マブラヴ オルタネイティヴ RETURN OF START
二十三話 新天地へ
アスカ SIDE
明星作戦から一週間後、俺たちは横浜ハイヴだった場所にいた
相変わらずスタプ内は暗く、ライトで照らしながら移動する
両隣には白い武御雷が随伴し、背部に空のドロップタンクを装備
後方に月詠さんの武御雷に、ケニーが乗るファントムが後に続く
後ろを振り向くと強化装備を着た社が座っていた
「社、大丈夫か?」
「・・・大丈夫です」
「それならいいけど何かあったら言ってくれ、それと嫌ならハッキリと言ったほうがいいよ」
まったく香月博士は何を考えているんだ?
いきなり、「社をハイヴに連れて行きなさい」と言って三番目から摂取したマインドシーカー(改修済み)に乗せられた
このマインドシーカーは、F-14トムキャットをベースにハイヴ内部を強攻偵察を目的とした機体だ
機体には衛士と人工ESP発現体1名が乗れる様に複座にされ、空力が低下するほどの複数の観測機器を搭載した
使い方は間違っていないが、BETAが機能停止しているからって、いつ目覚めるのか分からないBETAの中を行くのは危険だ
「・・・アスカさんがいるので大丈夫です」
えっ?(°□°;)
いま、リーテイングされた?
どういうことだ、リーテイングされている時は頭痛がして分かるのに頭痛がしない
俺の体になにかあったのか?
『あーそこにいる幼女の強化装備を見て悶えている女装が趣味なヤツ、聞こえる?』
「別に悶えていませんし、勝手に趣味にしないでください」
『同姓が惚れるぐらいの美しさだから自信を持ちなさい』
「自信を持っても困るんですけど(汗)」
『その同姓はどうしたの?』
「それがですね・・・」
ファントムを見る
機体周囲から纏わり付くような空気を出していた
バカという言葉はケニーのためにあるかもしれない
『うう~ユウコちゃん聞いてくれ、白いスーツを着て赤いバラを持ってアタックしたけど失敗した!今夜慰めてくれ!』
『嫌よ』
『なん・・・だと・・・!』
「あ~静かにしてくれ・・・それでどうしたんですか?」
『眠り姫の件だけど、桜咲が言った通り不明な点ばかりだったわよ』
眠り姫・・・この横浜ハイヴで唯一の生存者
ハイヴにいたにも関わらず至って健康
さらに調べると住民票などの個人情報がなく、着ていた制服はこのハイヴ建設する場所にあった白陵という訓練校の制服
しかも素材の生地が自然繊維ではなく、前の世界に良く使われた人工繊維
一瞬、並行世界から来たと考えるのが妥当だが飽くまでも仮説だ
本人に直接聞いたほうが早いが謎の昏睡状態で聞くことも出来ない
『――これ以上調べても進展しないし、眠り姫はこっちで厳重に管理するわ』
「お願いします」
『それと桜咲、あの眠り姫を見てなんか感じることはないわよね?』
「なにも無いですけど」
『・・・なら、いいわ』
香月博士は歯切れが悪いような表情を浮かべていた
どういうことだろう?
『それと前に話していた件なんだけど、
「フェイアチルド・リムパリック社に頼んでいたモノ?」
『ま、見れば分かるわ、そろそろ通信範囲外に入るから後はよろしく』
見れば分かるって、一体何を頼んだんだあの人は?
ま、悩んでもしょうがないか
「・・・アスカさん、例の場所に辿り着きました」
「分かった、爆薬を指定の場所にセットするから各機に退避を」
「・・・伝えておきます」
目の前の何気ない岩盤や土砂の壁に、GNミサイルを応用した爆弾を設置
ケニー達の退避を確認し、爆発させると隠したドリフトが現れる
さらに進むと瓦礫に塞がれた壁が現れ爆発させながら進むと調査されていないホールに辿り着き、中には何十個の正方形に切り出されたG元素があった
『これほどの元素を運び出していたとは』
「ほんの一部しか運べなかったですけど、残りの元素は爆発前に焼き払いました」
『けどよ、これほどの量を運んだら各国に怪しまれるぜ』
「それなら大丈夫、このハイヴ跡地は四番目が管理して基地を建設する話になっているから」
『ここに基地を建設すると言うことは、かなりの規模の基地だな』
「ケニー、なに他人事のように言っているんだ?秘密区画建設時に俺達も駆り出されるから」
『ナニ?オレは聞いてないぞ』
「昨日、政府と交渉して決まったことだから」
政府関係者、驚いていたな――
まさかハイヴ跡を再利用して基地を建設するのが想定外で全員が( ̄O ̄;)になっていた
さらに建設の予算に技術提供分として上乗せしてもらい5人ほど倒れたな
『――ということは、建設で働く一部女性と出会えることになるのか!それなら準備しないと』
ケニー、人参を目の前に釣らされた馬か
うーん、後で電流が流れる首輪でも作っておくかな?
『桜咲・・・
「大丈夫ですよ月詠さん、諦めて逆に楽しんでいますから」
『そうか・・・』
「もしケニーが迷惑を掛けたなら、先ほど渡した赤ハロに言って下さい、必ず仕留めますので」
『バーローハ、任セロ!バーローハ、任セロ!』
どう聞いても赤ハロはコ○ンの姿を思い浮かべる
ま、声優さん一緒だからしょうがないか
でも他のハロとか、音声変えられるか?
例えば、ア○ゴさんの声優・若○さんやワ○ピースのバ○ーの声優さんとか
『・・・・・・・・・桜咲は天然なのか?』
「・・・大半は天然です」
「え?なにかありました?」
「・・・なんでもありません」『気にするな』
「・・・?」
アスカ SIDE END
欧州連合 SIDE
ロンドンのとある会議室にヨーロッパ各国の体表者が集められ、明星作戦について話し合われていた
最も注目したのは、五番目が使用したG弾
たった二発で、“人類初のハイヴ完全制圧”を成し遂げたが、使用された横浜の地に重力異常・植生異常が発生していたことが分かり、各代表は懸念してしまった
「これでは奪還する前に再び本国を失ってしまう」
「たしかに異常現象は何年先も続くのは分からない、我々は五番目発動より早く本国を奪還させるべきだ」
「だが、タイフーンとラファールはまだ配備が進んでいない」
「配備に遅れている分、BETAが侵攻してきたらどうする?」
「それは・・・」
「皆様、そのことで我がイギリスから提案があるのです」
各代表の目の前に置かれたモニターにA―01の不知火が映し出された
突撃級の突撃を避けながら射撃、要撃級は蜂の巣され、重光線級は照射粘膜に大きな穴が開けられた
「これは、帝国軍が開発したと言う新装備と日本が作り出した第三世代機ではないか、何故国連が持っている?」
「いま各国を騒がしている、レールガン・高周波ブレード・新型の跳躍ユニットなどの新装備は帝国で開発されたと思われますが、情報軍が調べ上げたところ四番目が開発したと分かりました」
「四番目・・・・・・あの魔女が開発?」
魔女=夕呼の名前が出た瞬間、会議室にざわめきが起こる
しかしイギリス代表者はさらに話を進めた
「いま映し出されている三機は直属部隊の機体であり、新装備を近・中・遠のタイプに分けたと思われます、そしてこれをご覧ください」
映像が切り替わり、A―01と行動をともにしたサンダーボルトⅡが映し出された
「このサンダーボルトⅡは狙撃に特化されて20キロ地点からBETAを狙撃しました」
「レーザー照射範囲外からの狙撃可能だと、1200mmOTHキャノン並みではないか」
「驚くのはまだ早いです、ヨコハマで確認された母艦級と呼ばれるBETAを撃墜したのはこの機体です」
「信じられん、調査では母艦級の外殻は高い硬度を持ち、S―11以上の威力を持つ兵器でないと破壊不可能と報告されている」
「つまりイギリスは、四番目に技術協力を要請したいと申しているのですか?」
「ええ、我々には第三世代機を揃えても物量の差を埋めることができません、それが長引けばアメリカが干渉してしまう恐れがあります、そこで時間を稼ぎつつ強力な機体が必要なのです」
「仮に技術協力を要請しても、魔女は見返りに何を要求するのか分からないぞ」
「分かっています、そこで西ドイツに日本を通して四番目を動かして貰いたいのです」
「我が国が?」
「前回の技術提供と同様に交渉をお願いします、四番目には“来たるべき戦い”に我々が必要ですから交渉は進むと思います」
「・・・・・・分かった、日本と交渉を進めよう」
欧州連合は四番目に技術協力の採決を執ると満場一致に決まった
欧州連合 SIDE END
アスカ SIDE
「トレミーを搭載するほどのスペース持つなんてすごいタンカーだ」
足元の甲板を叩きながら、全体を見渡す
普通のタンカーと変わり無いが船体にはトレミーが隠されている
トレミーで大西洋を経由してフェイアチルド・リムパリック社に向かう途中、向こうから通信が入り指定されたポイントで待っていると、このタンカーが現れた
船底が開きトレミーを入れると固定させられ船底が閉じ、船体に溜まっていた海水が排出された
「すごいだろ、技術力ではどの国でも負けない会社なんだぜ」
誇らしげにドヤ顔をするが、ケニー
体全身ロープで巻かれている状態で言っても説得力無いよ
「ところでアスカ、
「会社に着くまで無理だ」
「なんだと?」
「香月博士から、どうせバカは着いてこないから眠らせ体の自由が利かなくして連れていって頂戴と言われた」
「ユウコちゃん、放置プレイが好みなのか!?」
「知るか・・・」
「サクラザキチーフ、そろそろチャールストン港に着くので、降りる準備を」
「あ、はい・・・・・・ケニーはどうする?」
「このトランクに詰め込んでください」
「分かった」
「ま、待て!」
「冗談だ」「冗談です」
仙台基地から持ってきたトランク(ケニーは入っていません)を持ち、タラップを降りていくと港の光景が目に入る
アメリカはBETAに侵略されていなく、“普通に生活している”
自分も当たり前のようになに不自由なく平凡な生活をしていた
だけど今はBETAと世界を相手に戦争をしている、生きるか死ぬかの日常茶飯事で前の自分には考えつかないだろうな・・・
「どうしたアスカ?」
「いや、なんでもない」
「そうか?」
うーん、前の世界に未練があるなんて思っていなかった
これ以上考えると前の世界に帰りたいと思ってくる
けど、逃げ出すわけにもいかない
こんな世界にした責任もある
自分の頬を叩き気合を入れ直す
「ほ、本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫だ問題ない、それより大きい港だな」
「ああ、この港一帯は会社が保有しているんだぜ」
会社が港を保有って豊○市か!
アレは町か・・・
ケニーの後に続き、港を歩くと一隻のクルーザーの前に立ち止まった
「あれ?会社じゃないのか」
「おやっさんのクルーザーに行けと言われた」
クルーザーには釣り道具が置かれ、かなり手入れがされている
さらに奥を見るとベンチにドーベルマンが顔を上げ、こっちの様子を見ていた
「待っていた、二人とも」
中からメタボな中年男性が現れた
テンガロンハットを被り、ライフジャケットを着て釣竿を持っている
「ワシがフェイアチルド・リムパリック社という変態の集まりを統括する社長、チャールズ・オズマンだ」
「知っているとは思いますが、アスカ・サクラザキです」
「よろしく、それでは船に乗りながら話をしよう」
「なぜ船?」
「海だと会話は聞かれないってことだろ」
「なるほど」
乗り込むとクルーザーは沖に向かって移動した
太陽は高く上り、波は穏やかで風は強くも弱くも無く心地よい
「この間の技術提供はありがとう、おかげで政府にも怪しまれず軍に劣化品を渡せるわい」
「いえ、こちらこそガンダム用にロケットブースターを作って頂きありがとうございます」
「ロケットブースターはパイロットの安全面を無視したモノを倉庫から出してきたから気にすることは無い、おかげでいいデータが取れた」
「え・・・?」( ̄O ̄;)
「開始3秒で意識が吹き飛ぶヤツ使っていたのか、スゲェなアスカ」
安全面を無視の開始3秒で気絶・・・俺、そんな物を使っていたのか?
たしかに不知火のリミッター解除したよりも、股間が握りつぶされるような痛みがきたような・・・
「頭痛がしてきた・・・ところで、なんで四番目のスポンサーになったんですか?」
「目的が違うと言うことじゃ」
「目的が違う?」
「知ってのとおり、この国は戦後を見据えて核に変わるG弾をどの国も多く保有させようとしているが、その反面G弾は人が住めない土地に変えてしまいワシらの貿易先が少なくなる」
「一つの国に集中すると物価などが値上がるが、貿易できる国があれば高く買い、より多くの利益を生む」
「そのとおりだが、五番目は人の心を蔑ろにしてしまう恐れがある」
「「・・・・・・」」
たしかに横浜の惨劇は酷いってものじゃない
あの光景を見たら戦意喪失し、G弾を保有する国に怯えなければならない
「四番目は人類が地球で存続させ、BETAだけを排除してくれる、ユウコやアスカは戦後のことなんて考えていないだろ?」
「香月博士なら、めんどくさいから丸投げしますし、俺はのんびりと暮らしたいと思っています」
「だからこそ、スポンサーになり四番目に未来を掛けているのだ」
「ちなみに会社が技術者の集まりで、アスカが作った技術を見たら満場一致で協力することになったんだぜ」
「いい会社だな」
自分がやっていることが無駄になっていない
これからも頑張らないと・・・
「ところでミスユウコから預かり物は無いかのう?」
「あ、そういえば、このトランクを渡してほしいと」
トランクを渡すとチャールズ社長は、なぜか鼻血を垂らしてサムアップされる
ダイヤル式のロックが解除されると中から女性物のストキングが現れた
「えっ、中身違えた?」
「なっ!この匂いは夕呼ちゃんの匂いだ!」
「はい?」
匂いってしないぞ
つーか、匂いを判断できるって犬並みかケニー
「しかも、つい最近履いていた匂いだ・・・・・・まさか頼んでいた物は匂い付きのストキングか!」
「ご明察だ」
「クソッ!オレにも匂いかがせろ!」
「オマエさんは、一部の女性がいるのではないか?」
「おやっさんみたく、ロリ以外の守備範囲は持っていないぞ」
チャールズ社長はケニーの上位として考えればいいのか?
ストキングのことは、気にしないでおこう
それと二人とも船の中で騒ぐと海に落ちるぞ
アスカ SIDE END
??? SIDE
とある倉庫で白熱電球に照らされ蛾が光に集まっている
白熱電球の下には数人の男がテーブル囲って地図を広げていた、その地図はある建物の詳細が細かく書かれている
「スパイからの情報ですと“例のモノ”はこの倉庫に眠っています。潜入ルートは…」
男が地図にマーカーをしていく、マーカーをしていった地図にはかなり詳細に書かれ入念に調べられていた
「首尾は?」
「衛星、レーダーに穴を空けて置きました、しばらくは時間が稼げるでしょう。」
男は地図を見て手に持っていたファイルを開いた
ファイルの中身は細かくの“ある場所”のスケジュールが書かれている
「この作戦はかなりのリスクがあります、作戦当日に先行量産型のデモンストレーションが開かれており、“例のモノ”のために派手に動き回ると、かの国に察知される恐れがあります」
「………あの計画を掌握するには必要不可欠。多少のリスクを冒さないと成功するものが成功しなくなる」
「クリストファー少佐……」
「では、我々は一足先に潜入しておきます。少佐ご武運を…」
男たちは証拠残さないように地図に火を点け、ファイルを燃やした
拳銃からマガジンを取り出し銃弾を込め、アメリカ陸軍の軍服に着替え倉庫から出て行った
「我々の崇高な使命が成就する日はもう少しだ・・・」
クリストファーと呼ばれる男はナイフを投げつけ白熱電球の周りに飛んでいた蛾に当たり天井に突き刺ささっている
瞳は憎しみと怒りが混ざり合っていた
人物設定
チャールズ・オズマン
様々な分野に進出しているフェイアチルド・リムパリック社の社長、元ネタは阿笠博士
夕呼からはエロじじいと呼ばれ、アスカはケニーの上位と思われ、ロリ以外の守備範囲を持つ変態その2
四番目が未来に通じるということでアスカたちのサポートに回ることになった
あとがき
どうも~
今回は明星作戦でのアスカの成果と今後のフラグを構築させました
現在いるアメリカ、軽くロシアを挟み、ヨーロッパを経由させアラスカへと行きます
次回にガチムチなおっさんと日本人嫌いなアメリカ人が軽くバトルさせます
ま、そんなこんなで今年もよろしくお願いします
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遅い挨拶ですが、新年開けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします