No.547766

魔法少女リリカルなのは聖伝 ~ヒーローズサーガ~ ステージ6(前)

龍牙さん

異世界からの悪意によって滅びを迎える未来を回避すべく、三人のヒーロー達は一人の少年に力を託す。

2013-02-23 15:41:36 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:1821   閲覧ユーザー数:1797

過去の作品は此方です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロローグ:http://www.tinami.com/view/485896

ステージ1:http://www.tinami.com/view/488611

ステージ2:http://www.tinami.com/view/494108

ステージ3(前):http://www.tinami.com/view/502528

ステージ3(後):http://www.tinami.com/view/505890

ステージ4(前):http://www.tinami.com/view/510841

ステージ4(後):http://www.tinami.com/view/512490

ステージ5(前):http://www.tinami.com/view/514827

ステージ5(後):http://www.tinami.com/view/520165

 

 

バイラス(仮)が誕生した場所の上空、ダブルオーと似た外見の共通点の多く見られる三機のガンダムが存在していた。

 

『ガンダムスローネ・アイン』、『ガンダムスローネ・ツバイ』、『ガンダムスローネ・ドライ』と言う名のMSの兄弟、通称:チーム・トリニティ。これまでの悪意から生まれた怪人やMSとは違う転生者を核として悪意から誕生した三機の幹部級のMSだ。

 

「今回の任務はバイラスを囮に、新たに誕生したボガールの捕獲だ、分かってるな」

 

「分かってるぜ、兄貴」

 

「それじゃ、早く済ませちゃお、アイン兄、ツバイ兄」

 

「いや、まだだ。まだ完全に飲み込まれていない。まだ様子を見るぞ」

 

チーム・トリニティはバイラス(仮)の出現した街を眺めつつ、その中に居る一人の少年、悪意に取り付かれ始めている転生者へと視線を向けていた。

スローネ・アインの言葉通り、悪意に取り付かれたもののまだ彼は転生者本人の意思で行動できているのだろう、何を考えているのかニヤけた顔でバイラス(仮)の元へと向かっていく。

………ウルトラマングレートのバイラスの面影が有るものの完全に別物のバイラス(仮)は、外見的には明らかに原典の巨樹よりも強力なのだが、それでも危機感持たないあたりこのオリ主(笑)な転生者は自分の力(チート)に自身を持っているのか、それとも何も感じていないのか、その両方なのか、果てしなく疑問だ。

ただ、これだけは言える。ウルトラ怪獣相手にニヤケながら向かっていける時点で少なくとも度胸だけは有る。

 

 

総矢SIDE

 

 

「……酷い……」

 

バイラス(仮)から離れた位置にあるビルの屋上から暴れまわるバイラス(仮)を見たなのははそう呟く。悪意の介入が原因なのか、その暴れ振りは原典の巨樹よりも酷い物がある。破壊する為に増殖している姿さえ想像される。

 

「これじゃあ明らかに街を壊すために発動させたようにしか思えない……」

 

ジュエルシードの願いの叶え方に問題が有ると言っても、純粋に破壊だけを願ったのならどうなのかと言う答えが目の前にある気がするユーノだった。少なくとも、破壊のための願いだとしたら、

 

 

「おい、高町!」

 

 

「総矢くん!?

「ソウヤ!」

 

なのはとユーノが上から聞こえてきた声に気が付いて振り向くと、そこには緑色の粒子を撒き散らしながら飛ぶダブルオーの姿が有った。ダブルオーは二人の居るビルの屋上に着地するとバイラスを視界に納める。

 

『結構変わってるけど間違いない、あれはバイラスだ』

 

ゼロの声が響く。怪獣・宇宙人と言ったウルトラ系の敵に一番詳しいのはウルトラマンであるゼロだ。グレートモンスターはグレート以外のウルトラマンと戦ったと言う記録は少ないが、少なくとも情報と言う形で伝わっているのだろう。

 

「随分と拙い事になってるな」

 

「うん、急いで元になっている場所を探さないといけないんだ。けど……」

 

「さっきから探してるのに、何処にも見付からないの」

 

落ち込んでいる様子のなのはとユーノの言葉が響く。バイラス(仮)の影響を与えている範囲が大規模過ぎてなのはの探索魔法の範囲よりも外側に有ると考えたのだが…。

 

「……もしかして、動き回っているとか?」

 

ふと、そんな疑問を呟く。

 

「えっと……あっ!」

 

ダブルオー(総矢)の言葉に答えようとした時、偶然にも一瞬だけ反応が出る。

 

「見つけた! 総矢くんの言ったとおり動き回ってるみたいなの!」

 

どうやっているかは不明だが、バイラス(仮)は本当にコアとなった人間とジュエルシードを常に移動させているらしい。その為にコアの位置をサーチするのが難しくなっているらしいが。

 

「このままじゃ被害が増えるだけだ」

 

「そんなぁっ!?」

 

ユーノの言葉になのはが悲鳴を上げる。一刻も早く封印しなければ危険だというのに、常にコアが動き回っていると言う状況は被害が広がっていく一方だ。

 

「仕方ない、二人とも、オレがなるべく被害を抑える。その隙にあいつのコアを見つけて封印してくれ!」

 

ダブルオー(総矢)は意を決してそう告げると屋上の床を蹴って、緑色のGN粒子を撒き散らしながら飛翔していく。

 

「『ガンダムダブルオー、目標を駆逐する!』」

 

ダブルオーは二本のGNソードⅡを抜いて飛翔すると、端からバイラス(仮)の緑色の蔓を切り裂いていく。

 

『ちっ、流石にオレの専門なんだろうけどな!』

 

『流石にこの規模じゃ制限時間内にって言うのは不利だ。ゼロ、君の出番はダブルオーで接近してからだ!』

 

『分かってる!』

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!」

 

一本をライフルモードへと切り替えてダブルオーの接近に気付いたバイラス(仮)の蔓を撃ち抜き、接近して切り裂ける物は切り裂いていく。

敵の本体と思われる部分は中央に居る機械と植物の融合した部分だ。目立つ所に堂々と存在していてそこに接近するのは一直線に飛べれば簡単な事だ。だが、流石にバイラス(仮)もバカではない、素直に接近させてはくれない。

 

(……近づけない……)

 

『ある程度被害に目を瞑れれば何とかなるが……』

 

「この状況でそんな事が出来る訳が無いだろう!」

 

『だろうな』

 

総矢の言葉にダブルオーが言葉を返す。バイラス(仮)の蔓に捕われている人達を可能な限り解放しながら飛行している為に、ダブルオーは余計に真っ直ぐに向かうという訳には行かない。しかも悪意による影響か、バイラス(仮)は意図的に被害者を増やしている様にも見える。

 

相手の妨害への対処とバイラス(仮)の被害者の救助、それらを同時に行うのはダブルオーの能力は戦闘に特化し過ぎている。だから、トランザムで相手の攻撃をかわして一気に懐に飛び込み、ゼロに交代する形で変身、と言う手段は使えない。

 

(ライザーソードとかが使えればな……)

 

使えたら使えたで巨大な相手への対策の為の切り札となっているゼロの出番が減る一方だろうがそんな事を思ってしまう。

だが、ライザーソード(トランザムライザー)の使用についてはダブルオーの強化形態である“ダブルオーライザー”になっている事が必須である為に使えない。

 

ダブルオーライザーはオーズの“プトティラコンボ”やゼロの“ウルティメイトゼロ”と違って三人のヒーロー達の強化形態の中でも唯一の“常時強化形態”だ。武装面での強化も考えてある意味優先的に発動できるようになりたいのだが。

 

(……そう上手く行かないか……)「っ!?」

 

真下からうめき声が聞こえて其方へと視線を向けると、バイラス(仮)の蔓に捕らえられている人達が苦痛からうめき声を上げていた。今にも圧死させそうな勢いで町中に広がった蔓を締め上げている。

 

『どっちにしろ、近づいた所で足元がこんなんじゃ戦えねぜぇ!』

 

ゼロの言葉も最もだ。空中を飛びながら戦うと言う方法も取れるが、やはり地面に降りて戦った方が近接戦闘はやり易い。迂闊にゼロに変身して戦ってしまえばバイラス(仮)の蔓に捕われている人達を踏み潰してしまう危険さえ出て来る。

 

「こいつ!」

 

ダブルオーは慌てて軌道を変更すると、真下に広がっている蔓を切り裂いて捕われている人達を解放していく。するとバイラス(仮)の蔓はそれを待っていたかの様にダブルオーに攻撃を仕掛ける。

 

 

 

「そ、そんなぁ……っ!?」

 

なのはが眼前に広がる光景を見て悲鳴に似た叫び声を上げる。周りから聞こえてくるバイラ(仮)の蔓によって捕われた人々の苦痛に満ちたうめき声。

必死に探査魔法でバイラス(仮)の格となっているジュエルシードとそれを発動させたモノの位置を探知しているのだが、周囲から聞こえる捕われた人々の声がなのはの精神を傷付け集中を乱す。同時に急がなければと焦れば焦るほど集中は乱れていく。

救助を優先しているとは言え、ヒーロー達と共に戦っている総矢の精神が並外れて強いと言うべきだろうか。

 

(早く、早く見つけないと……)

 

 

 

「このっ!」

 

バイラス(仮)の攻撃はダブルオーは回避しながらGNソードⅡによって反撃を加えていく。周囲360度から襲い掛かってくる蔓の攻撃は脅威だが、それでもダブルオーの動きは捉えることができない。

態々捕らえている人達を絞め殺そうとしているのもダブルオーの動きを限定させるためだろう。だが、ダブルオーとバイラス(仮)の大きさとスピードの差では捉える事は不可能に近いのだろう。

 

それを理解したのかバイラス(仮)は作戦を変える。

 

「なにっ!?」

 

『こいつ、卑怯な真似を!』

 

ダブルオーの進路を塞ぐように蔓が垂直に立ち上がる。それだけならば脅威ですらない。だが、その蔓の一部には今回のジュエルシードの暴走に巻き込まれたであろう少女が捕われていた。

 

“真に恐ろしい罠とは罠だと分かっていても掛かってしまうもの”とはよく言ったものだ。明らかに罠と分かっているが、放っておくわけにも行かない。

 

GNソードⅡを構え緑色のGN粒子を撒き散らしながらダブルオーは飛翔する。

 

そんなダブルオーを迎撃するためにバイラス(仮)の蔓が一斉にダブルオーへと襲い掛かる。

 

「くっ!」

 

『チッ! これ以上は我慢できねぇ、オレに変われ!』

 

『いや、まだだ。この場はオレが切り抜ける。お前の力はまだ温存しておけ』

 

「そう言う事、だ!」

 

バイラス(仮)のやり口に怒りを感じているゼロが叫ぶのをダブルオーと総矢が止める。残念ながら、戦闘時間の限られているゼロに変わるのはまだ早い。ある程度空中戦が得意なダブルオーでゼロにとって力を発揮できるフィールドを整える事が先決だ。下手にゼロに後退してしまえば返って不利になる。

 

(……バイラスとの距離は? 一か八かだけど……これなら、いける! ダブルオー、トランザムを使う)

 

『良いのか?』

 

使用時間とその後の能力の大幅な低下を考えてダブルオーが疑問の声を上げる。

 

(賭けだけど、現状を何とかするには他に方法が思いつかない)

 

『分かった』

 

「『トランザム!』」

 

ダブルオーと総矢の声が重なりダブルオーの体が赤く発光する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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