No.546263 いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生したたかBさん 2013-02-19 19:39:02 投稿 / 全3ページ 総閲覧数:5052 閲覧ユーザー数:4564 |
第百十一話 そこに愛はあるの!?
なのは視点。
始業式。
それは進級する小学生の子ども達が一学年上になる事だ。
今日から私達は四年生になります。
今年もみんなと一緒のクラスになれるといいな。
「あ、あったよ。なのはっ。私と同じクラスだね」
「本当っ、やったねフェイトちゃん」
私とフェイトちゃんはクラス表を見て手を合わせて喜び合います。
「私達も一緒よー」
「今年も一年よろしくね」
アリサちゃんやすずかちゃんとも同じクラスに成れたみたいで私は嬉しいです。
「…アリサちゃん。私のクラスはどうなっていたん?」
はやてちゃんは未だに足のリハビリが続いているので車椅子での登校になっている。
だから未だに人がごったがえしているクラス表ははやてちゃんだと大変なのでアリサちゃんに見てもらいに行っている。
登下校も大変そうだと思った。だけど、登下校はリインフォースさんかシグナムさんが付き添っているので何の問題もない。
はやてちゃん自身は早く自分の足で登校したいと言っていたけど、お医者さんの話だと夏休み前には自分の歩けると言っていた。
「安心しなさいはやて。あんたも同じクラスよ」
「ほんまか!よかったぁ~、一人だけ違うクラスやったらどうしようかと思ったで」
「ふふ。はやてちゃん、よろしくね」
ほっと安心するはやてちゃんを見て私達は笑い合う。
そして、
「あとは…。あいつね」
そう。去年の夏休みにやって来た異世界の男の子。
最初は敵。…ではなく、かといって味方でもなかった。ただ、プレシアさんとアリシアちゃんを守りたくて、私達やはやてちゃん達とも戦ったことのあるライオンの鎧を纏った男の子。
どんなに追い詰められても、傷つけられても私達の前に立ち、助けてくれた男の子。
「…うう、やっと人ごみを抜けられた」
ヘロヘロになって人垣の中から出てきた短く切り揃えられた黒髪に黒い瞳を持つ男の子。
「遅いわよ!高志!」
「まあまあ。アリサちゃん落ち着いて」
「せやでアリサちゃん。…で、高志君は何処のクラスやったん?」
『傷だらけの獅子』。スフィアと言う凄い力を持っていて…。
「ああ、無事に四年生に進級していたよ…」
「進級は当たり前じゃないの?」
「…はっ!そうだった!」(就職難やこれまでの激戦を経験したから、物事がこうも簡単に進むなんて思いもしなかった)
「…もしかして、クラスの方は確認していなかったの?」
「…うん」
「あんた馬鹿でしょ?」
「…もう一回見てくる」
少しお間抜けさんな男の子です。
高志視点。
確認してきたところ俺はDクラス。
なのは達、Bクラスとは違うクラスになった。それを伝えた時皆悲しそうな顔をしたがたかがクラスだろうに…。
放課後はD・エクストラクターの実験と効率。主に戦闘能力を確かめるためにアースラに皆集まるわけだし、授業が終われば休み時間を利用して会いに行けばいい事だ。
ちなみに北海君と沖縄君とはまた同じクラスだ。宜しくね!男友達って本当にありがたいものなんだよ!
だって気を遣わなくてもいいもん!
「おーい、沢。ドッジボールしようぜ!」
「オッケーだ沖縄君!ペナルティーエリアの外からボールは全て受け止める!」
「つまり、外野の攻撃には弱いんだね。わかります」
「何故ばれたし」
そんなことを考えながら、休み時間は隣のクラスの男子も誘ってドッジボールを楽しんだ。
お昼休み時間前の授業は体育だったので体操服から着替えると体育館の裏で、北海君や沖縄君と新しいクラスメートと一緒に弁当を食べる約束もした。
♪~~♪~♪
「あ、メール。…アリシアから?」
ちなみにアリシアは驚きの六年生に編入した。
アリシア曰く『フェイトの姉を名乗るのなら上級生がいい!』とのこと。編入試験も軽々と突破して六年生から始めるらしい。違和感が凄くある。だって、魔導師組やその関係者の中では誰よりも背が低く幼く見えるのに俺達よりも上級生なんて…。
ちなみに着メロは『進撃の恋心!』。
…はい。バサ○の歌名を変えただけです。さて、内容は…。
『件名:あなたの愛する天使奴隷より』
天使なのに奴隷なの?!そこに愛はあるの!?
「どうした?沢?」
思わずツッコミそうになったのを堪えた俺だが、何とかこらえた。
しかし、それを不思議に思った沖縄君に心配された。
何でもない。何でもないよ。
ふー、と一息入れてからメールの内容を確認する。
『一緒にご飯を食べよ♪六年Aクラスで待つ♡』
お昼ご飯のお誘い?!それとも果たし状?!
『12:55までに来てください。………さもなくば、
「脅迫状かよ!しかも自分の妹までも人質にすんな!」
「どうしたっ、沢」
ツッコミを堪えていた俺だが我慢の限界だった。
思わずメールを見てツッコミを入れた俺を見て沖縄君はびっくりしたのか俺に声をかける。
「すまない!沖縄君!北海君に伝えてくれ!…お前達と約束を守れなかった。…すまない。と」
「これから死地にでも向かうのかお前は!?」
ある意味そうかも知れない。あのトラウマ着信ボイスが校内のベルの代わりに流されたりでもしたら、俺は…。いや、フェイトも不登校になりかねないぞ!
指定時間まであと五分…だ、と?!
弁当箱を持って俺は体育館を飛び出した!
駆け抜けろ、俺!雷のように強く!速く!
そして、飛び出して一番重要なことに気が付く。
「六年Aクラスって、どこだ!?」
アリシア視点。
「アリシアちゃん。一緒にご飯食べない?」
「いいよー♪あ、でも妹や妹の友達も一緒なんだけどいいかな?」
「もちろんいいよ!」(アリシアさんの妹!絶対可愛いんだろうな)
フェイトの通う学校に一緒に行けるようになってお姉ちゃんは嬉しいです!そして、そこでのクラスメートの皆にお昼ご飯を一緒することになった。
女の子も男の子も、皆、お母さん譲りのサラサラな髪にメロメロです!特に男子!
でも、残念!私への恋愛フラグは建たない!
私は既に攻略不可キャラなんだよ!何故なら既にお兄ちゃんに攻略されているから!
ふぅわははははははっ!今の私なら絶対服従の力も跳ね返す自信があるよ!
「ねえ、アリシアちゃん。そのリボン…」
「ん、なぁに?」
「…ううん。なんでもない」(ピコピコ上下に動いているけど、そのリボン。生き物じゃないよね…)
クラスメートの女の子は何故か視線が私の顔よりも上を向いているけど気にしない。
けっして、私がチビだからじゃないよ!
「あ、そーだ。お兄ちゃんにもメールしておこう♪」
予め用意していたメールを…。ぽちっとな♪
「え、アリシアちゃんお兄さんがいるの?」
「うん♪でも血のつながりは無いんだけどね」
「…あ、その、ごめんね」
「ううん。気にしないで。むしろその方が好都合だから。…法的に」
「法的に?!」
「あ、あの、アリシアさん。そのお兄さんってどんな人なのかな?」
ふっ、その質問を待っていた!このクラスの男子達よ!君達はこれから絶望するだろう!君達よりも私を愛してくれている男性の姿に恐れおののくといいよ!そして…。
「お兄ちゃんはね!私のことが好きすぎて、顔を赤くして毎日はぁはぁ言いながら私を抱きしめる為にその予備動作としてクラウチングスタートしているんだよ!」
「それって思いっきり変態だよね!?」
「アリシアちゃん!警察に連絡したほうがいいんじゃないの!?」
他の女の子からお兄ちゃんへのフラグをへし折る!
人間、第一印象が八割だとテレビでも言っていたしね!
「でも…。そんなふうにされても私は…」
と、皆から視線を逸らしながらも私はポツリと皆に聞こえるように呟く。
これで私は『毎日血のつながらない兄にはぁはぁ興奮されながらも、強く否定できないでありながら、それを受け入れる美少女』のレッテルが張られ、お兄ちゃんは『変態』のレッテルが張られた。
ふふふ…。これでお兄ちゃんに近付く女の子はいなくなった!
我が学園生活は盤石である!
だが、それと同時に高志の学園生活は針のむしろになった。
無論、高志はそれを知らない。
そして、
バンッ!と音を立てて開け放たれる。
「き、来たぞ。アリシア…」
アリシアのメールを見て全速力でアリシアのいる教室(三階)まで来た高志は肩で息をしていた。
忘れがちだが、アリシアのリボンはプレシア製のリボンで探知機である。
それを思い出した高志はガンレオンでアリシアの教室を特定。階段を全力で駆け上がり廊下を全力で走りぬいた。
その為、頬は赤く染まり、息を切らしながら、アリシアのいる教室の扉を開け放ち、彼女がいることを確認した高志は、あの脅迫状の指定するように来れたことに安堵し、へたり込んでしまった。が、その姿はまるで…。
はぁはぁ言いながら、アリシアを抱きしめる為にその予備動作としてクラウチングスタートしているようだった。
「全員一斉攻撃ぃいいいい!」
との掛け声とともに、六年Aクラスはクラスメートになったばかりだというのに、わずか半日で一丸となった。
「清きアリシアさんの為に!」「正常なるアリシアちゃんの為にぃいいい!」「落ちろぉっ!」「アリシアちゃんはあなたの玩具じゃないのよ!」「粛清してやる!」「出てこなければやられなかったのに!」
「ぎゃあああああ!?何事?!」
その犠牲は現『傷だらけの獅子』。一人だったという。
六年Aクラスの全員からの攻撃を受けている高志を、後からやって来たなのは達が急いでやめるように説得した。
さすがにやり過ぎ。と、フェイトからお叱りを受けたアリシアはクラスメートの全員の誤解を解いた。
そして、この日から翌日まで高志はアリシアと口を利かなかったのがよほど堪えたか。アリシアは泣きながらごめんなさいと必死に謝ったことによりこの件は落着となった。
が、またその様子を見たアリシアのクラスメートが誤解し、新たな噂の種になったのは別の話である。
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