No.549299

リリカルなのはSFIA

たかBさん

折れない支点はブレてない

2013-02-27 18:01:10 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:6109   閲覧ユーザー数:5497

 折れない支点はブレてない。

 

 

 

 …この先。俺に出会うような事があっても決して接触はしようとしないでくれ。

 …俺は、皆に『スティグマ』を刻みたくないから。

 

 

 

 プレシア視点。

 

 「お母さん!お兄ちゃんは見つかるよね!そうだよね!」

 

 転送装置があるリンディ達の部屋に転送してみるとアリシアが涙を流しながら私に抱きついてくる。

 アリシアだけじゃない。アリサやすずかといった私の作ったD・エクストラクター適正者がアリシアと一緒に部屋の中で待機していた。

 そんな彼女達に真実を告げるのはつらいから…。私は力なく笑うだけだった。

 

 「…ええ、きっと見つかるわよ」

 

 だけど、見つけたとしても私達は彼に触れることは出来ない。

 それは彼がそれを望んでいるから…。

 聖痕。スティグマ。とはよく言ったものね。

 仲が親密になればなるほど、スフィアをめぐる戦いに巻き込まれる呪い。

 私に出来る事と言えば、彼に任されたリニスとリインフォースのスフィアの取り扱い。そして、D・エクストラクターを用いてアサキムに用心することぐらいしか出来ない。

 スフィアの事も未だに1%も解析できていない。

 リインフォースのガナリーカーバーを見せてもらってけど、ミッドにある質量兵器とあまり変わらない。動力をスフィアにしているだけならカートリッジシステムを少しいじれば可能だ。ただし、使ったらデバイスは出力に耐え切れず自壊するでしょうけどね…。

 ガンレオンが手元にあれば解析は進んだかもしれない。

 タカは言っていた。ガンレオンは、『原作』(とは言ってもゲームの話だが)の中で、ブラスタやガナリーカーバーのように『人が作り上げた兵器』にスフィアを後付した物とは違う。

 ガンレオンは最初から(・・・・)『傷だらけの獅子』と共にあった。そして、『御使い』と呼ばれていた特殊なケースでの機体らしい。

 それがなんなのかは彼も知らない。まだまだその『原作』とやらには続きがあるらしいがそれを知る前にタカはこっちの世界に来てしまった。

 

 「…だけど、それぐらいで私が諦めると思っていたら大間違いよ、バカ息子」

 

 …非常に。ひっっっっっじょぉおおおおおおおおおに不愉快だけどアリシアは貴方に想いを寄せているのよ!

 貴方ごときに!!うちのアリシアがっ!振られるなんて、考えたくもないわ!!

 

 ―そこまで嫌ならアリシア()を止めろ!―

 

 と、タカの声が聞こえたような気がしたけど気にしない!

 

 だ・か・ら!絶対に『スティグマ』。『放浪者』の呪いなんか、今までの研究データとDエクストラクターを研究し尽くして絶対にタカにはテスタロッサの名前を担いでもらう。

 将来性ではアリシアの方が上ですものね!

 

 「世界は変える。変えられる!私は娘の為なら世界を敵に回すことだって出来るわ!」

 

 「…プレシア。それは前科がある分アウトです」

 

 一週間徹夜が続いていて廃になっていたプレシアを後ろから羽交い絞めしたリニスはそのままジャーマンスープレックスをかけて昏倒させた。

 

 「まったくあなたは娘のことになるとブレませんね。この親馬鹿な意識は折れないんでしょうか?」

 

 プレシアも悪人ではないのだが、元となる芯は親馬鹿。

 行動倫理はいつだって世界規模の采配を下している。

 ある意味、リニスより『揺れる天秤』に適正しているのかもしれない。

 

 ジャーマンをかけた後、居間にあるソファーにプレシアを乗せて、彼女があさっていた資料を調べるリニス。

 それをまとめてリニスはプレシアを布団の中に入れた。

 

 「全く困ったマスターです。とは言っても魔力のラインは切れているからマスターとよぶのもすこし照れちゃいますね」

 

 そう思いながらもリニスは台所に戻り、数人分の食事を用意する。

 

 「りにすー、ごはん~」

 

 「お、お姉ちゃん、行儀が悪いよ」

 

 「リニス。私はネギ抜きでね」

 

 「はいはい。今から作りますね~」

 

 娘たちの声で目を覚ましたプレシアは、寝室から出てきてふと思った。

 フェイトがいて、アリシアがいて、リニス・アルフがいる。

 一年ほど前の自分だったらこれで満足していただろう。だけど、今は足りない。

 

 とても不器用で、バカだけど、誰よりも自分達の為にボロボロのぐしゃぐしゃになった『傷だらけの獅子』。

 今の自分じゃどうしようもない。

 だけど、自分の娘を生き返らせようとしたことに比べれば『放浪者』の呪いを解くといった物の方がはるかに簡単だ。

 呪いを解くのはミッドにも、この世界地球にも存在する。

 何より彼を捉える原作。『スティグマ』は元はと言えばゲームだ。

 ゲームならば必ずハッピーエンドがある。ならば自分はそれを探すまでだ。

 

 「…プレシア?目が覚めましたか?」

 

 「ええ、リニス。少し休んだら私の実験に付き合ってもらうわよ」

 

 「無理をしない程度に。…ですよ?」

 

 それは分かっているわ。

 健康な状態で『傷だらけの獅子』を迎い入れないと逆にひっぱたかれそうだからね。

 

 


 
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