No.544077

SAO~黒を冠する戦士たち~番外編 女の戦い チョコの日

本郷 刃さん

番外編になります。
今日は2月14日、バレンタインデー・・・通称・リア充の日!
というわけでバレンタインネタになりますw
今回は今までの趣向と少々異なっておりますよ。

続きを表示

2013-02-14 10:39:07 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:48956   閲覧ユーザー数:47478

 

 

前書き兼注意です。

一部ネタバレがありますので、ネタバレが嫌な方々はブラウザの戻るや別ページに飛んでください。

読んでみたいという方々は是非ともお楽しみください。

バレンタインネタということで甘いのは当然ですが、今回は普段の自分の作品とは少々違う展開になっております。

コメディ+シリアス+甘々になっています、普段の自分ならばコメディと甘々で済ますんですけどね。

それでは、この辺で参りましょうか・・・どうぞ・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SAO~黒を冠する戦士たち~番外編 女の戦い チョコの日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明日奈Side

 

今日は2月13日、学校を終えたわたしは和人くんに予定があると答えて、

泣く泣く今日の彼とのデートを断って自宅へと帰った。

その代わり、自宅までバイクで送ってくれた和人くんから濃厚でディープなキスを頂き、

先程まで部屋で悶絶していたところです。

しかし、気を取り直してからわたしはキッチンへと立った。

目的は明日、2月14日、乙女の戦いの日バレンタインデーである。

わたしは愛しの和人くんの為に、そして普段からお世話になっている人達の為に、

手作りのチョコレート&クッキーを作ろうと思った次第です!

それでは早速、クッキングタイム!

 

 

 

えっと、こういう時はなんて言うんだったかな~?

確か昔の漫画(作中は2026年です)の言葉(ネタ)で、えっと~………あ、思い出した♪

それでは皆さんご一緒に、せ~~~のっ!

「キングクリムゾン!」

 

 

 

「よし、完成♪」

 

わたしが作ったのは市販のチョコレートから他の材料と合わせて作ったもの。

まずはお世話になった人や友達に送るのはトリュフチョコとガナッシュチョコ、

ミルクチョコレート(形状は四角)の3個が小さな箱に入った詰め合わせだ。

これを父さんと母さんと兄さん、里香、珪子ちゃん、サッちゃん、直葉ちゃん、シノのん、雫さん、奏さん、橘さんに渡す。

男性陣にはこれからクッキーを焼いて、それを渡すつもりです。

そして本命中の大本命である和人くんへのチョコレート!

これはさっきのトリュフチョコ、ガナッシュチョコ、ミルクチョコに加えてアーモンドチョコ(形状は丸)を各3個ずつ、

計12個を詰め合わせたものになりました。

なお、せっせとチョコ&クッキー作りに励むわたしを見て、帰宅した父さんがそわそわとし、

兄は何事かと思ったようだけれど次の日を確認して納得した様子で、

遅めに帰宅した母さんもチョコ作りを始めたのを記してみた。

 

 

 

 

そして翌日。ついに来た聖戦の日、2月14日。

早くに起きたわたしは友達に渡すチョコレートとクッキーの数を最終確認し、ラッピングした。

そして和人くんに渡す分も確認する……よし、数もOK間違っていない。

彼に渡すチョコも箱に詰めてラッピングした。

今度は和人くんへのお弁当を作る、これも忘れちゃいけないよね♪

その後、家族4人で朝食を取り、食事を終えたあとにわたしは3人にチョコレートを渡した。

3人共喜んでくれたし、特に父さんは小さい頃以来だったので一際喜んでいた。

そして登校、今日は和人くんとは別での登校になっている。いざ、学校へ出陣!

 

 

 

わたしは教室に居る。本当なら朝一に彼に渡したかったけれど、お昼の2人きりの時の方が良いよね///

ちなみに教室にいる女の子達――といっても元々女の子の人数が少ないけど――がみんな色めき立っている。

意中の男の子に渡したいと考えているのだろう。

 

「明日奈、おはよ」

 

「おはよう、里香」

 

里香が教室に入ってきた、志郎君はいないようだ。

 

「里香は志郎君が来たら渡すの?」

 

「ええ、でもさすがに人前ではあれだけど/// 明日奈は?」

 

「わたしもまだなの。お昼の時に渡そうかなって」

 

2人で話していると、

 

「……おはよ…」

 

少々暗いけれど、志郎君の声が聞こえた。

里香と一緒に彼の方を向いてみると……手に5つの箱を抱えていた…、まさか…。

 

「ねぇ、志郎?」

 

「な、なんだ、里香…(汗)」

 

妙にドスの利いた里香の声に志郎君はたじろぐ。教室内の空気が僅かに凍りつく。

 

「その手に持っている(・・・)はなに…?」

 

「いや、これは、その……」

 

「な・ん・な・の?」

 

「すいません、貰いました」

 

彼女の圧力に負けた彼はすぐさま頭を下げて白状した。

 

「どこで?」

 

「登校中に、近くの高校の制服を着た女子2人と、下駄箱の中に3つ…」

 

「ふ~ん……」

 

に、逃げたい!? だけど逃げられない!?

クラスメイトのみんなも一向に動こうとせず、教室に来た生徒も固まってしまう。

 

「志郎、あたしは貴方のなに?」

 

「か、彼女です…」

 

「それじゃあ、それはなに?」

 

「バレンタインプレゼント、です…」

 

「……言い訳は?」

 

「あ、ありません…」

 

あは、あははは……怖いよ、誰か助けて…。そう思ったその時、志郎君が動いた。

手に持っていた箱と自分の鞄を机の上に置くと、里香の鞄を奪って教室から駆け出した。

 

「はっはっはっはっはっ! 三十六計、逃げるに如かず!」

 

「あ、こら!? 待ちなさーーーい!!!」

 

里香は逃げる志郎君を追いかけていった……あれ?

なんで志郎君は里香の鞄を………あ、そういうこと♪

わたしは志郎君の意図を察した、2人共1コマ目に間に合うかなぁ?

もしかしたら何コマかサボることになるかもね、先生にはなんとか誤魔化しとこ。

そういえば……志郎君、貰ったんだよね?

ということは和人くんも……ま、まさかね、あ、あは、あははは…。

あとで和人くんに聞いてみよう…。

そう思いつつも、わたしの心は気が気でなかった。

 

 

ちなみに里香と志郎くんは1コマ目が終わった後に教室に戻ってきた。

志郎君は満足気で、里香は顔を真っ赤にしていた。

 

 

 

 

2コマ目が終わったあとの休み時間、やはり気になったわたしは和人くんの教室へと向かうことにした。

廊下を歩いて階段へと曲がろうとした時、聞き慣れた声を聞いた。

和人くんの声だ、それと興田君に村越君…。わたしは思わず影に身を隠してしまった。

 

「なぁ、カズ。もらったチョコどうするんだよ?」

 

「どうするも何も、名前も無しに下駄箱と机の中に入れられていたんじゃ返そうにも返せないだろ」

 

興田君の言葉に答える和人くん、やっぱり貰ってたんだ…。

 

「じゃあどうするんだよ?」

 

「それなんだよ…。捨てるわけにもいかないし、かといって誰かにあげるのも悪いだろ?

 作ってくれた人のことを考えるとさ…」

 

和人くんはやっぱり優しいな……でも、わたしが知らない子から貰ったものなら、いっそのことすて……っ!?

わたし、何を考えた? 捨ててくれた方がいい、そう考えた。

知らない子とはいえ、和人くんを想ってその子が作ってくれたものを……捨てて、と…。

わたしはその暗い感情を胸の奥に秘めて、その場を急いで離れた。

 

「…明日奈?」

 

 

 

教室に戻ったわたしを見て、里香と志郎君は心配してくれた。

ただ、なんでもないとだけ答えて、里香に友チョコを、志郎君にクッキーを渡した。

それから授業が始まったけれど、わたしの黒いモヤモヤは晴れないままだった。

 

 

 

お昼休みになり、わたしは和人くんと会うのが気まずかった。

だけどわたしを待ってくれている彼を待たせたくなかったので、足早にいつもの中庭へと向かった。

それが悪かったのかもしれない……中庭には、彼と1人の見慣れない女の子がいた。

わたしは再び陰に隠れてその様子を見守った。

女の子は小さな包みを和人くんに渡し、何かを伝えているようだ。

しかし、和人くんは包みを返してその子に何かを言った。

女の子は包みを握り締めて顔を俯かせてから、走り去っていった。

それを見計らってわたしは姿をみせた。

 

「和人くん、待ったかな?」

 

「明日奈か。いや、大丈夫だよ」

 

出来るだけいつもの声音を保って言い、彼も優しげな表情で答えてくれた。

わたしは胸が締め付けられる感じがした。

さっきのことを見てしまったからかもしれない、だから…。

 

「その、わたしちょっと用事があるの。だからお弁当食べてもらえる?」

 

「それは構わないけど、手伝おうか?」

 

「平気だよ、だから和人くんはゆっくり食べて」

 

「あ、ああ、分かった…」

 

「ごめんね、それじゃあ…」

 

わたしは彼にお弁当を無理矢理押しつけてからこの場を離れた。その為…、

 

「明日奈…」

 

彼が寂しく、悲しそうにそう呟いたことに気付けなかった…。

 

 

 

 

一度教室に戻ったわたしはこの学校に通っている中で、

今日チョコやクッキーを渡す人達にそれらを渡して回ったのだけれど、

景一君と烈弥君、刻君はわたしの様子に気づき、声を掛けてくれた。

とにかく大丈夫だと答えてから、わたしはカフェテリアの隅で1人お弁当を食べた。

いつもならば「美味しい」と声を掛けてくれる彼はいない。

それでもちゃんと全部食べ終えてからカフェテリアから出た時だった。

 

「あの…」

 

1人の女の子に声を掛けられた。

 

「っ……なにかな?」

 

その子は……先程和人くんにチョコを渡そうとしていたと思われる女の子だった。

 

「どうして、貴女なんですか…?」

 

「え…?」

 

小さく、だけどどこか念の篭った声で喋る彼女。

 

「貴女がいなければ、桐ヶ谷先輩は私のチョコを受け取ってくれました!

 だけど、貴女がいるから、貰ってくれませんでした!

 なんで、なんで貴女があの人の隣にいるんですか!」

 

わたしは、ただ黙って聞いていた。彼女の言葉は、多分彼を想う子の言葉だと思うから…。

 

「美人だからって、勉強が出来るからって、ゲームが強いからって、お金持ちだからって!

 そんな理由で、あの人の隣に立たないでください!」

 

そう言って彼女は走り去って行った。わたしは立ち尽くしたままだった。

別にわたし自身、彼女が述べたことが正しいとは思っていない。

彼にとっては、美も、知も、力も、金も、そんなものはどうでもいいはずだから。

ただ周りからみれば、彼とわたしのことを知らない人からみれば、そう思われても仕方がないのかもしれない。

現にその4つをわたしは持ってしまったのだから。

だけどもし、彼の隣に立っているのが別の女性だったならば、

わたしはさっきの子と同じことをもしも(・・・)の人に言っていたかもしれない。

だからわたしは………言葉にもせずに、残りの授業を受ける為に教室へと戻った。

 

 

 

「……………」

 

明日奈Side Out

 

 

 

 

No Side

 

少女は少しばかり満足していた、言いたいことは言ってやったと。

自分に足りない物を全て持ち、好きになったあの人まで手にしている女へ、

あれくらい言えば彼女も少しはあの人から離れるようになるだろう、そう考えた。

別に罪悪感がないわけではない。

でも、それでも、あの人を想う気持ちでは誰にも負けないと、少女は自負……いや、慢心していた。

だからこそ、彼の登場に驚いた。

 

「こんにちは…」

 

「っ!? き、桐ヶ谷先輩…!」

 

現れたのは、少女が意中に想う少年だった。

驚いた少女はすぐに佇まいを直そうとしたが………出来なかった。

 

「ひっ……」

 

当たり前である。

自分が想っていた少年から向けられる圧倒的な威圧感、それに呑まれた彼女は身動きが取れなくなった。

以前少女は、あのSAOで同じ感覚に呑まれたことがあった、それは………死。

モンスターに殺されそうになった、あの恐怖とまったく同じである。

殺される、少女は目の前の少年に殺されると感じ取ったのだ。

 

「まずは謝ろうか、受け取らなくて悪かったな…」

 

「あ、い、いえ…」

 

少女は発することが出来るのは僅かな言葉だけ。

 

「それで……俺に何か言うことはないか?」

 

「な、なん、の…こと、で…「惚けるなよ、小娘」ひぃ…」

 

殺気をまき散らす和人。

彼の尋常ではないそれを受けても気絶しないのは、

彼がまだ手を抜いているからであるが、少女がそんなことを知る由もない。

 

「俺の全て(・・・)とも言える1人の人にアレだけのことを言ったんだ。それ相応の覚悟は見せられるんだよな…?」

 

「っ、み、見て…いたん、です…か…?」

 

「ああ、見ていた、全て…。まったく、自分が原因でありながら情けない。

 今日の彼女の様子がおかしかったのは紛れもなく俺の責任だ。

 だがな、小娘……お前が彼女に掛けた言葉は間違いだ」

 

動けずに呆然と廊下の中央で立ち尽くす少女の周りを、彼は歩き周りながら言葉にする。

 

「まず俺は、明日奈の美、知、力、金には一切興味など無い。

 俺が彼女を好きなのは明日奈が明日奈であるからだ。

 俺が明日奈を想い、明日奈が俺を想う、ただそれだけ故だ」

 

「で、でも…わ、私、だって…あ、貴方の……こと、を…」

 

語る彼に自身の想いをなんとか言葉にしようとする少女。

 

「そうか……ならキミは、俺が散れ(死ね)と言えば散る(死ぬ)か?」

 

「ぇ…?」

 

和人の言葉は、冷酷。少女はその一言に凍りつく……が、答える。

 

「も、もちろん…あ、貴方が、望む、なら…」

 

「はぁ、ハズレだな。ちなみに明日奈の答えは『No』だ、何故か分かるか?

 彼女が死ねば俺は生きていられない、それを彼女は知っている。

 そして俺が死ねば、明日奈も生きていられない。それほどまでに、俺達は互いに依存している」

 

異常だ、この男は…。そう考える少女の中には、最早和人に対する恋慕などない。

 

「もう1つ聞いてみよう。俺が死んだ時、キミは俺の後を追って死ねるか?

 ちなみにSAO解放後のALO事件へ移行した直後だが、俺の生存を知らなかった明日奈は自殺を図ろうとしたそうだ」

 

「っ!?」

 

驚愕する少女。彼女は、自分ではそこまで出来たかと考え、不可能だと思い至る。

 

「わかるだろう? キミが俺に対して持つ想いでは決して明日奈には届かない。

 そして、俺の明日奈への想いが覆ることも決してない。

 それに、俺の隣に立つということは生半可なことじゃない……命を狙われるからな…」

 

「え……」

 

「現実世界に戻ってきた犯罪(オレンジ)殺人(レッド)の数は計り知れないってことさ…。

 俺みたいな奴じゃなく、もっと普通の恋をしな……それと、明日奈には謝ってくれよ…」

 

平然と重く、そして厳しい現実を話す和人に少女は言葉にする気力もなくなった。

そして和人はこの場から離れていった。

 

No Side Out

 

 

 

 

明日奈Side

 

5コマ目の授業が終わった時、わたしに会いたいという人が来た為にその人の顔を見て驚いた、さっきの女の子だった。

顔色が少々優れない様子だけれど、すっきりとした表情をみせている。

わたし達は廊下で話すことになった。

 

「あの、さっきはすいませんでした…。私、勝手な事ばかり言って…。

 先輩達のこと、何も知らないで…、あんなことを…」

 

「あ、や、そんな…」

 

俯きがちに謝ってきた女の子、わたしはさっきのやり取りとの違いに狼狽えてしまう。

 

「わたし、なんて言ったらいいか…」

 

「何も、言わなくていいです…。ただ、私が桐ヶ谷先輩のことを好きだった(・・・)ということだけですから」

 

その言葉で分かった、彼女は和人くんのことを諦めている。

どんな経緯があったのかは知らないけれど…。

 

「本当にすいませんでした。失礼します…」

 

「うん…」

 

最後に頭を下げて、わたしが頷くと彼女は去って行った。

少しだけ軽くなった心のまま、最後の授業を受けた。

でもわたしの心には彼が見知らぬ子からもらった贈り物のことが残っていた。

 

 

 

6コマ目の最後の授業が終わった。

学校では会えないシノのんには景一君に渡してもらい、

公輝さん、雫さん、奏さん、遼太郎さん、アンドリューさんにはそちらの方に用事がある里香と志郎君にお願いした。

わたしはそそくさと鞄に荷物を纏めた、鞄の中には和人くんへのチョコレートが残っている。

それに一瞥してから鞄を閉めて手に持ち、1人帰ろうと教室を出たところに……、

 

「ようやく終わったみたいだな…」

 

「っ、かずと、くん…」

 

彼がいた。不意を突かれてしまい、彼はすぐさまわたしに近づくと手を取ってそのまま歩き出した。

無理矢理連れていかれる形になり、しかし抵抗は出来なかった。

 

 

 

 

連れていかれたのは普段ならば誰も入る事が出来ないはずの屋上だった。

彼はポケットから鍵を取り出すとそれを屋上の鍵穴に差し込み、扉を開けてわたしを連れ込んだ。

何故屋上の鍵を持っているのか聞いてみると「これでも優等生扱いらしいからな」とのこと。

そしてまた鍵を閉めた………え?

 

「な、なんで鍵を閉めるの?」

 

「いや、明日奈が逃げないように」

 

事もなげにあっさりと答える和人くん。

すると彼は自分の鞄を開けて中から包みを取り出した。

小さな箱が綺麗にラッピングされており、小さな1枚のカードもついている。

そして一輪の赤い薔薇を取り出して…、

 

「はい、明日奈。バレンタインプレゼント」

 

「ぇ……」

 

それらをわたしに渡してきた。

 

「これ、わたしに?」

 

「だから渡しているんだけど、いらない?」

 

「いる!」

 

つい反応してしまい、即座に全てを受け取った。

 

「昨日スグが刻に送るプレゼントのチョコを作っていたから、俺も一緒に明日奈に渡す分を作ったんだ。

 あとはカードと気障かもしれないけど、赤い薔薇でな」

 

そうだった、バレンタインは元々男性から女性に何かをしてあげる日でもあるのだ。

カードには『From Your Valentine』と書かれていて、意味は『あなたの恋人より』///

そして赤い薔薇の花言葉は『情熱・愛情・あなたを愛します・熱烈な恋』…///

 

「ぁ、ありがとう…//////」

 

「喜んでもらえて良かったよ」

 

穏やかな表情で和人くん、それならわたしもちゃんと渡さないとね…。

わたしも鞄を開けてからラッピングした包みを取り出した。

 

「はい、和人くん。これはわたしから」

 

「ありがとう、明日奈」

 

彼は満面の笑顔で受け取ってくれた……なんだ、最初からこうすればよかったんだ…。

そう思ったら、涙が流れてきた。

 

「明日奈、どうしたんだ?」

 

「(ぐす)な、なんでも…ない、の…。ごめ、ん…(ぎゅっ)かずと、くん?」

 

彼に優しく抱き締められた。

 

「俺のせいだな…。最初に明日奈からもらえば良かった。

 周りにも、下手に優しくしない方がいいのかもな…。キミに、寂しい思いをさせた…」

 

和人くんは気付いていたんだ…、今日のわたしの様子に。

 

「そんなことないよ。わたしが、貴方に頼れば良かったのに…1人で抱え込んじゃった。

 嫉妬の1つでもぶつけてれば、こんな……暗い、感情…」

 

「明日奈…」

 

そうだ、嫉妬したから、すぐに彼に甘えれば良かったのだ。

それを1人で抱え込んで、周りにも心配を掛けて……それがこの有り様である。

そんなことを考えていると、彼がわたしの体を離してから、

わたしが渡した包みのラッピングを綺麗に解いて箱を開けた。

それを屋上の床に置くと、わたしをお姫様抱っこしてから座り込んだ。

わたしは彼の膝の上に座る形になっている。

 

「あ、あの、和人、くん…//////?」

 

「ん、なぁに?」

 

これは……駄目だ。わたしは既に支配されている、絶対的な彼の支配だ。

わたしを狂わせる甘美な声色、優しげな声音、吸い寄せられるような漆黒の瞳、凛とした顔、甘い吐息、

抜け出せない、彼の腕の中に居る限りは…。

和人くんはガナッシュチョコを1つ摘まむと自分の口に放り込み、そして……、

 

「んむ/////////!?」

 

わたしに口付けてきた。甘い、チョコレートの味と彼の味がする。

わたしの口の中に流し込まれたチョコを飲み干そうとしたその時、

 

「ん/////////!? ん、んんん/////////!?」

 

彼がわたしの口の中にあるチョコを吸い出した。

途端に呼吸が難しくなり、口を離された瞬間に大きく息を吸い込んだ。

 

「んはぁ、はぁ、はぁ………い、いきなり、なにを…/////////」

 

「なにって、明日奈に貰ったチョコレートを明日奈味にしたかっただけなんだけど」

 

真っ赤になり、息を整えてからからに抗議したけれど、意地悪な笑顔でそんなことを言った。

さらに彼は続ける。

 

「じゃ、もう1回「ま、待って//////!」なんで?」

 

「わ、わたしがするから…/////////」

 

「それは魅力的な提案で…」

 

さっきのようにされてはわたしの身が持たないので、せめて自分からしてなんとか呼吸を乱さないようにしないと…。

わたしはミルクチョコを摘まんでから自分の口に入れて、彼と唇を重ねた。

 

「はん、ん…んぅ……/////////」

 

「ん、ちゅ、んむ…」

 

そして再び離す。これは……これ以上は…。

 

「かず、と…くん……///////// つづき、ばしょ…かえて……/////////」

 

「ああ、お姫様の望むままに…」

 

これ以上の媚薬(チョコ)の摂取に我慢出来なくなったわたしは自分から言葉にし、

彼は場を支配しながらも優しい笑顔で応え、わたし達は屋上と学校を後にした…。

そのあとはホテルで………言うまでもない/////////

 

 

 

ちなみに和人くんが貰ったというチョコレートは全部アルゴさんの情報により相手が判明したものの、

和人くんは返すのもアレだからということで、わたしの口移しで全てを食べた/////////

わたし達の夜は長い/////////

ん? 和人くんから貰ったチョコレート? 凄く美味しかったです/////////♪

 

明日奈Side Out

 

 

 

END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

明日奈のギャグっぽいチョコ&クッキー作りから始まり、

志郎と里香の喜劇、和人がチョコを貰ったことと告白されたことによる明日奈の嫉妬、

何も知らない後輩からの妬み、

和人の怒り、そして最後はキリアスらしく超甘々で終わらせました。

いや~、書いていて面白かったですw

では今回もこの辺で・・・。

リア充爆発しろぉ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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