No.54655

呉編~第十章 雪蓮生存ルート

超級覇王さん

調子にのt(ry

先に謝ります、今回蜀の方(特に劉備、関羽)の扱いがとても悪いです。「てめぇ、ぶっこぉすぞ!」と思われる方もいると思います。すみません、書いてたらこんな風になりました。
でも悔いはないです。

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2009-01-28 02:56:16 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:24419   閲覧ユーザー数:17060

雪蓮発案の釣り休暇から20日が過ぎ、軍の再編、兵の訓練が終了し出陣準備を整えた呉軍はまず劉備へと使者を送り出した。

 

「前の戦で呉の人間が傷ついた。その元凶である呂布を引き渡せ」

 

そんな口上を使者に授け、下丕城へと向かわせたが、数日後、丸裸、丸坊主にされた使者が震えながら戻ってきた。

 

交渉決裂―――――劉備の非礼ぶりに激怒していた蓮華であったが、雪蓮にはこうなる事が分かっていたのか特にそのような素振りは見せず、出陣の準備をすべく、将を玉座の間に集めていた。

 

 

蓮華「劉備を戦いに引きずり込むことはできた。後は攻め込むだけか……」

 

穏「劉備さんと呂布さん、二つの軍勢を合わせてもそれほど多くはありませんですしね~。大陸の情勢を考えれば一気に殲滅した方が得策だと思いますよ~」

 

明命「北方では曹操が河北から袁紹を完全に駆逐し、予断を許さない状況です」

 

思春「はい、傷が癒えれば曹操は南征を起こしてくるはずです」

 

亞莎「地勢的に考えて、大陸中央に位置している揚州を抑えて憂いを絶たなければいけませんからまず間違いありません」

 

精力的に軍議を引っ張っていく若い5人。その様子を雪蓮、冥琳、祭、そして一刀は何も言わずじっとその様子を見ていた。そして滞りなく軍議も終わり解散となったあと4人はある場所へと集まっていた。

 

 

雪蓮の母――孫堅の墓前である。

 

 

 

「母様、あなたが作った呉という国は私が大きくし、そして今、蓮華がそれを完成させようとしています。戦は私の方が上ですが、呉を守ることに関して言えばあの子のほうが私より上です。蜀、魏を滅ぼした後、私は王位を蓮華に譲るつもりでいます。その日が来るまで母様……どうか我らをお守り下さい」

 

 

「文台様、雪蓮はあなた様にも負けないほどの暴れ虎です。そして同時にあなた様にも並ぶほどの英雄でもありました。そして蓮華様もその血を引いております。この周公謹、三名もの英雄に仕えたこと…誇りに思っております。我らを…そして蓮華様達を見守っていて下さい」

 

 

「堅殿、儂は今や老将などと言われておりますぞ。あなたが亡くなってしもうてからもうそれほど時が経っておるのじゃ。そして今、呉の大陸統一までもうあと一歩という所まできておる。この老躯、孫呉の悲願成就のため最期まで振るってみせましょうぞ。堅殿、あなたに会うのはもう少し後になりそうじゃ。寂しいじゃろうがもう少し辛抱しておれ」

 

 

「えぇっと孫堅さん、天の御遣いをやっている?北郷一刀と言います。俺はあなたを知りませんが、子である雪蓮や蓮華を見ているとあなたがどれほど凄い人物だったかは容易に分かります。そんなあなたの墓前に立てたこと誇らしく思っております。 (なぁ雪蓮、本当に言うのか!?)(当たり前でしょ一刀!今日はこのことを伝えるためにあんたを連れて来たんだから) んっんんー、えー孫堅さん実はご報告があります。怒らずに聞いて下さいね……ここにいる雪蓮、冥琳、祭(あと蓮華、小蓮、穏、思春、明命、亞莎ともですが…)と俺、北郷一刀は閨を共にしました!勿論遊びなどではありません!ちゃんと全員を愛しております!その事をご報告したいと思い今日は参りましたorz」

 

 

と言い墓に土下座をする一刀。その様子を3人はニヤニヤしながら見ていた。

 

「そうなの母様、私の夫となる人だから憶えておいてね~。あ、あと蓮華と小蓮の夫にもなると思うから。これで孫呉の未来は安泰よ、母様♪」

 

 

「文台様、あなたは以前私は生涯独身でいると予言していましたが…どうやらその予想は外れることになりそうですね(ニヤ」

 

 

「堅殿!儂に子ができるかも知れぬぞ!どうじゃ羨ましいじゃろ!?ん、そうじゃろ!?」

 

 

先刻までのシリアスな空気と打って変わってギャアギャアと騒ぎ出す一同。そんな中一刀は孫堅も笑っているような気配を感じていた。それはきっと間違いではなかったはずだ。

 

 

そして墓参りを済ませた雪蓮らは、戦準備を整えた兵を率いて徐州へとの進軍を開始した。

 

「関羽、張飛、趙雲、馬超、黄忠…そして呂布。その他にも多くの優秀な武将がいる……おもしろいじゃない、良い感じに昂ぶってきたわ……一刀、この戦が終わったら今晩…いつものヨロシク♪」

 

「り、了解……」

 

「「「「「「「「(ご愁傷様…一刀)」」」」」」」」

 

雪蓮と一刀がそんな会話をしている時であった、斥候より川向うの丘に劉備軍が集結していると報告があった。

 

「来たわね……各部隊、臨戦態勢に入れ。このまま渡河し、劉備を一気に捻り潰すわよ!」

 

「応っ!!!!!!!!!」

 

雪蓮の号令のもと渡河し始めた呉軍。そんな中一刀は何か嫌な予感を感じていた。「なぜ劉備は攻撃してこないのか?今は絶好の好機であるのに」だ。

 

「なぁ、冥琳……」

 

「あぁ、北郷も感じていたか……何かあるわね。無防備な渡河中というのに何もしてこない…兵を動かさずに私達に大損害を与える方法……」

 

川…動かない兵……損害を与える方法……

 

 

「「!!!水攻めか!」」

 

「相手の陣に関の旗が無いことから見ても間違いないわね。おそらく堰にでも潜んでいるのでしょう」

 

「拙い、雪蓮!蓮華!とにかく急いで河を渡るんだ!もたもたしてると水が来るぞ!!!」

 

 

一刀の言葉を受け渡河を急がせる呉軍。三分の二程が渡り終えた時である、川上から濁流が迫ってきたのは。主力部隊に損害は無かったが、輜重隊と予備兵が濁流に呑み込まれるという結果になってしまった。

 

「姑息な真似してくれるじゃない…劉備。全軍!部隊の再編を急げ!!」

 

部隊再編を急がせる雪蓮であったが、兵の動揺が激しく、態勢を整えるのにはまだ時間がかかりそうであった。その時、遂に劉備軍が攻撃を始めてきた。先鋒の旗は陳に深紅の呂旗――呂布と陳宮であった。

 

 

「策殿!部隊の掌握を頼みますぞ!公謹、幼平付き合え!呂布めにもう一度痛い目に遭ってもらおうではないか」

 

「御意です!」

 

「了解しました。雪蓮、時間稼ぎは私達に任せておきなさい」

 

そう言って突撃を開始する3人。しかし今回の呂布は以前の時とは比べにならないほど強くなっていた。一度負けた相手というのもあるが、今の呂布には守るものが増えたからであった。蜀には月も詠も居た。そして何より劉備とその仲間たちも居る。決意の固さが以前とは違っていたのである。

 

「…………………もう、負けない。皆…恋が守る」

 

そう言い方天画戟を雄々しく振るう呂布。呂布の猛攻に3人は耐えるのにやっとであった。

 

「えぇい、猪口才な!少しはこの老躯を労わってはどうじゃ!」

 

「祭殿、自分で言うのは良いのですね…。っと、冗談はここまでにして、このままでは本当に拙いわね…明命!呂布の背後に回り込め!挟撃を仕掛けるわよ!」

 

「御意!」

 

三方向からの連撃を仕掛ける3人。しかし、

 

「…………………効かない。無駄」

 

今の呂布には傷一つつけることができなかった。

 

「何じゃあいつは!反則じゃろ!!」

 

「祭さま!お、落ち着いて下さい。もう一度仕掛けてみましょう」

 

そう言いもう一度攻撃を仕掛けようとしていた時であった。ふと背後から声が掛かったのだ。

 

 

「あら、苦戦してるわね三人とも。手を貸そうかしら?」

 

そう言って現れたのは部隊の再編を終えた雪蓮率いる大軍であった。いくら飛将軍・呂布といえどこのような大軍に太刀打ちできる筈はなく撤退するしか道は残されていなかった。そしていよいよ蜀本隊との決戦となった。

しかし、その蜀などもはや呉の相手ではない。元々兵数においても呉の方が多かったこともあるが、あの呂布軍を2度も退けたという事は呉の兵にとっては大きな自信となっていた。そういう事も相重なり、蜀の前線が崩れるのに時間はかからなかった。そして最後の仕上げとして総攻撃に移ろうとしたときであった、

 

「も、も、申し上げまーーーーーーす!!そ、曹操の大軍団が国境を侵犯しこちらに向かって来ています!」

 

「っ!?いよいよ来たのね……曹操」

 

「曹操軍の居場所、ここより北方におよそ五十里ほどです!」

 

「五十里……およそ一週間ほどか……」

 

「姉様、如何されますか!?」

 

「冥琳、劉備へ停戦の使者を出しなさい。そのまま同盟を再締結するわよ」

 

「それしか方法ありませんね…このままでしたら曹操に撃破されるのは目に見えていますし、何より劉備が曹操と手を組んだ場合が厄介です」

 

「どういう事、一刀?」

 

「劉備と曹操が手を組むと絶対俺達は勝てないし、たとえ撤退できても呉は魏と蜀に囲まれてしまう格好になるだろ?だから今は蜀と同盟を締結するしかここを乗り切る方法は無いんだ。更に言えば劉備を取り込むのは今のこの機会しかないしね」

 

「成程……」

 

「それじゃ私と冥琳……それに一刀。この三人で劉備の所へ赴くわ。各自は今のうちに休息をとれ!次がおそらく最後の戦いになると思うからそれまでしっかりと身体を休めておきなさい」

 

「御意っ!!!!!!!」

 

こうして3人は蜀本陣へと向かって行った。蜀王・劉玄徳に会うために…

 

――――――――蜀本陣

 

「申し上げます!孫策、周瑜、それから北郷の三名が使者としてやって参りました!」

 

「孫策さんが?どうしたんだろ?とりあえず通してください」

 

「はっ!」

 

劉備の元へ案内された3人。そこには諸葛亮、関羽、張飛、趙雲などと名高る猛将も控えていた。

 

「久しぶりね~劉備。いきなりだけど孔明ちゃん、あんたなら私達がここに来た理由分かるわね?」

 

「……曹操さんとは相容いれず、ということですか」

 

「そっ。あんたらはどうする気?」

 

「……半ば同意、半ば疑問、というところですね」

 

「へ~慎重ね」

 

「えぇっと…二人して何の話?」

 

「和平交渉の話だよ」

 

「そうなんですか。そういえばあなたが天の御遣いさんですか?初めまして、劉玄徳と言います。疑問なんですがこの乱世を収めると言われているあなたがどうして孫策さんの所に居るんですか?」

 

「(初めましてじゃないんだけどな……まぁいいか。所詮俺なんて……)それは天命…かな。雪蓮…孫策はこの乱世を収めて平和な世の中を作りたいと今までやってきた。それは君も同じでしょ劉備さん?」

 

「はい。私も力のない人たちが笑って暮らせるようにと思い武器をとり立ち上がりました」

 

「その為にも今は和睦するべきだと思うんだ」

 

「貴様たちから戦を仕掛けておいて、今更和睦などと……どの口が言うのだ!」

 

「そうね関羽…しかしそれがどうしたのだ?お前たちは他領を侵略せずにこれまでやってきたのか?和平を結ばずにこれまでやってきたのか?もっと大局を見なさい関羽。そのようなことこの戦国乱世では珍しくないでしょう。……そもそも貴様らが呂布を我らに引き渡していれば我々は蜀に攻め入りはしなかっただろう。これは貴様ら自身が招いた結果よ。寝言を言うのはやめて欲しいものだな、関雲長」

 

「くっ…」

 

「周瑜殿よ、まぁそう愛紗をいじめないでくれ。覇王・曹操にどう立ち向かうか…といった所か」

 

「そうだ趙雲。曹操、劉備、そして我らが王・孫策。この大陸にいる英雄はもはやこの三人のみだ。このいずれかが大陸を制覇するのはまず間違いない。それ故これが最後の機会となるでしょう。両陣営が以前の関係になれば曹操とて恐るるにたらずだ」

 

「同盟のご提案……ということですか?」

 

「そういうことだ」

 

「何を今更!つい先程まで殺し合いをしていた人間と同盟などと!」

 

「ふーっ、関羽よ冷静になってみろ。貴様が望む…劉備が望む世界。それが、今、まさに叶わぬ願いとなろうとしているのだ」

 

「我らが呉との同盟を拒否し、曹操と同盟したとて、桃香様の夢が潰える確証は無かろう。貴様の言ってることは詭弁ではないのか周瑜よ」

 

「詭弁か…では問おう趙雲。貴様は曹操と同盟を結んだほうが良いと考えておるのか?」

 

「………………」

 

「ふん、自分で考えてもいないことを根拠に、私の言葉を否定しないでもらおうか。時間の無駄よ」

 

「しかし!星の言う事も尤もなことではないか!」

 

「………貴様らでは話にならん。孔明よ、お前ならどうなのだ?」

 

「なっ!…話にならんだと!!?」

 

「黙れ関羽。もう貴様には聞いていない。それで孔明、どうなのだ」

 

「…周瑜さんのおっしゃる通りでしょうね。曹操さんは自分の理想のみを正義とし、天下統一を押し進めていく英雄ですし、曹操さんが天下を取れば桃香様の夢は霧散してしまうでしょう……」

 

「だから前の関係に戻ろうってわけ。どう劉備?孔明?」

 

「……はい。呉と同盟を組みましょう。桃香様もそれで宜しいでしょうか?」

 

「う~ん、同盟自体には賛成なんだけど、やっぱり曹操さんと一度話し合ってみるt…」

 

劉備がそう言っていた時である。これまでほとんど黙っていた雪蓮が劉備に詰め寄って行き声を荒げて言った。

 

「あんたまだそんな事言ってんの!?曹操にそんなことしても無駄だってことまだ分かってないの!こんな事をしている間にも魏の大軍はこっちに押し寄せてきているのよ!いい、あんたが言う皆が笑って幸せで暮らせる世の中は所詮あんたの目に映る範囲の中だけってことよ!そんなのはただの偽善なのよ劉備。あんたはそれが分からないほど愚かではないはずよ。……よく考えなさい」

 

そう劉備を叱責する雪蓮。その姿は雪蓮を止めるだろうと思っていた蜀の将ですら動けないほどの迫力があった。

 

「………分かりました。同盟を結びます。曹操さんの目指す世ではなく、私たちが蜀、呉が目指す世の為に…」

 

 

こうして呉と蜀は再び同盟を結ぶこととなった。蜀の面々の中にはこの同盟が未だ腑に落ちていない者もいたがとりあえずはこの戦いは終戦となった。そして周瑜、一刀の提案により決戦の地は赤壁となった。

 

 

対曹魏―――――最後の戦いの火蓋がきっておとされようとしていた。

 

 


 
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