ふう、と軽く息を吐くと建機型神姫のオーナーは私に視線を向けた。
「で、この子のオーナーは何処」
「今、受付の方へ待ち時間の確認に行っています。直に戻りますので少しお待ち願えますか。」
「いいわよ、ここで少し待ちましょ。まずオーナーさんと話さないとね。」私をしげしげと見ながら言った。「しかし、今時初神姫で兎型なんて渋い趣味してるわね。」
「私たち兎型は珍しいのでしょうか。ここにも私以外はいないようですし。なぜでしょうか」先ほど建機型神姫も言っていたが、神姫オーナーも同じことを言うとは私たち兎型神姫を目にすることは希なのだろう。同時期に発売された犬型猫型はここに大勢いる。兎型は私の他にはいないようだ。兎型が他の神姫に比べて劣っているとは思えなかった。その理由を知りたかった。
「えーっとね、」顔をしかめ、少し言いよどんだ。「あまり人気出なかったのよね。売上もあまり良くなかったみたいだし。」
不人気。単純かつ明快な答えだった。
「あ、でもね。」驚きが表情に出たのだろうか、気遣うように言葉を続けた。「コアなファンは結構いたのよ。ただ、可愛らしい子のほうが人気出やすいから。イルカもそうだけど、ミリタリーテイストのカッコいい神姫ってコンセプトがあまり受けなかったみたいなのよ」
「なァに、気にすんなって」建機型神姫が私の肩を軽く叩いた。「アタイ達なんかもっと売れなかったぜ。棚の守護神なんて言われてたしよ」そう言うと明るく笑った。
戦わせるために作られた武装神姫で可愛らしいものの方が人気があるというのは解せない気もしたが、愛玩用途も考えれば納得がいった。同型と顔を合わせる機会があまりないと考えると少し寂しい気もしたが気にしても仕方がない。オーナーは私を選んでくれ、私はここにいる。それでいいと思えた。
「あー、いたいた。ラビィ、結構時間かかりそうだ。どうするか」戻ってきたオーナーが建機型神姫のオーナーの横にいた。
「あなたがこの兎型のオーナーさんね」建機型神姫のオーナーが声をかけた。
「え、そうですが」いきなり声を掛けられ訝しげに応えた。
「オーナー、先ほどこちらの建機型神姫とオーナーと知り合いまして、良ければ案内してくださるそうです。」
「うちの子がこの子と仲良く良くなったみたいでね。うちの子に頼まれたのよ。どう」
「いや、いきなりそう言われても」戸惑ったように視線を私に向けた。
「オーナー、ここはご厚意に甘えてはいかがでしょうか」
「いや、そう言われてもね」
「まあまあ」遮るように建機型神姫のオーナーが言った「バトルロンドやったことないんでしょ。慣れた人に聞いたほうが早いわよ。ご新規さんは大事にしないとね。それに、あなた渋い趣味してるしね。さ、茶室行きましょ」建機型神姫をそっと取り上げシャツの胸ポケットに入れた。 「ほら、その子忘れないで」言うが早いか出口へと踵を返した。
「ほら、ついてきなよ」胸のポケットから首だけ出した建機型神姫がこちらを振り返ってオーナーと私を呼んだ。
オーナーは呆気にとられて建機型神姫とそのオーナーを見ていた。
「私たちも行きませんか」
「え、ああ」オーナーは呆気にとられたまま私を胸ポケットに入れるとティールームへと向かった。
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ゆっくりのんびりと
ラビィとオーナーさんもバトルロンドを始めそうです。
筆者はうさ子も健子も大好きです