No.551952

IS〈インフィニット・ストラトス〉 ~G-soul~

あっさり撃破。そして向こうは・・・

2013-03-06 18:34:08 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:920   閲覧ユーザー数:866

俺を見下ろす金色の装甲に身を包んだ女性。スコール・ミューゼル。

 

「スコール! 何しに来やがった!?」

 

「あら、助けてあげたのに酷い言い方ね」

 

スコールは不敵な笑みを浮かべながら言った。

 

「今回の事件は亡国機業が関係してるのか!」

 

「今はそんなことを論じている場合じゃないんじゃないかしら。あなただってわかってるでしょ?」

 

「くっ…!」

 

そこでふと思い至った。

 

「マドカ!?」

 

音がしていなかった。マドカが水中に落下する音も、薙刀が突き刺さる音も聞こえない。

 

見ればそこにはもう一人の乱入者がいた。

 

「けっ…! なんで私がこんな奴を助けなきゃなんねぇんだよ」

 

背中から伸びた六本のアームがゴーレムⅥのボディを突き刺し、自分の腕でマドカを抱えるオータムの姿がそこにはあった。オランダで見た機体だ。確か《アルバ・アラクネ》とか言ったか。

 

なんにしてもマドカは無事だ。だけどホッとする反面、焦った。

 

(マドカは亡国機業の記憶がない! いきなりこの二人と鉢合わせたら――――――!)

 

「あ…あの……」

 

「あぁん? っせぇな。黙ってろ」

 

「ひぅ…」

 

ギロ、とオータムに睨みつけられたマドカはオータムの腕の中で首を竦める。

 

「……おっと、手が滑った」

 

 

ポイッ

 

 

「え?」

 

 

ザバァッ!

 

 

マドカが海に落っこちた。高さはそれほどなかったが結構な勢いだったぞ。

 

「マドカ! おいコラ! 何しやがる! 今の明らかにわざとだっただろ!」

 

「あっはははは! こいつはいいや! ざまぁ見やがれ!」

 

俺をスルーしてオータムはケラケラと笑う。

 

「ぷはっ。ちょっと! 助けてもらったのは感謝しますけどいきなり落とすなんてひどいじゃないですか!」

 

海面に浮かんだマドカがオータムに怒って指をさす。

 

「あースカッとしたぜ」

 

ひとしきり笑い終えたオータムにスコールが困ったように声をかける。

 

「オータム、仕返しもほどほどにしなさいね」

 

「わかってるよ。しかし、さっきスコールから聞いてはいたが……これがアイツとはな…ほらよ」

 

オータムは右手にコールした四角い物体をマドカに投げて寄越した。

 

「これは?」

 

マドカの問いにオータムの代わりにスコールが答えた。

 

「小型のエネルギー補給用キットよ。そのイヤリングに近づけてみなさい」

 

スコールに言われるままマドカが四角い物体を待機状態のバルサミウス・ブレーディアに近づけると、淡く光ったそれが光の粒子になってイヤリングに吸い込まれた。

 

次の瞬間マドカは全展開のブレーディアにその肢体を包まれた。

 

「え、エネルギーが回復した? 壊れたところも…治ってる!」

 

左脚部の装甲のダメージも完璧に元通りになってる。あんな一瞬で損傷したISをここまで回復させるなんて凄い技術だぜ。

 

「――――――――」

 

「あん?」

 

アルバ・アラクネの六本のアームにそのボディを突き刺されているゴーレムⅥがまた動き出した。

 

「うぜぇな」

 

 

ドガガガガガガガッ!!

 

 

ゴーレムⅥの装甲が内側からボコボコと盛り上がっていく。

 

「そらよっ!」

 

思いきり上にぶん投げられたゴーレムⅥ。アラクネの六本のアームの先端には細い煙を吐くアームと同じ数の銃口が覗いていた。内側にエネルギー弾を打ち込んだのか。

 

「爆ぜろ」

 

爆発が起きた。ゴーレムⅥが木端微塵に吹き飛んだ。細かい欠片が海に落下していく。

 

「―――――――――」

 

「危ない! 後ろ!」

 

マドカが叫んだ。オータムを優先的に倒そうと判断したのか、上半身だけになったゴーレムⅣが赤く燃える右手をオータムに向けて襲い掛かった。

 

「しゃらくせぇっ!!」

 

オータムはそのまま上に飛んだ。いや、正確に言うならその場で宙返りしてゴーレムⅣの後ろを取った。

 

「へぇ、そんなになっても動けんのか。だがよ!」

 

 

ドドドドドドッ!

 

 

六本のアームがゴーレムⅣの背中に刺さる。

 

「もう一丁だ!」

 

オータムの両腕が銀色の装甲に包まれた。先端が鋭利に尖っている。その二本の腕がゴーレムⅣの背中に一段深く刺さった。

 

八本。本物の蜘蛛の脚と同じ八本のアーム。それが振動を始める。

 

「《グラインド・パニッシャー》…食らいなっ!!」

 

 

ババババババババババッ!!

 

 

「――――――――――――!」

 

腕とアームが刺さったところからゴーレムⅣの装甲が泡立った。ゴーレムⅣは黒いボディを小刻みに振動させて、まるで痙攣しているみたいだ。

 

オータムはゴーレムⅣから離れた。背中のアームの連結部分から排熱するような音とスチームが出た。

 

「―――――――!!!!」

 

ゴーレムⅣが内側からバラバラに吹き飛んだ。

 

「まあ、ざっとこんなもんだ」

 

俺とマドカはその光景に圧倒されて動くことができずに見入ってしまっている。

 

「すげぇ…ブレイカー並みの熱量の振動攻撃……」

 

「ゴーレムを一瞬で二機も倒すなんて…」

 

パンパンと手を叩く音がした。

 

「はいはい。あなたもそんな見入ってないで、目の前のその無人機をどうにかしなさい」

 

スコールが指差したのは俺の横で大剣を振り下ろす途中のゴーレムⅤ。

 

「えっ、あ、い、言われなくても! G-spirit!」

 

G-spiritに移行して、Gメモリー・セカンドのボルケーノを発動する。

 

背中の排熱ウイングが開き、右腕が光り輝く。

 

「動かないヤツの相手をするのはちと心苦しいが…はあっ!」

 

右腕をゴーレムⅤのボディに叩きつける。

 

 

バリバリバリバリバリバリバリッ!!

 

 

「――――――――」

 

エネルギーを吸い取られたゴーレムⅤの顔のアイセンサーが光を失い、その体が海に落ちた。

 

「ふぅ、とりあ――――――」

 

 

ゴォッ!!

 

 

俺の顔面の真横を大出力のビームが通り過ぎた。

 

「……………!」

 

「甘いわね。相手をちゃんと完膚なきまで叩きのめしてこその勝利よ」

 

「だ、だだ、だからって…だからってそんな容赦のないビームを何の断りも無しに撃つんじゃねえ!!」

 

叫んだと同時に後ろの海面で爆発が起きる。周囲に敵の姿は見られない。俺はスコールに声をかけた。

 

「…答えろスコール。何しに来た?」

 

「だから、助けに来てあげたって言ってるでしょ?」

 

「頼んだ覚えはない」

 

「でも、助かったでしょ?」

 

「それは……!」

 

言葉を選んでいるところにマドカが俺に、オータムがスコールに近づいた。

 

「スコール! どうだった!?」

 

「ええ。鮮やかだったわ。流石オータムね」

 

スコールに褒められたオータムは顔を綻ばせた。

 

「え、瑛斗……」

 

「マドカは俺の後ろに。ビットはいつでも使えるようにしておいてくれ」

 

「う、うん」

 

マドカが俺の後ろに来たのを確認してから、俺はもう一度スコールに問いかけた。

 

「スコール、助けてくれたのは礼を言ってやらんこともない。けどちゃんと答えろ。何しに来た」

 

「もう、何度言ったらわかるのよ。助けに来たの。人の厚意は素直に受け取りなさい」

 

「ツクヨミのみんなの…所長の仇の厚意なんて、出来ることなら受け取りたかないぜ」

 

「やれやれ……少なくとも、今の私たちに敵対する意思はないわ。それに今回の事件に亡国機業はなんの関与もしてないのよ」

 

「…それを信じろって言うのか?」

 

「グダグダ言ってんじゃねぇよ。お前も爆発させてやろうか」

 

オータムが前に出てくる。俺も身構えた。

 

「瑛斗、待って」

 

「え?」

 

マドカが俺の腕を掴んだ。そしてスコールとオータムの前に出る。

 

「お、おい? マドカ?」

 

「あの、助けていただいてありがとうございました」

 

マドカはスコールたちに頭を下げた。

 

「お二人が来てくれなかったら、危なかったです」

 

意外そうにしたのは、オータムだった。

 

「アイツが、私たちに頭下げてやがる……」

 

「可愛くなったものねぇ、うふふ」

 

対照的にスコールは楽しそうに微笑んでいる。自分がマドカの記憶を消したくせによくもまぁ!

 

「どういたしまして、マドカちゃん。私たちのことは色々聞いてるでしょうけど今は警戒しないでいいわ。そっちの坊やもいいかしら?」

 

「何が坊やだコラ。まあいいや。お前ら、俺たちに合流するまで無人機何機倒した?」

 

「今のが初戦よ。五十機って言ったって、結構な範囲にまで及んでいるのね」

 

「みんなもまだ戦ってるのかな……」

 

「通信は…ダメか。まだ繋がらない」

 

「あなたたちはこれからどうするつもり?」

 

スコールの問いに俺は肩を竦めた。

 

「どうもこうもない。先生たちの指示を仰げない以上、補給ポイントまで戻って連絡を取る。通信手段くらいあるだろうぜ」

 

「そうかいそうかい。護衛してやろうか? ハハッ」

 

「お前らが捕まりたいってんなら別にそれでも構わないぜ?」

 

「悪いけどそれは遠慮したいわ」

 

スコールはそう言って俺たちに背を向けた。

 

「じゃあ、ここでお別れか」

 

「そうさせてもらうわ。行くわよ、オータム」

 

「あ、うん」

 

バーニアを噴かして離れていく二人を俺とマドカは見送った。

 

「ねぇ、よかったの? 一緒に行けばこの先の戦いが有利だったんじゃない?」

 

「…かもな」

 

「なら――――――」

 

「でも俺はスコールを許すつもりはない。向こうは向こうで勝手にやればいい」

 

「………………」

 

あ、いけないいけない。怖い顔になっちまってるな。

 

「お前こそ、大丈夫か?」

 

「え?」

 

「ゴーレムⅣの攻撃をもろに受けたんだ。どっか具合悪いとか、頭痛いとかないか?」

 

「あ…うん。何ともないよ。でも、なんだか黒髪の女の人……」

 

「オータムのことか?」

 

「うん。見覚えがあるような……どこかで会ったことがあるような…そんな気がするんだ」

 

「…………………」

 

その一言はマドカからしたら何気ない一言だったかもしれない。でも俺はその一言にギクリとしてしまう。

 

「き、気のせいだろ? お前は、オータムと会ったことなんて一度もないじゃねぇか」

 

「そのはずなんだけど…どうしてだろう?」

 

首を傾げるマドカを見てたら、胸がまた痛くなった。心情的にもだけど、主に物理的に。

 

「ぐぅ……」

 

「だ、大丈夫!? スーツとG-soulが真っ赤だよ!」

 

「へーきへーき。浅く切っただけだから、血はもう止まったみたいだし」

 

「そ、そう? 危なくなったら言ってね?」

 

「ああ、そうするよ。とりあえず陸地の方に戻って補給しよう。お前のブレーディアも完全に回復したってわけじゃないみたいだからな」

 

マドカの気遣いに感謝してから、俺たちは遠方に見える陸地を目指して飛んだ。

 

 

蝉の声が聞こえる。ヒグラシの鳴き声だ。

 

「ここは…?」

 

紅椿と白式の光に飲み込まれ、部屋にいたはずの俺は見覚えのある場所にいた。

 

「家の近所……」

 

どこを見渡しても、家の近所の道とまったく同じ。だけど、おかしい部分がある。

 

「誰もいない…」

 

車や雑踏の音なんてしない。蝉の声以外は何も聞こえず、西日が景色を赤く染め上げている。

 

 

―――――助けて――――――

 

 

「え?」

 

声が聞こえた。女の子の声だ。振り返ってみるけど人っ子一人いやしない。

 

 

―――――助けて――――――

 

 

また聞こえた。今度はさっきよりも大きい声だ。

 

「おーい! 誰かいるのかー!?」

 

呼びかけても返事はない。

 

 

―――――助けて――――――

 

 

でも声だけは聞こえてきた。

 

「助けてったって……」

 

助けを呼ぶ声が聞こえるのにどこにいるのかわからない。

 

「一体どうすれば―――――」

 

瞬間、右腕のガントレット、白式が光った。

 

「白式? うわっ!」

 

白式の光が一層大きくなって、俺の視界を数秒塗り潰した。光が小さくなるのを感覚で感じ取って目を開く。

 

一本の細い光の線が伸びていた。

 

「これは……」

 

まるで何か案内するように伸びたその光。

 

「これに沿って進めってことか…」

 

そう直感して、俺は白式の光が示す道を走り出した。

 

 

瑛「うぅ…うぇっぐ………うわぁぁぁぁ」

 

一「…………………」

 

セ「…………………」

 

瑛「うわぁぁぁ………」

 

セ「…一夏さん、どういうことですのこれは? オープニング前からメインパーソナリティー号泣っていう前代未聞の放送事故ですわよ?」

 

一「や、俺にもなにがなんだかさっぱり……瑛斗? どうした?」

 

瑛「ぶわあぁぁぁぁん…あばぁぁぁぁ……」

 

一「とてつもなく号泣してるとこ悪いんだけど、何があったか教えてくれませんかねぇ!」

 

瑛「こ、これ…」

 

一「なんだ? 本?」

 

セ「あら、小公女ですわね」

 

一「小公女? 聞いたことあるな」

 

セ「世界中で読まれている小説ですわ。大富豪の娘の女の子が挫折しながらも持ち前の優しさで数々の苦難を乗り越えていく、素晴らしい文学作品ですの。わたくしも小さいころ何度も読みましたわ」

 

一「へぇ。で、なんで瑛斗はこんな……」

 

瑛「おーいおいおいおい…」

 

セ「その泣き方する人、初めて見ましたわ。多分この小公女を呼んでこのようになったんでしょうね。にしても、どうして突然小公女を呼んだのでしょうか?」

 

一「ん? 今日のお便り…カイザムさんからセシリアへ質問。小公女の主人公のセーラの生き方をどう感じますか? だって」

 

セ「あら、わたくし宛ての質問が来てたのですね。しかもちょうど件の小公女の……もしかして」

 

一「どうした?」

 

セ「瑛斗さんがこうなった理由って、この質問を先に読んで、小公女がどんなものなのか本を読んだからなのではないでしょうか?」

 

一「え? そうなのか? 瑛斗」

 

瑛「うぐぅぅぅ…健気すぎるだろぉ……健気すぎるでしょうよぉ………」

 

一「そうみたいだな」

 

セ「そうみたいですわね」

 

瑛「あぅあぅあぅあぅ………」

 

一「うん、なんか今日はもう無理っぽいな」

 

セ「ですわね。今日は放送が成り立ちそうになりませんもの」

 

一「帰るか。ほら、瑛斗、歩けるか?」

 

瑛「ぐすっ……ええぇぇぇ」

 

セ「ど、どちらかと言うとハッピーエンドな物語なのですが…」

 

・・・

 

・・・・・

 

・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

鈴「…あれ? ラジオスタジオの明かりが点きっぱなし?」

 

???「!」(◎_◎;)ビクゥッ!

 

鈴「? カンペのスタッフじゃない。何コソコソしてんのよ」

 

???「………」((((;゚Д゚)))))))フルフル!

 

鈴「なんでもない? なんでもないわけないじゃない。そんな慌てて・・・ん? それ質問の手紙? 見ていい?」

 

???「!!」(((((((;゚Д゚))))))))フルフル!!

 

鈴「なんでダメなのよ。いいじゃない見せてくれた…って!」手紙ヒッタクリ

 

???「!」(;゜0゜)

 

鈴「えーっと? 竜羽さんからの質問。アタシ宛てじゃないの。何で隠したのよ」

 

???「…」( ;´Д`)オドオド

 

鈴「なになに? 原作での不遇な扱いをどう思いますか? …何これ」

 

???「……」( ̄◇ ̄;)アワアワ

 

鈴「あっそう。アタシがコレ見たら怒るだろうなーって思ったってわけ」

 

???「……」(>人<;)

 

鈴「残念でしたー。そんなことで怒るほど小さい女じゃないっつーの」

 

???「……」(・Д・)キョトン

 

鈴「まあそうよねー。アタシ出番少ないもんねー」

 

???「……」(;´Д`Aアセアセ

 

鈴「え? でも人気はある? ありがと。そうよ! 人気あるんだからアタシ! もうすぐフィギュアも出るし!」

 

???「……」(゚O゚)

 

鈴「藪から棒? 宣伝よ宣伝! ここらでまた一発ドカンと人気を上げんのよ! そういうわけで」

 

???「!」( ̄^ ̄)ノマイクスタンバイ!

 

鈴「アンタ達! 絶対絶対ぜーったい買いなさいよ!! 買わないと許さないんだからねっ!」


 
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