No.545961

【獣機特警K-9】戦慄!通勤列車大暴走【交流】

古淵工機さん

関係ないですがこの小説には二つの意味の「ジャック」が出てきてます。本当ですwww
■出演
クオン:http://www.tinami.com/view/372605
ジャック:http://www.tinami.com/view/544844
エルザ:http://www.tinami.com/view/375135

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2013-02-18 22:19:17 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:772   閲覧ユーザー数:735

3月17日、21時34分…。

クオンは緊急の任務を終え、ひとり家路についていた。

乗っているのは、ラミナ警察署のあるセントラルスクエアからクオンの家まで伸びる、ラミナ地下鉄(メトロ)レッドライン。

「はぁ…きょうは散々走り回ったからなぁ。ちょっとくたびれちゃったよ」

と、何も映らない車窓を眺めながら、ため息をつくクオン。

…さすがにこの時間になると車内は静かである。乗客もまばらだ。

 

『まもなく、カレッジストリート、カレッジストリートです。学園都市はこちらでお降りください』

カレッジストリート駅。普段はクオンが通学で使う駅だが…。

「…しまった!寝ちゃったんだボク!どうしよう、家の前通り過ぎて学校のほうまできちゃった…」

ここで説明しておかねばなるまい。

クオンがいつも通学で使っているメトロ・レッドラインはラミナ市内の中央部を東西に貫く路線である。

警察署のあるセントラルスクエアはちょうどラミナ市の中央付近。…クオンの家はそこから5駅ほど東に向かったところである。

では、エバーグリーンカレッジはどこにあるのかというと、クオンの家からさらに10駅も東に進んだところだ。

…要するに、家に直行するつもりがつい寝過ごし、学校の前まで来てしまったというわけである。

 

「はぁ…いったん降りて反対側の電車で戻らなくっちゃ…」

と、クオンがさらに深いため息をつきながらドアの前に移動したそのときである。

「「あ」」

ドアが開いた瞬間、そこには見覚えのある人物が立っていた。

「ジャ、ジャック?こんなところで会うなんて奇遇だね…」

「あぁ、練習の帰り。クオンこそこんなところでどうしたんだ?今日は警察の任務なんじゃなかったか?」

「いやー、恥ずかしいんだけど寝過ごしちゃってさぁ」

「へー、ロボットも寝過ごすんだなw」

「ちょっ…ロボットが寝過ごしちゃおかしいっての?」

と、言い合っているうちに電車のドアが閉まった。

「「あ…」」

車内はいたって静かである。クオンとジャック以外乗客はいない。

「もう!降りそびれちゃったじゃないか!ジャックのバカ!!」

「まあまあ…なんだったら俺の家泊っていくか?」

「え…」

とたんに赤面するクオン。

「おーい、赤くなってどうしたんだ?」

「べっ…別になんでもないよ、なんでもっ。あは、あははは…」

と、クオンは笑ってごまかして見せるが、彼女の胸の中は昂っていた。

(ジャックと一日お泊りかァ…これに乗じて、あるいは…)

 

『まもなく、イースト・ラミナ、終点です。アーバンコミューターはお乗換えです』

「と。ここで乗り換えるぞ」

「あ、うん…」

21時52分。

イーストラミナ駅の乗り換え通路を歩きながら、二人は会話を続けていた。

「え?ジャックってどこに住んでるの?」

「さらに東のバンブーヒルってトコ」

「へぇ、どんな場所なの?」

「…そりゃもう緑に囲まれた静かな場所さ」

「ふーん、自然に囲まれて過ごすなんて、結構いいとこあるじゃんw」

そう、バンブーヒル市はラミナ都市圏においても絶景のスポットとして人気が高い。

木々が生い茂り、緑あふれる洒落た住宅地は夜景の名所としても名高く、わざわざこの眺望目当てに家を買う人もいるぐらいだ。

「んじゃあさ、毎日ラミナ市の夜景を見て過ごしてるんでしょ?いぃなぁーうらやましいなぁっ」

と、クオンが目をらんらんと輝かせてジャックに問うが、帰ってきたのは別の答えだった。

「いや、周りが静かで修行に専念できると思ったからだけど?」

「…訊くんじゃなかったよ…orz」

「それよか、電車来たぞ」

…市内交通である地下鉄とは違い、近隣都市まで足を延ばすアーバンコミューターはまだ人がいっぱいだった。

特に、バンブーヒルには金融マンや商社マンなどが家を買っていることもあって、そういった仕事から帰路につく乗客も多いのである。

その乗客に混じって、クオンとジャックは相変わらず他愛のない話をしていた…そんな時だった。

「おいクオン。耳、着信着てるぞ」

「あ、ホントだ」

クオンの耳に内蔵された通信機が着信を告げる。

「…はい、クオンですけどー…」

『エルザだ。帰宅途中にすまない。実はたった今、アーバンコミューターUC2177列車が何者かによってジャックされたとの情報が入ったんだ』

「UC2177列車…?」

『イーストラミナ駅21時56分発、バンブーヒル行きの…』

その言葉を聞いてクオンは青ざめた。

「…今ボク、その列車に乗ってるんだけど…」

『な、なんだと!?…わかった、私も集められる人員を集めてそちらに向かう。君も十分注意を…』

と、クオンが電話をしていたその時、後ろの車両から黒尽くめの集団が出てきた。

「よぉし、全員動くな!」

「な、なんだなんだ!?」

「…列車ジャックだよ」

「列車ジャック!?だってこれ通勤電車だぜ!!」

「通勤電車だからだよ。この列車には金融マンがいっぱい乗ってる…それを狙ってきてるんだ…」

と、クオンはジャックの方を見て一度うなづくと、すぐに列車ジャッカーの集団へと歩み寄り警察手帳を見せる。

「…警察だ。お前たちの目的はなんだ!身代金か?それとも逃亡資金か!いずれにせよこんなバカな真似はやめておとなしく投降するんだ!」

「クックック…生憎だが俺たちの目的は金でも何でもねえ。この電車に金融マンがたくさん乗ってるのは知ってるよな?」

「…それがどうかしたのか!?」

「じゃぁそいつらがいっせいに死んだら、世の中は大騒ぎになるよな?」

「なんだって!?お前らまさか…」

と、驚くクオンに列車ジャッカーは続ける。

 

「ヒャッハッハ!この列車のブレーキ装置を壊してやった!お前らは終着駅のバンブーヒルでそのまま地獄へ直行するのだ!!」

そういって男たちは、持っていたレーザーガンで列車の天井に穴を開けると、上空に待機させていたヘリコプターに乗り込み逃亡したのである。

「うわあぁぁぁ!嫌だ!俺は死にたくない!!」

「誰か!誰か助けてくれぇっ!!」

次々に叫ぶ乗客たち。暴走した列車はスピードを落とすことなく、終着駅であるバンブーヒルへと向かう。

この状況を前に、ジャックは一言つぶやいた。

 

「…ヤバいな、明日試合だってのに…」

「おーい!?こんなときにまで何言ってるんだよ!緊急事態なんだぞ!!」

…果たしてクオンはこの制御不能の列車から、乗客たちを救い出すことは出来るのだろうか!?

そして、やっと見つけた彼氏になるかもしれない男を…守りぬくことは出来るのであろうか!!

 

 

 


 
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