朝、いつもと変わらぬ朝日が差し込む。
目をあけると、至近距離に蓮華の顔が見えた。
「一刀・・・・・・」
「れ、蓮華?」
「っ!」
起きたことに気づくと、飛び跳ねるように下がった。
「お、おはよう、いい天気ね」
「あ、あぁそうだな、で・・・・さっ」
先ほどの事を聞こうとしたが、それはすさまじい勢いで開かれた扉の音にかき消された。
「一刀~遊びに行くわよ、って、なんで蓮華がここにいるのよ」
「私は、一刀を起こしに・・・・・」
「一刀はあげないわよ、一刀は私のものなんだから」
「姉様は・・・・・・姉様は勝手すぎます!」
それは、雪蓮にとって全く予想外のことだった。
「私に一刀と結婚しろと言ったり、一刀はあげないと言ったり、一刀を好きになってしまった私のこの気持はどうしたらっぅ・・・・・!」
途中で自分の言っている事がどういうことなのかに気づいたのだろう、その場に立ち尽くし、顔を真っ赤に染めている。
「へ~そんなに一刀を思ってたんだ、でも、それとこれは話が別よ、一刀はたとえ蓮華でも渡さない」
やはりというか、なんというか、本人そっちのけで話が進み徐々にヒートアップし始めている。
「「一刀はどっちがいいの!」」
「え?雪蓮には雪蓮の良い所があるし、蓮華には蓮華の好い所があるからな・・・・どっちとかは言えないよ」
二人は呆れたように大きなため息を吐いた。
「一刀、朝の食事はまだとってないわよね?」
「それは、蓮華が一番知ってると思うけど?」
「じゃあ、決まりね、一刀を満足させたほうが勝ち、今日一日、一刀といる権利をで、どう?」
「望むところです、姉様」
二人はうなずき合うと、調理場へと走って行った。
「二人って、料理したことあんのかな?」
一抹の不安が抱えあがったが、気にしないことにしておこうとおもう一刀だった。
二人が出て行って、小一時間がたつ間に調理場のほうから、悲鳴や何かが壊れる音などが聞こえ、気にしないでおこうと思った気分が徐々に消えていく。
「一刀!できたわよ!」
「姉様、私も出来たんですから、一緒に食べてもらいますよ」
二人が持ってきたのは、何とも言い難く、食べ物かどうかも怪しい物体であった。
「さぁ!食べて」
レンゲを受け取ると、震えながらもその物体を口に運んだ。
「・・・・・・・」
「どう?おいしい?」
無言のまま、次のさらにレンゲを伸ばし、震えながらも口へ運ぶ。
「どうだ?一刀」
どちらもまずいとは言えず、迷っていたところに突然、青椒肉絲の皿が置かれた。
「・・・・・うまい!うまいよ!」
顔をあげるとそこには祭が立っていた。
「全く、二人は北郷を殺すつもりか?」
「そんなつもりはないわ」
「どう言うことかしら?祭」
「簡単に言うとじゃな、お二人の料理は料理ともいえぬものだということじゃ、二人とも、味見はしたのか?」
「してないわよ」
「していません」
その返答を聞き、祭は大きく溜息を吐いた。
「それでは、各々の作った料理を食べてみると北郷の気持ちがわかる」
その言葉の通りに、二人は自分の料理を口にした瞬間に苦虫をかみつぶしたような顔をした。
「わかったじゃろ、北郷が返答に困っていた理由が、こ奴はやさしいからな、どう言えば二人を傷つけずに言えるか考えていたのじゃろう」
完全に核心を突かれ、否定も肯定もすることができなかった。
「それでは、お二人は部屋から出て行ってもらえますかな?」
「なんで?」
「なぜだ?」
「お二人の勝負はなんでしたか?」
「・・・・・・!」
「あなた、聞いていたの?」
「えぇ、偶然通りかかったら、策殿と蓮華様が言い争っていたので、聞いていたらそのようなことになっていたのでな」
「そんなの認められないわ!」
異議を申し立てたのは、以外に蓮華だった。
「第一、祭はそのことを聞いただけで、参加するなんて一言も言ってなかったじゃない」
「それはそうじゃが・・・・」
「そういうことで、もう一回やり直よ!」
結局、この後、服装、お茶等々も何かしらの邪魔が入って、二人の決着はつくことはなかった。
「どうして、みんなこんな時に限って邪魔するの!」
「口で言ってることと、心で思っている事は違うって、そういうことよ」
なぜか、二人とも一刀を真ん中にして寝台で一緒になって寝ている。
「もう最後よ、一刀を満足させたほうが勝ちよ」
三人の長い夜は幕を開けた。
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シリーズ化?じゃないけど作りました
、今回は姉妹対決です