No.555123

ソードアート・オンライン 黒と紅の剣士 番外編 チョコよりも甘いお返し

やぎすけさん

ホワイトデーということで、いつもよりちょっと甘めで。

2013-03-14 20:04:12 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:2440   閲覧ユーザー数:2334

大地視点

今日は3月14日、つまりホワイトデーである。

ちょうど1ヶ月前のバレンタインデーでチョコレートなどのお菓子をもらった男子が、女子にお礼としてお菓子を返すという日である。

今年は珪子の分も合わせて5つもチョコレートをもらってしまったため、お返しのホワイトチョコレートを5つ用意する羽目になった。

(予定では珪子の分以外用意する気は無かったが、仁美にしつこく言われて人数分用意した。)

ちなみに槍太も里香からチョコレートをもらっていたが、「お返しって、しなきゃいけねえのか?」と言って、仁美にボコボコにされていた。

結局、槍太はその後、仁美の家でお返し用のホワイトチョコを作らされたようだ。

俺は午前の授業が終わった後、相田に、俺にチョコをくれた女子の名前とクラスを調べてもらい、全速力で走ってお返しを渡してから、カフェテリアに向かった。

その後、カフェテリアで珪子や里香と一緒に、いつも通りの昼食を楽しんでから、午後の授業へ向かった。

午後の授業が終わり、俺は帰りの仕度をして校舎の外に出る。

いつものように校門の前には、珪子の姿がある。

俺は珪子の元に歩いていき、声を掛ける。

 

大地「お待たせ。珪子。」

 

俺が声をかけると、珪子は振り返って笑顔を見せてくれた。

 

珪子「あ、大地さん。大丈夫ですよ。あたしも今来たところですから。」

 

大地「それはよかった。いつも待たせてばかりだからな。」

 

珪子「ふふ、そうですね。それじゃ、帰りましょうか。」

 

大地「そうだな。」

 

俺は珪子の手を握ると歩き始めた。

俺たちは、いつものように話しながら帰る。

だが、今日は珪子の口数が少ない。

 

大地「どうした珪子?元気ないな。」

 

珪子「えっ・・・?そ、そんなことないですよ・・・はあ・・・」

 

珪子は、なんでもないように振舞うが、明らかに元気が無い。

そうこうして歩いていくうちに、俺たちは人気の無い通りに差し掛かる。

ここは1ヶ月前に珪子からチョコレートをもらった場所である。

それを確認して俺が足を止めると、珪子も足を止めて振り向く。

 

珪子「どうしたんですか?」

 

大地「到着・・・」

 

珪子「えっ・・・?」

 

珪子は俺の言葉の意味がわかっていないようで、きょとんとして首をかしげている。

 

大地「先月、バレンタインチョコをもらったのがここだったから。」

 

珪子「えっ・・・?あっ!」

 

周囲を見渡して、珪子はようやく俺の言葉の意味を悟ったようだ。

俺はリュックの中から綺麗にラッピングされた箱を取り出して、珪子に差し出す。

 

大地「はい。バレンタインチョコのお返し。」

 

俺の言葉に、珪子は驚きと疑いが入り混じったような顔で訊いてくる。

 

珪子「お、覚えていてくれたんですか?」

 

大地「好きな女の子からのバレンタインチョコを忘れるわけ無いだろ。」

 

当たり前のようにそう言うと、珪子は満面の笑みを浮かべてチョコを受け取ってくれた。

珪子は受け取った箱を少し眺めた後、鞄の中にそれをしまった。

それを確認してから、俺は〝もう1つのお返し〟を送ることにする

 

大地「それから・・・」

 

俺は珪子の肩に手を置くと、ゆっくりと顔を近づけて、そして唇を重ねた。

珪子は一瞬目を見開き、身を硬くするが、すぐに体から力を抜く。

いつもより少し強めのキスを、珪子は顔を真っ赤にしながらも受け入れる。

やがて唇が離れると、珪子はトロンとした目でこちらを見てくる。

 

珪子「だ・・・大地・・・さん・・・?」

 

大地「これはバレンタインデーキスのお返しだ。」

 

にやりと笑って返すと、珪子は顔をさらに赤くして俯く。

 

珪子「チョコより、こっちの方がずっと甘いです・・・」

 

大地「らしいな。」

 

そう言って俺は、珪子の手を握ると、再び歩き出した。


 
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