No.529097

魔法の世界の――

即興小説にて作成

お題:優秀な希望 制限時間:30分

2013-01-07 21:15:16 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:448   閲覧ユーザー数:446

 とある魔法使いの少女は目の前にいる男を見た。正直、この男に勝てる気はしない。でも、やるしかない。そうしなければ、あの少年を守ることはできくなる。

「はっ……君一人で僕を倒そうなんて、そんな甘い考えを持ってるんじゃないだろうね?」

「そうよ……私はあんたを倒す!!」

 

 ほんの数分後

 

 歩夢は十分に戦った。死力を尽くした。だが、目の前にいる膨大な魔力を武器に、強力な魔法を連発してくるこの男にはかなわない。攻撃を届かせることすらできなかった。

 もう、全身の痛みは感じなくなっている。息をするのも一苦労だ。口の中は血の味しかしない。

 それでも、男は少女への攻撃をやめない。少女の守ろうとしている少年に受けた屈辱を晴らすまではこの女をいたぶり続ける。

「おらおら、どうした!? 俺の受けた屈辱はこんなもんじゃねえぞ!!」

「が……」

 少女が何度目か分からない吐血をした。正直、立っていられない。膝が崩れ、その場に座り込んでしまった。

 視界もかすれてきた。だが、男はそれでも少女に近づいてくる。なんとかしなくては……そう思って足に力をいれようとする。だが入らない。もう、彼女には立ち上がる力など残ってはいなかった。

 

「やれやれ、俺ってそんなに頼りない?」

 

 少女はその声を聴いて驚いた。彼女が守ろうとした少年が目の前に立っているではないか。

「ど……どうして……どうしてあんたがここにいるのよ……」

「まったく、君を助けに来たからに決まってるじゃないか。」

「で……でも、束縛魔法が……」

「うん、とっても強力な束縛魔法だった。おかげさまで抜け出すのに苦労したじゃないか」

「でも……あんたがここにきたら意味がないでしょ……あの男はあんたを殺そうとしてるんだから……」

「だからって俺が死ぬとは限らない」

 少女は少年のことを心配してその言葉を言っていた。だが、本心では私のために来てくれたのだという嬉しさがあった。

「でも、あんたは私より魔力を持ってない。あの男の魔力は私の何倍もあるのよ!!」

「うん、でもさ……」

 そういって少年は剣を構えた。

「やりようはあるよ……それは優秀な希望だ」


 
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