No.546054

魔法戦記リリカルなのはmemories 最終章 新たなる聖王の歴史(メモリー) 本幕【終わり、そして始まりの日】 第百三話

J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

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2013-02-19 01:34:02 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1588   閲覧ユーザー数:1548

「スパーキング――」

 

 ちょうどアリシアがフェイトに向けて本気で魔法を使って放とうとした直後、上空に異変のようなものが二人から見えていた。

 空が桃色の輝きで覆われ、フェイトもアリシアも空の異変に気になって上を見上げてしまった。

 そして、その空の変化がどういう事なのかすぐに理解したアリシアは、デバイスをフェイトに対して向けるのを止め、一度ため息を吐くのだった。

 

「……なんてタイミングの悪さなんだか。まぁ、仕方ないけど」

「……何をするつもりなの?」

 

 アリシアの言葉を聞いて、フェイトはすぐに自分の立場を思い出してアリシアの方へ顔を向けるが、こちらにデバイスを構えていなかったことに少し驚いた。

 その事から察するにアリシア達が仕組んだことだと分かり、すぐに何をするつもりなのかアリシアに聞いていた。

 だけどアリシアは、フェイトが言ったその質問を聞いて突然微笑みだし、質問に答えた。

 

「すぐにわかるよ。さて、私はこのまま離脱しないといけないから、こんな形で終わるのは嫌だけど、個人的な行動はするべきじゃないからね。じゃあ、また()で」

 

 先ほどフェイトから攻撃を避ける時に使った魔法を使用し、魔法陣もなくすぐさまアリシアの姿が消え去った。

 一瞬にして姿を消したために、フェイトは転移魔法をしようさせることを防ぐことすら出来ず、何もできずにフェイトだけがこの場に残るのだった――

 そして、アリシアを追うことも考えたけども、今は上空に浮かんでいる桃色の輝きの方が危険のような感じをして、上空を見上げた。見覚えのある光であり、アリシアがその光を見て退避したことから何かを察していた。

 

「もしかして、この魔法の仕業は……なのはなの?」

 

 フェイトはその輝きを見ながら、そのような事を呟くのだった――

 

 

----

 

 

 一方、リィナとティアナ、スバル達の所にもその輝きは見えていた。

 しかし、リィナはその輝きにも気にせず、スバルとティアナの二人と対峙していた。

 

「ちっ、一度くらい当たりなさいよ!!」

「はいそうですか――っていうほど、あたしたちも当たるわけにはいかないのだけどねっ!!」

 

 実際、リィナの攻撃を受けたら殺傷設定の為に大怪我を負うだろう。そんな事をティアナ許すつもりもないし、殺されることだって考えられた。

 だが、に二対一だというのにも関わらず、相変わらずリィナの方が優勢だった。ティアナがリィナの攻撃を防ぎ、その間にスバルが攻撃を仕掛けるっていう戦法を取っているのだが、リィナの魔法がどんなものなのかが未だに理解できていない為に、先ほど隙で与えたダメージしか与えられていなかった。

 けれどもリィナも先ほどから一度も攻撃が当たらないことに苛立ちが次第に増加しており、フィルノの撤退命令を無視してまでも戦っていた。ギリギリまでリィナは戦おうと考えていたのだ。

 

「スバルっ!!」

「分かってるよ――っ!!」

 

 スバルが今度こそリィナに攻撃をしようと動き、その動きにリィナも反応する。

 

「ふっ、そんな攻撃――何度やっても同じことよっ!!」

 

 リィナがスバルがいる方へ向き、そのままスバルへ攻撃しようと仕掛ける。

 しかし、スバルとリィナの攻撃はとある乱入者によってお互いに止められてしまう――

 

「まったく、命令くらい言う事聞きなさいよ……すぐに離脱しろと言われたでしょうが」

「なっ、いつのまにっ!?」

「お姉ちゃんっ!?」

 

 スバルとリィナの前に現れたのはスバルの右手とリィナの魔法を素手で止めていたデュナ・シルフィアだった。

 その光景はスバルとティアナにとって予想外の事だった。素手で止めるなんて聞いたことがなく、最低でもグローブを装備して防いだということぐらいだ。しかもリィナの方に至っては殺傷設定なのにも関わらず、出血すらしていないことにさらに驚くこととなった。

 それからすぐにスバルはデュナから離れ、それをみたデュナはすぐにリィナの方へと近づいた。

 

「行くわよ。そろそろ聖王女殿下の魔法の準備が整うのだから、巻き込まれるわよ」

「ごめん……ちょっと調子に乗りすぎちゃった……」

「それじゃあ現れたばかりだけど、私とリィナは逃がしてもらうわよ」

 

 そう言って魔方陣が展開され、転移魔法を使われると思ったスバルとティアナはそれを阻止しようと動き出すけども、距離が少し足りずに二人を逃がしてしまった――

 

「くそっ、逃げられたか……」

「それよりも、さっき言ってた聖王女殿下って多分なのはさん……の事だよね?」

 

 逃げられた事を悔やんでいたスバルだが、すぐさま別の事を考えていたティアナの言葉を聞いて、ティアナと同様にそうかもしれないと思った。

 

「っていうことは、途中から桃色の輝きに光っているのはなのはさんの魔法っていうこと?」

「そうかもしれないわね……そうじゃなくても、この魔法の輝きからしてこの後起こる事は危険すぎるっ!!」

 

 状況を分析し、すぐさま危険だと悟ったティアナはすぐにスバルに叫ぶっ!!

 

「スバル!! 今すぐあたしを連れてビルの建物内に隠れてっ!! 直撃するよりも、ビルから崩れた瓦礫を防御魔法で防いだ方が生き残れる可能性が高いっ!!」

「えぇぇ!? 生死が関わるくらいの魔法なのこれ!?」

「わからないけど――その可能性も考えられるっ!! 分かったなら今すぐ行動してっ」

「ティアがそう言うのならば分かったよ!!」

 

 スバルはすぐにティアナの方へ近づき、近場にある建物の階数が多いビルへと移動するのだった――

 

 

----

 

 

『はやて司令!! 上空にミッドチルダを全域を包むくらいの魔力反応がっ!!』

「わかっとる……そしてこれが、なのはちゃんだという事も――」

 

 はやては桃色の輝きを上空でみえてから、その場で立ち止まっており、上をずっと見上げていた。

 多分かなりの上空になのはが居るのだろうとはやては思うが、今から向かっても間に合わないだろう。それよりも自分を守るだけで精一杯のようにも思えた。

 

『とにかく、私たちも一度ミッドチルダから離脱します。そちらもご武運を』

「そっちもな。とにかく私は、全員に何としてもあの攻撃を防ぐ事を命じておくから――」

 

 通話を切り、すぐさまミッドチルダ内にいる特務六課の全員に念話で話しかけた。

 

「総員、何としてもあの攻撃を受けないようにするんや!! 阻止しようともせず、今は自分が生き残る事だけを専念するんや!!」

 

 

----

 

 

「ミッド内にある魔力残骸収集完了率89%――あとちょっとだね」

 

 その頃、ナノハの周囲には巨大な魔力を集束させている巨大な球の光が幾つも上空に浮かんでいた。

 一つ一つがとてもでかく、こんな巨大な物をミッドチルダに放とうとしているのだ。ミッドチルダに直撃すればあっという間にミッドチルダの町の跡が無くなるだろう――聖王教会があるミッドチルダ北部の一部を除いて。

 中立という立場を取った聖王教会には攻撃しないことを約束してあるため、ナノハもその場所へは放たれないように計算していた。

 

「魔力残骸収集完了率100%――行くよレイジングハート。今の管理局を変えるために」

 

 これからなのはが使おうとしてる魔法はなのはが得意とするスター・ライト・ブレイカーの応用型。聖王家の力を手に入れたために今のような事も可能にさせており、基本的にはスター・ライト・ブレイカーと変わりがなく、あるとしても威力の違い位だ。

 そしてなのはは――ミッドチルダに散らばっている魔力を全て集め終わると、その集束させた魔力を一気に放つのだった――

 

「スター・ライト・ブレイカー――ジ・エンド」

 

 刹那――周りに浮かんでいた巨大な球の光は、ミッドチルダに向かって降り注いでいくのであった――


 
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