No.535328

〜なんとなく 壊れている自分 the origin 2007-3〜

夢で見た事や思いついた文字を羅列している詩集…と言うより散文集です。以前ブログにて掲載していたものをこちらに転写しました。
下に行く程古く、上に行く程新しいものです。
無駄に量があるので時間が余りまくってる方、どうぞ(笑)

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2013-01-23 21:23:26 投稿 / 全31ページ    総閲覧数:676   閲覧ユーザー数:676

2007.9.19

「透明な存在」

 

見えない言葉 見えない祈り

貴方自身が 見えない存在

 

何を祈り 何を望む?

透明な貴方自身の どこに自分の意志がある?

 

本能の趣くままに

見えない言葉を書き綴り

そこに何の意味があるのか?

自分の問いに 自分で答える事も出来ず

 

虚ろな視線で 虚ろな言葉を吐き

ぼやけた魂しか伴わないのに

それでも 『生きている』と 主張するのか

 

見えない言葉 見えない祈り

貴方自身が 見えない存在

 

 

2007.9.18

「だめなゲーム」

 

ずるいわ こんなの 分かる訳無いじゃない

こんな仕掛け 普通は気付く訳無いわ

 

このおじいさんに水をあげないと 先に進めないなんて

この兵隊さんに当たると スタートに戻されるなんて

 

無限回廊に浮かぶ扉は 地面についてないから 入れないなんて

その階段も 見えない壁で覆われてて 進めないなんて

 

どうやっても 先に進めない

どうやっても ゴールに辿り着けない

 

何故私は こんな不毛なゲームを やり続けているのだろう?

でも リセットボタンも見つからないから リセットすら出来ない

 

と言うか 私の戻るべき『現実』とやらは どこにあるのだろう?

 

思案にくれそうになった時 巨大な赤ん坊が 私めがけて突進してくる

ねえ 今 『現実』の私は 一体どこに いると言うの?

 

 

2007.9.15

「見えない地獄」

 

緑の大地を突き進み

ロープウェイを乗り継いで

もう少しで山頂だよ

ここから先はリフトを乗り継いで行こう

歩いて行くには険しすぎるから

 

君はリフトに乗ってから

全く景色を見ようとしないね

目を背けないで見てごらん

この緑の奥に潜む暗闇を

 

緑の奥には

地面の底には

今 見えているように

闇と溶岩が広がる

地獄と呼ばれる世界がある

僕たちは そんな地獄の上に

家を作り 畑を作り 生存しているんだよ

 

地獄の業火は確かに怖いよね

地獄の暗闇は確かに恐ろしいよね

 

けれど その地獄が無くなった時

この大地が無くなり

僕たちは家も畑も失うかも知れないんだよ

 

だから 目を背けないで

無かった事にしようとしないで

自分の足下に広がる 地獄の業火を

しっかりと見つめて 覚えておいて

そんな世界が この世に確かにある事を

 

そうそう 君は山頂に何をしにいくのか覚えている?

亡くなったおじいちゃんに 会いに行くんだろ?

 

例え そのおじいちゃんの身体が透けて 向こうの風景が見えたとしても

例え 手を添えようとしても触れられなかったとしても

今みたいに 目を背けてはいけないよ

受け入れる ただそれだけで いいんだから

 

 

2007.9.13

「眠れない夜」

 

何だか眠れない

眠りにつこうと 努力しているのに

全くもって眠れない

瞳を閉じたまま

思考回路だけが

延々と

ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる

回り続けている

 

それとも

なかなか眠れないと言う内容の夢を

私は延々と見ているのかも知れない

本当はとっくに眠っている筈なのに

それに気付かずに

延々眠れないと 夢の中で思っているだけかも知れない

 

そう

実は私は とっくの昔に死んでいて

さも 生きているかのような夢を

見続けているのかも知れない

 

夢の中で 眠った事に気付いていないように

私は 永遠の眠りの中で

覚醒しているような感覚に 捕らわれているだけなのかも知れない

 

眠れないと思うのも 全ては幻覚 幻想 非現実

そう 貴女は眠っているのよ 永遠に

 

 

2007.9.12

「無くなった蕎麦」

 

今日のお昼ご飯は

無駄に山盛りになったソバ

ザルソバはそんなに好きじゃないけれど

これしか食べるものがないから 仕方が無い

 

けれど 自分がそう思っているせいか

箸の使い方が悪いせいか

ソバが 箸の間から

ボトリ ボトリと 落ちていく

 

そして あれだけ沢山のソバがあったのに

ザルの中には もう僅かなソバしか残っていない

私の口には一口も入らないのに

もう ソバはこれしか残っていない

 

足元には 食べられる事の無かったソバが

砂にまみれて 無残に転がってる

 

大して好きじゃないソバなのに

大好物でも何でもないソバなのに

足元に落ちているソバに 何か いとおしいものを感じる

 

落ちてしまったソバは もう どうする事も出来ないのだけれど

 

 

2007.9.11

「更衣室の本棚」

 

プールに入る為に

更衣室に足を運ぶ

沢山の人達の流れと逆走するように

皆が出ていった 更衣室のドアを開ける

 

更衣室には

何故か沢山の本が置いてあった

足の踏み場も無い程 沢山の本が溢れ

ロッカーにも隙間なく 本が詰め込まれている

当然これでは 着替える所ではない

 

何となく そのうちの1冊を手に取るも

極めて書いている内容がつまらなく 色褪せていて

ここにある全ての本を

打ち捨てて 燃やしてしまいたい衝動にかられる

 

ああ 駄目だ

ここにいたら私は どうにかなってしまいそう

 

だから私は着替えずに

プールに入る事も諦めて

他の皆がそうしたように

更衣室から離れていく

 

取り残された本達が

その後どうなるのか 私は知った事じゃない

誰にも読まれず 打ち捨てられた本がどうなるのか

それは私の知った事じゃない

 

 

2007.9.10

「公開処刑広場」

 

いつも通って帰る公園を

いつものように歩いて縦断する時だった

周囲にはいつものように人が溢れ

いつもと同じような昼下がりの時間

 

突然 誰かの悲鳴が聞こえたと思ったら

どさっと大きな音がした

振り向くと そこには

首を無くした 大きな熊が

 

公園の片隅に 何故か備え付けられているギロチンで

熊達は次々と首を切られ 投げ捨てられていく

不思議と血は流れていなかった

切り口から見えるピンク色の肉は

意外な程 グロテスクじゃなかった

 

ただ 私は

周囲の人の逃げ惑う姿に驚いた

正直 その様子が

私を恐怖に陥れたのだ

 

気がつけば 公園には避難勧告が出され

木造の銭湯の片隅に 避難場所が設けられている

わたしも 他の人と一緒に そこに逃げ込んだ

 

怖いの とっても怖いの

熊の首が無い事じゃなくて

恐怖に恐れおののく人達の中にいるのが とても怖いの

 

 

2007.9.6

「卑劣な魔女裁判」

 

貴女はここに立たされる

受けなくても良い筈の制裁が加えられる

貴女の持つ信実なんか どうでもいいの

ただ裁きを加える それが彼らの目的なの

 

そうして

ねじ曲げられた現実の波に

信実は押し流され

圧倒的な力をもって

虚実は現実へと姿を変える

 

貴女には信実をもってしても

どうする事も出来ず

その波に飲まれるしか無いの

 

理不尽な『現実』を

震えながら 受け入れるしか無いの

 

 

2007.9.5

「神の死」

 

今日のこの日 神は死んだ

自らの存在を消し去るべく

胸を十字に切り裂いて

神は息を引き取った

 

しかし 神よ あなたの存在は そう簡単には消せないのですよ

 

あなたが死して尚

この地上には 神の偉業が

大きく残る事でしょう

 

人々は その偉業を崇拝し 祈り続ける事でしょう

 

そして他の民族にも その偉業を知らしめるべく

崇拝を強要し

そして争いが起こる事でしょう

 

神よ

あなたが望んでいなくとも

あなたは戦争の火種となるのです

 

あなたは死して尚

地上に影響をもたらし続けるでしょう

 

そう

神であるあなたですら

自分の運命は操作出来ない

 

己が死んでも

消えることは有り得ないのです

 

それをどんなに 望んでいたとしても

 

 

2007.9.4

「思い出崩壊行進曲」

 

以前 私は とあるお店に勤めていた

はて どんなお店だったろう?

飲食店かな コンビニかな?

何だか記憶があやふやなの

飲食店で一向にマグロ丼が来なかったり

小さなお店で 客よりも店員が多い状態で

チマチマ働いていたり

そんなイメージがあるのだけれど

 

実際は もっと大きな店で働いていた気がする

もっと大きな店で もっと忙しく働いていた気がする

けれど そんな事はちっとも思い出さないで

マグロ丼や チマチマ働いていたイメージしか湧かないの

 

しかも そのどちらのイメージも 懐かしさは伴わないの

 

あまりに沢山の月日が流れ

色々なイメージが混ざり合い 頭の中で混沌と化し

きちんとした“思い出”と言う形で掘り起こす事が 出来なくなっているのかも知れない

 

私は 大きなお店で働いていた気がするのに

小さなお店のイメージしか沸かない

大きなお店は 混沌の中で 小さく削れてしまったのかも知れない

 

そして そう 遠くない未来

思い出の中の小さな店は更に小さくなり 思い出す事も無くなるかも知れない

 

忘れたと言う意識すら 頭に置き去りにする事が出来ずに

 

 

2007.9.3

「圧縮遊園地」

 

6階建てのビルの中

本当に狭いビルの中に

遊園地が丸ごと圧縮されて入ってる

 

上の階に行く程 スリルのある乗り物で

下に行く程 まったり系の乗り物で

 

あまりにせせこましく、圧縮されているから

階段の横にずらりと休憩用の椅子が並び

1階と2階の間には その階段すら設置出来ず

はしごを使って 上り下りするしか無い

 

1階で撮ったプリクラの写真が気に入らないの

2階で見た黒い蜘蛛の巣のドレスが何故か気に入らないの

3階に登る途中の 階段にある休憩所も 何か気に入らないの

 

だから5階 6階と上り

激しく回る機械の前で

私は目の前の窓を開放した

 

窓の外に広がるのは 寒々とした空ばかり

周囲に霞がかかり

何も見えない 何も分からない

いや 多分 何も 無い

 

ここがどんなに気に入らなくても

私は生涯 ここにいるしか無い

 

 

2007.8.31

「イビツナゲンジツ」

 

そうして 君は

打ち砕かれた奇跡を

泣きながら組み立てる事だろう

 

そうして 君は

出来上がった いびつな現実に

再び涙するだろう

 

 

2007.8.30

「切り立った山頂での出来事」

 

切り立った山の斜面に

真っ白なビルが立っている

私は何があっても そこに向かわなくちゃならない

切り立った崖を必死で上り

日が沈む頃にやっと到着した その瞬間

ビルの屋上から 人が飛び降りるのをみた

 

その人は音もなく 地面に吸い込まれるように

ゆっくりと落ちていった

 

けれど それを見ても

私は特に何も思わなかった

近所の屋台も同じような様子で

みんなそっちの方向を見ずに ラーメンなんかすすってる

 

ゆっくりと落ちた その男の人は

多分絶命していたんだと思う

けれど 一滴の血も流れず

顔も身体もとても綺麗で

まるで地面の上で眠っているようだった

 

私はそんな男の人をひとまたぎして 目的の場所に向かう

私が用があるのは その先にある病院

私は妊娠しているの 誰もそんな話信じないけれど 私は妊娠しているの

だから病院に行かなくちゃいけないの

何があっても 何が起っても 病院に行かなくちゃいけないの

 

私は妊娠しているの それは確実 間違いないの

なのに何故 お医者さんまで 私を見てはくれないの?

 

 

2007.8.28

「真の静寂」

 

嵐の前の静けさか

全ての音が消えうせた

雑路に群がる車の音も

群衆の騒めきも

全てが消え

静寂が辺りを支配する

 

魚達は空を見上げ

天空には既に神がいない事を悟る

 

魚達はその瞳から

大粒の涙を流し

神へのレクイエムを捧げ始める

 

大海原は魚達の動揺と共に荒れ始め

全てを飲み込む大津波を生み出す

 

天空には神はもういない

神は我々を見放した

なのに人はその事に何も気付かず

今まで通りに生活している

何という背徳行為

信じられない

我々は神無しでは有り得ない存在なのに

 

魚達の怒りは全ての人に

全ての陸の生き物に

 

大津波が

都市を襲い

人を雑踏を飲み込んでいく

 

そして真の静寂が訪れる

天空の神が死んだのと同様に

 

 

2007.8.27

「永遠」

 

何事にも終焉がある

どんなものもいつかは壊れ

どんなものもいつかは死ぬ

永遠と言うものは永遠に存在しない

 

私が今 その時なんだよ

私の光は終わりを告げ 暗闇の中で眠る時を告げる

 

悲しまないで これは避けられない運命だから

そんなに涙を流さないで

笑って 笑って 笑って見送っておくれ

青空は暗闇に包まれ 星が瞬くあの空へ

大きく手を振って 私を見送っておくれ

 

私は今 ゆっくりと旅立つ

いい事があったのか無かったのか よく分からないけれど

多分これは いい人生だったのだろう

 

悲しまないで 悲しまないで

そんなに涙を流さないで

永遠は永遠にありえないのだから

 

だからまた 近いうちに出会えるよ

だからそんなに悲しまないで

そんなに涙を流さないで

 

 

2007.8.20

「腐敗した血液」

 

地面の上に 建物の壁に

腐敗した血液が滲み出てくる

滲み出てきた血液は

全ての大地と 全ての生命を溶かし始める

 

それに触れたものは皆

腐敗した血液と化し 溶けていく

身体も心もドロドロに腐敗し

そうして1つの大きな血の海になる

 

その昔 ここにはニンゲンと言う生き物がいた

彼らは散々大地を汚した上で神に滅ぼされた

しかし 死して尚

彼らの死体は毒となり この大地を 生命を 汚していく

 

全てのニンゲンが滅び

新たな生命が生まれ 繁栄する事を

ニンゲンは決して許さなかった

全てが血と化す惨状に

神は嘆くしかなく

悪魔は泣き叫ぶしかない

 

夜空に浮かぶ星空だけが

世界の滅びを静観している

 

 

2007.8.14

「Sister」

 

コンクリートの片隅で

今日も黒装束に身を包んだシスターが

世界の平和を祈っている

薄暗い部屋の片隅で

世界が平和である事を

ジッと手を合わせて祈っている

 

そんな世界に危機が訪れる

世界を包む凶悪な闇

闇の手がその部屋にも訪れた時

 

シスターは見事な蹴りを

その闇に向かって放つ

 

世界が平和でありますように

そう神に祈っているだけでは駄目

自らに降り掛かる闇の手は

自らの手で振りほどかねばならない

神に仕える身だからこそ その事を悟っていた

 

全ての怯える村人を奮い立たせ

シスターは先陣を切って戦いに赴く

 

世界が平和でありますように

世界が平和でありますように

 

 

2007.8.9

「グランドピアノの最後」

 

狂気と驚愕の 暗闇が訪れる

時計の針が 12時を刺した時

全てを飲み込む 闇の時間が訪れる

 

全てを飲み込むその時が訪れる

ロビーにあったグランドピアノは

狂ったように鍵盤を打ち鳴らし

壊れた音色で悲鳴を上げる

 

『だって私はまだ ここに存在する

まだ消されたくない

ここに存在するのだから』

 

闇はそんな悲鳴も聞かずに

偉大な時の流れのように

全てを飲み込み 砕き 壊していく

 

静寂が全てを包む時

暗闇と同じ色のグランドピアノは

暗闇の中に溶けて 消えていく

 

『だって私はまだ ここに存在する』

 

だが 音色を発しない 発する事の出来ないピアノに

誰が存在価値を見出すのだろう

闇に埋もれたグランドピアノは

例え存在していたとしても

存在していないのと同じ意味しか持たない

 

『それでも 私はまだ ここに存在する』

 

 

2007.8.4

「物語の終焉」

 

今 物語の終焉が幕を開ける

 

主人公は物語の終焉を追い求め

ビルの中を駆け巡る

 

物語の終焉を追い求める事

それが主人公の宿命だから

 

人の波をかき分け

観光船を乗り継いで

車に乗って信号待ちをしていた その時

 

物語の終焉は 主人公に満面の笑みを送りながら

反対方向へと走り去っていく

信号は赤のまま変わる気配も無く

主人公はただ 終焉を見送る事しか出来なくて

 

車を乗り捨て 物語の終焉を追い始める

しかし雑踏に紛れ 群衆の中に紛れた物語の終焉を

主人公は見失い 呆然と立ち尽くす

 

物語の終焉を追い求める事

それが主人公の宿命だから

何も疑問を持たずにただ 終焉を追いつづける

 

物語が終焉を迎えたら 主人公は一体どうなるのか?

そんな事は一切考えずに

 

 

2007.8.3

「究極ヘアカラー」

 

お客さん

そんなに自分を変えたいのなら

手っ取り早く 髪の色を変えたらどうだい?

うちの店には色とりどり

黒から赤から茶色から

様々な色の染色剤があるからね

 

お客さんにはこの緑がきっと似合うね

大丈夫 全て私に任せてごらん

 

ほうら

髪の毛の先から 足の先まで 全て緑色

皮膚も瞳も口の中も

全てが奇麗な緑色

 

だってお客さん

あんたは人間をやめたがっていただろう?

だから私が 人間ではない 別の生き物に姿を変えてあげたのさ

あちらのお客さんもね 全てを絶望しているようだから

全てを黒色に染めてあげたんだ

 

元に戻る方法?

さぁ そんな方法あるんだろうかね?

 

さあ 次のお客さんが待っている

私は忙しいんだよ

用が済んだら帰っておくれ

 

さあお客さん

貴方に似合う色は どれだろうね?

 

 

2007.7.31

「肥大した動物」

 

そんなに暴れても

お前を入れる檻は

この動物園には無いんだ

 

人間の数百倍も大きく

肥大したお前を入れる檻は

この動物園には無いんだ

 

そんな他の動物の檻を壊しても

どんなに暴れても

お前を入れる檻は

この動物園には無いんだ

 

第一 考えてご覧よ?

檻に入らなくていいと言う事は

君はどこに行くにも 何をするにも自由なんだ

制約が無いって事なんだ

だから入れる檻が無い事を

本当は喜ぶべき事なんだよ?

 

ん?ここに居場所が無かったら

俺の居場所はどこにあるって?

 

そんな事 飼育係の僕なんかに

分かる訳が無いだろう?

 

 

2007.7.26

「失業者達」

 

泣き叫んでも仕方ない

君たちはもうお払い箱なんだ

どんなに地獄の亡者顔負けで泣き叫んでも

君達の仕事は もう無いんだ

 

今やボタン一つで音色が奏でられる時代

今やギターを弾く技術なんか必要とされていないんだ

必要とされていないものは打ち捨てていく

それが 世の流れの必然ってものだろ?

 

世間の流れは残酷で

必要無くなった物は 誰であれ捨てられる

今回捨てられる事になったのが たまたま君達だって事だったんだ

 

泣き叫んでも仕方がないさ

誰も君達を必要としていない もう必要じゃないんだ いらないんだよ

泣き叫びたいだけ 泣き叫ぶがいいさ

それで君達が必要とされる事は もう無いからね

 

 

2007.7.25

「マッチの炎」

 

暗闇の中に沢山浮かぶ人影の中に

明るい炎がボンヤリと見える

みんな胸の中に 火を灯したマッチ棒を持っていて

それでボンヤリと 温かく見えるんだわ

 

けれど 私にはそれが無い

どうして無いのか いつから無いのか分からない

遠い昔 誰かにその火を差し出してしまったような記憶がうすらぼんやりとあるけれど

それが信実かどうかは確かめようが無い

 

ただ一つ分かっているのは

私の胸にはマッチ棒が無いって事だけ

 

暗闇の中にボンヤリと浮かぶ人影

みんなマッチ棒と言う魂を持っているのに

私には それが 無いの

 

 

2007.7.24

「尊い自由?」

 

限りなく 果てしなく 広がる大海原

どこまでも どこまでも 海と言う空間が広がる

 

この空間に住まう魚達は 限りない海を与えられ

それを堪能し 自由に味わう事が出来る

 

けれど 泳ぐ宛ての見つからない魚達は みんなノイローゼ

本当に自由と言うのは 尊い だ け の ものなのか?

 

 

2007.7.23

「ロングランクイズ番組」

 

気が付くと

僕はクイズ番組の席にいた

やたら能天気なアナウンサーの出すクイズを

本能のままにボタンを叩き 回答をシャウトする

 

ピンポーン 正解です

ブブー 間違いです

 

延々と そんなやりとりの繰り返し

アナウンサーは延々とクイズを出し続け

僕は延々とそれに答えていく

回答者は僕一人だけ

だから僕が答え続けるしか無いんだ

 

ねえ このクイズは一体いつまで続くんだ?

一体何問答えれば このクイズは終わるんだ?

 

そんな疑問を挟む余地は無く

アナウンサーは延々と問題を出し

僕は延々と回答を続ける

 

 

2007.7.22

「瞬間世界一周旅行」

 

おめでとうございます

世界一周旅行が当たりました

早速この飛行機に乗って

世界一周の旅に出かけましょう

 

ほら富士山もエベレストも通り越し

ピラミッドの遥か上空を通り抜け

めくるめく景色の移り変わりを楽しみましょう

 

技術の進歩は目覚ましい

今や世界を一周するのに1時間かからないんだ

 

おめでとうございます

世界一周旅行が当たりました

所要時間は58分

この素晴らしい世界を楽しんでいこうではありませんか

 

 

2007.7.19

「廃墟の福袋」

 

夕焼けの景色に映し出される森の

奥深くにある 壊れかけの掘っ立て小屋

そこのカウンターに 沢山の赤い紙袋

「福袋」と書かれたそれは 今日発売される事になったもの

 

暗い森の奥に沢山の人が集まり

その福袋を買い求めていく

その中身は暗いモヤに覆われ よく見えない

 

その暗いモヤの中にボンヤリと

森の奥に立つ掘っ立て小屋が見える

壊れ 打ち捨てられた掘っ立て小屋

沢山の柱が壊れ クモの巣が張られた掘っ立て小屋

何者にも顧みられる事も無く みじめに立つ掘っ立て小屋の姿が見える

 

「ねえ僕を忘れないで」

福袋は その掘っ立て小屋の想いを 皆に届けているかのよう

 

 

2007.7.17

「からっぽのビルディング」

 

巨大なビルを建築しよう

少しくらいビスが抜けてても問題なし

巨大なビルを建築しよう

天まで登るような 巨大なビルを

 

ビルの外見は果てしなく高く

ビルの中身はどこまでも空洞で

中から見上げると 剥き出しになった鉄筋が

ギスギスいいながら揺れているのが分かる

 

誰かがホームランボールを打ち込んだら

きっと あっと言う間に倒れてしまうに違いない

 

中身は果てしなく空洞で

外見はどこまでも高層で

どこまでも立てていこうビルディング

目指すは天国 あの空を突き抜けて行こうよ

 

 

2007.7.9

「遊園地の終焉」

 

ビルの吹き抜けの中に作られた

小スペースの遊園地

お客も従業員もマスコットも みんな 同じ服装同じ顔

お土産屋に並ぶ服もみんな同じ

違うのは630円の兎のリュックだけ

 

ジェットコースターのネオンの中に隠されたメッセージを

君は読み解く事が出来るかい?

この奇妙な遊園地の秘密を

君は解き明かす事が出来るかい?

君に残された時間は余りに少ない

絵画に見入っている場合じゃないったら

 

ほら この部屋の一角で

女の子が亡くなったよ

はらわたから血を流し

その部屋で絶命していたんだよ

 

自分の結末を描いた本に恐れをなして

その本を捨ててしまった

だから その子は本に復讐されたんだよ

捨てた所で 描かれた運命は変えられないと言うのに

 

残された時間は少ないよ

誰かがその本棚を蹴り倒してしまったから

雪崩のように本達が その遊園地に迫っているんだ

 

本に埋め尽くされる遊園地

無駄な知識が 自由奔放を奪っていく

 

遊園地はこうして潰れてしまった

画一化されていても 最後に残っていた自由の象徴だったのに

 

 

2007.7.6

「不死鳥」

 

不老不死

その生物の生き血を飲めば

不老不死

そいつが叶う

 

だから男は旅に出た

不老不死の元になる

燃え盛る火の鳥を探しに

 

山の上も 野の果ても

あらゆる所を探し抜け

そうして行き着いた先は

海底の奥だった

 

大海原に沈んでいるにも関わらず

不死鳥は燃え盛る

不老不死で死なぬ身体は

大海原の底でも 決して休まらぬ

 

不死鳥の皮膚が焼け焦げ 肉がただれ

その死臭で周囲の魚達は皆窒息

けれども不死鳥自身は決して休まらぬ

何故なら不死鳥は死なないのだから

 

死を求めて この大海原の底まで来たのに

燃え盛る苦痛からは抜け出せず

安らかに眠る事も許されず

 

男は死臭がするその不死鳥に

どうしても近づく事が出来なかった

あれほど欲していた不老不死が

一気に色あせ 消滅し 欲するものでなくなった

 

男はその場を後にした

息をする為に 今を生き抜く為に

 

今日も不死鳥は肉体を焼かれながら

海の底で永遠の眠りが来る事を望んでいる

 

 

2007.7.3

「木造の潜水艦」

 

突然の話で急だけれど

君のお母さんは亡くなったよ

殺されたんだよ 居間で寝ているその時に

だから君は弔い合戦をしなきゃならない

分かったなら起き上がり この潜水艦に乗り込んで欲しい

 

木造でギシギシ悲鳴を上げる潜水艦

乗組員は上へ下へと大騒ぎ

女子供はここに避難しなと

一角の狭い部屋に押し込めて

 

どう考えたって これは負け戦

こんな潜水艦で 相手にかなう筈が無い

 

けれども それでいいじゃないか

君の母さんはもういない

待ってくれる人も 帰るべき家も 君には無い

 

だから 例え沈んだっていいじゃないか

君には適任だよ この潜水艦の乗組員が


 
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