傷む光
夜明けの音。
イコール目覚めのベルを鳴らす箱を乱暴に叩くこと。
暗闇が空けること。
つまり音のない世界が終わる。
大切で下らないことが箱から流れる合間に。
また退屈で大事な一日が始まる。
季節が移りゆく中、息が色づいて頬を染める。
人込みにまぎれて、目的地へと向かう。
だのにどうして。
「そこに行くのだろう」
そんな思いがふっと過ぎってしまう。
疲れている。
逃げている。
見失っている。
簡単な単語で。
済ませられたなら、昼間にサボったりしない。
音のない真昼の光。
雑多の中、どれぐらいの数が目的を持って歩いている。
遊ぶため?
働くため?
稼ぐため?
それは何のため?
その「何」が一体、何なのか、わからなく――なる。
照りつくアスファルトの下。
今にも枯れそうな木のよう。
陽射が・・・・・ただ、痛い。
光が、雲間に隠れた瞬間、安らいだと同時に寒さが襲うのはなぜだろう。
仰いだら、そこは群青が見えて。
だけど音のない真昼はみつめない。
佇んでいた己の影が。
まるで焼け付いたかのように静かに黒ずんだ。
――そんなものを見たら、どうなるか。
1人じゃない、世界。
だけど1人きりの世界。
虚ろな眼差しをしている人はどれぐらいいる。
空ろな人はどれぐらい蔓延っている。
どうか、置いていかないで。
側にいて。
離れて他人事のような口調で説かないで。
嫌ならいっそ、この影から放れていって。
慌しく、忙しい。
心許ない世界で。
暗闇から目覚めたくないと 願いたくなる。
部屋の隅っこに隠れて。
一瞬たりとも微動だせず。できなくなったり。
自分の影が唯一の理解者。
なんてかつては友達と。薄気味悪い、暗い奴だなんて言ってた。
あの頃は何にもわかってなかったんだね。
無意識に爪をかむ。
嫌なノイズ。
晒しや哀れみばかりのニュース。
怖い事件ねってそれしか流さないからでしょ?周りもそれしか食いつかないからでしょう。
だから。
みんな壊れていく、自分も壊れていく。自覚していくだけマシなのかも。
心から笑ったリ楽しんだの最後、いつだっけ。
音のない真昼の光。
この身を焼き付けて。
私が、私を見失うことがないように。
どうか、やさしい光だけでも。
側にいて――――
自信を持っている人はどこにいる。
前だけを歩ける人はどれだけいる。
走り続けられる人はどれほどいる。
少なくとも。
澄んだ目をした存在などもうどこにも無いから。
せめて。
やさしい光だけでも。
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生きること自体に疲れた。
それでも歩かなくてはいけない。
その理由は?