No.534220

俺、遊戯王の世界で生き残れるかな……第九話

RYOさん

俺は何の変哲もない普通の高校生。なのに…… え?ここどこ? トイレ? 何故に? え?遊戯王の世界? ちょっ!? 俺そんなに強くないんですけどーーー!?

2013-01-20 20:25:55 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:6769   閲覧ユーザー数:6389

 

ここはデュエルアカデミア。若きデュエリスト達がデュエルキングを目指し日々努力をしている場所だ。しかしデュエルアカデミアといえどデュエルばかりをしているわけじゃない。普通の授業もある。ちなみに今は体育の授業で野球をしている。スコアは3対0で俺達のチームがリードしている。

 

「涼太くーん! 頼むよー!」

 

「涼太ー! ホームランだー!」

 

俺は野球のバッターボックスに立っていた。翔と十代が俺に声援を送ってくる。

 

それは無理だよ十代。だって俺野球したことねーもん。頑張るけど……

 

ラーイエローのピッチャーが球を投げてくる。……これなら……てい!

 

俺はバットを振る。当たった!ピッチャーの投げたボールは俺が振ったバットによって方向を変え飛んでいく。ボールは外野の頭を軽々と越す……訳も無く……内野の頭を通り過ぎて落ちた。ボールを外野が拾うが俺はその間に一塁に到着していた。

 

俺の番が終わって次は十代がマウンドに立った。

 

「アニキー! 頼んますよー?」

 

「おっし! 任せとけ! またここで一発打てば、1点、2点、3点追加で一気に決まりだぜ!」

 

十代がバッターボックスで構える。ピッチャーが投げる準備に入る。その時。

 

「おーい! 待てー!」

 

誰かがそう言いながらグランドに入ってくる。

 

「すみません遅れて。ついデッキ構築論に夢中になっちゃって」

 

グランドに入ってきたのは三沢だった。三沢が他のラーイエローの生徒と二言、三言話して、ラーイエローはピッチャーを交代した。新しいピッチャーは今マウンドに入ってきた三沢だった。

 

「ついに出てきたな、三沢!しかし、お前の球もあそこに叩きこんでやる!」

 

十代がバットを掲げてホームランを予告する。

 

「いや、俺の球は打たれはしない。なぜなら、君の攻略法は既に計算済みだからだ!」

 

なんか……某テニヌのデータの人みたい。……三沢が将来、三沢特製ドリンクとか作らないことを切に願う。もし、そんな物を創って持ってきたら……セイバー君に飲んで貰おう。

 

 

そんな事を考えているうちにゲームは進んでいた。

 

三沢が十代を三振で打ち取り。

 

十代はツーアウトから3人歩かせ満塁の状態で三沢と対決してホームランを打たれた。

 

俺達がボールが飛んでいった方向に行くとそこには左目にボールをめり込ませたクロノス教諭が! どうやら歩いていたところにたまたまボールが飛んできたらしい。三沢が遅れて謝りに来ると俺達を追い払って三沢と話を始めた。

 

 

色々あったけど負けは負け。十代は三沢に言われて三沢の部屋のペンキ塗り……すなわち『ビックバン』を手伝わされることになった。俺と翔も十代に付き添って手伝うことにした。

 

俺達は部屋に入る。すると部屋の中は数式数式数式……ご覧の通り。ここに俺達が挑むのは無限の数式。数学の極致……恐れずしてかかってこい! 見たいな事を叫びたくなる部屋だ。

 

さっそく俺達は『ビックバン』を開始した。

 

「うぉ!? 十代! 翔! ペンキで遊ぶな! 三沢! お前も一緒になって遊ぶんじゃない! わぶっ!? ……キサマラヲムッコロス!」

 

「うわああ! 涼太が怒った! うぶっ!? やったなー? この!この!」

 

「えい!えい! あははははっ!」

 

「そりゃ! ふっ!はっ!」

 

こんな感じで俺達は三沢の部屋の『ビックバン』を完了した。

 

『ビックバン』を終えた後、俺達はラーイエローの寮の食堂で三沢に飯を奢ってもらった。

 

「悪いな三沢。罰の筈だったのにご馳走にまでなっちまって」

 

「もう食っておいて言うのもなんだけど、良いのか? 俺と翔も奢ってもらって?」

 

「ああ、気にせずじゃんじゃん食べてくれ。いくらでもご馳走するぜ?」

 

そう言うと三沢は大皿に乗った海老を持ってきた。

 

「そう言えば、さっきクロノス教諭と何話してたの?」

 

翔が思い出したように三沢に聞いた。

 

「ああ、寮の入れ替えテストのことさ」

 

「寮の入れ替え?」

 

「部屋も綺麗にしたってことは!」

 

「オベリスクブルーに昇格するのか!」

 

めでたいことだ。

 

「入試の時だって、お前抜群に強かったもんな。オベリスクブルーに入るのは当然だぜ!」

 

「ま、まあな……」

 

そう言った三沢の顔はどこか納得いかなそうだった。

 

 

その後、俺達はオシリスレッドの寮に帰った。部屋がペンキ塗りたてで部屋で寝られない三沢も一緒だ。

 

三沢は俺の部屋に泊まった。まあ、十代達の部屋は満室だから、必然的に来たって感じなんだけどな。

 

「すまないな涼太。泊めてもらって」

 

「良いさ。今日の夕飯のお返しだ。それにこの部屋は一人では少々狭い」

 

セイバーたちが居るからすぐに騒がしくなるんだけど……

 

「そうか。じゃあお言葉に甘えるとするよ」

 

三沢はそう言うとベットに入った。

 

「俺はもう寝るよ。明日は入れ替えテストで早くなるからな」

 

「おう、分かった。……あ! そうだ、三沢!」

 

俺は聞きたいことがあったので三沢に話しかけた。

 

「なんだ?」

 

「寮の入れ替えテストって事は相手が居るんだろ? 誰が相手なんだ?」

 

「万丈目だ」

 

「万丈目……か……」

 

やっぱり十代に負けた事が原因なんだろうか……

 

「………………コーラでも買ってくるか」

 

俺はすぐにどうでもいい事だと思ってジュースを買いに外に出た。

 

 

 

「う~ん。良い夜だ。月が綺麗でセイバーが映える。セイバーは可愛いからな」

 

月夜に佇む美少女。絵になるな~。

 

(なっ!? 何を言うのですか!? 私は騎士です! その私が可愛いなどと!)

 

(セイバーが騎士で女の子であることを認めていなくても、主観は人それぞれなのだから、涼太がセイバーを見て可愛いと思うことは自由よね?)

 

キャスターがクスクス笑いながら言う。

 

「そうそう、誰が何と言おうと、セイバーが何と言おうと、セイバーは可愛い」

 

(あ……あうあうあ……)

 

はぁはぁ……顔真っ赤にしたセイバーかあいいよぅ……お持ち帰りー! ……出来ないね。orz

 

「セイバーは可愛い系! ライダーは綺麗系! 完璧な布陣じゃないか!」

 

(あうあうあう……)

 

(わ、私もですか!?)

 

セイバーに続きライダーも顔が赤くなる。……おっと、鼻血が……

 

(あら? 私はその布陣に入れてもらえないのかしら?)

 

「え? もちろんキャスターも入ってるよ? キャスターは……人妻系?」

 

(な……何で疑問系なの? しかもそれ属性じゃない……)

 

「良いじゃん。人妻系」

 

萌えるよ。うんうん。

 

「…………ん? ……誰だあれ?」

 

俺の前の方に誰かが居る。こそこそとしてかなり怪しい……よし、ついていってみるか。俺は追跡を開始した。

 

怪しい人物は船の桟橋の方まで来た。俺はその人物をよく見る。……あれは……万丈目!?…………怪しい。何が怪しいってプライドの高い万丈目がこの時間にこんな所に来ているのが怪しい。とりあえず話しかけてみるか。

 

「おーい! 万丈目ー!」

 

俺が声をかけると万丈目はビクリと驚く。

 

「よう、どうしてこんな所に居るんだ?」

 

「べ、別に理由は無い! オシリスレッドのドロップアウトはさっさとどっかに行け!」

 

俺が話しかけると万丈目は焦ったように言った。

 

「何だよその言い方。何か俺がここに居たら不味いのか?」

 

「ぐっ! そんな事は無い!」

 

ますます怪しい……

 

「そう言えば万丈目は明日三沢と対戦するんだったよな?」

 

その時、俺の脳裏にインセクター羽賀が浮かび上がった。

 

「あ、もしかして三沢に負けたくないから三沢のカードを捨てに来たんだろ?」

 

俺は冗談のつもりだった。万丈目が「そんな事をするか!」と言っていたら俺はその場を去っていたはずだった。だが万丈目は……

 

「な!? 何故それを!? ……はっ!」

 

万丈目は俺の言葉に驚いた。

 

「…………お前……まさか本当に?」

 

「くっ!」

 

「何やってんだよ万丈目! お前……それで勝って嬉しいのかよ!?」

 

「う、煩い! 貴様に……貴様のようなドロップアウトに俺の何が分かる!」

 

万丈目が叫ぶ。

 

「分からねえよ! でもな、これだけは言える! そんな事して今だけ勝ったって意味が無いことはバカな俺にも分かる!」

 

「うるさい……煩い煩い! 勝負だ、山崎涼太! ここはデュエルアカデミア! デュエルで勝利したものが正義だ! 俺が勝ったら俺はこれを海へ捨てる!」

 

万丈目は三沢のデッキを俺に見せて言う。

 

「そして貴様はこの事を誰にも言うな!」

 

「……いいぜ。俺が勝った場合。そのデッキは返してもらう!」

 

「ドロップアウト如きに俺は倒せん!」

 

俺達はすぐにデュエルディスクを展開する。

 

「「デュエル!」」

 

「俺のターン! 俺は『地獄戦士《ヘルソルジャー》』を召喚!」

 

『地獄戦士《ヘルソルジャー》』

レベル4 闇 効果 戦士族

攻1200 守1400

このカードが相手モンスターの攻撃によって破壊され墓地へ送られた時、この戦闘によって自分が受けた戦闘ダメージを相手ライフにも与える。

 

「カードを1枚伏せ、ターンを終了する!」

 

俺 ライフ4000 手札5枚

モンスター なし

魔法・罠 なし

 

万丈目 ライフ4000 手札4枚

モンスター 『地獄戦士』

魔法・罠 1枚

 

「俺のターン! ドロー! 俺は『魔術師・バゼット』を攻撃表示で召喚!『魔術師・バゼット』の効果でデッキから『サーヴァント・ランサー』を特殊召喚する!」

 

『魔術師・バゼット』

レベル4 地 効果 魔法使い族

攻1400 守1000

このカードが召喚されたとき自分のデッキ、手札からサーヴァントと名のつくモンスターを特殊召喚する。

このカードが攻撃対象に選ばれた場合、ダメージステップ時このカードの攻撃力は500ポイントアップする。

 

『サーヴァント・ランサー』

レベル4 地 効果 戦士族

攻1500 守1000

自分のフィールドに『魔術師』と名のつくモンスターがいないとき次のターンのエンドフェイズにこのモンスターを破壊する。

 

「『サーヴァント・ランサー』で『地獄戦士』に攻撃!」

 

『サーヴァント・ランサー』が『地獄戦士』を突き殺す。

 

万丈目 ライフ4000→3700

 

「ぐっ! しかし! この瞬間『地獄戦士』の特殊能力を発動! プレイヤーが受けたダメージをそのまま相手にも与える!」

 

俺 ライフ4000→3700

 

「『魔術師・バゼット』でダイレクトアタック!」

 

「ぐああああ!」

 

万丈目 ライフ3700→2300

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

俺 ライフ3700 手札4枚

モンスター 『魔術師・バゼット』『サーヴァント・ランサー』

魔法・罠 1枚

 

万丈目 ライフ2300 手札4枚

モンスター なし

魔法・罠 1枚

 

「俺のターン! 俺はトラップカード『リビングデッドの呼び声』を発動! 墓地に存在する『地獄戦士』を特殊召喚する!」

 

『リビングデッドの呼び声』

永続罠

自分の墓地からモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。

このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。

そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。

 

「更に魔法カード『地獄の暴走召喚』を発動! お互いのフィールドにいるモンスター1体と同じモンスターをデッキ、手札、墓地から攻撃表示で特殊召喚する!」

 

『地獄の暴走召喚』

速攻魔法

相手フィールド上に表側表示でモンスターが存在し、自分フィールド上に攻撃力1500以下のモンスター1体が特殊召喚に成功した時に発動する事ができる。

その特殊召喚したモンスターと同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から全て攻撃表示で特殊召喚する。

相手は相手自身のフィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、そのモンスターと同名モンスターを相手自身の手札・デッキ・墓地から全て特殊召喚する。

 

万丈目のフィールドに『地獄戦士』が2体現れる。

 

「俺は『魔術師・バゼット』を選択する。『魔術師・バゼット』は俺のデッキに2枚入っている。よって俺はデッキより1枚『魔術師・バゼット』を特殊召喚する」

 

「俺は『地獄戦士』2体を生贄に捧げ、『タイラント・ドラゴン』を召喚!」

 

万丈目のデッキに巨大なドラゴンが現れた。

 

「行け!『タイラント・ドラゴン』! 魔術師を蹴散らせ! タイラント・フレイム!」

 

ドラゴンの口から巨大な火炎が吐き出された。

 

「この瞬間!『魔術師・バゼット』の効果発動! このカードが攻撃対象に選ばれた時、このカードの攻撃力は500ポイントアップする! |斬り抉る戦神の剣《フラガラック》!」

 

『魔術師・バゼット』

攻1400→1900

 

バゼットが|斬り抉る戦神の剣《フラガラック》の力を解放し、放った。|斬り抉る戦神の剣《フラガラック》は『タイラント・ドラゴン』が放った火炎より先に相手に当たった。そして何故かバゼットを包み込むはずの火炎は少しそれ、バゼットを半分焼いた。焼かれたバゼットはもちろん破壊された。

 

俺 ライフ3700→2700

 

「まだだ!『タイラント・ドラゴン』は相手フィールドにモンスターが存在する場合、もう1度だけ攻撃が出来る! 行け!『タイラント・ドラゴン』!」

 

万丈目はもう1度バゼットを攻撃した。俺も先ほどと同じ様にした。

 

俺 ライフ2700→1700

 

「この瞬間! 手札の『英霊・クー・フーリン』の効果を発動する!」

 

「何っ!?」

 

「魔術師という名のモンスターが戦闘によって破壊された時、手札に『英霊・クー・フーリン』と『ゲイ・ボルク』がある時、『サーヴァント・ランサー』をリリースして『英霊・クー・フーリン』を特殊召喚できる! 来い! ランサー!」

 

『英霊・クー・フーリン』

レベル6 風 効果 戦士族

攻1500 守2000

自分のフィールドの魔術師と名のついたモンスターが戦闘によって破壊され、墓地に送られた時このカードと『ゲイ・ボルク』が手札にある場合フィールド上の『サーヴァント・ランサー』をリリースし、このカードを特殊召喚する。

このカードは風属性のモンスターとの戦闘では破壊されず、ダメージも受けない。

自分のフィールドに『魔術師』と名のつくモンスターがいないとき次のターンのエンドフェイズにこのモンスターを破壊する。

 

「ちっ……ターンを終了する!」

 

俺 ライフ1700 手札3枚

モンスター 『英霊・クー・フーリン』

魔法・罠 1枚

 

万丈目 ライフ2300 手札4枚

モンスター 『タイラント・ドラゴン』『地獄戦士』

魔法・罠 『リビングデッドの呼び声』

 

「俺のターン! ドロー! 俺は装備魔法『ゲイ・ボルク』をランサーに装備する! 更に俺は手札から『死者蘇生』を発動! 墓地から『魔術師・バゼット』を特殊召喚!」

 

『ゲイ・ボルク』

装備魔法

このカードを装備したモンスターは攻撃が1000アップする

1ターンに1度装備モンスターの攻撃力をそのターンのエンドフェイズまで1000ポイント下げることで相手のモンスターを一体破壊できる。

このカードは『英霊・クー・フーリン』『魔術師・衛宮士郎』『英霊・エミヤシロウ』しか装備できない。

 

『英霊・クー・フーリン』

攻1500→2500

 

「行くぜ!『ゲイ・ボルク』の効果を発動する! 装備したモンスターの攻撃力をエンドフェイズまで1000ポイント下げることで相手のモンスターを1体破壊することが出来る! 」

 

「何だと!?」

 

「行け! クー・フーリン! |突き穿つ死翔の槍《ゲイ・ボルク》!」

 

クー・フーリンが飛び上がりゲイ・ボルクを投擲した。ゲイ・ボルクはまっすぐ飛んでゆき『タイラント・ドラゴン』に突き刺さり破壊した。

 

「更にランサーで『地獄戦士』に攻撃! ……飛べ……」

 

ランサーが『地獄戦士』を蹴り飛ばす。『地獄戦士』は吹き飛び万丈目に衝突する。

 

「ぐああ!」

 

万丈目 ライフ2300→2000

 

「更にバゼットでダイレクトアタック!」

 

「くぅううう!」

 

万丈目 ライフ2000→600

 

「カードを1枚伏せ、ターンを終了する!」

 

俺 ライフ1700 手札1枚

モンスター 『英霊・クー・フーリン』『魔術師・バゼット』

魔法・罠 『ゲイ・ボルク』 伏せ2枚

 

万丈目 ライフ600 手札4枚

モンスター なし

魔法・罠 なし

 

「くっ……この俺が……負ける? ……こんなドロップアウトに……? ……負けられん……俺は……負けられないんだ! 俺のターン! ドロー! っ!」

 

カードをドローした瞬間、万丈目の表情が変わる。

 

「くっくっくっ! 山崎涼太……」

 

「何だ?」

 

「この勝負……俺の勝ちだ! 俺はまず『ヘル・ドラゴン』を召喚! そして手札より『死者蘇生』を発動! 俺が蘇らせるのはもちろん……『タイラント・ドラゴン』だ! しかし『タイラント・ドラゴン』は墓地から特殊召喚する場合、自分フィールド上のドラゴン族を1体生贄にしなければならない。俺は『ヘル・ドラゴン』を生贄に『タイラント・ドラゴン』を召喚する! くっくっくっ……は~っはっはっはっ!」

 

『ヘル・ドラゴン』

レベル4 闇 効果 ドラゴン族

攻2000 守0

このカードは攻撃した場合、そのターンのエンドフェイズ時に破壊される。

フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースする事でこのカードを特殊召喚する事ができる。

 

「『タイラント・ドラゴン』の攻撃! まずはその目障りな槍兵を片付けてやる!『タイラント・ドラゴン』の攻撃! タイラント・フレイム!」

 

巨竜の咢が開く。そこからは炎が溢れ出して……

 

「かかったな?「何っ!?」トラップオープン! 『DNA移植手術』! このカードが発動したときに1種類の属性を選ぶ! このカードがフィールド上表側表示で存在する限り、全てのモンスターは俺が宣言した属性になる! 俺は……風属性を選ぶ!」

 

その瞬間、巨竜の口の炎が風に変わり、巨竜の口から疾風が放たれた。

 

「『英霊・クー・フーリン』の効果発動! このモンスターは風属性との戦闘では破壊されず、ダメージも受けない! つまり、お前の攻撃は無効って訳だ万丈目! ランサー! 矢避けの加護!」

 

ランサーは巨竜が放った疾風を難なく避ける。

 

「何だと!?」

 

「『タイラント・ドラゴン』は相手フィールドにモンスターが存在する場合、もう1度だけ攻撃が出来る……そうだったな?」

 

「くっ! そうだ!」

 

「お前がバゼットを攻撃しても俺のライフは700残る! 次のターン、俺がお前の『タイラント・ドラゴン』を『ゲイ・ボルク』の効果で破壊! そして一斉攻撃すればお前のライフは0! 俺の……勝ちだ!」

 

「く……くっそおおおおおおおお!」

 

 

 

「じゃあ、約束どおり、デッキは返してもらうぞ?」

 

「や、やめろ!」

 

俺が近づくと万丈目は後ずさる。

 

「万丈目、約束は約束だ。早くそれを「煩い! こんな物おおおお!」な!?」

 

俺が更に近づくと万丈目は三沢のデッキを海に向かって放ってしまった。カードは海にバラバラに落ちる。

 

「くそっ!……てめえ……万丈目!」

 

俺は万丈目の胸倉を掴む。

 

「万丈目……お前……デュエリストとしての誇りはどこにやった!?」

 

「デュエリストとしての……誇り……だと?」

 

「そうだ。会った頃のお前はムカつく奴だったけどデュエリストとしての誇りがあった。だが、お前は十代に負け、そして俺に負け、今やデュエリストとしての誇りは見る影も無い」

 

「くっ……貴様……」

 

「デュエリストの誇りが無く、何よりカードを大切にしない奴がデュエルで勝てるわけが無い! お前は……自分で勝てる要素を無くしているんだ!」

 

「くっ……くそっ!」

 

万丈目はそう言うと走って逃げていってしまった。

 

「…………さて……三沢のデッキを拾わないと……ずいぶん沖のほうまで流されたな……」

 

俺はデュエルディスクを外す。

 

「さて……ブランクは3年位か……着衣でどこまでやれるかな……セイバー、誰かに持っていかれそうになったら叫ぶんだぞ?(涼太! 私を助けてください!)って。涙声で」

 

(私はそんな事は言いません! しかも何故涙声なんですか!?)

 

「萌えるから。んじゃ、逝きますか!」

 

俺はそう言うと海に飛び込んだ。

 

夜の海は冷たく、服は重りになって体力を奪う。40枚を拾った時にはかなり沖のほうまで来ていた。俺は陸地を目指して泳ぎだす。その時になって俺はこの辺りに危険な海洋生物が居るかも知れない可能性に気が付いた。俺は泳ぐスピードを上げる。その行為は俺の体力を更に減らす。

 

(涼太! 大丈夫ですか!?)

 

「はぁっ……はぁっ……くっそっ……無茶苦茶……疲れた……万丈目の……野郎っ……今度、ぶん殴ってやる……はぁ……はぁ……」

 

俺は何とか陸に上がる。そこで俺の意識は急速に沈んでいく。

 

「涼太! ……でこん…所で! …………保…室に………………」

 

眠る瞬間。誰かが俺の名前を呼んだ気がした…………

 

 

 

俺は目を覚ます。目の前には天井が見えた。消毒液のにおい……どうやらここは保健室のようだ……これは言うしかあるまい。はい、皆様もご一緒に。

 

「知らない天じょu「涼太! 目を覚ましたのね!?」院明日香さん!?」

 

「知らないって……寝ぼけているの? それともまさか記憶喪失!? 大変だわ! すぐに鮎川先生を呼んでくるからここで待っていて!」

 

(そ、そんな! 本当なのですか、涼太!? わ、私達はどうしたら……)

 

おっとぉ!? 何やら不味い展開だぞこれは!

 

「おいおい待て待て。寝ぼけてただけだ。記憶はきちんとあるよ」

 

「ほ、本当に!?」

 

「本当本当!」

 

「……よかった~~」

 

(全く! 驚かせないでください!)

 

二人とも安堵の表情を浮かべる。

 

「あはは……心配してくれてありがとうな?」

 

「あ、当たり前じゃない! デュエルアカデミアで死人が出たなんて事になったら大変なことになっちゃうでしょ!」

 

(私はもちろん涼太の身の事を案じていましたよ? ……どこかの誰かさんとは違って……ぼそっ)

 

ぴくっ!

 

セイバーがそう言った時、明日香が何かに反応した。

 

「無論、心配してはいたわよ?」

 

「そうか。ありがとう」

 

俺がお礼を言った瞬間、保健室の扉が開いて十代たちが入ってきた。

 

「涼太! 大丈夫なのか!?」

 

「涼太君! 大丈夫? どこか具合悪いところ無い!?」

 

「涼太! 大丈夫か!?」

 

「ああ、何とかな……」

 

「涼太……」

 

俺が生存報告をすると三沢が話しかけてきた。

 

「すまない! 俺のデッキを拾いに行ったせいでこんな事になったんだろう!? 本当にすまなかった!」

 

そう言って三沢は俺に頭を下げてきた。

 

「止してくれ。俺が勝手にやったことだ。三沢のせいじゃない」

 

「いや、君がそうなってしまったのは俺にも責任がある。だから、今回の入れ替えテストはこのデッキでデュエルさせてもらうよ」

 

「……ちょっと待ってくれ三沢」

 

「何だ?」

 

「今お前今回はこのデッキでって事は他にデッキがあるって事だよな?」

 

俺がそう言うと三沢はすごく申し訳なさそうな顔になる。

 

「そうだ。君が拾ってきたのは俺の調整用のデッキだ。だから、君に迷惑をかけてまで取ってきてもらったデッキで今回はデュエルを「止めてくれ」何だって?」

 

「俺に迷惑をかけたと思うならそんなデッキで戦うな。俺が苦労して取ってきたカードを使って負けました。なんて落ちは勘弁だ。もし、俺に迷惑をかけたと思うなら、そのデッキを完璧なデッキにして使ってくれ」

 

「涼太……」

 

「勝てよ? 三沢。負けたら1週間飯を奢って貰うからな?」

 

「ああ……絶対に勝つさ」

 

その宣言通り三沢は万丈目に『ウォーター・ドラゴン』を使って勝った。

 

「シニョール三沢。ユーのオベリスクブルーへの編入を認めるノーネ」

 

「いえ、そのお誘いはお断りします」

 

三沢はきっぱりと言った。

 

「何故なのーネ!?」

 

「俺はオベリスクブルーに入るならこの学園でナンバー1になった時と入学式のときに決めたんです。十代、涼太! オベリスクブルーに入るのはお前達を倒してからだ」

 

「よっし! それなら今すぐデュエルをやろうぜ! 俺も、お前と戦いたくてウズウズしてた所さ!」

 

十代がそう言う。元気だな~。

 

「残念ながら今はダメだ」

 

「え? 何でだよ?」

 

「ここにあるデッキはまだ完成していない。この六つのデッキは十代の『E・HERO』デッキと涼太の『英霊』デッキを研究する為の試作デッキに過ぎない。たぶん、新しく塗った部屋の壁が数式で埋め尽くされる頃には出来るだろう。十代の『E・HERO』デッキと涼太の『英霊』デッキを破る、俺の7番目8番目のデッキが!」

 

「俺を負かすデッキだと? おもしれえ……その時こそお前と勝負だ!」

 

「セイバー達は強いよ? その時がきたら全力でかかって来い! 三沢!」

 

「ああ」

 

 

 

さて…………今回も、何とか生き残れたか……

 

 

お久しぶりです作者です。

この度は投稿が遅くなってしまいもうしわけありません。

何故遅くなったかというとぶっちゃけ塀の中に入れられちゃったんだよね(就職的な意味で)。

パソコンが扱えないので投稿出来ません!

皆もこんな風になりたくなかったら勉強はちゃんとしようね! お兄さんとの約束だよ?

 

次の投稿はシャバに出られるようになってからにします。それではまた次回。ノシ

 

 

 
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