No.536187

DoloGriMent~思い出の魔法~

F.Duckさん

卒業制作で作っている恋愛系ADVのゲームシナリオを書いてみようと思いました。
シナリオ、絵 私。
シナリオや小説の類は今まで書いたことがないので、読みにくいと思いますが、改良していけるよう善処します。
今回は冒頭のみですが、読んで興味を持ってもらえたら嬉しいです。

2013-01-26 04:29:02 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:306   閲覧ユーザー数:306

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我思う、故に我あり。」 -哲学者デカルト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1-猫-

 

 

 

 

 

 

『夢はどれほど長く見ていても、一瞬の出来事で、朝起きたらその記憶は薄れてしまう。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暑くて寝れない…」

 

熱帯夜が続く8月半ば、暑くてどうしても寝付けない僕は外の空気を吸おうと散歩にでた。

 

いつも寝れないときは散歩をするとよく眠れた。

 

外は涼しく、晴れていて三日月が見えていた。

 

「…ニャー」

 

どこからか猫の声が聞こえてきた。

 

しばらく歩いていると、その声は大きくなっていき、

 

街灯の下にダンボールが置いてあった。

 

そこには一言、「拾ってください」と書いてあった。

 

「酷いことをする人もいるんだな。」

 

と呟き、その箱を開けた。

 

 中には二匹の黒猫が入っていた。

 

二匹とも箱の隅に丸まり、酷く怯えて震えていた。

 

「大丈夫、大丈夫だよ。」

 

と、自分に語るように猫を撫でた。

 

触れた瞬間体の中を何かが走り抜けた感覚があった。

 

「今のは…」

 

僕はその箱を持ち帰り、来た道を戻っていった。

 

いつもは一人で歩く道が、一人と二匹になった。

 

 

 家に着くといつものように眠気が襲ってきた。

 

寝る前に拾ってきたダンボールから猫を抱き上げ、クッションにタオルの即席のベッドに寝せた。

 

「夏場だから大丈夫だよな。」

 

抱き上げるまで震えていた猫は二匹とも落ち着いて、ベッドの中で丸まっていた。

 

「おやすみ。」

 

誰も居ないのに癖で言ってしまう。いや、今は猫がいた。

 

 眠りに落ちながら僕は思った。

 

猫に触れた瞬間鮮明に見た過去の記憶の事。

 

僕が昔飼っていた、二匹の黒猫の事を。

 

 

小さい頃に猫を飼っていた。

 

僕が生まれたとき、その二匹は家族になった。ずっと一緒に育ってきた。

 

幼稚園から帰ってきたら待ちわびたように足に摺りついてきた。

 

小学校でイジメられ、泣いて帰ってきても二匹はずっとボクの傍で座っていた。

 

中学生になって喧嘩をしてイライラしていても、二匹は膝に乗ってきた。その姿を見たら怒りも消えてしまった。

 

高校生で勉強が忙しくなって一緒に遊べる時間が減った。

 

それでも二匹は黙ってボクの後ろで座っていた。

 

イライラして当たってしまった時も、二匹は黙って僕の後ろにいた。

 

その頃になると、二匹は一緒に育ってきた僕よりも年をとって寝ている時間が増えていた。

 

ある日、二匹の猫は居なくなってしまった。

 

死期が近いのだと、母親から聞いた。

 

僕は一日中探し回ったが、見つけることが出来なかった。

 

小さいときから一緒に過ごしていた家族が居なくなってしまった。

 

出会いがあれば別れがあると、父親に言われた。

 

そんなことはわかってる。でもあんたみたいにそんな割り切れるような性格じゃないんだ。

 

「確かに悲しいよ。でもまた猫を飼えばいい」そんな家族の言葉が許せなかった。

 

一緒に育ってきた二匹の代わりなんているか。僕にとっては特別な…

 

 

「特別な…」

 

自分の寝言で目が覚めた。

 

なんで今更こんな夢を見たのだろう。

 

あの日以来一度もこんな夢を見たことは無かった。

 

むしろ、僕は夢を見ない。見たことが無かった。

 

寝起きで目が開けられない。

 

いつも通り眼鏡を取りにベッドがから出ようとしたら

 

何かに触れた。やわらかく暖かい。

 

「…ん?」

 

かろうじて目を開けると、そこには裸の女の子が寝ていた。

 

静かな寝息を立ている。

 

その姿に見とれていた。

 

 

 

「うわああああああああああああ」

 

我に返ると同時に僕は叫んだ。そしてベッドから落ちて頭を打った。

 

叫び声で女の子が目を覚ました。

 

「おはよぉ…ますたー。」

 

目と頬を擦りながら起き上がった。

 


 
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