第12魔 合流する三傑
明日奈Side
皆との話し合いのあと、帰宅してから早めの昼食を取り、勉強を行った。
そして約束の3時前頃になったのを確認して、わたしは橘さんにゲームを始めることを伝えた。
ナーヴギアを被って言葉を紡ぎ、
「リンク、スタート!」
わたしはALOへとダイブした。
明日奈Side Out
アスナSide
ログインしたわたしは昨日の宿の部屋で眼を開いた。
横たえていた体を起こして伸びをする。
すると胸元のポケットになにかがいる感覚、微笑を浮かべて彼女を確認する。
「ユイちゃん、おはよう」
「ん…ぁ、ママ、おはようございます」
どうやらこちらの世界は丁度午前を迎えたところのようである。
「それじゃあ、部屋から出ようか?」
「はいです」
わたしとユイちゃんは部屋を後にした。
宿の食事処に下りてみると、既にルナリオ君とリーファちゃんが居て談笑していた。
「ごめんね、待たせちゃったかな?」
「いえ、大丈夫っすよ」
「出掛けて帰ってきたばかりだったので、さっき入ったばかりですから」
謝っておいたけれど、2人はまったく気にしていなかった。
「それじゃあ、まずはアスナさんの装備からっすね…」
「さすがに初期装備じゃね…」
ルナリオ君とリーファちゃんがさすがに駄目だろうと思ったのかそう言った。
確かにこれから向かうアルンへの道のりを考えると装備は整えておいた方がいいだろう。
「それなら先にスイルベーンに行きましょう。あそこならいい武具店がありますし」
「わたしは構わないけど、大丈夫なの? わたしとルナリオ君は他種族だし…」
「あたしが一緒ですし装備を整えるだけですから、大丈夫だと思います。それに2人とも強いですしね」
リーファちゃんの提案にわたしは少々不安に思ったけれど、彼女は大丈夫と言うのなら問題無いのだろう。
「あとはお金、ユルドって単位なんすけど……アスナさん、確認した方が良いっすよ。
多分凄いことになってるっすから…」
ルナリオ君に言われたことに首を傾げながら確認してみると……驚いた…。
約800万ユルドがわたしの所持金額だ。
「な、なんでこんなにあるの…?」
「SAOからの引き継ぎっすよ、間違いなく…」
疑問を浮かべるも彼がそう答えてくれたことで納得した。
そういえば、SAOの最後の時の所持金額がこれくらいだったのを思い出した。
キリトくんとわたしが結婚したことで物凄い金額だったのを思い浮かべた。
「まぁ今はいいじゃないですか。お兄ちゃんを助ける為に使うということで」
「はい、アドバンテージは使うべきです」
リーファちゃんとユイちゃんはこの際構わないという様子だ。確かに一理あるね。
「そうだね。それじゃあリーファちゃん、案内お願いしてもいいかなぁ?」
「任せてください」
「んじゃま、行くっすか」
「はいです♪」
わたし達は宿から出て村の外へと出た。
そして翅を出現させて空へと飛び立とうとしたその時だった。
―――バチバチバチッ!
突如として上空に雷が奔り、空中に黒い裂け目が出現した。
「な、なに!?」
「わ、わかりません!?」
「これは、ボクの時と同じ…!」
「っ、裂け目からプレイヤーが出現します!」
驚愕と困惑が入り混じるわたしとリーファちゃん、
ルナリオ君は何かを思い出したようで、ユイちゃんは状況を説明した。
ルナリオ君と同じ方法でのプレイヤーの出現とは一体…?
そしてプレイヤー達は落ちてきた……が、全員が上手く着地した。
「…なんなんですか、今の……?」
「リズとの奈落一直線を思い出した…」
「……対処成功」
思い思いの言葉を口にする現れた3人の少年。
その姿は見慣れた人達の姿で、やはりと思ってしまったのはわたしだけではないはず…。
「やっぱりというか、早速来たっすね…ヴァル君、ハクヤさん、ハジメさん」
「あははは、こんにちは…」
「「「ルナリオ(君)、アスナ(さん)!?」」」
現れた3人の名前をルナリオ君が呼び、わたしが挨拶を掛けると彼らはわたし達に気が付いたようで驚いている。
リーファちゃんも今起こったことに未だに混乱している。
また説明しなくちゃね…。
そして現れた3人に彼らの現状を説明した。
姿がリアルと同じであること、武器と所持金が同じであること、
ホームタウンではなくここに落とされたのが回線に巻き込まれたからかもしれないということ、
今からスイルベーンに行って装備を整えてキリトくんの救出に向かうことを伝えた。
ちなみにヴァル君はシルフ、ハクヤ君はインプ、ハジメ君はサラマンダーである。
「納得しましたよ、それで『神龍偃月刀』が…」
「俺としては嬉しいな。
システム的に二刀流が可能だから、『アイスエイジ』と『コロナリッパー』を同時に扱える」
「……『カミヤリノマサムネ』…、また共に戦えるのか…」
3人共どこか感慨深げに自分の武器を取り出して眺めている。
ちなみに文字化けが発生していたアイテムは既に破棄している。
あれ、そういえば公輝さんと雫さんと奏さんは…。
「ハクヤ君、公輝さん達は一緒じゃないの?」
「朝の話し合いで決まったことがあるだろ? アレの為に3人共動いているから、今日は難しいかもしれないってさ」
わたしが聞いてみるとハクヤ君は答えてくれた。
結城家への圧力…それが須郷との結婚を抑えてくれるのなら、公輝さん達に頼るしかない。
「とりあえず飛行の仕方を教えてもらってもいいですか? 移動するのなら僕達も飛べないといけませんし」
「そうだね、それじゃあまずは……」
ヴァル君が飛行方法を聞いてきたのでわたし達は3人に説明してから、飛行練習を行った。
なお、3人ともすぐに飛行に慣れて補助コントローラ無しの『随意飛行』を可能とした為に、
リーファちゃんがまたもや落ち込んだのはいうまでもない(苦笑)。
あとユイちゃんの紹介をした時に彼女の姿に見覚えがあった彼らは何処か納得した様子だった。
ハクヤ君曰く、「和人(キリト)は本当になんでもやってしまうな」とのこと…確かに。
シルフのホームタウンにして首都ともいえる街、スイルベーンに到着したわたし達。
しかし、初心者男性陣は微かに不機嫌。
それもそのはず、ランディングのやり方を教えられていなかった男性陣は塔の壁に激突し、
そのまま地面に落下してダメージを負った。
普通ならばHPが0になっていたが、受け身が上手かったのか無事で済んだ。
ちなみにわたしは激突寸前のところでリーファちゃんに救出されたのでユイちゃん共々無事で、
ルナリオ君は3人を見捨てて笑っていた。
「ご、ごめんなさい…」
「いや、まぁ初心者の癖に調子に乗った俺達が悪いし、今度は予め注意してくれればいいから…」
頭を下げるリーファちゃんに応対したハクヤ君は苦笑しながら答えた。
「……ルナリオ、何故私達を見捨てた?」
「いや~、ボクも一回経験してるんで皆さんも経験した方が良いかと思ったんす。
勿論アスナさんは予め助けるつもりだったすよ?」
ハジメ君が睨みながらルナリオ君に言ったけれど、彼は特に悪びれずに笑って返答した。
「それに激突っていっても、3人共足で壁について、
そのまま落ちた時も受け身取ったからダメージ量も少ないじゃないっすか」
ルナリオ君のその言葉にわたしとリーファちゃんは驚いた。
まさかあの状況下で3人の動きを正確に見ていただなんて、やはり彼らは一味違う…。
リーファちゃんが回復魔法を発動させて3人を回復させたのを確認してから、
わたし達はリーファちゃんが行きつけだった武具店に移動した。
異種族のPTがシルフ領を歩くとやはり注目されるけれど、
リーファちゃんとヴァル君のお陰でわたし達は観光という扱いで移動できた。
武具店についたわたし達は早速防具一式を購入した。
ヴァル君、ハクヤ君、ハジメ君は揃って予想通りの黒一色装備だけど、その様はSAOの時のキリトくんに近い装備だ。
ヴァル君は今回も黒の陣羽織を羽織り、ハクヤ君は漆黒のマントを、ハジメ君は逆に布地が少なめの装備をしている。
そういうわたしも……、
「アスナさんも黒い装備なんですね…あたしは白と水色の方が合ってると思いますけど…」
「そうかもしれないね。だけど、今のわたしはこっちじゃないといけないの…」
リーファちゃんはウンディーネの基本装束から水色や青、白の方が良いと言ってきた。
でもわたしは敢えて黒と水色の装備を選んだ、わたしも『黒衣衆』だから。
リーファちゃんは首を傾げた様子を見せたけれど、
すぐにわたし達を連れてアイテムの補充をするべくアイテムショップに向かい、
そこで回復アイテムなどを購入してから、
わたし達はアルンへと向かう為に塔へと上がることになった。
アスナSide Out
To be continued……
後書きです。
ハクヤとヴァルとハジメが合流しましたw
これ、どんなチート?というツッコミは無しでお願いします。
次回はALOでの小悪党ことシグルドが登場しま~すw
それでは次回で・・・。
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第12魔です。
10魔の黒衣衆会議のあとのアスナ視点からになります。
どうぞ・・・。