No.531463 IS x アギト 目覚める魂 32: 鋼と迅雷の戦士i-pod男さん 2013-01-14 00:33:32 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:2472 閲覧ユーザー数:2382 |
「ウォオァアアアアアアアアアーーーーーー!!!」
私の目の前で、一夏の姿が変わった。緑色の体、鋭い牙、赤い目。胸にある瞳の形をした宝玉の様な物。獣の様に吠え、金色の亀の様な化け物に飛びかかった。噛み付き、殴り、蹴り、腕に生えた鉤爪で引き裂く。大人しい普段の一夏とは比べ物にならない程の荒々しさと豹変振りだ。だが、外皮が堅いのか、鉤爪が通らない。蹴りではね飛ばされた一夏は気に激突して地面に落ちる。
「一夏・・・・お前・・・・」
「これが、俺だよ。千冬姉だからこそ俺はこの姿を晒している。こんな俺でも、俺を受け入れて欲しいから。千冬姉が、大好きだから。守りたいから。」
両手を胸の前で交差させ、拳を作ってそれを顔の前に持って行くと、一気に広げた。
「あれは・・・!?」
一夏の姿が、色が変わった。透き通る様な青い目。雪の様に真っ白な体。胸の宝玉は銀色に、腰の装飾も金と緑が銀と青に変わっていた。腰の装飾から巨大な剣を引き抜くと、それを地面に突き刺した。コンクリートの地面に罅が入り、氷結して行く。一歩一歩歩く度に、足元が凍って行く。剣を引き摺りながら余裕を持ってアンノウンに向かってゆっくりと闊歩した。放たれる攻撃を全て氷の障壁によって阻み、自らその障壁を破った。その拳の一撃は、アンノウンの胸を的確に捉えた。
『ヌォアアア?!』
「ハアアアアアア・・・・・」
更に追撃する。余りに容赦の無いその攻撃に、私は不覚にも震えてしまった。それは、殺意。冷徹に、淡々と相手を抹殺する確固たる意思。幅広の大剣を振り上げ、左腕を切り落とし、右の拳で放つコークスクリューパンチで頭を吹き飛ばそうとした。だが、突如地面から銀色の腕が二本伸びて一夏の両足を掴んだ。
「くっ!?」
咄嗟に剣を地面に突き刺して飛び上がり、その場を離脱する。私も思わずヒヤッとしてしまった。
「千冬姉・・・・前に頼んだ事、覚えてる?」
前に頼んだ事・・・・!まさか・・・この期に及んでまだ言うか!?
「駄目だ!お前に力を渡せば、奴らはまたお前を狙う!」
「俺なら大丈夫だ!悪いけど、こう言う戦いでは俺の方が場慣れしてる!守りたいんだよ!だから・・・・俺に守らせて。千冬姉が、大好きだから。俺の、たった一人の姉ちゃんだから。男は女を守る物だ。守らなきゃならないんだよ!」
その言葉は、楔の如く私の心に深々と刺さった。そうだ・・・・何をやっているのだ私は。弟に花を持たせるのもまた姉の仕事だったな。
「・・・・どうすればいい?」
「俺の手に掴まって。」
私は迷わずその鱗の様な感触の緑色の手を掴んだ。すると、脳の奥が引っ張られる様な絵も知れぬ奇妙な感覚に襲われ、何かが抜け出て行くのを感じる。
「よし!」
一夏は再び両腕を交差させて広げ、赤い光に包まれた。
(BGM 鋼鉄の勇気)
俺の体の中に、千冬姉の力が流れ込むのを感じた。力強いと同時に、優しくて心地良い。千冬姉・・・・ありがとう。俺は再び両腕を交差させて姿を変えた。赤い光、バチバチと鳴る放電の音。その雷は亀型のアンノウン二体にも累を及ぼしたらしく、地面に倒れて痙攣していた。俺の姿は、また変わっていた。赤い体に、銀色の目。メタファクターの緑色の宝玉もまた赤に変わっていた。地面に突き刺したバスターフレアも消えている。体が、未だにバチバチ言いやがる。
「千冬姉、ありがとう。」
腰を低く落とし、左足で地面を蹴り出すと視界がブレた。アンノウンから数メートル離れていた筈が、いつの間にか一メートル足らずの距離に縮まっている。そうか・・・・・!コイツはそう言う能力か・・・よし!向かって来るアンノウン二体を回し蹴りで後退させ、もう一度突っ込んだ。速い・・・・速い!俺は・・・・速くなってる!
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
自分でも驚く程動きが速い。一体目は頭上を飛び越えて背中の甲羅に連続でパンチを叩き込んだ。放電する拳が甲羅に減り込み、徐々に亀裂を入れ始めて行く。勝てる・・・・!これなら、勝てる!最後の一撃に雷のエネルギーを込め、アッパーを叩き込んだ。残るは一体。逃げようとしてるみたいだけど、させるかよ!ベルトの前に手を出すと、両手に別の武器が現れた。トンファーだった。何故トンファー?まあ、良いか。適当にやってりゃ倒せるだろう。
新たな力、アイアンブリッツフォームを手に入れた一夏は更にトンファー、アイアンダスターを取得した。仕留め損ねたテストゥード・テレストリスを連続パンチ『プラズマスパイク』で葬った。テストゥード・オケアヌス同胞が殺された事に恐れをなして逃げようとしていた。だが、アイアンダスターの攻撃を喰らって地上に引き摺り出されてしまう。
「はあああああああ・・・・・・・!!」
角に雷がたまり、それが足に向かって収束して行く。超スピードで駆け抜け、必殺の飛び蹴り、『ライトニングライダーキック』が炸裂し、空中と地上で二つの爆発が起こった。
変身を解いた一夏は思わず膝をついた。
「一夏!怪我は無いか?」
「大丈夫。千冬姉は・・・?え」
だが、千冬は一夏は抱き寄せ、身長の差もある為に結果的に胸の中に埋もれてしまったが、彼女は構わずそのままでいた。
「全く・・・・無茶をしおって。お前が一人前になるのはまだまだ先だ。だが、今回は助かった。ありがとう。」
「分かったから・・・・離して・・・胸に埋もれて死にそうなんですけど。」
改めて一夏の顔がどこにあるかを確認すると一夏を離す。
「さてと、一旦家に帰ろうか。俺腹減った。」
その証拠に一夏の腹の虫が盛大に空腹を告げた。
「全く、締まらない最後だな。」
「言わないでよ。折角千冬姉を守ったのに今ので台無しになったじゃん?」
二人を遠巻きに凝視する黒服の青年が一人ビルの屋上に立っていたが、その姿は直ぐに消えた。
『アギト・・・・・私は人間が好きだが・・・・・・人間で無くなってしまったお前達の存在を許す訳には行かないのです。』
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