No.536345

真・金姫†無双 #16

一郎太さん

そんなこんなで、#16。

今回もギャグに走りたかった(過去形

どぞ。

2013-01-26 18:58:12 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:9615   閲覧ユーザー数:7152

 

 

 

#16

 

 

「――――まったく、それならそうと、早く言えばよいものを」

「いいじゃない、愛紗ちゃん。朱里ちゃんのお友達も無事だったんだし」

 

状況を理解した劉備は微笑み、関羽は溜息を吐いている。

 

「それじゃ、朱里ちゃんは劉備さんの軍師をしてるんだ」

「うん。雛里ちゃんも、仕える主を見つけたんだね」

「うん」

 

朱里と雛里は、腰を下ろして近況を伝え合っている。倒れたままの俺の背中に座って、だ。

 

「あら、一刀。何してるの?そういう趣味?」

「違う……」

 

そこに、7人目の役者。雪蓮だ。

 

「あ、雪蓮様…」

「雛里も変わった趣向があるのね」

「あわわっ!?」

 

それはもういから。

 

「それで、そっちの娘たちは?」

 

雪蓮に話を振られ、ようやく2匹の幼女は俺の背から立ち上がった。

 

「あの、紹介します。以前話した、離れ離れになっちゃった諸葛孔明ちゃんです。朱里ちゃん、この人が、孫策様。私は今ね、孫策様に仕えてるの」

「あのあの、劉備軍で軍師をしてる諸葛亮でしゅ!それで、こちらが劉備様と、関羽さんでしゅ!はわわっ、2回も噛んじゃった……」

「落ち着きなさい、孔明」

「はわっ!?」

 

狼狽える様子は雛里のそれとまったく同じで、双子ではないかと錯覚するほどだ。雪蓮もその錯覚を得てしまったのか、孔明の頭を、雛里にするようにぽむぽむと撫でる。

 

 

 

 

 

 

ある程度孔明の頭を堪能すると、雪蓮は様子を見ていた劉備たちに視線を向けた。

 

「貴女が劉備ね。噂は聞いてるわ。義勇軍なのに、次々と黄巾の賊を討伐してるって」

「あ、はいっ!はじめまして!」

「おそらく黄巾党は、今回の戦でおしまいよ。これを機に、領地を貰えるといいわね」

「へっ?あ、えと、その…頑張ります!」

 

人の上に立つ者の先達としてか、雪蓮は劉備に何やらアドバイスのようなものを送る。劉備は苦笑し、雪蓮は、今度は関羽に向き直った。

 

「で、貴女が関羽?」

「お見知りおきを」

「貴女……強いわね」

「そういう孫策殿こそ」

「ありがと。でも、うちの北郷には敵わないわよ?」

「えっ?」

 

えっ?

 

「孫策殿、不躾だが…その北郷という者は貴女よりも強いのであろうか?」

「えぇ。手も足も出ないの」

 

いや、何言ってんの?

 

「そうか…いつか、手合せを願いたいものだ」

「そうね。この戦いが終わって、そっちも状況が落ち着いたら1度くらい遊びにきなさい。紹介するわよ?」

「あぁ、その時は是非」

「待て待て待て、なに勝手にハードル上げぶべふぁっ!?」

「はーい、一刀は黙ってましょうねー」

 

ツッコミを入れようとした俺の顔を、雪蓮が容赦なく踏みつぶす。下着(パンツ)が見えた。あぁ、穿いてたんだ。

 

「ごぶっ!?」

「いま失礼な事考えたでしょ?」

「……ずびばぜん」

 

あー、口の中に鉄の味が充満してるー。

 

「もっと話したいところだけど、貴女達もそろそろ戻らないといけないんじゃない?」

「あっ、そうですね!孫策さん、頑張りましょう!」

「えぇ」

 

奥歯もグラついてるー。

 

「それじゃぁ、雛里ちゃん」

「うん」

「私達、進む道は違えちゃったけど、頑張ろうね」

「うん、朱里ちゃんも気をつけてね」

 

幼女たちは涙目で互いの無事と健闘を祈り合う。和やかな光景だ。

 

……俺の視界は若干赤に染まっているが。

 

 

 

 

 

 

劉備たちを見送り、俺はようやく雪蓮の脚から解放された。

 

「あ゙ー、痛かった。なんで俺踏まれたんだよ?」

 

隣に立つ雪蓮に問う。

 

「ずっと見てたわよ。一刀の所為で、関羽すごい怒ってたじゃない」

「そうか?」

「そうですよぅ……」

 

おっと、亞莎たんは強い者の味方のようだ。

 

「違っ!?」

「なんとなくなんだけど、劉備とは長い付き合いになりそうなのよねー」

「なんとなくなんだ」

「えぇ。私の勘は当たるわよ?」

 

知ってる。厳重に隠していた酒を見つけられた時の驚愕と困惑といったら、忘れられないくらいだ。

 

「その時にでも、相手してあげなさいな」

「俺に死ねと?」

「あら、私が関羽よりも弱いとでも言うつもり?」

「……」

「ま、頑張ってね」

 

おぅまいがっ。

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで、ようやく状況が動き出しました。真っ先に突撃をかましたのは、袁紹。何が理由かはわからないが、兎にも角にも、これから戦が始まる。

 

「公瑾よ、まだか?」

「まだです。袁紹は、我々から見て砦の反対側。もっと奴らが出て来るまで待ってください」

「ふむ…」

 

バトルマニアの祭ねーさんは、早くも出陣したそうだが、冥琳に諌められて待機を続ける。

 

「アイツらが終わらせてくれるなら、それに越した事はないんだけどな」

「ダメよ、一刀。穏も言ってたでしょ。軍功と風評が必要だって」

「へーい」

 

待てと言われたので戦の様子を遠くに眺めて入れば、また別の軍が動き出した。

 

「『曹』……アレって、曹操?」

「あぁ。そしておそらくだが、袁紹を焚きつけたのは曹操だろう」

「なんで分かるんですか、冥琳様?」

 

亞莎が手を挙げた。その細い二の腕を触りたい。

 

「はややっ!?」

「そういうのは帰ってからにしろ。問いへの返しだが、曹操の軍は、強靭かつ堅実な策を取る事で有名だ。いまだ少勢だが、いずれは大陸でも大きな存在となるだろう。……それはいい。そのような性質を持つ曹操の軍が、他所が動いたからと自分たちも功を焦る筈もない」

 

へー、曹操って凄ぇんだな。ってか、曹操も女なのかな。

 

「袁紹の軍は、この中でも最大の兵数を誇る。そこが動けば、黄巾党も大軍を割かなければなるまい。袁紹のところに敵を惹きつけ、その隙に何かをするのだろう。雛里も同意見だろう?」

「はい、おそらくは火計かと」

「ふーん」

 

じゃぁ、うちはいつ動くんだ?

 

「いま雛里が言った通り、砦に火が上がったらだ。そろそろ曹操も仕掛ける頃合いだろう。雪蓮、出陣の準備だ」

「はーい」

「待っておったぞ!」

 

雪蓮ちゃんと祭ねーさんは、冥琳の指示によって自部隊へと向かう。頑張れー。

 

「お前もだ」

「痛てててててっ!?」

 

耳を引っ張られてた。

 

 

 

 

 

 

雪蓮は中央、祭ねーさんは雪蓮の副官的な立ち位置。俺と亞莎は遊撃な感じで荒らして来いと言われた。俺のフットワークの軽さをよく分かっているじゃねーか。

 

「あ、城に火がついた」

「雪蓮様が動き出しました、一刀さん!」

 

亞莎の言葉に、砦から中央に目を向ければ、雪蓮を先頭に部隊が突撃していた。

 

「おーおー、雪蓮ちゃんはカッコいいね。1人で飛び出してるよ」

「冥琳様、たぶん怒ってますね……」

 

真面目な娘だもんな。

 

「さて、俺らはどうする?」

「あ、はい。私達は遊撃ですので、基本的には敵の薄いところを突くか、弱った部分を潰していきます。そうですね……雪蓮様が止まって戦い始めたら、その少し前方に向かいましょう。敵の中腹を穿ちます」

「かしこかしこまりましたかしこー」

「お店じゃないですよ、もぅ……」

 

雛里んには劣るが、亞莎だって勉強してるんだ。作戦は亞莎に任せるぜ。

 

「一刀さんは実地派ですもんね。雪蓮様みたいに」

「アレと一緒にされるのはちょっと……」

「あとで言っておきます」

「やめて?」

 

亞莎も強かになったもんだ。

 

 

 

 

 

 

そんな感じで待機していれば、雪蓮が止まったらしい。先ほどまで敵が弾き飛ばされていた軌跡が、1か所に留まっている。

 

「じゃ、行くか」

「はい」

 

亞莎の許可も出たので、俺は部隊の兵たちに向き直った。

 

「いいかてめぇら!俺達の仕事は、敵を散らす事だ。我らが王の道を作ることだ!絶対に脚を止めんじゃねぇ!黄巾の奴らを斬り捨て、ひたすら俺について来やがれ!!」

「「「「「応っ!!」」」」」

 

威勢のよい返事に頷き、俺は彼らに背を向ける。見据えるは、ひと際大きく血しぶきが舞う敵中央。

 

「突撃ぃぃいいいいいい!!!」

 

さぁ、お仕事の時間だ。

 

 

 

 

 

 

敵の横っ腹をぶち抜きながら駆けていれば、雪蓮と祭ねーさんに出くわした。弓を使うねーさんはともかく、雪蓮は敵の返り血を浴びて、服も普段以上に紅くなっている。怖い。

 

「あ、一刀だ」

「相変わらず凄いな、雪蓮ちゃんは」

「一刀に褒められた!なにヤダ照れる!もっと褒めて!」

「あの、台詞とは裏腹に眼が怖いんで、あんま近寄らないでくれますか?」

「一刀に嫌われた!なにヤダ悲しい!嫌わないで!?」

 

台詞を使い回すな。

 

「まぁ、いい。俺達はまたどっかに突撃かましてくるんだが、何処に道を作って欲しい?」

「何度も言うけれど、私達が欲しいのは軍功と風評。当然、張角の首級を上げれば、それも凄いものになるでしょうね」

「じゃ、砦に向けてだな」

「えぇ、よろしく」

「あいよー」

 

普通に会話を行なってはいるが、実際には戦いながらだ。雪蓮ちゃんがひとつ剣を振るえば敵の武器を弾き飛ばし、もうひとつ振るえば首が弾け飛ぶ。俺なんかクナイ2本だぜ?いや、まだあるけど、投げるのは勿体ないし。

 

「そうそう、一刀」

「ん?」

 

部隊をまとめて走り出そうとしたら、雪蓮に呼び止められた。

 

「たぶん他の諸侯も同じ事を考えてるわ。時間的に私が行けなさそうなら、貴方が()っちゃっていいから」

「そしたら給料弾んでくれる?」

「えぇ、3倍出してあげる」

「マジか!」

 

俄然やる気になってきましたよ、コレ。

 

「一刀さん、部隊を再編制しました!」

「よくやった、亞莎!今夜はれっつぱーりぃだ!

 聞け!これより北郷隊は敵本陣に吶喊をかける!砦まで突っ走れごるぁああああ!!」

「「「「「応っ!!!」」」」

 

さぁ、総仕上げと参りますぜ。

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

という訳で、#16でした。

 

 

あー……ダメだ、あとがきすら思い浮かばねー。

 

 

ではまた次回。

 

 

バイバイ。

 

 

 


 
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