No.536211

SAO~黒戦After story~ EP5 神城烈弥と竜使いだった少女

本郷 刃さん

EP5です。
ヴァルとシリカのお話しになります。

どうぞ・・・。

2013-01-26 09:45:56 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:14517   閲覧ユーザー数:13272

 

 

 

 

 

 

 

 

 

EP5 神城烈弥と竜使いだった少女

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

烈弥(ヴァル)Side

 

明日奈さんが車で和人さんのいる病院へと向かっていってすぐ、

僕は志郎(ハクヤ)さんと景一(ハジメ)さんと別れてタクシーに乗り、目的の場所へと向かった。

タクシーは進み目的の場所に辿り着いた。

そこは病院、僕が入院(外出許可済み)するところとは別の場所だ。

ここに、キミ(・・・)がいるんだね。

 

「いま行くからね…」

 

そう呟いてから病院の中へと足を踏み入れた。

途中で購入しておいた小さな花束を持って、

ナースステーションで看護婦さんに付いてきてくれるように頼むと、了承してくれた。

看護婦さんに案内されてある部屋の前へと辿り着いた。

今回のSAOの事件について調べていた、あの男性から聞いておいた彼女の名前がネームプレートに書かれている。

看護婦さんが扉をノックすると部屋の中へと共に入った。

 

「――ちゃん、お友達がお見舞いに来てくれてますよ」

 

看護婦さんがそう声を掛けた。

 

「まぁ、いらっしゃい」

 

「よく来てくれたね」

 

中には彼女の両親と思われる人達がいた。

他にも彼女と同じ年くらいの女の子や男の子がおり、僕は一礼してから彼女の前に姿を現した。

 

「ヴァ、ル…くん?」

 

彼女は呆然とした様子で僕のゲーム内での名前を呟いた。

僕は笑みを浮かべて彼女に話し掛ける。

 

「2週間ぶりだね、シリカ(・・・)。僕は、神城烈弥です…」

 

「あ、あたし、は…珪子、綾野珪子です♪」

 

彼女は涙を溜めながらも嬉しそうに答えた。僕とシリカ…いや、珪子は再会を果たした。

 

烈弥Side Out

 

 

 

珪子Side

 

あたし達が『ソードアート・オンライン』から解放されて2週間が経った。

目を覚ましたあたしの元に、すぐさま両親がやってきて、泣きながらも喜んで抱き締めてくれた。

現実に戻って来れたという喜び、お父さんとお母さんに会えた嬉しさ、

なによりも今まで溜まっていた不安が全て溢れ出て、あたしは両親に抱き締められながら泣き続けた。

そのまま眠りについてしまい、目が覚めたのは次の日の朝だった。

ずっとついていてくれた両親に甘えるも、そこにやってきた看護婦さんに容態のチェックをしてもらった。

筋肉が弱ったりしているので、リハビリは大変ということらしく、退院するのに1ヶ月は掛かると言われた。

だけど、あたしにはそれよりも気になっていることがあった…彼、ヴァル君の安否だ。

あたしは看護婦さんにヴァルというキャラネームを使っており、戻ってきた人の所在を尋ねたけれど、

情報の統制というのが行われていて教えてもらえなかった。

だけど、彼も帰ってきていると信じてあたしは療養とリハビリに励んだ。

そして今日12月25日、クリスマス。

朝から両親が来てくれたり、小学校時代の友達がお見舞いに来てくれたりしている。

そんな中、看護婦さんがお見舞いのお客さんを連れてきてくれた。

また小学校の時の友達かな?と思ったけれど、彼の登場にあたしの胸は大きく高鳴った。

 

「ヴァ、ル…くん?」

 

呆然として呟いた。

SAOで【黒き閃光】の異名を持ち、攻略組最強の一人、ユニークスキル《神速》を持って戦いを制してきた、

あたしの大好きな男の子、ヴァル君だった。

 

「2週間ぶりだね、シリカ。僕は、神城烈弥です…」

 

「あ、あたし、は…珪子、綾野珪子です♪」

 

涙を溜めながら、それでも笑顔を浮かべてあたしは自分の名前を伝えた。

 

珪子Side Out

 

 

 

烈弥Side

 

シリカ、珪子の名前を知って、僕は心の中で喜びを噛み締めた。

彼女とまた出会うことが出来て、そして知ることが出来たから。

まだまだ話したいことはたくさんあるけれど、まずは挨拶をしておかないとね。

 

「珪子さんの御両親ですね。初めまして、神城烈弥と申します」

 

「こ、これはご丁寧にどうも。父の颯太です」

 

「母の瞳子(とうこ)です」

 

颯太さんは僕の喋り方に少し恐縮し、瞳子さんはそれに続いて挨拶を返してくれた。

 

「珪子、礼儀正しい子じゃないか」

 

「ヴァル…違った、烈弥くんは武術をしてるからだよ。ね?」

 

「はい、師に礼儀を叩き込まれていますから…」

 

「まぁ、どおりで…」

 

珪子に訊ねた颯太さんに彼女が答え、僕が理由を述べると瞳子さんは納得していた。

 

「凄くカッコイイ子だね~」

 

「イケメンで礼儀正しくて強い。しかも、優しそうだよ」

 

「か、勝てるわけがない…」

 

「いや、まだそうだと決まったわけじゃあ…」

 

二人の女の子が僕への感想を喋り、男の子達がなにやら呟いているけど、

少し心に余裕があるのは内緒にしておこう。

 

「烈弥君。貴方、珪子に別の名前で呼ばれていたけど、もしかして貴方もSAOの…?」

 

「はい、僕もSAOから生還した一人です」

 

「ほ、本当かい!? それにしても、もう歩けるようになって…」

 

「そ、そういえば…!」

 

瞳子さんが僕に訊ねてきたのでそれに答えると、颯太さんは驚愕して目を見開き、

珪子も気が付いたようで驚いている。

 

「地獄のリハビリメニューをこなしたんです、珪子さんと会う為に…」

 

「れ、烈弥くん…//////」

 

僕が御両親にそう言うと珪子は顔を真っ赤にさせてしまった。

颯太さんは真剣な顔つきになり、何かを考えている。

すると、なにかに思い至ったようで声を上げた。

 

「烈弥君、キミはヴァルと呼ばれていたね。もしかしてキミが珪子の…?」

 

「はい」

 

おそらく珪子が僕との事を話したんだろう。でも、何を言われても僕は大丈夫だ。

SAOにいた時から、珪子を守り続けると誓ったから。そして颯太さんが言葉を放った。

 

「ありがとう、烈弥君。キミのお陰で珪子は無事に帰って来られた。本当にありがとう」

 

「ありがとうございます」

 

「あ、頭を上げてください!?」

 

颯太さんと瞳子さんがお礼を言いながら頭を下げてきたので思わず戸惑ってしまった。

 

「キミのことは全て(・・・)珪子から聞いている。だがそんなことは関係ない。

 キミが珪子を守り、僕達の元へ帰してくれた。お礼以外に言うことなんかないさ」

 

「これからも、珪子のこと……守ってもらえますか?」

 

お二人が僕を見つめながら真剣に言ってくれている。

珪子も、珪子の友達もあまりの出来事に沈黙している。そして僕は…、

 

「はい。必ず、守り抜いてみせます」

 

そう答えた。するとお二人は満面の笑顔を浮かべた。そっか、珪子の笑顔は御両親に似ているんだ。

 

「そうと決まれば、烈弥君……今日から僕のことは『お義父さん』と呼んでくれ」

 

「あら? なら私は『お義母さん』でお願いね♪」

 

「お、お父さんもお母さんも、な、何を/////////!?」

 

そんなことを口走るお二人に珪子が真っ赤になって声を上げた。

友達の女の子達は珪子を祝福しており、男の子達は床に跪いてorz状態になっている。ちょっと優越感に浸れた。

なお、騒がしさに看護婦さんから怒られたのは言うまでもない。

 

 

 

夕方になる頃に僕は自分の入院する病院へと戻ることにした。タクシーで戻るため入り口に来ている。

隣には車椅子に座った珪子と颯太さんと瞳子さんが居る。

 

「それじゃあ、また来るからね」

 

「うん。またね」

 

タクシーに僕が乗り込もうとした時…、

 

「烈弥君!」

 

「なに…ん//////!?」

 

「ん…//////」

 

珪子に呼び止められてそのままキスをされてしまった。

ほんの短いキスだったけれど、凄く嬉しかった。

ボーッとしたままタクシーに乗り込み、

タクシーの運転手さんに「若いねぇ~」とからかわれたのは、恥ずかしかった。

 

 

 

珪子(シリカ)は僕が絶対に守り抜く。

愛する彼女を守り抜く、自分が奪い、犠牲にした命を無駄にしない為にも…。

 

烈弥Side Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

はっはっはっ、今回はラブコメったぜwww

 

オリキャラとしてシリカの両親を登場させてみました。

 

しかもヴァルの過去(強盗に殺された家族)についてもシリカが喋っちゃいましたよ・・・。

 

あとはSAOでのこと(狩人のことは除く)も・・・。

 

けれどシリカがあんなに良い子ならば家族だって良い人達のはず!

 

というわけで、ああいうキャラになりましたw

 

あと今回のルビは最初だけにしました、烈弥1人でしたからね。

 

それでは、次回は志郎のお話しです。

 

次回で・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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