺はここに載っていなかった。何らかの事故によってふっ飛ばされて…この機械は何十年前のここに不時着して俺は3年前の陳留に落ちたわけだ」
…あれ?なんかそれっておかしいですよね?
「…分からないという顔だな。無理もないが…」
「いえ、なんでこの…たいむましぃん?というのはここに置いてあるのかと…」
「皇帝もわからないらしい。到着した地点がここなのだろう」
「こんなのが空から落ちてきたら宮殿が壊れるんじゃ…」
「…まあ、乗ってみればわかる」
兄様がその機械に手を置いて何か呟きました。
「ここに乗らせるのはお前が初めてだ。俺もまだ二回目だがな。まあ今度はうまくいくだろう」
球体から蓮の花のように開いて中身が現れました。
中には、椅子が2つ、それ以外は私には何がなんだか判りませんでした。
「流琉、俺と一緒にいるとどこも怖くないって言ったな」
「は、はい」
「では…」
「Welcome aboard, young lady(乗船を歓迎しよう、お嬢)」
さっき階段を降りる時にそうしたように手を伸ばしながら私には解らない言葉を言いました。
だけど、言葉は判らなくても、
少し照れ臭くなって少し頬を赤くしながらその手を取りました。
そして次の瞬間、私は急に手を引っ張られると同時に布みたいなものに鼻と口を塞がれ……
そのまま気を失いました。
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今更思い返すとこの一刀はアメリカ生まれです。
必要だったのかと言われるとはい必要でした。
袁紹をどこまで落とすかって?
……(笑顔)