いつもより暖かい布団の中で目を覚ました日本は雨戸の隙間から差し込む日の光に小さくまたたきをした。
まだ7時。
今日の予定を考えれば時間的にはまだまだ余裕がある。
どうしようかと考えながら寝返りをうとうとすると、太い腕に阻まれて僅かに身じろぎしただけに終わってしまった。
「ドイツさん、朝ごはんを作らないと」
話しかけたものの、腕の主はまだ眠っているようだ。
寝顔が見たくなって夕べの無体で軋む体をなんとか動かして顔を覗き込む。
ドイツのいつもならきつく寄せられた眉が穏やかにゆるんでいる。前髪をおろしていることもあってとても幼くみえ、ついくつりと笑ってしまった。
「ふふ、かわいいです」
ついそうつぶやいて眉間を撫でようと手を伸ばす。
と、その腕を寝ていたはずの相手に掴まれてしまった。
「わっ、お、起きてらしたんですかっ」
「今目が覚めた」
低い声は眠そうにかすれていて、本当に今起きたところらしい。
「お、おはようございます」
「まだ早くないか?」
「いや、もう7時です」
腕を掴んだまま視線を巡らせて時計を確認するドイツ。
「今日は予定はないだろう?」
「夕方からパーティーですよ」
主役が遅れるわけには、と起きようとするが、ドイツは日本をしっかりと抱き込んで放す様子がない。
「ならまだ大丈夫だな」
「ドイツさんっ」
日本がばたばたともがくがあっけなくのしかかられて真上から顔を覗きこまれた。
「日本」
「はい」
まっすぐ見下ろしてくる瞳が妙に気恥ずかしくて、日本はふいと目をそらした。
小さく笑った気配のあとすぐに耳元に唇がよせられて日本が小さく身をすくめる。
「Alles Gute zum Geburtstag」
「ひゃっ」
大きく首をすくめた日本をみて、ドイツが日本の項に顔をうずめてくつくつと肩を震わせて笑う。
「あ、貴方!ご自分の声がどんなだか分かってやってるんでしょう!」
恥ずかしくて真っ赤になりながら抗議する日本は、仕返しにとばかりにまだ整髪料のついていないやわらかい金髪をくしゃくしゃとかきまぜる。
「ああ、すまん。俺の声がどうかはわからんがお前の反応がかわいすぎた」
まだ笑っているドイツはいつになく表情がやわらかくて、日本はやはり直視できずに拗ねたように目をそらした。
ひとしきり笑ったあと、ドイツは日本の前髪を指先でなで額にくちづけてもう一度。
「誕生日、おめでとう、日本」
「ありがとうございます」
小さく笑って見上げる日本は照れているようで頬が赤い。
「世界で一番最初に言えたのが俺でよかった」
「おやまあ」
日本は子供のような独占欲におかしそうにわらうと、掴まれた腕をほどいてドイツの首に腕をまわす。
「私も、貴方にいっとう最初に言っていただけて嬉しいです」
そう囁くように言うと照れを隠すように頬にくちづけた。
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いちゃいちゃ独日。