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真・恋姫無双 刀蜀・三国統一伝 第五節:vs3339

syukaさん

何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に大陸の平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。

2013-03-07 12:07:19 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:6608   閲覧ユーザー数:4965

まえがき コメントありがとうございます。今回は珍しく建業での一日を過ごす一刀です。どんな展開が待っているんでしょうかね。書き出しの3月3日は某派出所の両○勘吉の誕生日ですね。まぁ、特に何かあるとかはありません。言いたかっただけですwそれではごゆっくりしていってください。

 

 

おはようございます。俺、北郷一刀です。椅子に腰掛けて寝ていたんだけど、いつの間にか机にうつ伏せになっていたみたい。桃香たちのいない朝っていうのは初めてだな。洛陽にいたときは一緒だったし。・・・隣から視線を感じる。いや、視界には入っているんだけど・・・何で見られているのか見当がつかない。

 

「起きたか。おはよう、一刀。」

「おはよう、冥琳。体の調子はどう?」

「目覚めスッキリだ。朝日がこんなにも心地よく感じるのは久しぶりだな。」

「それは良かった。・・・ところで、何で俺を見てたの?」

「一刀の寝顔を見るためだ。お前の寝顔は幾分か幼く見えた。可愛かったな。」

「・・・。」

 

桃香にも同じこと言われたことある・・・。男としては複雑な気分だ。

 

「それは褒められてるととって良いのかな?」

「あぁ。勿論だ。」

「そっか・・・。」

 

今度から寝顔を見られないようにしなきゃな・・・って言っても誰かしら寝台に潜り込んでる時があるから無理だな。主に桃香か胡花。たまに鈴々。鈴々の場合は愛紗が起こしに来るから・・・ん?愛紗が俺を起こしに来る時点で寝顔見られないの無理じゃね?・・・うん、諦めよう。

 

「そういえば雛里は?」

「まだ寝ているよ。ほら、そこ。」

 

冥琳の指差した先には寝台の上に小さな山がひとつ。

 

「もしかして、あれ?」

「あぁ。」

「起こしたほうがいい?」

「任せる。」

「・・・止めておこう。今は寝かせとこう。ところで、朝食はいつも誰が作ってるの?」

「たまに祭様が作るが、本当に気が向いた時だけだ。普段は侍女に任せている。北郷たちは作る者がいるのか?」

「うちは俺だったり董卓だったり典韋だったり韓飛だったり。諸葛亮や雛里も料理出来るよ。日によりけりかな。一緒に作ることもあるけどね。じゃあさ、今日は俺が作ってもいいかな?」

「あぁ。厨房へ私が案内出来れば良いのだが・・・雛里を一人にするわけにもいかないからな。」

「教えてくれれば一人で・・・ん?あそこにいるの、美紅じゃない?」

 

庭で馬の世話をしている美紅を見つけた。へぇ、馬が好きとは聞いてたけどこうして見ると本当なんだなって思う。宴の時は少し表情に乏しいというか、無愛想?って思ったけどそうでもないみたいだな。

 

「美紅ってあんな風に笑うんだな。」

「美紅様は興味のあることに対しては積極的なのだが・・・それ以外には基本、無頓着なのだ。ちょうど良い、聞いてくれるかは分からんが頼むだけ頼んでみるか。」

「いってきまーす!」

「あ、おい!・・・行ってしまった。頼んで聞いてもらえるかは分からないんだぞ。」

 

布団をぺりっと剥がすと未だに雛里がすやすやと寝息を立てている。お前のご主人様はどこか雪蓮に似ているところがあるな。私が言う前に行動するところはほとんど同じだ。

 

「すー・・・すー・・・。あわわ・・・。すー・・・。」

 

・・・

 

「おーい、美紅~!」

「ん?一刀か。どうしたの?」

「厨房の場所教えてもらおうかと思って・・・おわっ!」

 

馬が俺に頬擦りしてきた。擽ったい。栗毛の毛並みが綺麗だな。体つきもしっかりしてるし、良い馬だ。

 

 

「へぇ、この子がこんなに早く懐くなんてね。この子、結構人見知りするから私でも結構苦労したのに。」

「俺さ、動物に好かれやすい体質みたいなんだ。」

 

馬の頭を撫でてやると心地よさそうにブルっと鳴いた。よしよし、馬って見た目以上に大人しいからな。平原にも馬欲しい・・・。愛紗にも相談してみようかな。

 

「一刀って面白いやつだな。動物に好かれるやつなんてほとんどいないから。私は初めて見たわ。」

「う~ん、そう言われてみれば俺以外に見たこと・・・あるな。恋がそうだ。まぁ、恋の場合は動物たちを家族として見てるからそうなるのも当然か。」

「そっか。私は動物好きには悪い奴はいないと信じているからな。一刀もその一人だ。」

「ありがと。」

 

美紅の表情は新しい友達が出来た時の子供ような笑顔だった。これは信頼されているって思っていいのかな。

 

「それで、私に聞きたいことがあるんじゃなかったの?」

「そうだった。厨房の場所を教えてもらおうと思っていたんだ。」

「厨房?料理でもするの?」

「うん。朝食を作ろうと思って。」

「ふーん。じゃあこの子を小屋に戻してからでもいいならいいわ。」

「勿論。」

 

俺は美紅が戻ってくるまでその場に座って待つことにした。芝生の上に座るのも久しぶりだな。風が心地いい。小さい頃はこうやって父さんや母さん、鞘香と日向ぼっこしたものだ。母さんが作った弁当を食べて、食後は木に寄りかかって昼寝したな。父さんの上着を借りて。

 

「ピクニックか~。こっちじゃする暇もないからな・・・。」

「何をぼけーっとしているの?」

「あ、お帰り。」

「厨房に案内するからついてきて。」

「うん。」

 

俺は尻を軽くはたくと美紅の後をついていった。

 

・・・

 

「ここよ。」

「へぇ~、綺麗に使われてるんだね。」

 

内壁はしっかり掃除されてるし調理器具も傷や汚れは残ってない。

 

「それにしても、一刀って料理するのね。男が料理をするって珍しくない?」

「そうだね、俺の身近にいた人で男で料理していたのは父さんくらいだったな。けど、料理って面白いよ。誰かに美味しいって言ってもらえるともっと美味しく作れるように頑張ろうって思うし。」

 

料理についてだったら月や流琉と延々と語ったことあるな。

 

「そういうもん?」

「そういうもん。」

「そう・・・。で、作らないの?」

「いや、侍女さんに断りを入れてからにしようかと思って。」

「私が小屋へ戻る時に言っておいたから問題ないわ。」

「了解。美紅は何か食べたいのとかある?」

「回鍋肉。」

「分かった。じゃあ回鍋肉と炒飯。それと・・・平原で喫茶店のおっちゃんに教えてもらった杏仁豆腐も作ろう。」

「見ててもいい?」

「いいよ。」

 

とりあえず豚肉とピーマン、それに人参、パプリカ・・・あとはパイナップルか。たれは少し甘めでいいか。

 

「~~~♪」

「随分と楽しそうに作るのね。」

「だって楽しいもん♪」

「へぇ。今度祭に教えてもらおうかしら。」

「是非是非♪」

 

 

それから3品作り終え謁見の間に運んだ。そこには全員が既に集まっていた。雛里も起きたんだな。少し眠そうだが。恋はいつもどうりかな。俺が運んできた料理に視線が・・・。

 

「ご主人様!なんで起こしてくれなかったんですか~。」

「気持ちよさそうに寝てたから。」

「う~!!」

 

これは拗ねちゃったかな・・・。まぁ拗ねてても可愛いんだけどね。口に出したら怒られそうだから言わない。とりあえず料理を取り分けて皆の座っているとこに置いていく。

 

「へぇ、一刀が作ったのか。」

「うん。お口に合うかは分からないけど、どうぞ。」

「一刀さんのお料理ですか~。これは味わっていただかないといけませんね~。」

「あはは。穏、そんなにはりきって食べなくてもいいよ。」

「いえいえ、これは滅多にない好機ですよ~。うちで侍女さん以外の手料理を食べられるのは祭様の気が向いたときくらいですからね~。」

「儂は朝は弱いからの。」

「祭は二日酔いで潰れてるだけじゃない。」

「お前には言われたくないと思うぞ。」

「・・・。」

 

孫権さんと甘寧さんにも料理を出したんだけどなかなか食べてくれない。ただ料理を眺めるだけ。お腹の調子が悪いのかな?

 

「ほら蓮華、そんなに警戒しなくていいのよ。美味しいんだから一口くらい食べれば?それに、せっかく作ってくれた一刀に失礼よ。」

「・・・そうですね。いただきます。」

 

孫権さんが箸を取ると回鍋肉を一口食べた。・・・なんか緊張してきたぞ。

 

「・・・っ、美味しい。」

「でしょ。一刀、私の婿に来ない?私、いい妻になるわよ?」

「雪蓮の婿になったら毎日が苦労の連続だろうな。私の負担が減る分にはありがたい話だが。」

「雪蓮様より私の方が色々と特典が付きますよ♪」

 

・・・俺、婿入り確定ですか。

 

「ご、ごしゅじんしゃまは私たちのでしゅ!」

 

むっと腕に力を入れる雛里。力こぶは見えないけどね~。

 

「あはは、冗談よ♪雛里のご主人様は取らないわよ。」

「・・・冗談に聞こえませんでした。」

「大丈夫よ、私には冥琳がいるもの♪」

「そろそろ世話役を代わってほしいくらいだ。一刀、変わるか。」

「謹んでお断りします。というか、冥琳がいないと雪蓮を止める人がいないでしょ?」

「・・・はぁ。まぁ、私が阻止せねば愛璃様や水蓮様、雪蓮を止める者がいないからな。」

「冥琳、頑張ってね♪」

「愛璃様、頑張ってくださいね~。」

「冥琳、母様たちをよろしくね。」

「・・・分かりました。善処します。しかし、雪蓮!」

「な、なによ?」

「あまり羽目を外さないように。いいか?」

「はい。」

 

うーん、呉で一番発言力が強いのって冥琳なのかな?水蓮>雪蓮=冥琳=愛璃>孫権さん>・・・みたいな。うちの発言力は誰が強いかな・・・。・・・愛紗>朱里=雛里=明里=詠>俺=桃香=月>・・・。・・・俺、愛紗に怒られたら泣いて謝る自信あるもん。

 

「ねぇ、一刀さん。」

 

俺の肩をちょんちょんとつついてくる美々。

 

「ん?」

「模擬戦だけど、お昼ご飯食べてからでいい?朝は私警邏に行かないといけないから。」

「いいよ。じゃあ俺はそれまでに準備しておくね。」

「お願いね~。」

 

 

美々が凄い勢いで炒飯を口の中に放り込んでいく。喉に詰まらせないようにな。

 

「ご馳走様!よーし、警邏頑張るぞー!行ってきまーす!」

「転ぶなよー。」

「はーい♪」

 

こちらに手をぶんぶん振りながら謁見の間を後にした。

 

「一刀は美々と模擬戦するのか?」

「うん。俺も久しぶりだから楽しみなんだ。」

「そうか。私も一戦交えてみたいと思っていたのだが・・・。」

「じゃあ二対一でやればいいじゃない。」

 

雪蓮が突然爆弾を投下したよ。将二人に一人で対峙するのは厳しいものがあるぞ・・・。

 

「大丈夫。恋でも、三万人相手、勝てる。」

「いや恋、相手は将だからね。俺も雑兵だったらそのくらいはやれるけどさ。」

「・・・一刀ってさ、将のことを自分と同じ力量で見てない?」

「私に言われても・・・。」

「? 二人とも、ひそひそ話なんかしてどうしたの?」

「・・・何でもないわ。」

 

俺と恋は二人で顔を見合わせて首を傾げた。なんか変な話してたかな?

 

・・・

 

それから二刻後、鍛練場で俺と対峙する美々。・・・と美紅。

 

「・・・なんで美紅もいるん?」

「雪蓮様の提案から私も参加して良いと判断したから。」

「美紅様、よろしくね!」

「こちらこそ。」

 

・・・とりあえず、頑張ろう。

 

「私は準備いいですよ~。」

「こちらも大丈夫。」

「・・・よし!」

 

俺は頬を叩き気合を入れた。これで大丈夫だ。

 

「一刀、健闘を祈る。」

「頑張ってくださいね~。」

「一刀~、負けたらお仕置きだからね~♪」

「俺の方が不利なのにそれは酷くない!?」

「まぁ、頑張れ。」

「あわわ・・・。」

「・・・恋、応援する。」

 

観客に冥琳、穏、雪蓮、水蓮、雛里、恋。それと遠くから孫権さんと甘寧さんがいる。

 

「俺もいつでも大丈夫。・・・本気で行くからね。」

 

深呼吸をして呼吸を整える。・・・よし。

 

『ようやく私の出番か。』

 

・・・何か至らぬ声が聞こえたぞ。それと同時に体内の気が膨れ上がっていくのを感じる。

 

「よーい、始め!」

 

水蓮の掛け声に美々が突撃してくる。それと同時に美紅は後衛として弓を引き絞っている。さて、どうしたものか・・・。

 

「ぼけーっとしてるとドカーンといっちゃうよー!」

 

美々の鍍金の大斧が俺に迫る。あんなので攻撃されたら首が飛ぶぞ・・・。というか、ぼけーっとはしてない!聖桜で受け止めるのはまずいよなー。気は十分に溜まってるから・・・。

 

 

「北郷流剣術、壱の型・・・旋風!」

 

気を纏った刀を振り上げることで暴風を起こした。・・・んだけど、いつものより1、5倍くらいの規模だ。鈴の影響なのかな?

 

「嘘!?こんなの無しでしょ!!!」

 

暴風の直線上にいた美々は左にサイドステップを踏むことで直撃こそ避けたものの、突然の出来事に加え風の大きさに度肝を抜かれたようで唖然としている。美紅も美々ほど驚いてはいないがなかなかの衝撃ではあったらしい。

 

「ひゅ~、一刀ってあんなことも出来るのね。」

「あれは複数人と対峙した時に有効になるな。数が多ければ多いほど効果を発揮する。」

「次は何が出てくるのかわくわくしますね~♪」

「あのような武官がいると雛里も補佐をするのが楽だろう。」

「楽と言えば楽なんですが、ご主人様はお一人で戦況把握から指揮まで出来ますので自分が必要なのかと疑問に思う時があります。」

「ふむ、有能なのも考えものということか。」

「はい・・・。」

 

向こうで何か話してるけど・・・気にしてられないな。今はこっちに集中しないと。

 

「美紅さん、私が出たらすぐに射撃して!」

「分かった。」

 

突撃してくる美々。駆け始めた直後、美紅の放った矢がこちらを襲ってくる。1、2・・・3本か。これは気を溜める余裕はないね。じゃあ・・・。

 

「つ、掴まれた・・・。」

 

放った矢は初弾を掴まれ、掴んだ矢を二本目の矢に投げ当てることで勢いを相殺。三本目は剣閃によって切り落とされてしまった。これほどか・・・。並の反射神経で可能な芸当ではない。私たちはこのような化物と対峙していたのか。

 

「せりゃーーー!!」

 

弓を撃ち落としている間に背後に回っていたか。しかも既に振りかぶっている。ふむ・・・。一撃が大きい分隙が多い。いつもなら距離を取るけどそうすれば美紅が矢で狙ってくるだろうし。それならば・・・。

 

「やーーー・・・あ、あれ?いない。」

「捕まえた♪」

「えっ・・・。」

 

俺は美々の背後から抱きしめる形で斧を握る手を片手で覆い、もう一方の手は聖桜を持っているので美々の視界にそれをちらつかせる。

 

「う~、負けました。」

「美紅はどうする?まだやる?」

「・・・降参だ。矢を掴まれた時点で諦めがついている。」

「そこまで!」

 

きちんと一礼。いやー、楽しかった。たまには複数でやつのもいいね。・・・口に出したら何人出てくるか分からないから言わない!

 

「か、一刀さん・・・そろそろ離してもらえるとありがたかったり・・・///。」

「ん?」

「美々ずる~い!一刀、私の胸にさあ!」

 

雪蓮が腕を開いて、さながら・・・私の胸に飛び込んでこい!みたいなポーズを取ってる。・・・あ、俺が美々にくっついてるからか。

 

「ごめんごめん。」

「///」

 

またご主人様が・・・。しょぼーん。

 

「雛里、なんで落ち込んでるの?」

「恋さん・・・いえ、なんでもないんです。」

「?」

 

 

ここで落ち込んでも仕方ないんですが・・・ないんですが!う~、これは私の我侭なのでしょうか・・・。

 

「まさか私の弓を掴むとはな。恐れ入ったよ。」

「弓の軌道が見えてたから。後はそれに合わせて掴むだけ。」

「いや、そんな出来て当たり前みたいに言われてもな・・・。」

 

懐かしいな。爺ちゃんとの応用過程でやったピッチングマシーンの投げるボールを取る鍛錬。時速160キロの玉を取れって言われたときは俺を殺すんじゃないかと思ったよ。まぁ、最初は俺から軌道を避けて投げられていたからあたりはしなかったけど。目が慣れるまでに3日は掛かった。

 

「ねぇ一刀、最後の美々の一撃を避けたあれってどうやったの?」

「あれは縮地っていうんだけど、相手の死角を動くことで一気に距離を詰めたように見せるってこと。だから美々は俺の動きに反応できなかった。」

「へぇ・・・一刀、私とも一戦しない?」

「機会があったらね。今日は疲れたからまた今度。」

「絶対ね。」

「あぁ。」

「一刀はどんな修行を積んできたんだ?並のものでは成し得ないようなことをやっているが。」

「うちは北郷流剣術っていうのを代々受け継いできた家系なんだ。それで、俺は6歳の頃から爺ちゃんに剣術を教えてもらって、剣術を伝承した後は婆ちゃんから気の扱い方を教わったんだ。二人とも凄く強くてさ、爺ちゃんとは五回模擬戦して二回から三回は勝てるんだけど・・・婆ちゃんには模擬戦で一回も勝てた試しがない。多分父さんや母さんも相当の腕を持っているから・・・俺ももっと頑張らないと!ってね。」

「剣術に体捌きは両祖父母譲りということか。」

「私たち二人がかりで一太刀も浴びせられなかった一刀さんが一回も勝てないなんて・・・。本当に人間?」

「あはは、人間だよ。まぁ絶対怒らせないようにはしてるけどね。怒られたことはないけど、その場合何が出てくるか分かんないから・・・。」

「一刀さんが怒られる光景は想像出来ませんけどね~。」

 

穏、それは買いかぶりだ。怒られたことなんて何回あるか・・・。・・・?あれ?怒られたのは・・・三回?思ったほどでもないな。

 

「うちは間違ったことはするな、悪いと思ったらすぐ謝る、お礼は誠心誠意を込めて言う。って当たり前のことだけど家訓にあったから。そういう風に生きてたら怒られることは少なかったね。」

「ほう、うちの娘は大違いだ。(ちらっ)」

「なによ~、私も良い子にしてたわ。」

「ふむ、私の記憶が正しければ相当なお転婆娘だったと思うが・・・。」

「む~、冥琳が証明してくれるわ!」

「こればかりは水蓮様が正しい。私の記憶からお前に振り回された記憶といえば話すのにまる一日は掛かるぞ。」

「ぐ、ぐぬぬ。」

 

あ~、家族の会話だ~。なんて思っている一刀。そして三人の模擬戦を遠目からみていた孫権と甘寧は二人して驚きの表情を隠せないでいた。

 

「まさか美々と美紅が負けるなんて・・・。しかも二人がかりで。二人はうちの五本の指に入るほどの将なのよ。」

「蓮華様、あれは相手が悪かったのでしょう。噂ではあの呂布に模擬戦で勝利していると聞いています。」

「あんな冴えない顔をしてるのに・・・全然鍛えているようには見えないんだけど。」

「人は見かけによらないということでしょう。」

 

だが、あやつの実力は本物だ。美々、美紅様に勝利したという点のみだけでもそう評価できる。もし私が対峙したとき、勝つことはできるだろうか・・・。そんなことを甘寧が考えながらも日は着々と暮れていった。

 

・・・

 

それから翌日、早朝俺は雛里と恋を起こして平原へ戻るため支度を済ませた。そして建業、謁見の間にて。

 

「じゃあ俺たちは平原に戻ります。お世話になりました。」

 

 

俺たちを見送るのは水蓮、雪蓮そして冥琳の三人。ほかの子たちも見送りたいと言っていたが、総出だと仕事が滞るということで渋々引き下がった。特に美々と愛璃、そして穏。

 

「お礼を言うのは私たちなんだから。ほら、頭を上げて。」

「そうだな。本当は華佗にも礼をと思っていたのだが、仕事というわけでは仕方ない。一刀から私が礼を言っていたと伝えてくれ。」

「うん、分かった。必ず伝えるよ。」

「さて、そろそろ時間だ。門まで見送ろう。」

 

それから門に移動し、俺たちは一歩外へと踏み出した。

 

「それじゃ三人とも、元気でね。」

「あぁ。雪蓮たちもお元気で。特に冥琳は無茶したら駄目だからな。」

「それは約束できないな。雪蓮が大人しくしてくれれば元気でいるだろう。」

「ぶー。」

「ははは、じゃあ雪蓮も冥琳に無理させないようにね。」

「はーい。」

「みなしゃん、お元気で。ぐすっ。」

「ほら雛里、泣くな。一刀が困っているぞ。」

「ぐしゅ、はい。」

「皆、ばいばい。」

「恋は食べ過ぎないようにな。」

「・・・善処する。」

「はは、それでこそ恋だ。次は私たちが平原に赴きたいものだわ。」

「水蓮たちだった大歓迎だよ。建業ほど広くはないけどね。」

 

そして少しの間静寂が訪れる。こうなると少し寂しく感じるけど、また逢えると信じて笑顔でいないとな。

 

「じゃあ、雛里、恋、行こうか。」

「はい。」

「(こくっ)」

 

俺たちは三人に一礼すると平原への道のりを歩き出した。

 

「行ってしまったか。」

「何よ冥琳、もしかして一刀がいなくなって寂しくなったとか?」

「それもあるかもな。しかし、改めて思えば思うほど不思議なやつだった。」

「そうだな。まぁ、再び会う機会もあるだろう。」

 

そう、また近いうちに・・・。敵として出会わなければいいがな。

 

「雪蓮、冥琳。私たちも仕事に戻るぞ。」

「は~い。」

「了解です。」

 

 

あとがき 読んできただきありがとうございます。冥琳救出作戦終わりました。次回からはまた平原での視点でお送りします。最近は眠れなくて体が重いですがどうにか生きてます。よし、これからも頑張りましょうかね。それでは次回 第五節:曹操軍、迫る!長坂の戦い勃発! でお会いしましょう。

 


 
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