「け、県令にか?」
俺が戦場から帰ってきた時、街の長老が
声をかけてきた
どうやら、俺を県令にするためのモノのようだ
「ええ、賊将程遠志から我々を守ってくれた李通殿、あなたに
是非、なってもらいたいのです、これが、この街に住まう住民の
総意なのです」
「そうは言っても…、何分急な話ですから、それにそれだけが理由ではないのでしょう」
「…あなた様には敵いませんね、もちろんこのことにより
あなた様への利もありますが、我々としても利というものあります」
「…というと?」
「賊将程遠志は、黄巾党の中でも実力だけで
上にのし上がってきた、いわば黄巾党の中でも腕利きの将
それを李通殿、あなたが倒したとなると…」
「ほかの賊どもは自分たちの兵や兵糧の損失、及びに滅亡を恐れ
迂闊には、近寄りがたくなる…か」
「そうです、黄巾賊で程遠志の上となると、波才くらいしかいない上に
その波才も現在こちらに攻めてくる様子はありません
よって我々の利となります」
まぁ、俺に星、水仙がいれば程遠志より規模の低い
その辺の少数の賊なんかには負ける気色はないしな
その辺に名声も広がっていくから
迂闊には来ることはないだろうな・・・
「まぁ、確かにな…」
「それに、郭嘉様から聞いたのですが、李通殿はこの乱世を鎮めるため
兵を立ち上げるという決意をされたと存じます
そこで、我々の街を拠点とし、名のある人材を集め
この乱世を鎮めるべく、奮闘させてもらえればと思っています
如何でしょうか…」
ふ~ん、ギブアンドテイクね~
確かに、それなら双方に利益をもたらすことができるな
それに、このご時世だ、このチャンスを逃せば二度とはない
「長老」
「はい…」
「俺の一存で決めることはできない、全員の総括を…」
「その必要はないのですよ~」
どこからともなく風が出てきた
すごいな、気配がほとんど感じられなかったな
「稟ちゃんと昨日のうちに協議しました
この戦に勝てば、結果的に県令の話は
お兄さんに舞い込んでくるだろうと」
「すでにわかっていた許容範囲内だったのね…」
「それで、風も稟ちゃんも許諾して構わないだろうという結論が
もう出ていたのです~」
「なるほどね~、んじゃぁ」
「はい、この話、お受けします~」
すると、長老は、かなり喜んだみたいで
「おお、ありがとうございます、ありがとうございます…!!」
と、気味悪いくらいの速さで礼を言うのだった(一分間に120回)
~一ヶ月後~
県令の任についてから、毎日が忙しかった
そりゃぁ、日本の労働基準法が羨ましいくらい
拠点である城にたどり着いたとき、最初に見たものは
悪徳文官と、莫大な金だった
まぁ、前県令の残してくれたものだろう
悪徳文官はいらないけど
その悪徳文官の今までの行いを回想で表すと…
~回想~
「税金が7公3民だ?すぐに取り消して4公6民にしろ」
「いいじゃないですか、所詮卑劣な民のことですし」
「なんだこの莫大な金は、さしづめ、国民から巻き上げた税か
これは先ごろの戦の復興支援に使え」
「そのようなもののために使う必要はありません
自然に野垂れ死ぬのを待ちましょう」
といった具合だ
民をなんだと思ってやがる…
まぁ、こいつらは後々処断するとして…
「刃様、義勇兵の集まり様が半端じゃありません!!」
「うそ、本当に!?いくらくらいなの?」
「星の報告だと、10000は軽く越すと…」
稟の報告によって驚く
10000…、桁違いだろ
この、混沌とした対立の場でよくもまぁ、そんなに集まってくれたもんだね~
あ、ちなみに言うと、現在、この県の筆頭武官は星
筆頭文官は、定軍山の戦いでの参謀 法正こと緑ってことにしてる
法正は既に俺に臣従してるので、表向きの内乱は起こってないんだけど…
「まぁいいや、とりあえず合格圏内の5000まで絞って…
多少の増減は構わないから」
「了解です」
そういって、稟は、俺の仕事場から出て行った
続けて、法正こと緑が入ってきた
ちなみに、法正は、いかにも経験豊富そうで
豪快な爺さんだ、だからまぁ、宿老といたところか
「刃様、豪快は余計ですぞ、この老骨には」
「ありゃ、聞こえてた?」
「そりゃぁ、もう、堂々と言っておりましたぞ
堂々と」
「…いや~今日はいい天気だな、ははは~」(棒読み)
「話をそらさないでいただきたいものですな(ギロッ)」
「うっ…、ごめんなさい」
「謝れば良いのですよ、ガッハッハ~」
やっぱり、誰がどう見ても豪快なじいさんだ
「それで、何事?」
「あぁ、そうでした」
すると、緑は、俺に近づき
(悪徳文官らの、逃れられぬ証拠を掴みましたぞ、
これであ奴らをいつでも処断することができます)
まぁ、悪魔でも逃げ出すほどの笑みを浮かべてそう言った(小声で)
(そうか…、これであのウザったい悪徳文官共を
処罰できんのか、よくやったぞ緑)
(いえいえ、儂の活躍なんぞまだまだ
これっぽっちじゃ、それより、刃様こそ)
(そんなことないって… クックッ)
(いえいえ、ご謙遜なさるな… クックッ)
((クックックッ))
その光景をたまたま見ていた小姓は
(悪魔だ、ここに悪魔がいる)
と、青い顔をしてそう同僚に言っていた
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不慮の事故で死んでしまった主人公東野 刃 しかし、それは全て神の間違えということが発覚 元の世界には戻れないが転生はOKなのでしてもらうことに 少々のチートをもらい、いざ転生先へ!!