目が覚めたら知らない天井だった、と言うテンプレ的な展開ののち、俺は目の前のポテチを貪り食う少女に語りかけた。
「それで、誰だよお前」
「私?私は神だ」
「……新手の勧誘なら他所でやってくれ」
「違う!本当だ!私は決して頭の痛い人ではない!勘違いするな!」
いったいどうして勘違い俺が勘違いしていると言い切れるんだ、この小娘は。
それにしても、ここはどこだ?
「ここは私の生活空間にして仕事部屋だ」
「そうか、窓も扉もないこの不健全な空間から早く出してくれ」
「ちなみにこの部屋の外は次元の狭間だから出ないほうがいいぞ。ただの人間とそう変わらないお前では数秒と待たずに虚無に呑まれて無に帰す」
どんな恐ろしい設定だよ。
それにしても、ゴミが酷い……。下着くらい片付けろよな。こいつ幼女の割に胸でかいな、うわ、Eカップのブラ使ってやがる。
「中々失礼だな、チミは」
自称神のロリ巨乳のことは保留しておくとして、どうして俺はこんなところにいるんだろう。
「保留しないでほしいなぁ……」
「なにナチュラルに心読んでるんだよ。もしかして口に出てたか?」
「いや、ナチュラルに思考を見ていただけだ」
いや、意味わからんから。
なんだよナチュラルに思考を読むって。テレパシーより凄いじゃん。
「実は、お前は私の兄の不始末で、死んでしまった」
「あっそ。それで神カッコ自称カッコ閉じは俺になんのようだ」
「……泣いてもいいかな?」
「それなら俺の胸の中で泣け。そして俺の妾になるといい」
冗談半分、冗談です。
「……ほ、本気にしちゃうぞ?」
顔を真っ赤にして俺を見詰める自称神。って、え?
何故か、俺の胸に抱きついて胸にのの字を書き始めた。
「……冗談だ」
「なんだ、つまらん」
どうでもいいけど。
唯一気になることと言えば、どうやって顔を真っ赤にしたんだ?一気に普通の状態に戻ったし。
「そんなどうでもいいことを気にするな。禿げるぞ」
「そうか、禿げるのはいやだから気にしないことにする。お前悪女になれるんじゃないか?」
「こんなの仮初の肉体みたいなものなんだから自在に操れて当然だろ、仮にも神の一柱なのだからな」
どこまで本気なのかわからんな。
と言うか、それ仮初なのか?ロリババアの類か?まあ別にいいけど。
「さて、そろそろ本題に入ろう」
「おう」
「お前は兄の不始末で死んでしまった、だから妹である私が兄の尻拭いをすることを上司の神から命じられた。兄は今頃懲罰を受けているところだ」
そうか、罰を受けてるんなら俺から言うことは特に何もないな。
強いて言うなら尻拭いくらい自分でやらせろ。自分のケツは自分で拭け。
「お前を異世界に転生、もしくは転移させようと思う。何か要望はあるか?好きなだけサービスしちゃうぞ」
「なら先に質問。ネット小説みたいになんか制限とかあんの?なにかあったらそれを考慮して考えないとならないからさ」
三つまでだとか魂が耐えられるまでとかさ、よくあるじゃん。
「特にないぞ。人間に強大な力を与えるくらい次元の神に連なる私たちにとっては人間の大人が数匹の蟻を意識して足で潰すのと同じくらい簡単だからな」
酷い例えだ。酷過ぎる、蟻が哀れだ。
と言うか、そんな例えをされる人間も哀れだ……。
「ハイスクールD×Dの世界に転生したい」
SAO《ソードアート・オンライン》の世界にも興味があるがあっちは長生きできそうにないからな。それを言うならD×Dも死亡フラグ乱立してるけど。
でも二年間植物状態になるよりはいいし、なにより完全に戦いの舞台がゲームの世界だし。
やっぱりああ言うのは現実でやりたいじゃん。
それにエロ度高めだしな。ハーレムを作り安そうなのがいい。
「兵藤一誠の幼馴染で、グレモリー眷属の『兵士《ポーン》』になれるようにしてくれ。『変異の駒《ミューテーション・ピース》』でいい」
やっぱりおっぱいドラゴンは必要だよな。
「イッセーにはアーシアだけ。他のヒロインたちは俺のハーレム要員にしたい。レイナーレとかカテレア、黒歌も含めてな」
特に黒歌は救いたいな。小猫もかわいそうだし。
まずはイッセーにハーレムを我慢してもらうことにしよう。ハーレムは大好きだ。
「神器《セイクリッド・ギア》は『千変の魔臓《インフィニット・トランスフォーマー》』。イメージした姿形に変身することができる。変身と共に異能を作り出すことができ、物理法則を度外視した変身が可能。一度見た生物に変身することもでき、合成獣《キマイラ》のような姿をとることもできる。声帯や肉質、五感とあらゆる身体機能を変化させることができ、特殊な魔力をコピーして使うこともできる。肉体を金属質や粘液のようなものにすることもでき、体を小さくすることも大きくすることもできる。その気になれば性別を変えることも容易。変身には特に制限はなく、変身を完全に固定させることもできる。こんな感じかな」
そのうち自分本来の姿を忘れてしまいそうな能力だな。
容姿は変えられるし身体能力も自在。それに全身兵器とかできそうだ。
「容姿はコードギアスのルルーシュがいいな。記憶を消して、原作開始時に何かの拍子に記憶が戻るようにしてほしい。それまで
神器《セイクリッド・ギア》は目覚めなくてもいい」
「長いな。まだ終わらんのか?」
そうだな、他には……。
「歴代最強の魔王になれるくらいの才能とハーレム体質だな」
ハーレム体質はやっぱりないとな。せっかくの転生だ。欲張るくらいが丁度いいはず。
「料理の腕は壊滅的で、何とか食える程度のものしか作れないってことで頼む」
「何ゆえそこでマイナスポイントが入る」
設定的に完璧すぎじゃ面白くないじゃん。それにダークマターを作るつもりはないし。
「あと、一人暮らしで一生遊んで暮らせるほどの金が両親の遺産としてあり、兵藤家の隣に家があるってことで」
金があれば食って行ける、食ってけるからいいんだ。
「最後に頭を良くしておいてくれ。駒王学園で首席を取れるレベルの頭脳がいい。これで終わりだ」
「それでは早速転生させるぞ」
「おう」
「心の準備はいいな?」
「だからいいって言ってんだろ、早くしろ」
「ではポチッ」
次の瞬間、俺の足元が真っ暗になり、俺は自由落下して行った。
とりあえず俺は、
「何故落とすぅぅぅぅッ!」
と小さくなっていく穴の入り口に向かって叫んだ。
魔方陣で転移的な感じでもよかったと切実に思うぞ、俺は。
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ある神の不始末で死んだ男がハイスクールD×Dの世界に転生する話。