拠点:江里香、理奈
「理奈、豹変!?」
一刀が仕事中の時のことであった。理奈の部屋の前を通りすぎようとしたとき、
「ふふふ、そうですか」
「はい、そうなんです」
その部屋で何やら二人の女性が話し合っている声が聞こえた。
(この声は……江里香さんと理奈様か?)
二人が同じ部屋で話し合っているのはこれが初めてではなかった。今回以外でも何度かその様子を見かけたり
二人の話し声が聞いていた。
(一体何を話しているんだろう?)
何度も同じような場面に出くわしているため、流石に一刀は気になって来た。そうなった以上は知りたくなっ
て来るものである。
(聞き耳は良くないかも知れないけど……)
多少の後ろめたさを感じつつも扉に耳を近づける。だが……
「そんなに気になるのなら入ってきたらどう?、一刀」
「え!?、一刀様!?」
不意に扉の向こうから自分に向けられた言葉が聞こえる。
(うわ、気付かれた……流石理奈様……)
一刀は気付かれた事に驚きつつ、ばつの悪そうな表情をしながら部屋に入る。
「すいません……何か気になってしまって」
「別にいいわ、やましいことを話していたわけではないのだから」
「……」
理奈は特に問題にはしていないようだったが江里香は顔を赤くしてしまった。
(不味かったかな?)
その江里香の様子を見ると一刀はそう思ってしまうのだが、それがかえって気になってしまい彼は理奈にきい
てしまう。
「えっと、一体何を話されたのです」
「軍略に関することよ」
「そ、そうなんです!!」
理奈は普通に答えるに対して江里香はあわてる様子で答えた。内容はと言うと、例えばどのような地形かを指
定した後その地形で攻めるならばどうするか?、どう守るのか?、奇襲を受けたらどう対応するか?……その意
見を互いに言いあっていたらしい。
(地形を指定してってところは江里香さんらしいな)
そう思いながら一刀は二人の話を聞いていた。
「軍略の話の後、一刀の話をしていたの」
「え、俺のですか?」
「!!」
自分の事が話になっていたことに一刀は少なからず驚いた。一方、江里香はビクっと身体が反応していた。
「一刀は本当に素晴らしい御方でお慕いできるとのこと」
「!!」
江里香は顔を真っ赤にしてしまい……
「きゅぅ~」
気絶してしまった。
「あらあら、随分初心なのね」
その様子を見て理奈は口に手を添えながらそう言った。
「ちょ、大丈夫!?、江里香さん」
一刀はというと気絶した江里香にあわてて声を掛けている。
(あら?、照れていないっというはさっきの言葉の意味を理解していない?……これはお互いに苦労しそうねぇ
江里香……)
理奈がそんなことを思っていた時である、
「理奈様!、先日注文された物が届けられました」
部屋の外で家臣の言葉が聞こえた。
「あら、では見せていただけるかしら……」
その家臣ははっと言いながら部屋の前で買い付けた物を見せる。
――見た後彼女は値段を聞く……すると身体をわなわなと振るえさせる。
「何!! これは!! 明らかに値段が高いわよ!!」
普段の彼女からは考えられないほどに怒鳴る。家臣はひっ、と思わず口にし怯えた。長身で美しい顔立ち故さ
らに怒りの表情に恐怖を感じるようであった。
(あ~、そういえば理奈様って……)
一刀は理奈のもう一つの顔を今思い出す。
「その店に案内なさい!!事と次第じゃその店……ただじゃおかないわ!!」
「は、はい!!」
理奈は家臣に案内され部屋から姿を消した。
「あの、理奈様は一体……」
いつの間にか気が付いた江里香は彼女の豹変に戸惑っていた。
「理奈様はお金関連にうるさいことがあるんだよ……さっきのは届いた商品の品質に比べて値段が高いから納得
できず、その商品の店に乗り込むつもりだ……」
「そ、そうですか……」
――しばらくしてその店は少し前に手を抜いて商品を作り、値段の変えずそのまま売り出していたとの事。
理奈はこれを詐欺だと断定、その店は当日のうちに閉店したと言う。
あとがき
どんなやり取りがあったかはこちらも想像にお任せします。
次は闇那の拠点といきたいと思います。
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出来たので投稿。
この二人はセットでの拠点となっています。