No.527326

超次元ゲイム ネプテューヌmk2 ~Blue Wind~(~though!~)

こたさん

さて、コミケも無事終了。今年もよろしくでふ

2013-01-03 22:01:09 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:1822   閲覧ユーザー数:1814

場所は変わり、『アンダーインヴァース』。

 

リーンボックスの観光名所の一つである。

グランドの説明によれば出入り口付近はシェルターのように銀色の特殊金属の箱の様な物の施設内を通り、表に出ると噴火口が目の前にあるらしい。リーンボックスが独自に開発したRZKレイクと呼ばれる特殊器具から排出される空気が熱を完全にシャットアウトするため人体に影響はないらしい。

 

 

ギィ……と施設の扉が開く。

 

「ここが……アンダーインヴァースですか?」

 

ケイブとグランドに案内されネプギア達は施設内に足を踏み入れる。

 

「えぇ。」

「表に出て溶岩が目の前で流れてたりしてもビビるなよ。触んなければ問題はないからな。」

「で、でも触ったら熱いのね……」

「それにしても暗いですの……」

 

辛うじて通路内を見渡せるが、薄暗さにがすとは目を細める。

 

「待ってて、今灯りを付けるわ。」

 

ケイブが言い、入口付近の配電盤の扉を開けるとスイッチを入れる。その刹那、パパパッ!と瞬く間に電灯が光り施設内が比較的明るくなる。

 

「わー、大分明るくなったねー!」

 

日本一が声を上げた時だった。

 

ヌプッ!

 

いやらしい音と共に一同の眼前に水色のスライムの様な物が落ちる。

 

「ぬぷっ?」

 

目を丸くするネプギアの目の前でさらにぼたぼたと水色の物体(と言うより半液体)が落ちてくる。

 

「な、なにこれ……―――」

 

口を開きつつ、およそ15m程ある天井を見上げる。

その時、アイエフだけでなくその場に居た者全員が言葉を失った。

 

ヌラー……ヌララー……

 

『スライヌ!?』

 

天井には過密状態のスライヌが蠢いていた。中央部分辺りからぼたぼたと数匹ずつベチャベチャ落ちてきている。一方で落ちてきた方のスライヌの山はなかなかの高さとなり、通路の向こう側が確認できなくなる。それでも更に山は高くなっていった。

 

「な、なんでこんなに多くのスライヌが待ち構えてるのよ!?」

「もしかして敵の罠ッ!?」

 

ヌラー……ヌラー……!

 

密集したスライヌの塊から鳴き声が不気味に響き渡り一同の背筋が寒くなる。

 

「わ……わ……!?」

 

思わず逡巡してしまったネプギアは目を丸くしじりじり後ずさる。

 

「な、なんだこいつら……!?」

 

グランドも頬に汗を浮かべつつ拳を作り戦闘態勢になる。

 

キラッ――

 

密集したスライヌの群れの目が光る。その瞬間、スライヌの山が一斉にネプギア達に襲いかかった。

 

「おわっ!?」

「ハァッ!」

『わ、わー!?』

 

ソニックとグランドは跳躍し間一髪その場を離れたが、思わず怯んでしまった一同はスライヌの川に飲み込まれる。

 

【皆さんお待ちかねスライヌペロペロ攻撃発動!】

 

スライヌの群れは一同を飲み込むとそれぞれのメンバーの耳や頬を舐め始めた。

 

「な、何をするのッ!?んぁッ、やッ……めなさ……い……!」

「き、気持ち悪いですぅ……ぬるぬるするですぅ……あぅ……」

 

次第にスライヌは姿を変え液状になると彼女達の服の中へと侵入し始めた。ヒヤッと冷たいスライヌが地肌に触れると彼女たちの体がぴくん、と小さく跳ね上がる。

 

「や、止めるですのー!がすとは食べても美味しくないですのー!美味しいのはフラスコのオレンジジュースだけですのー!」

「あはははははははははははは!そ、そこ舐めちゃ……あははははははははは!!」

「く……なんという恥辱…………んぅッ!」

 

次第にスライヌの悪戯はエスカレートしていった。

 

「だ……ダメだよぉ……そんなとこ……舐めないで……ぁんッ……!」

 

(そろそろ規制されそうなんでこの先は皆様の妄想でお楽しみください)

 

一方、なんとかスライヌの川に飲み込まれることなく難を逃れたグランドは自らの拳の先端についているトゲを天井に突き刺しスライヌの川とスライヌの悪戯の犠牲となっている仲間達を見下ろす。

 

「……ったく、なんなんだあれ……」

「何って、スライヌだろ。いくら雑魚モンスターでもあんなに集まると厄介だねぇ。」

「…………どうでもいいけどよ……」

「what?」

 

「―――なんでお前俺の足にぶら下がってんだよ……!」

 

グランドが顔を真っ赤にして自分の足首を掴んで宙ぶらりん状態のソニックに目を向ける。

 

「だって離したらあん中落ちるじゃん。俺水苦手なんだって。」

「水じゃねーから!似てるけど!」

「まぁまぁ、こっから攻撃のタイミングを見計らってるってことにしといてくれよ。」

「ざっけんな!別んとこですりゃあいいだろーが!降りろ!」

「こっちの方が見やすいじゃないか。そうカッカすんなって。」

「お前がぶら下がってると重いんだよ!落ちるだろーが!」

「んなわけないって。お前40kgだろ?俺35kgで軽いんだから大して変わんないって。」

「なッ!?お前なんで俺の体重知ってんだよ!?ストーカーかよおいッ!?」

「そりゃあ知ってるさ。相棒じゃないか。」

「ふ、ふざけんな!お前と相棒になった覚えはない!」

「A・I・B・O?」

「うっせー!そろそろ黙んねーと―――」

 

「アンタ達喧嘩してないで助けなさいよーッ!!」

『おわッ!?』

 

アイエフの怒声にビクッと体を一瞬震わせたグランドは天井から真っ逆さまに落ちていった。

 

ぶしゃあああぁぁぁぁぁぁ――――ッ!!!

 

ソニックとグランドの体はスライヌの川へと落ち、数体のスライヌを踏み潰した。その影響でその数体のスライヌは水色の液体となった。

 

『ヌ、ヌラ……!?』

 

そんな仲間の悲惨な姿を見て驚いたのか、ネプギア達に対して悪戯を働いていたスライヌ達が逡巡する。

 

(今だわッ!)

 

その一瞬の隙を見計らってアイエフが大きく跳躍する。

 

「みんな、離れて!」

 

アイエフが声を発するとその場にいたネプギア達が跳躍してその場を離れる。

 

「『ラ・デルフェス』ッ!」

 

アイエフがスライヌの群れの下に魔法陣を張り、魔法陣から放たれたビームでスライヌの群れを一瞬にして消し去る。そのままアイエフは軽やかに地へと降り立った。

 

「ふぅ……偉い目にあったわね……」

「so cool!」

「so coolじゃないわよ!何天井で喧嘩してんのよ!」

「まぁまぁ、助かったんだからいーじゃん!そんな怒んなって!」

 

ソニックに対してガーガー怒り始めるアイエフの背後でネプギアを初めとする仲間達が一生抉えぬトラウマに静かに涙を流しているのは言うまでもなかった…………。

 

「―――もう……お嫁に行けない…………」

 

静かに涙を流すネプギアがそう言い残していた。

 

 

 

「えぐ……えぐ……」

「全く……いつまで泣いてるの……」

 

まるで迷子を迷子センターに連れて行く時のような光景だ、と周りの仲間達は思う。涙でボロボロ状態のネプギアの背中を摩りながら歩くアイエフの周りで仲間達は心配そうに見つめていた。

 

「……あの子の気持ち、分からなくはないわ。」

「ケイブさん怒ってるですか?」

「……怒ってない、と言えば嘘になるわ。リーンボックスの特命課である私がましてやあのような雑魚モンスターに……なんという屈辱……」

「私はくすぐられただけだったからなんとも思わなかったけどなー……」

「がすとも特に何もされてないですの。ただヌメヌメして気持ち悪かっただけですの。」

「んで、俺はグランドの協力を得て攻撃のタイミングを見計らってたぜ。」

「ふざけんなてめー!ただ俺を利用してただけじゃねーか!」

「まぁ、確かにナックルズはこういう時にしか役に立たないけどねぇ……」

「だ~か~らぁ~!俺はグランドだぁーーーッ!いい加減ぶっ飛ばすぞてめぇーー!」

 

完全にソニックがグランドを小馬鹿にしている。だが、グランドが怒る度にソニックは楽しそうな表情を作る。

 

「……ふふ。」

「ケイブさん?」

「いえ……グランドが初対面の相手にこんなに沢山会話をするのは初めて見たわ。」

「ふぇ?」

「グランドは……初対面の人と話すのを嫌う傾向があるの。私の見る限りグランドが初対面の人と話すのを見たのは数回だけど、これ程相手に対して心を許しているのを見たことがないわね。」

「ゆ……許してるですか……?」

 

最後の方は少し頷き難かったが、コンパはそっとソニックに目をやる。確かに言われてみれば今まで同行してきた時間の中で今のソニックが一番楽しそうに見える。

 

「………………………」

 

そんなコンパの表情は――まるで公園で楽しそうに遊ぶ我が子を見つめる母親のようだった。

 

「―――ぅ……ぅぅ………」

 

蚊が鳴くような呻き声が一同の足が止まる。

 

「この声は……チカッ!?」

 

ケイブが表情を一変させると地を蹴り走り出す。

 

「あ、ケイブさんッ!」

 

そんなケイブに続いてネプギア達はケイブの向かった先――下に溶岩が流れている崖の様な所へと走っていった。

 

 

「―――チカ。」

 

ケイブがそっとその名を囁く。チカと呼ばれた女性は薄緑色のロングヘアーのポニーテールでスレット入りの真っ黒なドレスを身に纏っていた。チカはケイブの腕の中で瞳を閉じている。その顔色は決して良いとは言えなかった。

 

「チカさん……大丈夫ですか……?」

 

ネプギアの声にもピクリとも動かずにチカはぐったりとしていた。

 

「………………」

 

ソニックはチカを取り囲んでいる一同から少し離れた場所で眉間に皺を寄せ腕を組んでいた。

先程ケイブの後に付いていった後、チカが大きな岩にロープで縛られ身動きが取れない状態で発見された。幸いチカには目立った怪我もなくただ意識を失っているだけの状態だった。

 

だが問題はそこではない。

 

確かに、チカは怪我もなく命に別状もなかった。だが、人質であるはずのチカの周りに見張りは誰もいなかったのだ。初めは何も考えずにチカに近寄り彼女を解放したのだが、後々彼は疑問に感じ始めていた。

 

――普通、誘拐したなら見張りを置くよな……?

 

仮に、チカを誘拐したのが犯罪組織だとしてゲイムキャラの行方を追うネプギア達に対して唯一ゲイムキャラの居場所を知るチカを口封じのために誘拐したと言うならば合点がいく。だが、チカはあっけなく見つかった上に怪我もない。それどころか見張りの姿すらない。仮に、ゲイムキャラのディスクを捜索し破壊するための時間稼ぎであったならば尚更見張りは欠かせない存在である。

 

これはどういうことなのだろうか……?

 

―――それに、俺達が教会前で見つけたあの紙切れ……

 

そもそも、何故あの紙切れは教会前に落ちていたのか……それとも、あの時あの場所にいた誰かがわざと置いていったものなのか……?

 

「ソニック?」

 

ネプギアの声にハッとなり、ソニックは我に帰る。

 

「なんだい?」

「どうしたのかなーって……」

「ちょっと考え事をしてただけさ。それより、チカの様子はどうだ?」

 

ソニックが一同に歩み寄る。

 

「……すっかり衰弱してるようです。一度教会で休ませたほうが良さそうですぅ……」

 

先程までチカの看病をしていたコンパが振り返り言う。ケイブの腕に身を任せたチカの顔色はますます悪くなり、ぜぇぜぇと呼吸も荒くなっている。

 

「まぁ確かにいくら人体に影響がないといってもこんな溶岩だらけの場所で具合が良くなるわけがないですの。スカイ・ビークルで戻りますの。」

「その必要はないぜ!」

「え?」

 

がすとが驚きソニックに目を向ける。

 

「一度行った場所ならカオス・コントロールで戻ったほうが早いぜ?」

「あー……なんかその名前久しぶりに聞いた気がするわね。」

「かおす……こんとろーる……ですの?」

「それは一体……?」

 

がすととケイブ、グランドが小さく首を傾げる。

 

「ネプギア、カオス・エメラルド貸してくれ。」

「あ、うん。」

 

ネプギアがポケットからカオスエメラルドを取り出しソニックに手渡す。

 

「こいつはカオス・エメラルドさ。こいつの力を使って教会までワープするぜ!」

「ワープですの!?」

「ま、詳しい説明はあとだ。行くぜ?『カオス・コントロール』ッ!」

 

ソニックがカオスエメラルドを振りかざすと一同の姿がアンダーインヴァースからなくなった。

 

 

 

ネプギア一行はリーンボックスの都市内を歩いていた。

まるで川の字を描くように幅広の歩道を挟んだ大通りでは中に浮かぶ多くの軽自動車がエンジン音を撒き散らし行き来している。

ネプギア達の歩いている歩道にはバランスの良い間合いで木が植えつけられていた。

 

「それで、これからどうするですの?」

 

がすとが言う。

 

「とりあえずこの国のシェアを上げにでも行くか?今んとこ他にやることないんだろ?」

「う~ん……」

 

歩きながらネプギアが考え込む。

ひとまずアンダーインヴァースからチカを教会へと運びコンパとケイブに後を任せチカが目を覚ますまでネプギア達はフリータイムを貰ったのだ。だが、いざフリータイムとなると特にやることもなくリーンボックスの街をブラブラしていて現在に至る。

 

「ん~……シェア稼ぎねぇ……チカが目を覚ますのにそんなに時間かかるかしら……?」

「コンパが言うには衰弱状態なんでしょ?だったらしばらくじゃないかなー?」

 

一刻も早くチカが目を覚まさないと犯罪組織にまたゲイムキャラが破壊される可能性も十分にある。ましてやこちら側は原因不明のチカ失踪において大幅なタイムロスをくらっている。あまり時間に猶予は残されてはいないが、肝心のチカが意識不明となるとこちら側に出来る事といえば確かにそのくらいしかなかった。

 

「やっぱり……シェアを稼いだ方がいいのかな……?」

「ま、こんなところで悩んでも仕方ないわ。ひとまずリーンボックスのギルドへと向かいましょう。」

 

アイエフが言い終わった時だった。

 

「―――………………」

 

突如ネプギアが足を止める。

 

「どうしたんだ?」

「―――歌……が聴こえる……」

「song?」

 

ソニックが聞き返すとネプギアは目を閉じ耳を澄まし始めた。

微かだが……ハッキリと聞こえる。

 

「――綺麗……」

 

まるで透き通る水の様に鼓膜を優しく震わせる美しい音色。

雲の上を飛んでるような不思議な感覚に包まれる。

嫌なことを全て忘れさせてくれるような気分になる。

今まで聴いたことのないような美しい歌声だった。

 

――まるで華麗に舞う蝶のように……歌声が自由に、優雅に飛んでいる。

 

「……あっちみたい。」

「お、おいネプギア?」

 

まるで歌声に手を引かれたかの様にネプギアは早足で歩いていった。

そんなネプギアの後を仲間達も追い始めた。

 

 

まるで何かに取り憑かれたかのようにネプギアは歩いていた。

ただただ歌声の聞こえてくる場所へと―――気づくとここは森の中だった。

しかし、声の主には確実に近づいている。

 

「ネプギア、待ちなさい!」

 

ガッ、とアイエフに手を掴まれようやくネプギアは足を止めた。その拍子にネプギアはハッと肩を震わせる。

 

「あ、あれ……?」

 

歌声に夢中で周りが見えていなかったのか、キョロキョロとネプギアが周りを見回す。

 

「全く……どうしたのよ?」

「い、いえ……綺麗な歌声だなーって思って歩いたらいつの間にか……」

「歌声に洗脳でもされてたですの?」

 

がすとが冗談混じりに言う。

その時だった。

 

「~~~♪~~~……………――――」

 

歌声が途切れる。

 

「ぁ………」

 

ネプギアも小さく声を発した。そして再び周りを見回す。

 

「………………………」

 

視界に入った人影。隣の大木に手をかけこちらを眺めていた。その人影をネプギアはそっと指さす。

 

「あれ…………」

「え?」

「what?」

 

ネプギアの指さした方向へ仲間の視線が集中する。

 

「ひッ!?」

 

するとそこに立っていた人影が大木の陰に身を隠した。

 

「あ、あのー……?」

「ひゃ……ひゃいッ!?」

 

大木の陰から甲高い声で返事が帰ってきた。

 

「あの、この辺で歌が聴こえたんですけど……?」

「そ、そ……そりわッ……!?」

「……?」

 

「……ボ、ボクでひゅッ、す!」

 

「そ、そうなんですかッ!?」

「ふぁ、ふぁいッ!」

 

会話だけは続いてはいるものの声の主の姿は確認できないままだった。

 

「あの……どうして隠れてるんですか?」

「ふぇッ!?ご、ごめんなひゃ……!」

 

大木の陰から再びその姿がモジモジとしつつ現れる。

髪型は青のストレート、耳にアンテナの立ったヘッドホンを付けていた。露出度の高いギザギザした衣装を身に纏っている。

顔から溶岩が出そうなほど真っ赤だった。

 

「え、えっと……5pbでひゅ……」

 

彼女――5pbは恥ずかしそうにスカートを皺ができるんじゃないかと思わず心配になりそうな程ぎゅ~……と掴み自己紹介をする。

 

「私はプラネテューヌの女神候補生ネプギアです。」

「俺はソニック!ソニック・ザ・ヘッジホッグさ!」

(他のメンバー紹介はフィルムの都合によりカットしました。べ、別にめんどくさかったわけじゃないんだからねッ!)

 

「よ、よろしくお願いします……一応リーンボックスの新人アイドルやってます……」

「アイドル……ですか!?」

「ひゃ、ひゃい!」

「つーか、なんでそんな緊張してんだ?」

「しゅ……しゅみましぇ……ボク、極度の人見知りなんでひゅッ!」

「…………」

 

ソニックがそっと5pbに歩み寄った。

 

「――そろそろ、本当のお前を見せてくれよ。」

「ふぇ……?」

「いつまでも恥ずかしがっていないで先に進もうぜ?俺達はもう友達なんだ。友達ってのは自分達の本当の姿ってやつをぶつけ合うものさ。いつまでも『恥ずかしい』ってフィルターをかけてたら先に進めないぜ?もっとフリーダムに行こうぜ……な?」

 

 

―――フリーダム……?

 

 

ソニックの言葉に5pbの赤かった顔がすー……と肌色になる。

 

「…………フリーダム……かぁ……」

 

 

 

 

 

 

――――音符のように……自由に……

 

 

 

 

 

 

すぅ……と5pbが深呼吸する。

 

「――改めて、ボクは5pbだよ!よろしくね!」

 

にこっ、と眩しい笑顔を作り5pbが改めて自己紹介をした。先程までガチガチに緊張していたのが嘘のように明るくなっている。

 

「へへッ、いい笑顔だぜ!そっちの方がずっと可愛いぜ!」

 

ソニックも笑顔を作るとビッと親指を立てた。

 

「ところで、皆はどこから来たの?」

「えっと……私達プラネテューヌから……」

 

さっき言ったじゃない……とアイエフは思う。よほど緊張していたのだろう。

 

「へぇー、何しに来たの?」

「えっと……リーンボックスの教祖に会いに来たんですけど……」

「チカさんのこと?」

「えぇ、けど彼女今意識不明なのよ。」

「え……!?」

 

5pbは目を見開く。

 

「私達がリーンボックスに来た時行方不明になってて……発見はしたんだけど意識不明ね。」

「で、でもどうしてチカさんに……?」

「それは、ゲイムキャラに会うために――」

「……!?」

 

5pbは喫驚したかのようにはっと息を上げた。

 

「ゲイムキャラを知ってるですの?」

「……うん、名前だけはね。実はボクは……アイドルになったのはチカに頼まれたからなんだ……」

「え?どういうことですか?」

「ボクも……チカから聞いて大体のことは理解してるんだ。女神様がいなくなったこと、世界がマジェコンヌって物の危機に晒されてること……そんな時にね、路上ライブを続けていたボクに声をかけてくれたのがチカだったんだ。ボクの歌唱力を認めてくれたチカは『アイドルになってお姉様のいないリーンボックスを救って欲しい』って……それからボクはリーンボックスのシェアをキープするためにライブを続けてるんだ。さっきまで歌ってたのはこっそり練習してたんだけど……」

「普通に聞こえてたけどね。でも、どうしてライブを続けることでシェアがキープできるの?」

「ボク、ライブが終わる度に『このコンサートを開くことができたのはリーンボックスの女神様のおかげだよー!』って女神様のアピールしてるんだ。それでリーンボックスのシェアをなんとか保ってるんだ。」

「それなりに名があるですの?」

「うん、最初はあんまりだったけど最近は結構有名にはなってるかな?最近は私の声を録音したアプリでユーザーが自由に曲を作れる『フリー・ヴォーカル』っていうのも出回ってるし。」

 

ピリリリリリリリリリリリッ!

 

5pbが言い終えるとアイエフの携帯が鳴りだす。

 

「もしもし?」

「あ、あいちゃんですか?」

 

受話器越しにコンパの声が聞こえた。

 

「コンパ?どうしたの?」

「チカさんの意識が戻ったです。すぐに教会に戻ってきて欲しいです。」

「分かった、すぐに向かうわ。」

 

ピッ、と電話を切るとアイエフは携帯をしまう。

 

「アイエフさん?」

「コンパからだったわ。チカの意識が戻ったみたい。すぐに教会へと戻りましょう。」

「OK!じゃあカオスコントロールで教会までワープするぜ!ネプギア、カオスエメラルド貸してくれ。」

「うん!」

「あ、あの……!」

「Huh?」

「ぼ、ボクも連れてってくれないかな?チカの様子が気になるし……」

「はい、もちろんです!」

 

一同はカオス・コントロールの力でその場から姿を消した。

 


 
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