No.53457

今、武将達はショタコンと化す!(笑 その1:朝起きたら、ご主人様が!

MiTiさん

恋姫祭で数々の作品を呼んで、自分も書きたくなり、書いて投稿いたしました。
が、祭の期間のうちにプロローグとなる部分しか出せませんでした…OTZ
この後は各武将たちと一刀の話を短編として書いていく予定です。

2009-01-22 00:01:43 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:28879   閲覧ユーザー数:19169

 

「む~~~!ご主人様は私が面倒見るの!!」

「いいえ!いくら桃香様でもこれは譲れません!そもそも原因は私にあるのですし…」

「愛紗の所為なら愛紗はだめなのだ!鈴々もおにいちゃんの面倒見たいのだ!!」

「はわわ~!こ、こういうときは頭脳明晰である私達がいいかと~…」

「コクコク…」

「いやいや、ここは諸国見聞にて幅広い知識を持つ私が請け負いましょう」

「いいや!ここは私ら姉妹でやるのが一番だろ!!」

「うん!!お姉様と一緒に頑張っちゃうよーー!!」

「あぁら、ここは一児の母である私が適任よ」

「経験ならば、わしも負けてはおらんぞ」

 

と、なにやらご主人様こと一刀の面倒を見ようと積極的な皆さん。

その肝心の一刀は、

 

「璃々ちゃ~ん、一緒に遊ぼう?」

「うん!いいよ~」

 

紫苑の娘、璃々と遊んでいた。

いつもの光景と思われるその風景…だが、決定的に違うものがあった。

それは言い争いの主である一刀の姿が…璃々と同年代の少年であった………

時は数日前にさかのぼる。

 

大陸が統一された後、定期的に開かれる平和を祝う祭。

毎回多くの催しがあり、時には天界の知識を取り入れ全く新しいものもある。

今回はなんと、驚くことに三国の重鎮が全員参加との事だった。

 

幾度か開かれたが、全員参加は初めてだったので、一刀は皆を喜ばせ満足させようと、奮闘した。

一刀の働き振りを皆感心していたが、祭が近づくにつれてだんだんと不安になってきていた。

政務や警邏等の仕事をこなしながら、新しい服のデザインや催しを考え、準備を手伝い指示を出し…

日に日に疲労の色は濃くなっていくが、皆が止めようにも「大丈夫だよ」

と満面の笑みで返されるので、止めたくても止められなかった…

 

そして、祭の前日となった今日…悪い予感と言うものは当たるもので…

一刀は風邪を引いてしまった………

 

 

朝、祭りの翌日であるため、最終確認などもろもろのことを話そうと会議を開こうとしたが、

肝心の一刀が中々顔を出さなかったため、寝坊しているのではないかと朱里が起こしに行った所、

顔を赤くし、汗をかき、苦しそうにしている一刀が発見された。

「はわわー!!ご、ご主人様ーーー!!」と大声を出し、何事かと皆が駆けつけ…その場は混沌と化した。

医者を~!薬を~!救急車を~!衛生兵~!etc…と皆が騒いでいる所で、一刀は目を覚ます。

何事かと思い起きようとするが、立ったとたん眩暈がし、ベッドから転落。

その派手な転落音により、一刀がおきたことに気づき全員が駆け寄ってくれる。

「大丈夫だよ…」と笑って見せるが、赤い顔、苦しそうな荒い呼吸、説得力は皆無だった。

全員(一部除)が看病しようとしたが、祭は翌日、仕事は山ほどある。

交代で看病しようと言うことになり、今は桃香と愛紗が看ている。

 

「あ゛あ゛~~~…シンド~……」

「大丈夫、ご主人様?」

「全く…だからアレほど無理はなさらないようにと言いましたのに……」

 

苦しそうに呻きながら寝ている一刀の傍には桃香と愛紗。

桃香は心配そうに、愛紗は呆れ・怒り・不甲斐無さ・心配がそれぞれ1:0.5:1.5:7の割合で見つめる。

 

「と、言われてもね……動いてるときは全然苦じゃなかったからな~…」

「周りにあんなに心配させといて…何が苦じゃなかったですか!!」

「いや…皆が楽しみにしてるって考えると、本当に疲れとかそういうの感じなかったんだよ」

「その気持ちは嬉しいけど…それでご主人様が倒れちゃったら意味無いじゃん」

「ああ…でもね……」

 

これ以上どんな言い訳があるのかと思ったが、

 

「今回…愛紗には絶対に楽しんでもらいたかったからね」

「ッッ//////!!」

 

前回、愛紗は仕事があり参加できなかった。

他の参加者からいろいろ聞いたりお土産を受け取ったりして喜んではいたが、

自分も行きたかったと言う思いは、一刀に隠しきれなかった。

「御気になさらずに…」と本人は言っていたが、それで納得する彼ではない。

が…終わってしまったことは仕方がない。

ので…次回は絶対に愛紗にも楽しんでもらおうと決心していた。

愛紗の予定を合わせ、仕事が回らないようにし、自分も出来るだけ手伝う。

こうして、彼女も参加できるようにしたのだが…その結果が風邪である。

 

自分のために働き、無理をして風邪を引かせてしまったことを知った愛紗。

嬉しく思うと同時に悲しくもあった。自分の所為で…という考えでいっぱいになってしまう。

 

「それで…それでご主人様が参加できなければ意味など無いではありませんか!!」

「愛紗ちゃん!そんなに大声出したら体に響いちゃうよ…」

「ス…すいません」

「も~…それで、調子はどう?明日には直りそう?」

「あ゛~…正直微妙だけど…ま~薬飲んで今日一日寝込んどけば直るでしょ…」

「っ!わかりました!では万病に効く薬を手配しお持ちしてまいります!!」

「いやいや!普通の風邪薬でいいk「では失礼します!!」………」

 

と、静止の言葉を無視して扉を開け放ち全力疾走…それを見て呆然とする一刀と桃香が残されてしまった…

 

反省や感謝、気遣いなど頭の中がちょっとごちゃごちゃになったまま薬を探しに行った愛紗。

病状など詳しく調べていれば、どんな薬が必要かわかるものだが、今の彼女には直したいという考えしかなかった。

頭・目・鼻・喉・解熱etc…薬棚にある薬を片っ端から集め、

体力も回復してもらおうと、精のつくもの、栄養あるものetc…といろんな食材も集めた。

 

混乱のきわみにある者はろくなことを考えない…

愛紗は、集めた薬と食材、その全てをひとつにすれば万病に効く薬が出来るだろうと考え…

ケミストリークッキング愛紗ver 開始!!

完了! 虹色に輝く薬が完成した!!

集めた薬や食材、中には貴重なものや高級品もあり、上手く調理すれば何かしら出来そうであったが…

彼女の手に掛かればあら不思議!見るからに不健康そうなものが完成してしまった…

材料がいいものであるほど、気合入れて料理していたからこそ…反比例して最悪なものが出来てしまった。

が、完成したものを見て…

 

「これなら…絶対に直るだろう!!」

 

昔の人は、輝くものなどを特別視する傾向があり、愛紗もこの薬は特別なものだと疑わなかった。

そして、

 

「待っていてください、ご主人様…今参ります!!」

 

出来上がった薬を飲んでもらうべく駆け出す。

 

「ご主人様!薬をお持ちいたしました!!」

 

そこには桃香の姿は無く、いまは星がいた。交代で代わったようだ。

そんなことは気にならないのか、扉を開いて一直線に一等につめより薬を差し出す愛紗。

 

「さあ、ご主人様!お飲みください!!」

 

差し出された薬を見て、一刀と星は思わず鼻をつまみ目を覆い隠す。

虹色に輝き嗅いだことも無い悪臭を漂わせる薬。

こういうものに限って作った本人には問題ないから不思議である…

 

「あ、愛紗?この薬…どこの何の薬?」

「はい!国中の薬とお力をつけられるあらゆる食材を集め、混ぜ合わせたものです!」

「………そ、そうなんだ…で、どこの?」

「はい!私が作りました」

「「!!!!」」

 

彼女の料理(という食材を毒物に変える)の腕は二人とも知っている。

その集大成ともいえるモノが今目の前にあり、尚且つこれを飲めという。

 

「あ、愛紗…今はちょっと気分が乗らないからまた後で飲もうかと…」

「何を言うのです!気分がどうの言っていては治るものも直りません!!」

「いや、でも…」

「それとも…飲んでくれないのですか(涙」

「う゛……」

「ご主人様のためにと思いお持ちしましたが……ご迷惑でしたか…|||」

「いや…決してそんなことは」

 

自分が作ってきた薬を飲んでもらえず、見るからに落ち込む愛紗を見て一刀はあわてる。

 

「主よ、ここは観念して飲むべきかと」(小声)

「……この見るからに体によくないものを飲めと?」(小声)

「主のためを思って作った薬ですぞ…飲まねば愛紗が傷つきますよ」(小声)

「(覚悟…決めるしかないか……)」

「愛紗…その薬もらえるかな?」

「ご主人様?」

「皆のためにも…それに、愛紗のためにも、さっさと風邪なんか治さなきゃね」

「//////」

 

そして差し出される薬(?)。

直視することも、呼吸することも許さないソレが…今、一刀の口に!!

 

 

「○*▲$□&σ#πコΩ!?!?」

 

一滴口に入っただけで、一刀の五感を混沌が襲った。

美味しいとは絶対に言えないのになぜかまずいと判断できない味。

辛い、しょっぱい、酸っぱい、甘い…全てであって全てでない、ソレはまさに混沌。

息を止めながら飲んだにもかかわらず、口に入れたとたん体内全体にその匂いは行き渡る。

瞬間、身体の自己防衛本能によりこれ以上この匂いをかいではならぬと、自動的に嗅覚がシャットダウン。

が、時すでに遅し。体の自由は、毒ガスをかがされたように奪われてしまった。

喉越しは最悪。まるでスライムを飲み込んでいるような感覚だった。

吐き出そうとしたが、まるで意思があるかのように喉に絡みつきそれを許さない。

噛み千切ろうとしたが、いくら噛んでも瞬時に再生してしまう。

故に…一刀が出来ることは、ソレを残らず飲み干すしかなかった。

 

辛く苦しい思いをしながら、なんとか飲み干したが…器を口につけたまま動かなくなった。

星は止まった一刀を不審に思い、もしやと思いながら触れた所…固まったまま横に倒れてしまった。

一応息をしているのは確認できるので、死んでいないことに安心する。

 

「見事に熟睡しておられるが…何か特別なものでも入れたのか?」

「ああ。グッスリ眠ってもらおうと安眠効果のあるものをいくつか入れたのだ」

「ほう…(色と匂いからしてかなり不安ではあるが…まぁ、死ぬことは無いでしょう)」

「では、ご主人様もお休みになられたことだし、我々は仕事に戻るか」

「そうするか」

 

一刀の手から器を回収して退室する二人。

この後、交代で様子を実に来たが特に何も変わることなく今日は終わった。

ちなみに、一刀の体勢も、寝台から体を起こし薬を飲んで固まっている状態で横に倒れてから変わらなかったそうな…

 

 

そして迎えた祭の当日、その早朝。

まだ日も昇りきっていないような時間であるのに、一刀の前には一人の少女が。

 

「ご主人様?起きていらっしゃいますか?」

 

愛紗だった。恐らく今蜀にいるものの中で一番一刀のことを心配しているといったら彼女だろう。

本当ならば、無理に起こさないほうが良かったかもしれないが、今寝込んでいるのは、自分達に喜んでもらうため無理していたから。

その無理のおかげで、準備自体は皆の協力もあって終わっているのだが、細かな確認などは本人にやってもらわねばならない。

これで何か不備があれば、一刀のこれまでの行動が無駄になり、悲しむことになるだろう。

そのような思いにさせないために、心を小鬼にし一刀を起こしに掛かる。

 

…が、幾度か呼びかけようが、ちょっと強めにノックしようが中から反応は無い。

心配で我慢が出来なくなった愛紗は、遂に強行突入を開始する!(と言ってもドアを開けてはいるだけだが…

扉を開け放ち、一直線に一刀が寝る寝台へと近づき、そこで愛紗は見つけてしまった…

布団が被っていない一刀の寝巻きの袖と襟の部分から、肝心の中身が出てきていないことに…

慌てて下半身のほうを調べるために布団をめくってみると、

ズボンの裾からは、肝心の足が出てきておらず、こちらも同じく中身が無かった。

 

「……………ゴーシュージーンーサーマーーーーー!!!!!」

 

未だ大半が寝ている静まり返った城中に愛紗の叫び声が響き渡った。

皆その声にたたき起こされ、直ぐに一刀の部屋に向かう。

愛紗の尋常でない叫び、「ご主人様」、この二つからただ事ではないと判断する。

 

部屋に入り、まず愛紗の後姿が見えた。回り込んでみてみると『ム○クの叫び』のような顔をしていた。

 

「愛紗ちゃん!何があったの!?」

「桃香…様…ご、ご主人様が…」

「え?」

「ご主人様がいなくなってしまった…」

「うそ…」

 

寝台のほうに視線を向けると、そこには一刀の寝巻きの上下の一部が見えていた。

これを見た面々は、愛紗と同じ状態になりかけたが、

 

「まずは、そこで寝ている者に真偽を確かめるのが上策かと…」

 

と、比較的冷静でいた星が寝台にある布団を指差した。

見ると、寝巻きの中間地点は布団により隠され、その部分は小高い山になっていた。

ほとんどのものが手首、足首、首が出ていなかったことにより、真ん中に気づかなかったようで。

布団を引き剥がすと、一刀の寝巻きが。さらに寝巻きを引き剥がすと…そこには、

一刀の面影を残す、璃々と同年代の少年が寝ていた。

 

「……………………」(全員)

 

ザ・○ールド!と言わんばかりに、その場の時が止まった。

皆が考えるのはこの少年が誰かと言うこと。

まず頭に浮かぶのが弟だが、そのような人物がいるとは言われていない。

次に浮かぶのが、誰かの子供と言う線だが、時期的に不可能。

一刀の面影がある赤の他人にしても、似すぎているし、何故ここにいるのか。

皆が考えていると、件の少年が目を覚ます。

 

「…ん~~…お姉ちゃんたち、だれ?」

 

欠伸をして、辺りを見回し、首をかしげながら質問する。

とりあえず、皆を代表して桃香が応えた。

 

「私は劉備っていうの、ボクのお名前は?」

「ボクの名前はホンゴウカズト~、よろしくねリュウビお姉ちゃん♪」

 

と満面の笑みを浮かべながら自己紹介。

その表情に「か~わ~い~い~」となりそうだったが、聞き捨てならない名前を聞いて思いとどまった。

会話を聞いていた一同も名前を聞いて驚愕する。

 

今目の前にいる少年は…北郷一刀、本人であった。

 

 

「では、整理します」

 

蜀の二軍師の一人、朱里が宣言する。

今謁見のまでは、紫苑と璃々、一刀以外の全員が集まり一刀について話し合っていた。

三人は現在、一刀の服を買いにいっていた。

 

「昨日、最後にご主人様を看たのは月さんと詠さん、このときはまだ元の姿だったんですよね?」

「はい…」「ええ、間違いないは」

「で…朝愛紗さんが起こしにいったときには既にあの姿になっていたと」

「ああ」

「では、ご主人様が子供になったのは、昨夜ご主人様がお休みになられている間と言うことですね」

「それ以外ないだろうな…」

「そして次に…一番重要なことですが、何故このようになってしまったのでしょう?」

 

一番重要で、難しい問題に思われたが…これの答えはすぐに出た。

 

「恐らく…と言うより、寝る前に飲んだあの薬以外には考えられんな」

「な!?」

 

当たり前だと言う星と、心外だといわんばかりの愛紗。

 

「あの薬って…どんな薬なんですか?」

「ああ。私がご主人様のために作った薬だ」

「っ!?…つ、作ったって…材料は?」

「ああ、皆の話を聞き、国中の良薬や体にいい食材を混ぜ合わせひとつにしたものだ!」

「おぉ!お館様のためにといろいろ聞いておったが…あれのことか」

「…え~と、それで…どんな薬が出来たのですか?」

「うむ、七色、虹色に輝く今まで見た事がない薬が出来上がったのだ!」

 

と、自慢げに言うが…これを聞いた面々、特に料理の知識がある者は顔をしかめた。

虹色の時点で、それはもう毒ですといっているようなものだ。

そのことと、薬の類は、下手に混ぜると危険であることを告げるとひどく落ち込んだ。

 

「ちなみに、匂いはどうでしたか?」

「特に何も匂わなかったが?」

「…え~と、星さん」

「ああ。あれは…今までかいだ事もないような匂いでしたな。危うく意識を失いかけたほどだ」

「………」(愛紗以外)

「そして、主殿はそれを残さず飲み干したわけだ…で、今に至る」

「えええぇ!!残さず飲んだんですか!?」

「ああ。器を見てみたが、一滴も残っていなかった」

「ごしゅじんさま~~~~」

「皆のために早く直したかったと言う思いは嬉しかったのですがね」

 

一刀の優しさに皆、ちょっと喜びながらも呆れていた。

自分達を想って、毒をも飲むその優しさに。

 

「ま~それはともかく…今後どうするか決めていかねばなりませぬな」

「そうですね。まずご主人様を元に戻さないといけないんですが…」

「どんな薬か分からなくちゃね~。愛紗ちゃん?」

「何でしょう?」

「薬に使った材料って覚えてる?」

「はい、まずは…」

 

そして発表される薬作成に使われた薬と食材の数々。

健康食材、高級食材、身体各所の薬、良薬、漢方薬、貴重な薬。

どうして、一刀の体を縮めてしまう薬が出来たのか皆不思議に想うばかりだった。

 

「……祭までに元に戻すのは難しそうですね」

「そうだね~」

「では、ご主人様を元に戻すことは祭が終わったら全力で行うということで」

 

方針が1つ決まった所で、この場にいなかった3人が帰ってきた。

 

「「ただいま~♪」」

「只今戻りました」

 

二人の子供は元気良く、そして紫苑は楽しく満足しました、といった表情で戻ってきた。

一刀の格好は、一言で言えばいつものフランチェスカの制服姿を縮小したようなものだった。

この服、材質まで再現することは出来なかったが、

服屋が、今では知らない人はいない天の御使いの格好の服を売り出せば儲かるのではないかと考え、作ったものである。

そして、服屋に訪れた紫苑がそれを見つけ、一刀に着せるならこれしかないと決めたのだ。

 

縮小版一刀を見て、見ることは不可能とされていた一刀の少年姿を見て、

そのかわいさ(武将視点)に見とれていた。

 

「ねぇねぇ、しおんお母さん…」

「なあに一刀くん?」

「さっきも聞いたけど…ここどこ?それに、お母さんはどこ?」

「………」

 

返答に困る質問をされしばし考える。

ちなみに、一刀が紫苑のことをなぜお母さんと呼んでいるのかというと、彼女の希望だからだ。

現代の少年は、他人の親のことをおじちゃんおばちゃんと呼ぶ傾向があるが、

普段おばちゃんと呼ばれることを良しとしない紫苑は自分のことはしおんお母さんと呼ぶように希望。

特に何も疑問に想うことなく一刀は了承。

で、肝心の質問の答えは、答えに困っていた紫苑の変わりに朱里が答えた。

 

「あのですね、今ごしゅ…一刀君とお母さんは…え~と外国に来ていまして、それでお母さんは今は仕事で出かけているのですが、

 帰るまで一刀君をよろしくとお姉さんたちはいわれているのですよ~」

「そうなんだ。ヨロシクおねがいしま~ス、おねえちゃん♪」

 

満面の笑みで頭を下げる一刀。

その笑みに、自分のことをお姉ちゃんと呼ばれたことに…朱里は若干身悶える。

 

「え~と、それじゃ自己紹介しようか。一刀くん、さっき自己紹介したんだけど。

 実を言うとさっきのはもう1つの名前でね、本当は桃香っていうの。ヨロシクね♪」

「うん!ヨロシク、桃香おねえちゃん!!」

 

また一人、身悶える。今にも「か~わ~い~い~」と抱きついてしまいそうになっている。

そして一人、また一人と、その純真無垢なつぶらな瞳で、その無邪気さで武将達は堕とされていく。

男に対して、女性の涙が兵器であるように、武将達に対して今の一刀は最終兵器となっていた。

 

 

「そういえば一刀くん。今日はね、おっきなお祭があるんだけどね」

「お祭!?」

「うん♪だからね一緒にお祭行こうか?」

「うん!いくいく!!」

「よーし!それじゃ行こうか!?」

 

と、桃香は一刀の手を取り、いざ出発しようとした所で、

 

「いいえ、桃香様は蜀の代表。一刀殿と一緒にいてはお疲れになるでしょう。ここは私が…」

「鈴々と一緒に回るのだー!!」

「はわわ!こ、ここは私たちにお任せを…」

「コクコク…」

「いや、ここは私が面倒を見て差し上げましょう」

「いぃえ、一児の母でもある私が適任よ」

 

次々に自分が面倒を見るのだと言い合い…時は最初の場面に戻る。

果たして、祭の間、一刀は誰とどのように過ごすのか。

そして、元の姿に戻れるのか…乞うご期待!!

 

 
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