マブラヴ オルタネイティヴ RETURN OF START
二十六話 とある日常?
仙台基地 SIDE
サーチライトが照らされる深夜、倉庫の影に隠れながら一人の男が走っていた
国連軍の軍服を着用し、拳銃を周囲に向けてアタッシュケースを持つ
どこから見ても怪しい人にしか見えない男は、呼吸を乱しながらも港に向かう
基地に隣接する町に逃げ込むと少しの間だけ身を隠すことが出来るが、アタッシュケースの中身はいち早く届けないといけない内容だった
「ハァ・・・・ハァ・・・・こうも簡単に電磁兵器のデータを盗めるなんて魔女は大したことないな」
男は口元が緩んでいることに気づき用心する
港の倉庫に隠した水中スクーターを使い、海に逃げ込めばこちらの勝ちだ
そうなれば男が所属する国が軍備増強されBETA戦争後の人間同士の戦争で有利に立てる
「クックックッ、この任務が終われば田舎に牧場でも立ててのんびり過ごすか」
浅はかな願いを胸に刻み、水中スクーターを持つと海に向かって歩き出す
しかし自然と足が止まってしまい周囲を警戒する
「・・・・・・・・・静か過ぎる、巡回のMPはどうしたんだ?」
男はここまで来るまで外を巡回しているMPを見ていない
見たとしてもサーチライトで周囲を照らすMPだけ
海までの距離が10歩ほど迫った瞬間、柔らかい物を踏みつけ地面が抜けてしまい前へと倒れた
「アヂーーアヂーー!!」
倒れ込んだ先に熱湯の風呂が用意させられ男は必死にもがく
やっとの思いで抜け出すと、目の前にスポットライトが照らされ一人の女性が現れる
「5秒ね・・・・・・男なら60秒くらい持たせなさい」
「なっ!?どうして魔女が?」
「はいはい言い訳の告知タイム始めるから用意して」
男は両手に手錠を掛けられ4人ほど入れるボックスに押し込まれてしまう
夕呼がカウントダウンを始め、ゼロになるとカーテンが開いた
一連の流れについてこられなく、呆然となり時間が過ぎてカーテンが締められる
「はい~ご苦労様、バカ用のトラップに捕らえた89号を特別営倉に収監させておいて頂戴」
「了解しました」
「特別営倉へ!?」「あ~男として失うな・・・」「あれは悪夢だな」
「オイ、ドコから突っ込みをいれればいいんだ!」
「そんなに突っ込みを望みなのね・・・・・・MP、Gコースをお願いするわ」
「ガチホモコースネ、ラジャー」
鍛えられた筋肉を露出させた男が敬礼をしてボックスごと持ちあげ、「な、なにをする!やめ、止めてーー!!」と言う断末魔とともに持ち去っていく
夕呼が地面に落ちたアタッシュケースを開き、中身を確認すると呆れてしまった
「まったく、ダミーデータとして作った
たとえ本物のデータを持ち出したとしてもデータが仙台基地以外のパソコンに接続されるとウイルスが起動し接続されていたパソコンの中身までも消去される
その事実を知るのはヴェータで経歴が調べ上げられた、ごく一部の人だった
「毎度繰り返すと呆れてくるわ、気分転換に面白いことでもやるしかないわね」
仙台基地 SIDE END
ALL SIDE
マンハッタンを流れるイースト川の傍にある国際連合本部ビルには、各首脳や代表が国際連合総会に出席していた
議題は明星作戦に関する五番目介入
榊総理の予測通り、G弾により元素消失についてアメリカは批難の対象されていた
一番被害があった日本は批難をするが、あまり言及せず強く批難していた国はなにかあると思い様子を見守る
「―――提案なのですが明星に参加した大東亜連合、欧州連合、ソビエトに技術提供させます」
「なん・・・・・・だと・・・・・・?」
まさかの寝耳に水、議会は一瞬で凍りつく
各国は議題が終わり次第、日本に電磁兵器の情報提示を求めようとしていたが先に提案されてしまい交渉における優位性が無くなってしまった
周囲がざわめく中、避難されていたアメリカは口を開く
「榊総理、あなたはなにを仰っています?貴国が開発した電磁兵器を簡単に手放すとは?」
「たしかに電磁兵器は現状を打開する重要な兵器ではありますが、我が国だけが持つと言うことは他国に脅威を与えてしまうのです」
「そうなれば反政府組織に悪用され、新たなる脅威を生み出す恐れがありますが?」
「その点についてはご心配なく、提供する電磁兵器には四番目が開発した機体認識セキュリティプログラムが組み込まれます」
榊総理は米軍基地襲撃を知らない素振りを見せて四番目の名前を出す
一部の代表は納得し、アメリカと反オルタネイティヴ派は険しくなる
アメリカ以外の各国は電磁兵器を開発したと思われている仙台基地にスパイを送るが、データを盗み出すことは出来なく、反対に個人情報を丸裸にしたデータと精神的苦痛を与えて送り返されていた
アメリカは自分たちの優位性を失ってしまうのを避けるべく難癖をつけるが、榊総理は紐解くように対抗策を打ち出す
その様子を見ていた欧州連合は・・・
「親米派に近いと思っていた榊総理がアメリカに対立するとは」
「一方的にG弾を使用した国に復権させたくないでしょう―――そして魔女はここまで読んでいたとなると敵に回したくない者だ」
「では、我々の交渉までも読んでいると?」
「その可能性はある、四番目の真意が分からない以上、どんな要求されるのか」
「交渉については油断なりませんな」
ALL SIDE END
仙台基地 SIDE
次の日、A―01を再編成した伊隅ヴァルキリーズのメンバーがいつも訓練するシミュレータールームではなく、人が入れるほどのカプセルが並べられた部屋に集められていた
「――今日は復帰したヘタレや新メンバーの友好関係を高めるため、サバゲーをやってもらうわ」
「「「サバゲー?」」」
「サバイバルゲームの略よ、本来なら分けて闘ってもらいたいんだけど、この新開発したシミュレーターで
「博士~あたし達を舐めているんですか?戦術機なら一撃で終わりますよ」
「・・・速瀬、誰が戦術機を使用していいって言った?」
夕呼の言葉に誰もがキョトンとしてカプセルを見る
カプセルには操縦桿はおろかペダルも無く、あるのは人が寝やすいように設計された形状になっているだけ
もう一度問いかけようとするが、なにか悪巧みを考えているような笑顔で頷かれてしまう
怪我から復帰したヘタレは膝をついて両手で頭を抱え込み、伊隅は「またか・・・」と小さくため息
その中で、人員補充のため2ヶ月早く入隊した風間祷子は手を上げた
「博士、戦術機以外なら使用してもよろしいのですね?」
「そうよ、機械化歩兵以下の兵器を使っても構わないわ、性能テストだから軽い遊びだと思って頂戴」
「お言葉ですが博士、私たち
「あーそうだったわね、けど張り詰めると相手のペースに飲み込まれやすいから」
「はい?」
訳が分からないまま、ヘッドギアが渡され、カプセルに入り目を閉じる
機械が読み取り戦乙女中隊は真っ白な空間にいた
突然、線が描かれ物体の形を作りだし色が塗られて町を形成した
ヘタレが地面を触れるとアスファルト特有の感触と冷たさが伝わる
「すげぇ―――本物と感じる」
「孝之、これ見ろよ」
慎二が近くの蛇口から水を出し、手を濡らすと水滴が指先から零れ落ちた
「水まで再現出来ている」
「すごいシミュレーターだな」
男二人が騒いでいる中、空に地球を侵略に来て降参勧告するように巨大な夕呼が映し出される
誰もが驚くが、ここが仮想空間と説明され納得してしまった
『それじゃ説明を始めるわよ、今回はペイント弾を使いターゲットである戦車を被弾させること』
「ペイント弾?実弾ではないのですか?」
『実弾のデータは普及して、液体のペイント弾はシミュレーターには使われてないでしょ?』
「そういえば、シミュレーターで使われているのは実弾だ」
『このテストは今までやったことがないことをメインにシミュレーションして、人間の五感まで忠実に再現されているわ』
「つまりそこにいるヘタレさんを叩いたら痛いと感じるのですね」
「なっ!?」
『そういうこと、でも精神にダメージを与えることは危険だから痛みとかの感覚は最低レベル、ターゲットの攻撃は放水使用また近接格闘類は攻撃したところにペイントが付着するように設定されているわ』
「ところで私たちの判定は?」
『頭に装着されているインカムのボタンを押しなさい、網膜投影システムと同じ原理で耐久率(HP)が表示されて通信・レーダーが使用できるから』
「はいはい武器は?武器はどうすればいいんですか?」
『腰に装備しているウェストバックに手を入れてイメージすれば出てくるから』
伊隅が目を閉じると手に拳銃が握られていた
「あたしも、あたしも」と速瀬がイメージすると突撃銃が出てくる
負けていられないと思いヘタレがイメージを始めると・・・
「あっ・・・・・・」
「孝之・・・・・・あんたは・・・・・・」
「・・・・・・鳴海少尉、貴官は作戦行動中と理解しているのか?」
「えっ?」
ヘタレの手にA4サイズの雑誌が握られ、『ドキドキ!!真夏のお姉さん SEXYな水着からスクール水着まで完全収録!DVD付き8月号』と書かれ、美女が胸を強調しながらセクシーポーズが表紙を飾っていた
「なんじゃこりゃー!!」と何とかの叫びのように否定するが、全員から白い目で見られる他に距離が置かれ、隅で体育座りしながらいじけてしまった
「・・・・・・どうせ俺はまともにイメージできないヤツだよ、二人から告白されても答えないまま、ずるずると長引かせているヘタレオブヘタレだ・・・・・・」
誰もが無視を決め込むと、伊隅たちは複数に分かれて行動を始める
前衛のポジションのヘタレ、速瀬、慎二の三人は、おとりしてターゲットを指し示す方向に警戒しながら歩き出す
中衛・後衛の伊隅と風間に加え宗像美冴は別々な建物の屋上に上がり後方からの狙撃の準備に入った
『デリングス07よりヴァルキリー01へ、敵機を確認これより・・・・・・・・・なんだアレ!?』
「どうしたデリングス07!?」
伊隅がスコープを覗くとヘタレたちの目の前に全高5メートル前後の異形なモノが歩いていた
上部は通常の兵器では破壊できないような分厚い装甲に覆われ、下部は人の足と思える二本足で立つ
草食動物の野太い声を上げ、上部に装備された4つの砲身を見せびらかして周囲にペイント液を放水
一瞬、これは夢だと思いたくなるがインカムから送られる情報が表示され現実に引き戻される
『名前は月光?』
『どうみてもレーザー級にしか見えないって!』
『戦車というか、闘士級に似ていますが』
「見た目で判断するな、ターゲットの動きが分からない以上牽制しながらおびき出すことに専念しろ」
『『『了解ッ!』』』
三人は的を絞らせないように散開し、伊隅たちの有効射程範囲まで移動を始める
しかし月光の二足歩行は伊隅たちの予想を裏切り、ペイント弾が回避されていく
89式機械化歩兵装甲を装備した速瀬がアームで殴るが、月光はジャンプして4階建ての屋上へ
「もう~なんなのよ」
叫びながらも後に続き仕掛ける
アームを軽く小刻みに打ち、ボクシングで言うジャブを放つ
月光は、元々夕呼が「インパクトって大事よね」と言って作ったデータであり、足蹴りなどの近接戦データは一切無く回避してペイント液を放水という攻撃パターンがプログラムされていた
速瀬はバックステップでかわし、一気に距離を詰めアームを振りかざす
『速瀬!!』
「了解っ!」
伊隅の声に速瀬は再びバックステップ、速瀬のフェイントを理解できない月光は動きが鈍くなる
その動作を屋上にいた三人は見逃さずトリガーを引く
三発のペイント弾は命中して月光は倒れる
「これで終わりよ!!」
速瀬が月光の股関節にアームを叩き込む
月光は宙を浮き、屋上から地面に向かって落下
地面に激突した瞬間、全身にペイントされ動作が徐々に弱くなり爆発した
「よっしゃー!」
一安心している速瀬に、あまり活躍していないヘタレと慎二が駆け寄ると、再び空に夕呼の姿が映し出された
『はいご苦労様~けっこう早く終わったんじゃないの?』
「博士、簡単すぎて楽勝でしたよ」
「速瀬中尉は相手に苛立っていましたが」
「む~な~か~た~」
『はいはい、
「「「「はい?」」」」
『だれが本番始めるって言ったのよ』
「いやいや、ちょっと可笑しいでしょ?苦労して倒したのが準備運動なんて」
『ヘタレ、私はルールで戦車を相手にするって言ったじゃない、ちなみに月光は無人二足歩行兵器よ』
月光の残骸を見ると、無人二足歩行兵器の文字が表示されていく
それを知った男子二人は落ちこむが、その二人を知り目に女性陣は気を引き締める
『本番始めるわよ!』
ブザーが鳴ると、稼働音が聞こえてフィールド全体が揺れ始めた
ヘタレでも慎二でもない男の笑い声が聞こえてくる
『ふははははははははっ!』
その高笑いは一度聞いたら忘れないような声だが、伊隅ヴァルキリーズのメンバーは聞いたこともない
声とともにターゲットである戦車が現れる
見た目は前に戦った月光と似ているが、脚部が鋼鉄の機械で数倍大きい
その機体は、撃墜弾射出用レールガン、射撃統制システムで制御された30mmガトリング砲、自由電子レーザー砲、対戦車誘導弾を装備(全て安全面を考慮した設計になっています)
その名前はメタルギアREX
かつて性欲をもてあます・・・・・・・・・ではなく、不可能を可能にする男ソリッド・スネークが機能停止まで追い込んだ核発射が可能な二足歩行戦車が伊隅ヴァルキリーズに立ちはだかった
だが、ゲームと同じメタルギアREXでも違うところがあった
装甲が通常の色ではなく金色
『再び私を使うとはネタが尽きたと思える、ならば物語を
REXの武装が全て伊隅ヴァルキリーズに向けられ、いつでも発射可能な態勢になる
『そう、黄金大使といわれたアレハンドロ・コーナーが!!』
プログラムで作り出された大使は悪役っぽいセリフを吐く
「誰?」
「あのーわけわからないんですけど」
「衛士もプログラムなのでしょう・・・・・・どうかしましたか、美冴さん?」
「頭痛がしてきた・・・」
その場にいた全員に月光以上のカルチャーショックを与え、夕呼は聖母(悪魔)のように微笑みながら満足していた
「見た目って大事よね~~」
チェックシートに伊隅ヴァルキリーズの行動を個人別に書き足していく
このテストは本来の目的の二の次であり、本来の目的は伊隅ヴァルキリーズの個人の判断、未知なる敵に対しての対応などが細かくチェックされ、誰がどのスローネシリーズに合うか調べていた
「速瀬は接近になにか追加したほうがいいわね・・・」
「あの~博士、孝之くんたちのHPがゼロになっても死にませんよね?」
「それはないわ、ゼロになってもその場に倒れて半透明で動けなくなるだけよ・・・・・・誰か倒されたの?」
モニターにREXのレールガンから放水された金色のペイント液はヘタレに直撃
私色に変えられたヘタレのHPはゼロになり、体の中から半透明で頭に天使の輪を着けたヘタレが現れる
風間と宗像の二人は、ヘタレを私色に変えたレールガンを狙い撃つがガトリング砲に阻まれてしまう
伊隅がアンチマテリアルライフルを使いREXの注意を引きつけ、後ろに回り込んだ速瀬が遠心力をフルに活用してアームを叩き込もうとする
『ひれ伏せ!』
REXから対戦車誘導弾が一斉に放たれ、速瀬がいる場所を一瞬で染め上げた
黄金大使は再び高笑いをするが、速瀬がいた場所を見て動きが止まる
染め上げた場所には誰も乗っていない89式機械化歩兵装甲だけが残っていた
『何!?』
レーダーを見ても一人足りない
カメラで周囲を探すが速瀬の姿は無い
すると真下から引き金を引く音が聞こえてくる
大使は近くのカーブミラーを見るとREXの下でRPG―7を構えた速瀬がいた
「落ちろぉぉぉ!」
REXに向かって弾が発射された
これが決まればREXは行動不能になる
誰もが勝利という二文字を思い浮かべてしまうが、すぐに裏切られてしまう
REXが跳躍して空中で機体を捻らせて弾を撃ち落とす
「おしい、でもフェイントは使えずらくなったわよ」
「ピアティフ中尉から通信が入っています」
伊隅たちを見ていたモニター画面が司令部に切り替わる
『博士、城内省から来年行われる作戦に参加要請がきました』
「・・・最近建設されたヴェルホヤンスクハイヴとエヴェンスクハイヴから侵攻を食い止める作戦ね・・・・・・」
『はい、カムチャツカ半島でソ連軍、国連極東艦隊に加え、明星で被害が少なかった日本帝国海軍との共同作戦です』
夕呼は静かに考え込む
カムチャツカ半島が落ちればユーラシアにあるソ連は全て制圧されてしまい戦線が広がる
それは防ぎたいが、中隊まで戦力低下し建て直している伊隅ヴァルキリーズをそのまま出すわけにもいかない
肝心のガンダムはアスカと一緒に宇宙に上がってしまい、簡単に戻ってこないだろう
夕呼の知識と記憶をフル稼働させるとひとつの名案が浮かび上がった
「・・・・・・涼宮、プログラムを強制終了させなさい」
「りょ、了解です」
「城内省には参加はするがいくつか条件があるって伝えておいて」
『了解しました』
周りに指示を飛ばし終えると夕呼はモニター室の端末機にハロを繋げ計算を始めた
その頃、伊隅ヴァルキリーズはまだ黄金大使と対峙している
シミュレーターで作り出された町は黄金に染められ、何色だったか分からない
そして伊隅ヴァルキリーズはヘタレ以外に倒れていないが、呼吸が乱れ動きが鈍くなり満身創痍だった
そんな彼らに対し黄金大使は全ての攻撃をロックオンさせた
『もはやここまでだ、塵芥となり果てろ』
「待てえええぇぇぇぇ!!」
突然、仮想空間にいる三人以外の男の声が聞こえた
「増援か?」
「今度はなに?」
「まぁ、あそこに人が」
風間が指を差した方向に太陽と重なるタワーが見えた
タワーの先端に一人の男が腕を組み、命綱なしで立っている
顔を覆う仮面を付け、アロウズの軍服の上に陣羽織のような物が風で靡いていた
「始めましてだな、諸君!」
『き、貴様は!』
「私はKY、つまり空気が読めず頗る調子に乗っている、なおかつ我慢弱く人の話を聞こうともしない・・・・・・属にいう嫌われ者だ」
「「「「「はい?」」」」」
「あえて言わせてもらおう、私はグラハム・エーカーではない!!ブシ仮面だ!!」
( ゚Д゚)ポカーン ←話がついてこられない伊隅ヴァルキリーズの表情
ファーストシーズンではユニオン直属米軍第一航空戦術飛行隊・通称
太刀の刀身にハワード、小太刀にはダリルと刻印されている刀身が太陽の光に照らされ輝いていた
『何故ココに!?』
「今回は戦闘が続き息抜きということで、かませ犬を倒すと言う私の話だ」
『な、何だと!?・・・・・・だが、この話も戦闘だ』
「無論そうだが私は過去に縛られない男だ!」
『貴様・・・』
ただのかませ犬だったことを知り、怒りを剥き出す大使はREXの全砲門を向けさせる
それに対してブシ仮面は静かに膝を曲げ跳躍する形に入る
「ハム仮面改めブシ仮面、いざ尋常に・・・・・・・・・勝負!」
対戦車誘導弾(中身はペイント液)の発射と同時に、背負ったジェットパックが一気に吹かし飛ぶ
数発の対戦車誘導弾が迫るが、ブシ仮面は対戦車誘導弾自体を足場に走って回避する
「どれほど性能差であろうと!今日の私は阿修羅すら凌駕する存在だ!」
REXまで数十メートルところでガトリング砲で撃たれる
誰もが空中にいたブシ仮面に当たると思った
しかし阿修羅すら凌駕したブシ仮面は、ひとつずつペイント弾を斬り捨ててしまう
地面に降り立つとレールガンから放水され、バク転で距離を取るがペイント液が追いかける
「このままでは埒があかない・・・・・・だが、そんな道理、私の無理でこじ開ける!!」
ブシ仮面は武器を構える
ペイント液が身体に触れようとするが刀に防がれた
それは一回ではなく、触れるもの全てのペイント液を神速とも言える斬撃で一滴も触れることも無く、ブシ仮面の活路を開く
『バカな・・・・・・』
黄金大使は驚きの声を上げてしまった
しかしブシ仮面は止まらない
二本の刀をスサノオと同じく連結させ双刃の薙刀を作り、装甲を踏み台にREXの上空を飛ぶ
身体が重力に捕まり自由落下を始め、双刃の薙刀を渾身の力で振るう
「斬り捨て・・・・・・御免!!」
REXとレールガンを繋ぐ接続部を叩き斬る
しかしレールガンを失っても黄金大使は戦意喪失しておらず、ガトリング砲を使いブシ仮面の手から双刃の薙刀を撃ち落とす
話の何処からツッコミを入れれば分からない伊隅ヴァルキリーズを他所に戦場はさらに私色によって混沌とする
武器を失ったブシ仮面は状況を打開すべく拳を構え、
するとブシ仮面自身がたちまちに赤く輝き出し走り出す
走る速度は、自転車からレース用のF1マシーンに切り替わったような動きを見せる
黄金大使は、「イオリアのシスt・・・」と言葉を最後まで言おうとするが遅かった
気づいたときには、REX自体が吹き飛ばされ、モニターに今にも殴るブシ仮面の姿が写し出されている
「ブシパンチィィィィ!」
さらにREXは吹き飛び建物にめり込むが、ブシ仮面の怒涛のラッシュは止まらない
「ブシチョップ!チョップ!チョップ!」
チョップで両脚部が破壊されると武装やレーダードームまでも完膚なきまで破壊した
「ブシキックゥゥゥ!!」
キックされたREXは勢い良く飛ばされる
装甲は歪み、露出した配線から火花が散り、煙が上がって大破していた
『バカな・・・生身で圧倒するだと・・・・・・』
「今日の私はこの話の主役であり、阿修羅すら凌駕する存在・・・・・・言わば、主!人!公!!」
ブシ仮面は一人の少年を思い浮かべた
その少年は、幼い頃から中東テロ組織に誘拐され少年兵に仕立て上げられる
殺伐とした戦場で神など存在しないと絶望していた所に“とある機体”によって救われる
圧倒的な性能で敵を蹴散らす姿は、戦争行為の根絶を体現する者
その後、自分がその“とある機体”になろうと矛盾を抱えながらも世界を相手に戦い、世界を裏から操る元凶を駆逐し、未来への対話を導いた
その少年の口癖であり信念を言う
「私がガンダムだ(争いを止める者)!」
『おのれーーーー!!』
黄金大使の断末魔が爆発とともに仮想空間内を包み込んだ
【シミュレーター、強制終了】
電子音が鳴り、伊隅ヴァルキリーズのメンバーが目を覚ます
一斉にカプセルが開けられ、誰もが背伸びをすると少し鈍く感じられた
その時、夕呼が入り、涼宮が後に続く
「は~いご苦労様、途中だったけど急ぎの用事が入って強制終了させてもらったわ」
「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」
「なに、呆然としているの?このシミュレーターは一時的に感覚が鈍くなるけど安全に考慮した設計よ」
誰も喋ろうとせず、不思議に思った夕呼は涼宮に医務室の手配させる
最初に口を開いたのは速瀬だった
「博士、あの変態はなんだったんですか?」
次に開いたのは風間と宗像
「さすがにあの変態さんには驚きました、ペイント弾を簡単に斬り捨てるなんて」
「液体そのものを斬撃だけで防ぐとは、この基地の衛士はすごいですね」
そしてヘタレと慎二は無視され伊隅が喋り出す
「博士、あの増援は一体?」
涼宮以外の全員が夕呼を見る
しかし夕呼は・・・・・・
「なに寝ぼけているのよ?変態とか増援は送っていないし、プログラムを強制終了して意識はすぐに落ちたはずよ」
「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」
完全に夕呼と伊隅たちの話は食い違っていた
夕呼はプログラムの強制終了を掛けたのはほんの一~二分と言われる
しかし伊隅たちは感じた時間はもっと長い
( ゚Д゚)ポカーン ←現在の伊隅ヴァルキリーズの表情
「涼宮、6人分のベッド確保と精密機械の準備させなさい」
「あ、はい」
その後、伊隅たちは精密検査を受け、どこも異常が見つからず軽い入院をした
シミュレーターについて誰一人喋ろうとはしなかった
あとがき
まず、グラハムファンの皆様、ドラマCD側をチート使用にしてしまい、ごめんなさい
今回は原作キャラ二名とメタルギアを軽く混ぜ合わせました
本来なら焼け野原を使う予定でしたが、声優ネタに傾いてしまい脱線しそうなり、ドラマCD側(公式が生み出した歪み)のブシ仮面を起用しました
そしてブシ仮面は一体何が起きたんだ?(棒読み)
次回、ソ連の地でついに、ついに・・・・・・・・・・・・ガンダム 登 場 !!
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注意事項
今回の話は悪ふざけを本気で書いてしまいました
グラハムファンの皆様、すいません
仙台基地SIDEの二回目は○○仮面の活躍になっております
自己責任でお願いします