No.553599

KVP:プロローグ

今回、あの有名な宇宙人と恋姫をクロスさせてみました。
一応シリーズもので、今回はプロローグ・・・1?みたいな感じです。
誤字脱字など、確認したつもりではありますが、もしありましたらコメください。
それではどうぞ、素人作ではありますが、お暇がありましたらお読みください。

2013-03-10 17:57:27 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:684   閲覧ユーザー数:637

地球:何処かの森林

 

 森林の何本もある大木の、特に大きい一本の根元に、一人の少年が立っていた。

 

 大きすぎずに長身で、腕や脚は太くならない程度に細く、鋼を思わせるほどに鍛え上げられている

と同時に極限にまで絞られている。

 体の各所は鎧で覆われいて、両腕にはタブレットのようなガントレットを着けている。顔は鬼を思

わせるごつごつとした金属のような鈍い光沢を放つヘルメットで覆われていて表情は窺えない。

 そんな異様な格好をした少年は、注意して見なければ気づかない程、周囲に溶け込んでいた。

 沈黙を続けていた少年が突然、何かにはじかれた様に上に跳躍した。

 ダン!・・・タッタッタッ・・・ギシッ

 人間とは思えない脚力で枝を蹴り、あっという間に12メートルほどの高さまで跳んだ少年は一本

の枝の根元に着地した。

 「・・・」

 少年は息を殺し、再び周囲に溶け込む。

 そんな少年の視線の先には、少年とは真逆で荒々しい雰囲気を醸し出していて、だが異様という点

では共通した格好の集団がいた。

 集団は見たところだと6人。全員迷彩服を着込んでいて、各々思い思いの装備で身を包んでいた。

手にはそれぞれ銃器を装備していて、その身のこなしから、全員が数々の修羅場を潜り抜けたその道

のプロだと分かる。

 しかし様子がおかしい。皆何かに怯え、まるでピンの抜けた手榴弾のグリップを持ちながら綱渡り

をしているような表情である。

 

 そんな集団を見て、少年は落胆していた。

 (あ~あ、怯えちゃってるよ・・・。今回ははずれだったかな、師匠の話を聞いたから少しは期待

していたんだけど)

 

 そう、集団が怯えている物の正体はこの少年なのだ。

 少年は念のため監視を続けながら、自分の師匠の話を思い出していた。

 

プレデター本星:個人修練場

 『ヨイカカズト。

  地球ノヤツラヲ相手ニ仮ヲスルトキハ、決シテ油断ヲシテハナランゾ。』

 「何で師匠?」

  師匠の声が、マスクに取り付けられたスピーカーから日本語に翻訳されて聞こえてくる。

 「地球人て、ひ弱でつまらないってジョックに聞いたよ?」

 『馬鹿者!』

 師匠の雷に、カズトと呼ばれた少年がひるむ。

 「うわっ」

 師匠が詰め寄ってくる。

 『イイカ、アイツハシュミレーションデシカ相手二シテナイカラソンナコトガ言エルンダ。

  事実、アイツラヲ相手ニシタ俺ノ知リ合イガ何人モヤラレテル。アイツラハ勇者ダ』

 「ふーん」

 そんな気のない返事をする俺に、師匠が再び雷を落とす。

 『何ジャソノ気ノナイ返事ハ!ヨカロウ、久シブリニ直々ニ稽古ヲツケテヤル。

  覚悟シロ!』

 「そ、そんなぁ」

 この後カズトは立てなくなるまでみっちり絞られるのだが、それはまた別の機会に。

 

 (やっぱりたいした事ないな、さっさと終わらせてしまおう)

 30分後、森は静けさを取り戻し、6人分の肉塊が森の肥料となった。

宇宙:小型宇宙船内

 しばらくして、宇宙にカズトが乗る1隻の小型宇宙船が漂っていた。

 「帰ったら、ブレードの刃付け替えなくちゃな」

 どうやらあの集団がカズトにもたらした損害は体力と時間と刃1枚だけだったらしい。

 ハンターは戦利品の整理を始めたようだ。

 「え~っと。とりあえずバックパックから・・・」ガサガサ・・・

 出てきたのは代えの弾丸と非常食と一本の大型サバイバルナイフだった。

 「おお!このナイフは中々良さそうだな、今度使ってみよう。非常食は・・・良かった中身は無事

みたいだな、弾丸はいらないから後で武器屋に売りに行こう・・・最後はこれか」

 続いてカズトは、彼らが運んでいたそれに手をつける。

 それは一辺60cmほどの正方形の金属の箱だった。一応、戦車の砲撃を100回受けても大丈夫

を自慢とするびっくりな箱なのだが・・・

 「どうやって開けるんだこれ。しょうがない・・・ふんっ、ぬぅっ!」

 バキンッと、留め金が壊れて箱が無理やり開けられる。

 そして、中から出てきたのは、

 「鏡?」

 一枚の銅鏡だった。

 「これだけ厳重に包装されてたってことは、美術品かなんかかな」

 その銅鏡は円盤型で、枠の部分は錆びきっていて元の色が分からなくなってしまっている。それと

は対照的に鏡の部分は奇妙なほどきれいで、中に自分がもう一つ世界があるような錯覚を覚えるほど

だった。

 そんな鏡を見てカズトは、

 「ん~、なんか変な感じがするけど・・・まあいいや、骨董屋にでも買い取ってもらおう」

 何かを感じ取りつつも、特に関心を持たなかった。

 「さて、一段落ついたし、オートパイロットにして少し眠って・・・と?」

 そんな時、本星からメールが届いた。

 「なになに?『帰リニ積荷ヲ持ッテコイ』だあ、なんだお使いかよ」

 メールには積荷の所在の地図が添付されているようだ。

 「なるほど、この近くか。積荷は・・・〝卵〟?」

 積荷の内容はある生物の卵だった。

 この積荷の〝卵〟と〝鏡〟がカズトの運命を今後、大きく歪めることになるのだが、この時は誰も

知るよしもない。


 
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