No.54689

第1回結婚談話開始

スーサンさん

宿屋の中で男二人、話し合っていると、ガイは突然、結婚話を持ちかけてきた。
ノリノリで参加するルークに最初に例題に上げたのは……

2009-01-28 13:12:23 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1397   閲覧ユーザー数:1287

 宿屋の男部屋の中でルークとガイはイスに腰をかけて話し合っていた。

 話は色々と盛り上がり、ガイはある話を提案してきた。

「なぁ、ルーク? 男二人だし、ここは色っぽい話しでもしないか?」

「色っぽい話……?」

 怪訝そうに首をかしげるルークにガイは面白そうに笑った。

「おぅ……題して、『誰が一番、結婚できそうか』だ♪」

「結婚か……なんか、面白そうだな?」

「だろう?」

 クスクスと笑い、ルークは早速、例題を上げた。

「じゃあ、まず、ティアはどうだ?」

「ティアか……?」

 アゴに手を置き、ガイは考え込むように頷いた。

「ティアは綺麗でスタイルもいい……正確はややキツイが、そこに優しさもある」

「じゃあ、早速、結婚できそうな女か?」

「甘いなルーク?」

 チッチッチッと指を鳴らすガイにルークは不思議そうに聞いた。

「どぅしてだ……ティアはメロンだし、美人だぞ?」

「そこだ!」

 ビシッとルークを指差し、ガイは自慢げに話しはじめた。

「メロンで美人だと、誰もがティアを高嶺の花と見るだろう……?」

「たしかに……高嶺の花だよな?」

 なぜか、花畑で綺麗に笑うティアを想像し、ルークは顔を真っ赤にしてしまった。

「そぅいう女は結局、みんなから神聖視され、結婚が遅れるんだ!」

「なるほど……じゃあ、俺にもチャンスが?」

「……」

 ルークの小声にガイはいやらしく、肘を小突いた。

「なんだ、やっぱり、お前、ティアのことが……」

「ち、ちげーよ……た、ただ、貰い手がないなら、俺が貰ってやろうと思っただけだ!」

「素直じゃねーな?」

 呆れたように苦笑するガイにルークは慌てて話をもとに戻した。

「次だ次! 次はナタリアはどぅだ!?」

「ナタリアか……ナタリアは王女というのを抜けば、なにが残る?」

「料理が下手?」

「遠距離からの弓攻撃だから、攻撃が当たりにくい?」

「不特定多数の回復譜術を使えない?」

「見てみたガール?」

「ティアと比べると前線向きにできてない?」

 ハァ~~とため息を吐き、二人は次に入った。

「アニスは……あれはダメだろう?」

 ルークは首を横に振り、テーブルに頬杖をついた。

「性格最悪だし、金の亡者だし、ペッタコだし?」

「最後はお前の好みだろう……」

 ガイは呆れたように苦笑し、ルークを見つめた。

「だが、甘いぞ、ルーク……そんな私見じゃ、お前、幸せになれないぞ?」

「な、なんだよ……」

「アニスがお前と初めて会ったときのことを思い出せ?」

「初めて会ったとき?」

 初めて会ったときのアニスのぶりっ子を思い出し、ルークはおぞましげに身震いを起こした。

「ああ、アニスのあの異常なまでの猫かぶりの良さは、大きくなったら、脅威になる!」

「脅威……そぅかな?」

 どこか釈然としないルークの顔にガイはキッと目線を吊り上げた。

「二十歳になれば、男の一人や二人騙して、結婚なんて考えられるだろうな?」

「な、なるほど……未来を想定しての過程か?」

 確かにアニスは性格は最悪だが、ルックスは悪くない……

 十年もすれば、ティアやナタリアと違った色香を持つ大人の女性になるだろう。

 一瞬、未来のアニスの姿を想像しルークは顔を真っ赤にした。

「だが、ああいうタイプは結婚できても、幸せにはなれないだろうな?」

「なんでだ……?」

 心底、不思議がるルークにガイは説明口調で話しはじめた。

「お前、結婚相手が自分を愛さず、財産だけ愛したら、どぅ思う?」

「どぅって……?」

 そっと目線をそらし、言葉を探すルークにガイはさらにいった。

「アニスみたいなタイプは気付いたら、他の女に旦那を寝取られてるタイプなんだ?」

「ね、寝取られ……?」

 あまりにも聞き慣れない単語に顔を真っ赤にし、ルークは慌てて叫んだ。

「じゃ、じゃあ……最後の過程で行けば、アニスは結婚できるが幸せにはなれないんだな?」

「俺の想像ではな?」

「……」

 考え込むようにうずくまるルークにガイは心配そうに顔を覗き込んだ。

「どぅしたルーク……あくまで俺の想像だぞ?」

「いや……それなら、俺がなんとかしてやったほうがいいのかなっと?」

「お前な~~……」

 呆れたようにため息を吐き、ガイはルークのおでこを小突いた。

「他人のためを考えるのは立派だが、それは大きなお世話だ……それよりも、今回一番、例題に上げたいやつがいる?」

「だ、誰だ?」

 神妙な顔をするガイにルークも顔を強張らせ、答えを待った。

「ジェイドだ……」

「ッ!?」

 ピシャンッと背中に雷が落ちたようなショックを受け、ルークは言葉を失った。

「ジェイドは結婚しないほうがいい! 結婚した女が不幸になる!」

「気が合うなルーク……俺もあいつが結婚するのはよくないと思う」

「マッドだし……」

「皮肉屋だし……」

「なによりも……」

「結婚した女を実験体に使いそうだ」

 二人の声が重なり、神妙な空気が漂った。

「俺たちのパーティって、結婚できそうな奴一人もいないな?」

「ああ……自嘲するようだが俺も女性恐怖症を治さないと結婚どころか、交際だって危ない……」

「俺も、自分が変わることでせいっぱいで結婚なんて考えられない……」

 ふぅ~~とため息を吐き、二人は不意に笑い出した。

「だけど、あの四人のうち一人でも結婚できたら、奇跡だな?」

「まったくだ……」

 ハッハッハッと笑いあう二人の背後に冷たい声が聞こえてきた。

「二人とも、言い残すことはそれだけ?」

「え……?」

 二人の顔が氷山の氷の色よりも真っ青に変わった。

「み、皆さん……いらっしゃってたんですか?」

 ガイの言葉にティアは冷たく目線を見下し、いった。

「ええ……色っぽい話のところからずっと」

 二人は顔をさらに真っ青にして、叫んだ。

「お、俺は悪くないぞ……ガイが言いだしたんだ!」

「あ、テメェ……ルーク、ずりぃぞ!?」

 ティアとナタリア、アニスの目がキランッと光った。

「問答無用!」

 夜空の宿屋からガイとルークの悲鳴がこだました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日……

「ネクロマンサーの名のもとに……」

 ジェイドは詠唱を途中で止め、不思議そうにティア達を見た。

「さっきから、女性人が戦闘に参加してないのですが、どぅしたんですか?」

「いや……まったく」

 顔をタコのように腫れあがらせたガイとルークは涙目で首を振った。

 二度と、結婚話なぞしないぞと二人は心の中で、強く誓いあった。

 

 

 あとがき

 

 

 実はこれ、アニスは結婚できるかを想像し、作った話なんです。

 ようするにアニス以外のサブキャラクターは全員、おまけ♪

 でも、アニスは結婚しても幸せになれるかは疑問ですね?

 後半あたりはまだいいですが、序盤はテイルズの悪女ですからね……

 次はデスティニー2でも、同じのを書こうかな?

 


 
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